フリッドはクレマチス社の駐車場で、突然現れた黒いG3と対峙していた。しかし、互いに手を出す様子はまだなく、睨み合いが続いていた。
(奴はどう出る……?いや、相手の狙いはどっちだ?俺か…アーニャちゃんか……)
フリッドは相手の出方を伺っていた。もしアーニャが狙いなら、自分を無視してアーニャをつけ狙うはず。逆にフリッドが狙いなら、すぐさま攻撃してくる……試しに、フリッドは横にゆっくりと移動を始めてみた。
すると、黒いG3はすぐさま銃口をフリッドに向けた。
(狙いは俺か!)
狙いは自分だと確信した瞬間、黒いG3はフリッドに向けて銃弾を乱射してきた。フリッドは飛んでくる銃弾を横に走り回りながらよけ、さらに足元にあったマンホールの蓋を手に取り、それを盾代わりに銃弾を防いだ。
「セイッ!!」
銃が弾切れを起こしたタイミングで、フリッドはマンホールの蓋をブーメランのように黒いG3に向かって投げた。
しかし黒いG3はそれをキャッチし、逆に投げ返してきた。
「フッ!」
フリッドはそれをスライディングでよけ、そのまま相手の足を払った。足を攻撃され、黒いG3はバランスを崩した。その隙にフリッドは手を地面につけて跳び上がり、脚を黒いG3の右腕に絡め、そのまま足の力で腕をへし折った。
(これで銃は持てないだろう!)
腕をへし折ったことで、相手を弱体化することができたと思い、フリッドは内心笑った。しかし、次の瞬間フリッドは驚愕した。
黒いG3は右腕にフリッドが脚を絡めた状態のまま立ち上がり、そのままフリッドを持ち上げてきた。
「な、何っ!?」
普通、痛みを感じれば人間は怯むもの。しかし、黒いG3にそんな様子はない。
黒いG3はそのまま体を回転させ、フリッドをバスに向かって投げ飛ばした。
「ぐあっ!!」
バスに叩きつけられたフリッドだったが、フリッドはすかさず立ち上がった。
(こいつ……!普通じゃない……!!こうなったら……!!)
「変身っ!!」
フリッドは両腕を顔の前で交差させて叫び、ギルスに変身した。
「ウオォォォォォォォォォォォッ!!」
獣のような雄叫びを上げ、ギルスは両腕からクロウを伸ばし黒いG3に向かって突撃した。
しかし、
《SET》
どこからか電子音が聞こえてきた。と、思いきや……
《ARMED SCISSORS》
「うあぁぁぁぁぁぁっ!!」
電子音と雄叫びが聞こえ、ギルスと黒いG3の間に割って入るように、見知らぬライダーが飛び込んできた。
「仮面ライダー!?しかも……ぺ、ペンギン!?」
そのライダーはまるでペンギンのようなマスクをしていた。さらに真っ黒なスーツの上から右肩に銀色の肩当てと右胸にハサミの絵が描かれた胸当てが装備され、さらに右腕には巨大なハサミが装備されていた。
ペンギンのライダーは右腕のハサミでギルスを攻撃してきた。その行動はまるで、黒いG3を守るかのようだった。
ギルスは両腕のクロウでその攻撃を防いだ。
「くっ!」
「あなたが仮面ライダーだったとは……!!」
「その声……まさか!?」
ペンギンのライダーの声に聞き覚えがあった。その声は、昨日墓参りの帰りに会った、あの男の声と同じだった。
「あの時の……!」
「あなた、イーデン校の先生だったんですか……しかも仮面ライダー……何者でもいい!私達の邪魔をするなっ!!」
ペンギンのライダーはブンッブンッとハサミを振り回すが、戦闘力は素人に毛が生えた程度。単独なら問題ないが、黒いG3もいるためギルスは手をこまねいた。
「この黒いG3はなんなんだ!?あなたは何か知ってるんですか!?」
「うるさいっ!!」
ギルスからの問いかけに、何も応じない。
気がつくと、周囲に人が集まり、ざわめき出していた。
「なんだ?アレ、仮面ライダーじゃないか?」
「なんで仮面ライダー同士で戦ってるの?」
「おい!アレ、保安局のG3じゃね?黒いけど……」
騒ぎを聞きつけて野次馬が集まってきたらしい。それを見て、ペンギンのライダーは舌打ちを打った。
「チッ、騒ぎすぎたか……!」
《SET》
ペンギンのライダーはベルトの右側のバックルを外し、今度は炎の形をしたボタンが描かれた小さいバックルを右側に装填し、ボタンを押した。
《ARMED FIRE》
音声とともに右胸の胸当てに描かれたハサミの絵が、炎の絵に変わり、さらに右腕のハサミが火炎放射器に変わった。
「ハッ!」
ペンギンのライダーは右腕の火炎放射器から炎を発射し、目の前に炎の壁を作った。その隙に黒いG3を連れて逃げ出した。
「ま、待て!」
ギルスは後を追おうとするが、炎が邪魔で進めなかった。すると、法条は窓を開けた。
「これを使ってください!」
そう言って法条が窓から投げてきたのは、バスに備え付された消火器だった。
それを受け取ると、ギルスはすぐさま目の前の炎を消火した。
しかし、消火が終わった時にはもうあの二人はいなくなっていた……
「逃げられた……!」
黒いG3と、謎のライダー……両者の襲来とクレマチス社の謎……新たな事件の予感に、ギルスは拳を握りしめた。
────────────────────────
「オラァッ!!」
場所は変わり、チャリティーイベント会場ではグリムが同じく黒いG3と対峙していた。
顔面に思い切り拳を叩きつけてやるが、装甲が硬く、ダメージを与えられない。逆にグリムの手の方が痺れてしまった。
「イッテ……!!」
硬いものを殴り、拳に痛みが走ってグリムは思わず怯んだ。そこに黒いG3は銃口を向けた。
「舐めんなコラッ!!」
すかさずグリムは回し蹴りを繰り出し、向けられた銃をはたき落とした。さらに近くにあったベンチを…
「ぬおりゃぁぁぁぁぁぁ!!」
雄叫びとともに持ち上げ、黒いG3に叩きつけた。ベンチを叩きつけられ、黒いG3はグラリと体をぐらつかせた。
その隙を突いて、黒いG3の頭を掴んだ。
「ぐぬぅぅぅぅ……!ふんっ!!」
掴んだ頭を思い切り回転させ、首の骨をへし折ってしまった。
「やっべ……!やりすぎたか……!」
相手の正体も分からず、むやみに首をへし折ってしまいグリムは戸惑った。
しかし、すぐさま青冷めることになる。
「なっ……!?」
黒いG3は首をへし折られても倒れなかった。それどころか、ウィーンと駆動音を立てながら動き始め、地面に落ちた銃を拾い上げた。
「あ、あいつ首折れてるのに……!?」
首が折れても動き続けている黒いG3を見て、その場にいた全員が恐れ慄いていた。
そんな皆に向かって、グリムは叫んだ。
「お前ら隠れてろ!!こいつは理屈抜きでヤバい!!」
グリムは自分でも驚くほど、全身に鳥肌が立つのを感じていた。それほどまで、目の前にいる敵が異質だった。首が折られても動き続け、戦おうとするなど、そんな人間は存在しない。目の前にいるのはまるで”死体”のようだった……
(クソッ……!変身してぇけど、人目が多すぎる……!)
グリムは人目があるせいで変身することができなかった。そんなグリムをよそに黒いG3は銃口を向けた。それを見てグリムは身構えた……と、その時だった。
「はいはい、そこまでそこまで!」
手を叩く音と男の声とともに、黒いスーツを着た、大きめの頭をした……パンダのライダーが現れた。
「パ……パ、パンダァ!!?」
「パンダで悪いかっ!」
パンダのライダーは声を上げると、すぐさま黒いG3に目を向けた。
「おい、いつまで遊んでんだ!もう行くぞ!撮るものは撮ったからな……」
すると、パンダのライダーの指示に従い、黒いG3はピタッと動きが止まり棒立ちになった。
するとそこに……
「そこのお前ら、止まれ!!」
騒ぎを聞きつけた、チャリティーイベントに来ていた軍人達の残りがパンダのライダーと黒いG3の前に立った。
それを見て、パンダのライダーはため息とともに頭を掻くような仕草をみせた。
「あーあ、取りこぼしか。中身が”人間”じゃないとこんなモンか。」
《SET》
黒いG3を見てボソッと呟くと、紫色の手甲の形をしたボタンがある、小型のバックルを取り出しベルトの右側に装填した。
さらに手甲の形のボタンを押した。
《ARMED KNUCKLE》
ベルトの音声とともに、右肩に肩当て、右胸に手甲の絵が描かれた胸当てが装備され、さらに右拳には紫色の拳の形をした手甲が装備された。
《READY...FIGHT》
「取りこぼしは俺がやるか……」
パンダのライダーはボクシングの構えを取り、体を前後に揺らした。すると次の瞬間、目にも止まらぬ速さで軍人の懐に入り込んだ。
「!!」
「シッ!!」
手甲を装備した右拳によるストレートパンチが繰り出され、軍人の顔面に炸裂し、頭部が180度回転した。
「なっ!?」
「こ、この……!!」
「シュッ!ワン、ツー!!」
もう一人、軍人が攻撃してくるが、パンダのライダーはそれをよけて右拳の連続ジャブをボディに食らわせる。
「ごふっ!?」
「デリャアァァァッ!!」
ジャブで怯んだところに、大振りのストレートパンチをみぞおちに叩き込んだ。
強烈なパンチを食らった軍人は、断末魔を上げる間もなく倒れた。
(アレは……!あのコンビネーションは……!!)
連続ジャブからの大振りストレート……そのコンビネーションにグリムは見覚えがあった。まだ小さかった頃、あのコンビネーションを食らって泣かされた覚えがあった……
「こいつでノックアウトだ!」
《KNUCKLE STRIKE》
ボタンを押し、ベルトの音声とともに手甲の装甲からエンジンが飛び出し、火を噴き出す。
「ミンチになれぇ!!」
『う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
右拳を突き出すと、手甲がミサイルのように発射され、まだ残っている軍人達に向かって飛んでいった。
そして着弾すると同時に、けたたましい爆音とともに手甲が爆発した。
「クハハハハハハハッ!!最ッッッ高の花火だぜぇ!!新しい時代の幕開けだッ!!」
爆発によって、軍人達は跡形もなく爆散し、遺体も残らなかった。その凄惨な光景を見て、パンダのライダーは高笑いとともに叫んだ。
「おい……テメェ、やりすぎだろ!!」
グリムの目から見ても、パンダのライダーのやっていることはやりすぎだった。それを諌めるようにグリムは叫んだ。
すると、パンダのライダーはグリムの方に顔を向けた。
「あぁ?何いい子ぶってんだ?お前だって、昔は俺と同じだっただろうが!」
「何……?ま、まさか……お前、ガオ……!?」
パンダのライダーの発言、その声、そしてパンチのコンビネーション……全ての要素が一つに繋がった。
目の前にいるのは、グリムの昔馴染み…ガオが変身した姿……
「カタギに戻って悠々自適か?お前がそんなタマか?ぬるま湯に浸かってたみたいだなぁ……」
ガオはフッと笑うと、黒いG3の肩を抱き、そのまま背を向けた。
「なら目覚めさせてやるよ……今夜……世界がひっくり返るぞ。」
捨て台詞を吐きながら、ガオは黒いG3とともにその場から消えていった……
「なんなんだよ……!ガオの野郎、誰とつるんでやがるんだ……!?」
死なない黒いG3と、それとつるんでいる昔馴染みのガオ……両者が何故繋がっているのか分からず、グリムはただただ困惑した……
────────────────────────
さらに場所は変わり、港では……
「な、なんだあの黒いライダーは……!?ええぃ、いけぇ!!」
港にいるのはショッカーのハサミジャガーと戦闘員達、G3-Xを装着したユーリ、そして…黒いG3、アイネが言うにはG4というライダーがいた。
G4は刀を両手に持ち、構えた。
「あの構え……!」
ユーリはG4の剣の構えに声を上げた。G4が取った構えは”霞の構え”という日本剣術に伝わる構え方だった。
しかし、ユーリが驚いたのはその物珍しい構えを見たからではなく、その構えを見たことがあるからだった。
すると次の瞬間、G4が姿を消した……かと思いきや、目の前にいた戦闘員に刀が突き刺さった。
「遅い。」
目にも止まらぬ速さで刀を突き刺したのだ。
「な、何をしてる!こいつを始末しろ!!」
ハサミジャガーは慌てながらも戦闘員達に指示を出した。戦闘員達はその指示に従い、一斉にG4に襲いかかった。
すると、何故かG4は刀を鞘に納め、腰を深く落とした。
「ハアァァァ……!!」
GZ-02”アメノハバキリ”は特別製の刀。ショッカー怪人の体液、体皮などを玉鋼に混ぜて打ったもので、斬れ味は折紙付。さらに超高温にも耐えることができる。刀を納める鞘も特別製。鞘は機械仕掛けになっており、拳銃のトリガーのようなものがついていた。
鞘の底には撃鉄が仕込まれており、トリガーを引けば拳銃と同様に刀が射出され……
「死ね。」
弾丸のように射出された刀を掴み、その勢いのまま居合切りを繰り出し、瞬く間に戦闘員達を切り裂いてしまった。
「なっ……!?」
刀は赤熱化していた。鞘で刀を射出した際、摩擦熱が発生して赤熱化したのだ。この作用によって敵を溶断することも可能。
G4はその熱を冷ますように刀を軽く振るった。
「ショッカーもこんなものか……」
「な、舐めるなぁ!!」
ハサミジャガーは怒り狂い、両手の刃で攻撃を繰り出してきた。その攻撃を、G4は微動だにすることなくよけ、鞘で防いでいく。
そして攻撃を軽くいなしながら、G4はもう一度刀を鞘に納めた。
「遅すぎるな……」
その呟きと同時に、勢いよく刀が引き抜かれた……かと思いきや、すぐに鞘に納めた。
「なんだ……?当たってないぞバカめ!」
攻撃が当たっていないと思ったハサミジャガーはもう一度両手の刃で攻撃した……が、両手の刃はもうなかった。両手はすでに切り落とされていた。
「へ?」
ハサミジャガーがそれに気づいた直後、全身に切り目が入った。
「ま、まさか…!?今の一瞬で……!?い、一体何回……!!?」
「20回だ。」
なんとG4は今の一瞬で20回斬ったのだ。文字通り細切れにされたハサミジャガーは、断末魔を上げる間もなく倒れた。
戦いが終わり、G4は刀を回転させながら振るい、鞘に戻した。そしてそのまま立ち去ろうとした。
「ま、待て!!」
ユーリはすかさずG4を引き止めた。すると、G4は足を止め、ユーリの方を向いた。
「お前は一体……」
「……ユーリ。」
その瞬間、ユーリはマスクの下で目を見開いて驚いた。驚くユーリをよそにG4は続けて言った。
「相変わらず『姉さん、姉さん』か……?だからお前は弱いままだ。」
「……!!」
さらに続いた言葉に、ユーリはまたも驚いた。その言葉はユーリが以前、聞いた言葉だった。
ユーリに吐き捨てると、G4はそのまま立ち去っていった。
「……嘘だ……死んだって……そう聞いたのに……!ウォルター、先輩……」
死んだはずの先輩……先ほどの言葉はその先輩から言われた言葉だった。
それを知ってるのは、ユーリと秘密警察の同僚、そして先輩本人……
ユーリは最悪の再会を果たす。そして、想像だにしない運命に直面することになる……
おまけ「逮捕」
ユーリ・ブライアは秘密警察である。姉の幸せな暮らしの為に、今日も怪しい人間を取り調べるのだ!
「……なんでアンタがいるんですか?」
取調室でユーリはため息をついた。何故なら、自分の向かいに座っているのはフリッドだったからだ。
「いやー、悪いことなんてしてないんだけどなぁ?」
「悪いことしてなきゃここにいませんよ。えーっと、罪状読み上げますね。フリッドは……『ショタ誘拐疑惑』ですね。」
「ショタ誘拐疑惑!?そんなことしたっけ!?」
フリッドは思わず驚いたが、ユーリは無視して調書の続きを読み進めた。
「これはロッティからの証言ですけど……フリッドさん、本編第30話のおまけ覚えてます?そこでなんて言ったか覚えてます?『いや、本当にダミアンが可愛くて仕方ないんだ・・・まぁ、一度あの子を俺の家に連れ帰って、添い寝をしてあげようと思ったが・・・』って言ってたんですけど。」
「あー……なんかそんなこと言ったような気も……するなぁ。でも、仕方ないじゃないか……だって、ダミアンがカワイイんだもの!!みんなもそうだろ!?読者のみんなも同じ気持ちだろ!!?」
「巻き込むんじゃないっ!!」
声を荒げるフリッドに、ユーリは手錠をかけた。
「連行しますからね!?なんか言い残すことあります!?」
「……みんなっ!!ショタは最高だぜッッッ!!!」
「最低だよアンタ!!反省しろぉ!!」
その後、牢屋にぶち込まれたフリッドだったが、WISEの手によって釈放されたらしい。その後、フィオナに刺された。
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アームドシザースとアームドナックルは劇中に出ていませんが、見た目のイメージはシザースは仮面ライダーシザースのシザースバイザーの色変え、ナックルはゲキトツロボッツの拳の部分の色変え……って感じです。