SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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恐らく年内での更新はこれが最後かもしれません。これから仕事が忙しくなるので……



PART.2 邂逅Ⅱ:驚きの予感

 

夕方になり、喫茶シオンは後少しで閉店となる。

 

「アーニャさん……遅いですね。」

「グリムが一緒ですからね。どこか寄り道してるかもしれません。」

 

片付けをしながら、ヨルは時計を眺めアーニャの帰りが遅いことを案じていた。

そんな時、店の入口ドアが開いた。

 

「ロッティ!姉さーーんっ!!新しい仮面ライダー出たっ!!」

「ユーリ?」

 

入口から飛び込んできたのはユーリとノエル、さらに二人に連れて来られた英寿の3人だった。

さらに、

 

「ちちー!ははー!アーニャきかんしたーっ!」

「腹減ったー!飯くれよ!」

 

裏口の方から、帰ってきたアーニャとグリム、ロゼッタの3人が飛び出した。

そしてさらに、

 

「ロイドくーん!今日墓参りの帰りに変な人と会ったんだけど!」

 

店の窓がガラッと開き、フリッドとフィオナが顔を出してきた。

 

「お前らいっぺんに来るな!いっぺんに!」

 

3組が一斉に店に来て、ロイドは大声を上げた。

そんなロイドをよそに皆は一斉に店の中に入ってきた。

 

「あれ?エースさん!」

「よぉ、ロゼッタちゃん。」

 

最初に声を上げたのはロゼッタ。英寿を見て声を上げた。

 

「ロゼッタちゃんの情報、役に立ったよ。」

「よかった〜、探し物は見つかりました?」

「いや、まだだ。でも、取っ掛かりにはなるかもな。」

「フフッ、次は”お客さん”として来てくださいね?」

「いや、遠慮しとく。君みたいなカワイイ子に手を出すなんて……恐れ多いからな。」

 

普通に英寿と会話するロゼッタ。そこにグリムが声をかけた。

 

「おい、こいつ知り合いか?」

「うん。この前、私の”情報”を買ってくれたの。」

「浮世 英寿だ。よろしくな。」

 

英寿は皆に軽く自己紹介すると、片目を閉じてウィンクした。

すると、今度はフリッドがグリムに声をかけた。

 

「グリム、お前の方こそ……彼女誰だ?」

「えーっと……こいつは……」

 

フリッドは見慣れない女性……ロゼッタのことをグリムに尋ねた。グリムは急に尋ねられ、口ごもり、冷や汗を掻き始めた。それを見かねてロゼッタが声を上げた。

 

「ロゼッタですっ!いつもダーリンがお世話になってます♡」

「おお、グリムにもついにガールフレンドが……ははははっ……」

『ん……?』

 

その瞬間、その場にいたグリム、ロゼッタ、アーニャ以外の全員が声を上げた。

 

「い、今……彼女……なんて言った……?」

 

皆はロゼッタが発した一言に震えた。彼女はグリムを名前では呼ばなかった。

そんな皆をよそに、ロゼッタはにこやかに答えた。

 

「ダーリンッ♡」

『………ええええええええっ!!!?ダ……ダーリィィィィィィィィィィンッッッ!!!???』

 

皆は驚きのあまり大声で叫んだ。その叫び声は凄まじく、喫茶店全体が震えるようで、窓ガラスが一枚割れた。

すると次の瞬間、皆は一斉に散開した。 

 

「フォーメーションB!!フィオナ、地下の会議室の掃除&セッティング!!」

「了解!」

 

フリッドの指示の元、フィオナは颯爽と地下室に直行。

 

「ロイドくん!ヨルさん!お茶とお菓子の準備ッ!!」

「了解!」

「分かりました!」

 

さらにフリッドの指示でロイドとヨルはお茶菓子の準備をした。

 

「ユーリ君っ!ノエルさん!グリムと彼女を確保ーッ!!」

『ラジャー!!』

 

さらにユーリとノエルはグリムとロゼッタの二人を羽交い締めにした。

 

「……大袈裟すぎねぇか……?」

 

────────────────────────

 

「……よし、順を追って聞いていこう。」

 

全員地下室に移動し、ロイドは時系列順に話を纏めようと、フリッド達の話を聞くことにした。

 

「まず、グリム。」

「……この女はこの前チンピラに絡まれてるところを助けたんだ。そんで後から知ったんだが……こいつ娼婦でな。『ベロニカ』って娼館の。」

「ベロニカ……聞いたことがある。テレビに出演する著名人や政治家が使う超高級娼館……一般人じゃまず入れないらしい。」

 

ロゼッタは娼婦……それを聞いて、皆は改めてロゼッタをまじまじと見つめた。そんな中、アーニャはユーリに耳を塞がれていた。

 

「……おじ、なんでみみふさぐ?」

「お前は聞いちゃダメ!」

 

小学生に「娼婦」というイヤらしいワードを聞かせるワケにはいかないというユーリの配慮だった。

 

「……で、こいつは娼婦をする傍らで情報屋やってんだ。」

「情報屋?」

「こいつ、この体だろ?指名する奴多いみたいでな。指名客から色んな情報聞いて、その情報を他の客に横流ししてんだってさ。」

「情報というより、噂話ですけどね。それでつい先日、エースさんに情報を売ったんです。『この国で有名な悪党はいないか?』って、それで私は『ショッカーです』って言いました!」

「そういうことだ。」

 

ロゼッタは説明するのと同時に指を差すように英寿の方に手を出した。

紹介されたとばかりに英寿は笑って手を振った。

 

「なるほどなぁ……ん?ということは……エース、お前娼館に入ったの!?」

「バカ言うな。裏口で休憩してた彼女に聞いたんだ。」

「エース君……だったな。なんで悪党を探してたのかな?」

 

フリッドは英寿に尋ねた。

 

「悪党を探してたワケじゃない。探し物があったんだ。俺はトレジャーハンターだからな。」

「あれ?エースさん、私には『さすらいの旅人』って言ってませんでした?」

「フフッ、狐に騙されたな♪でも、どっちでも同じことだろ?」

 

ロゼッタに指摘された英寿だったが、手で狐を作って笑ってみせた。

そんな英寿を見て、皆は怪しんだ。それに気づいているのか否か、英寿はニコニコ笑っていた。

 

「で、最後はフリッドか。」

「ああ……母さんの墓参りの後、ぬかるみにはまった車と出くわしたんだ。」

 

フリッドは帰りに遭遇した出来事のことを話し始めた……

 

「チャップマンの首が飛ぶ……?」

「ああ、そう言ってた。」

「単なる冗談では……?」

 

ヨルの言葉にフリッドは首を横に振った。

 

「いや……あの時の男の言葉は、どう聞いても冗談っぽくはありませんでした。」

「そういや……そのケチャップって奴、今は何やってんだ?」

「チャップマンな。人の名前を間違えないの。」

 

名前を言い間違えたグリムを軽く叱り、フリッドは話を続けた。

 

「総裁の座をドノバンに奪われた後、すっかり隠居したらしい。チャリティー活動で孤児院に支援したり、慈善活動に力を入れてるらしい。」

「戦争の火付け役が慈善活動ねぇ……罪滅ぼしのつもりかよ?」

「実際、チャップマンの活動を『偽善』だって言う奴は多いみたいね。」

 

チャップマンのその後の活動を聞き、グリムは鼻で笑い、フィオナはフリッドの解説を補足した。

 

「うーん……何かが起こりそうな気がするんだ……不安だ……」

「考えたって仕方ねぇだろ。飯でも食おうぜ。ロイド!今日も料理教えてくれよ!」

「フッ…いいぞ。俺の採点は厳しいぞ?」

「ヘッ、やってやろうじゃん!」

 

グリムはロイドに向かって懇願した。ロイドはフッと笑って椅子から立ち上がった。

2人のやり取りに皆は首を傾げた。そんな中でヨルとアーニャはニコニコと笑っていた。

2人はそのまま上の厨房へと向かった。

 

「料理って……姉さん、グリムって料理できたっけ?」

「フフッ……実はロイドさん、将来的に2号店を建てるつもりなんです。その2号店を……グリムくんに任せようって言ったんです!!」

「はっ!?」

「おおっ!」

 

ヨルのその言葉にユーリは困惑したような顔をし、対照的にフリッドは笑顔を浮かべた。

 

「で、でも、ここは姉さんの大事な店で……その2号店でしょ!?それをあんな奴に……!!」

 

ユーリは不安だった。グリムは前と比べればいい奴にはなったが、学歴も職歴もない子どもだ。そんな奴に店を任せてもいいものかとユーリは思った。

そんなユーリを見て、ヨルはフッとため息をつくと肩を叩いてきた。

 

「……ユーリ、あなたが心配してくれるのは嬉しいけど、そんなことを言うのはグリムくんに失礼です。これまで一緒に戦ってきた仲間でしょ?」

「そ、そりゃあ……」

「それからユーリ、あなたはもう少し、自分の幸せのことを考えなさい?」

「えっ……?」

 

ヨルの言葉に、ユーリは声を上げた。するとヨルはユーリの手を握ってきた。

 

「ユーリ、私は今、すごく幸せなんです。ロイドさんがいて、アーニャさんがいて、ボンドさんがいて、シエルちゃんが生まれて……フリッドさん達が支えてくれて……すごく幸せです。だから私は、ユーリにも私と同じくらい幸せになってほしいんです。」

 

続くヨルの言葉にユーリは何も言えなくなった。ずっと姉の幸せを願っていたユーリにとって、自分の幸せなどあまり考えていなかった。

姉さえ幸せであればいい……それだけを考えていた。

 

(そんなこと言われたって……どうすればいいんだよ……)

 

ユーリはすっかり黙り込んでしまった。ヨルはそれを「分かってくれた」と思い手を離した。

しかしユーリは別に理解していたワケではなく、心の中でモヤモヤしていた。姉の幸せ以外で、自分が幸せになる方法とは何か、と……

 

「よし……できた……」

 

数十分後、グリムはロイドから教わった料理…ハンバーグを皆に振る舞った。

 

「んじゃ、味見お願いします……」

「いただきますっ!」

 

差し出されたハンバーグをアーニャは真っ先に食べ始めた。他の皆は少し不安なのか食べるのを遠慮していた。

 

「……んっ!ぱいせん、びみ!べりぐーっ!」

「おっ、マジか!?」

「どれどれ……」

 

アーニャの反応を見て、他の皆もハンバーグを食べ始めた。

 

「……うん!悪くないな!」

「まぁまぁね。」

「おいしいよ、グリム君!」

「ほぉ、なかなかだな。」

 

皆の反応を見て、グリムはホッと安堵のため息を吐いた。

グリムの作ったハンバーグは店で出すには粗が多く、形が崩れていて見栄えが悪かったが、自宅や仲間内で食べる分には十分に美味いと思えるものだった。

 

(た、確かに食べられる……)

「な、なぁ……ユーリ、どうだ……?」

 

グリムの料理を食べて、ユーリは内心驚いた。店で出せるレベルではないが、不味くはなく、むしろ美味しいことに驚愕していた。すると、グリムは不安そうな顔でユーリに尋ねた。

しかし、ユーリはそっぽを向き始めた。

 

「フ、フンッ!まぁ、悪くないけど……店で出すには粗が多いんじゃないの?形悪いし、塩コショウのバランスも悪い。よくこんなレベルで店やろうと思ったな。」

 

ユーリは分かりやすい欠点を論って皆の前で指摘した。皆もグリムの料理はまだ粗があることは理解しているが、グリムの手前気を使って言わなかった。

しかし、グリムはニッと歯を見せて笑った。

 

「へへっ……精進するよ!」

「えっ……?」

「次はお前を唸らせてやるよ!」

 

笑顔で言うグリムを見て、ユーリは自分が急に恥ずかしく思えた。料理の欠点はグリム自身も分かっていた。それをユーリは大人げなく叩いたのだ。

 

(なんか……今のぼく、すごくカッコ悪い……)

(おじ、ダサい……)

 

その後、食事は続いたが…最終的に飲み会のようになっていった。

席は2つに分かれ、男性組と女性組でそれぞれ飲み方をしていた。

 

「しかし、グリムはいい人を見つけたんじゃないか?」

「あ?なにが?」

「ロゼッタさんだよ。」

 

フリッドは酒を飲みながら、女性組の方で笑っているロゼッタをチラリと見た。

 

「お前にベタ惚れみたいだし、アーニャちゃんを可愛がってるところを見ると、子ども好きみたいだし……それに何より、あんなデカパ……ゴホンッ!ふくよかな人は見たことない……」

 

ロゼッタの胸を「デカパイ」と言いかけたフリッドだったが、落ち着いて訂正した。

 

「確かに、あんなボイン……ゴホンッ!ふ、ふくよかな女性はそうそういない……」

 

ロイドも同じく「ボインボイン」と言いかけたが訂正した。

対し、グリムは舌打ちを打った。

 

「何がいい人だよ……おかげでいい迷惑だ。…まぁ、ほとんど俺のタイプではあるけどさ。」

「おっ、そうなのか!?」

「ちなみに、お前のタイプって……?」

「ロングヘアで……母性たっぷりで、おっぱいボインボインの人妻。まぁ、アイツは人妻じゃないけどな。」

(……それって……)

(一人しかいないんじゃ……)

 

グリムの好きな女性のタイプを聞いて、2人はチラリとヨルの方を見た。こちらの会話は聞こえてないようで、フィオナ達と楽しそうに会話していた。

 

「で、でも、それだけ条件が一致してるなら、付き合っても……」

「アホかっ!あのストーカー女と付き合ったら、一生ストーキングされるわっ!」

「ス、ストーカー……?」

 

グリムの言葉に2人は耳を疑った。するとグリムは眉間にシワを寄せながらプルプルと震え始めた。

 

「あの女はなぁ……何故か俺の行く先々に現れるんだよ!外食してたら必ず店に来るし…殺し屋の仕事してたら必ずついて来るし!昨日に至ってはアイツ、俺の住むマンションにまで来やがった!」

「み、見た目からは想像できないな……」

 

グリムから詳しい話を聞いた途端、2人は背筋に鳥肌が立つのを覚えた。

 

「……まぁ、結局家に泊めたけどさ。さすがに追い返すのは可哀そうだと思って……」

「いや、それ追い返してもよかったんじゃ……」

「で、その後は?」

「……い、いや、俺も男だし……据え膳食わぬは……って言うし……一応タイプではあるし……」

『あー、なるほど……』

 

ロイドとフリッドの声が重なった。グリムの言葉と頬を赤らめる様子を見て、2人はグリムとロゼッタが何をしたのか察した。

その時、女性組も女性組で盛り上がっていた。

 

「もう私のダーリンかわいいしカッコいいし最高なんですぅ〜〜♡私、鼻が効くんですよぉ!特に大好きなモノの臭いはどこにあるのかぜーんぶ分かっちゃうんです〜〜〜〜♡」

「聞いてもないのに語り始めたわね、この女……」

「グリムくんのこと、本当に好きなんですね。」

「もちろんですよ〜〜ッ♡」

 

ロゼッタは両手で頬を抑えながら、グリムへの愛を語った。そんなロゼッタを見て、ヨルはニコニコ笑っていた……が、内心焦っていた。

 

(ど、どうしましょう……グリムくんにチューしちゃったこと……言った方がいいんでしょうか!?)

 

ヨルは以前、グリムから告白を受けた。そしてヨルは今までの感謝の印として、グリムと大人のキスをした。このことは誰にも話していない……2人だけの秘密だった。

だが、今ヨルの目の前にはグリムのことを愛する女性がいる……そんな人に隠れてキスをしてしまったことを告白し、謝るべきかヨルは悩んでいた。

 

(やっぱり言った方が……でも、言ったらグリムくんに迷惑が……!?でも、このままロゼッタさんに言わないというのも……!どうすれば……!!)

「うーん……」

 

ヨルが迷っていると、ノエルはロゼッタの胸をじっと凝視していた。

 

「お、おっきいですね……」

「えへへ……一応、Kカップです!」

『ケ、Kカップ……ゴクリ……』

 

ロゼッタのカップ数を聞いて女性組はゴクリと唾を飲んだ。同時に、ノエルは自分の胸を見て、ため息をついた。

 

(ユーリくん……おっきい方が好きかな……?)

 

ノエルの胸はロゼッタはもちろん、ヨルやフィオナと比べると小さい方だった。ユーリの好みは分からないが、男は大きい胸の方がいいだろうとノエルは思った。

その時、ノエルは辺りを見回した。ユーリの姿がない……そのことを男性組に尋ねた。

 

「あの、ユーリ君見てませんか?」

「ああ、外の空気を吸うって言ってたよ。」

 

その話を聞いて、ノエルは外に飛び出した。外に出ると、ユーリが店の壁にもたれかかりながら酒をラッパ飲みしていた。

 

「ユーリ君……ダメだよ!そんな飲み方したら!」

 

明らかに飲み過ぎているユーリを見て、ノエルは酒を取り上げた。

すると、ユーリはフラフラと立ち上がり、酒を取り返そうと手を伸ばした…が、バランスを崩しノエルに抱きついてしまった。

 

「キャッ!?」

 

急に抱きつかれ、ノエル自身もバランスを崩した……しかし、

 

「おっと。」

 

誰かが倒れる二人を支えた。顔を向けると、そこには英寿の姿があった。

 

「エ、エースさん…」

「イチャイチャするなら、もっと人気のないところがいいんじゃないか?」

 

笑って言う英寿にノエルは頬を赤らめたが、ユーリは気にする余裕などなかった。

 

「……さっきの、ぼく……カッコ悪かった……」

「えっ?」

「グリムの奴が、着々と自分の夢を叶えようとしてて……焦ったっていうか…だから、アイツをちょっとからかってやろうと思って……そしたらアイツ、笑って……」

 

グリムの料理にケチをつけた理由を話すユーリ。今のユーリは、まるで説教を受けた子どものようだった。

先ほどのグリムと、ヨルからかけられた言葉がユーリを揺らがせていた。

 

「ぼく、ずっと姉さんの幸せの為に走ってきた……秘密警察に入ったのだって、姉さんを守るためだ。でも……今の姉さんは幸せそうだ。もう、ぼくなんていらないくらい……」

「ユーリ君……」

 

寂しそうには語るユーリに、ノエルは同情した。しかし英寿は違った。

 

「要は……目的がなくなって寂しいってところか?」

 

英寿の言葉にユーリはムッとしたが、図星だった。目的がなくなり、ユーリは空回りしている気分だった。

そんなユーリを見て、英寿は言った。

 

「俺は……色んな願いを持った奴を見てきた。『最強のライダーになりたい』、『本当の愛を見つけたい』、『世界平和』……本当に色々だ。そいつらに共通してたのは、強く願い続けたことだ。」

「願い続ける……」

「お前も、強く願い続けたいと思えることを探せばいい。例えば……」

 

英寿はチラリとノエルの方を見た。ノエルは何故彼がこっちを見てきたか分からず、首を傾げた。すると、英寿はフッと笑った。

 

「大切な女性と一生過ごしたい……とかな♪」

「なっ……!?丿、ノエルさんとはそんなんじゃない!」

「ははははっ、照れ屋だな。」

 

途端に顔を赤くしたユーリを見て、英寿は笑い、その場から立ち去ろうとした。

 

「あっ!エースさんどこ行くんですか!?」

「探し物の途中だからな。ハンバーグごちそうさん。またな!」

 

英寿は別れの言葉を言うと、外に停めてあったブーストライカーに跨り、エンジンをかけて走らせその場を去っていった。

 

「え、えーっと……なんかごめんね……べ、別にノエルさんのこと、嫌で言ったワケじゃなくて……だから、その、アレだよ?」

 

英寿にからかわれて否定的なことを言ってしまったユーリはなんとか言い訳をしようとした。しかし言葉が見つからず、口ごもってしまう。

その時、ノエルはユーリの手を優しくキュッと握った。そして、ノエルは頬をほんのり赤く染めながら、潤んだ瞳でユーリを見つめた。

 

「ユーリ君……」

「は、はいっ!」

「今日……ユーリ君の家に行っても、いい……?」

「へっ!?」

 

その瞬間、ユーリの鼻からブッ!と鼻血が噴き出した。ノエルのお願いを聞いて、一瞬変なことを考えてしまったのだ。

ユーリは噴き出した鼻血を急いで拭いた。

 

「い、いいよ……?」

「うんっ!ありがとう!」

 

二人は約束をすると、店の中へと戻っていった。二人はこのことを誰にも言わなかった。言えば十中八九からかわれると思ったからだ。

 

────────────────────────

 

「じゃあロイド君、ごちそうさま。」

「じゃあなー!」

 

時間は過ぎ、フリッド達はそれぞれの家に帰ることになった。

するとフリッドはアーニャに目を向けた。

 

「アーニャちゃん、明日の準備できたかな?」

「できてるます!」

「明日、なんかあんのか?」

 

二人のやり取りに、グリムが尋ねてきた。

 

「明日、学校で社会科見学があるんだ。場所は……『クレマチス社』。」

「そこって……最近話題になってる企業ね。確か、次世代を担う新エネルギーを開発してるとか……」

 

フリッドの言葉にフィオナが反応し、その会社の知ってることを話した。さらに続けてグリムが声を上げた。

 

「あー、俺もテレビで見たことあるぜ!確か……プランプランだか、プラネットだか……」

「全然違う!新エネルギーの名前は、『ネオプラーナ』だよ!」

 

────────────────────────

 

「……スーツの稼働成功……後は量産するだけだ。」

「フフフッ、分かっているとも。この時のために我々は準備を進めてきた……この国を、この世界を変革するために……」

 

暗い格納庫の中、2人の男があるものを見つめていた。目の前にあるのは青い瞳を持つ、黒いスーツだった。

その時、2人の背後に新たに2人の男が近づいてきた。

 

「来たか……」

 

そこに来たのは眼鏡をかけた気弱そうな男と、ポニーテールをした中華系の若い男だった。

2人の男は楕円形の黒いベルトを腰に巻いた。さらに筒状のコアのような物をベルトの真ん中にセットした。

 

《ENTRY》

 

ベルトから音声が流れ、2人は黒いスーツを身に着け、頭には動物を模したマスクをつけた戦士へと変身した。

 

「”ダパーン”……”ギンペン”……準備はいいか?明日、決行する。」

「ククッ、任せときな。今こそ、俺らが英雄になる時だ……」

「死んだ息子のために……やりますよ。」

 

2人の返事を聞くと、リーダー格の男はコクリと頷いた。

 

「さぁ……ここからが本番だ。俺達のG-4システムで世界を変える……」

 

 




おまけ「緊急告知」

「SPY×AGITΩ」1周年&お気に入り登録者数200件突破記念……特別ストーリー執筆決定!


史上最大の敵、ショッカー大首領襲来

「仮面ライダーなど……塵に等しい!!」

現れる、10000体の怪人軍団!
対するはフォージャー家と───

「この勝負、勝たせてもらう。」
「息の根止めさせていただきます……!」
「アーニャ、がんばるっ!」
「ボフッ!」

仮面ライダー!!

「秘密警察のライダーを舐めるなっ!!」
「これ以上、俺は失わない!愛する人を……大事な生徒を!!」
「俺はまだ……自分の夢を叶えちゃいないんだよッ!!」

そして、レジェンドライダーも参戦!

「セタップ!Xライダー!!」
「俺は戦う……人間として、ファイズとして!!」
「さぁ、ここからがハイライトだ!」

そして───

「変身ッ!!」

あの男が、帰ってくる───

「人の運命が、お前の手の中にあるのなら……俺達が奪い返すッ!!」

フォージャー家と仮面ライダー達の最後の戦いが幕を開ける!!

『SPY×AGITΩ OPERATION OF AGITΩ(仮)』

2024年、春……公開予定

──────────────

ようやく1周年記念&お気に入り登録者数200件突破記念に何をするか決定しました!
ただ……Episode:Yもかなり長くなりそうなので、公開は春ぐらいになると思います。

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