SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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PART.22 決戦Ⅴ:懐かしい姿

それはなんとも異様だった。目の前にいるのは一部こそ違うもののG4には間違いない……だが、ユーリの目にはそれが禍々しい怪物に見えた。

 

「う……うあぁぁぁぁっ!!」

 

ユーリは叫び声を上げながら武刃で斬りかかった。対し、ウォルターは片手を突き出した。

ユーリの攻撃は片手で止められた……というより、手から水色に光る粒子が現れ、攻撃を止めた。

 

「な、なんだ!?」

「ネオプラーナだ。お前らのようにプラーナを使わない連中とは実力が違う。」

 

G4-Xの手のひらにはノズルのような噴射口がついていた。注入されたネオプラーナを手のひらから放射でき、それを弾丸のように発射したり、壁を作って攻撃を防ぐことができる。

 

「フンッ!!」

 

ウォルターが拳を握りしめると、ユーリが使う武刃がバキンッ!と音を立てて砕け散った。

 

「っ!!?」

「ムゥンッ!!」

 

ウォルターはさらにもう片方の手で掌底を繰り出し、ユーリの腹に叩きつけた。

 

「ウッ!?うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

掌底が叩きこまれた瞬間、手のひらからネオプラーナの塊が発射され、ユーリは吹き飛び、壁に叩きつけられた。

 

(なんだ……今の一撃……!?ドリルを腹に喰らったみたいだ……!!でも……!!)

 

倒れ、床に転がるユーリだったが、フラフラと立ち上がった。

その時、ユーリの脳裏には愛する姉の姿……ではなかった。

 

「立ち上がるのか。実力差は分かっているはずだ。」

「立ち上がりますよ……!僕の友達と交わした約束のために……!」

 

脳裏に浮かんだのは2人……一人は仮面ライダーアギト、津上翔一……

 

「あなたの妹さんに託された願いのために……!!」

「あいつは偽物だ……!あの女の話をするなぁ!!」

 

ノエルの話題が出た瞬間、怒りに触れたのかウォルターは怒声を上げた。次の瞬間、ユーリは背中のブースターで加速し、高速の体当たりを繰り出す。

 

(超高速で動き回って撹乱すれば、いくら強くても……!!)

 

スピードで撹乱し、ウォルターの周囲を動き回るユーリ。そして背後に回った瞬間、ユーリは拳を繰り出した……だが、ウォルターは死角であるはずのその攻撃をよけた。

 

「っ!?」

(なんで……!?死角なのに……!)

「今、『なんで……!?死角なのに……!』と思ったな?」

 

その一言に、ユーリは全身に鳥肌が立つような感覚を覚えた。ウォルターはまるで、ユーリの心を読んでいるようだった。

 

「まさか……!?」

「そうだ。あの小娘の能力をESPシステムで使わせてもらった。」

 

────────────────────

 

そのころ、ダンスホールの方では……

 

「あぐっ……!うあぁぁぁぁぁぁ……!!」

 

装置に括りつけられたアーニャは苦しそうにうめき声を上げていた。

ロイドは咄嗟に助けようとしたが、装置に触れれば高圧電流が流れて手が出せない。

 

「くっ…!アーニャ……!!」

「だったら壊して……!!」

 

カイザは装置を破壊しようと、武器の銃口を向けた。

しかし、咄嗟にロイドはカイザの腕を掴んだ。

 

「ダメだ!爆発したらどうする!?アーニャが巻き込まれるぞ!」

「なら、どうすんだよ!?」

 

手をこまねいていると、グレアが勝ち誇ったように高笑いを上げ始めた。

 

「フハハハハハッ!!何をしようと無駄だ!!G4-Xは無敵だ!!この小娘がいる限り、システムの破壊もできない!!フハハハハハハハハハハッ!!」

「調子に乗りやがって……!!」

『みんな、聞こえる!?』

 

その時、アイネから通信が入った。

 

『まずは柱の方をなんとかするのが先決よ!アレさえ壊せば、ネオプラーナの供給を絶てる!グリム君、あなたのサイドバッシャーが使えるわ!』

「俺のバイクが?なんで?」

『いいから!』

「ったく、わかったよ……」

 

半ば強引に押し切られ、カイザはため息を吐きながら古城の外へ駆け出した。

 

『エース君、あなたもお願い!残った3人の中だと、あなたが一番攻撃力あるわ!』

「わかった。」

 

続くアイネの指示に従い、ギーツも同様に古城の外へ駆け出した。しかし、そうはさせまいとグレアが襲いかかってきた……が、その前にロイドとギルスが立ちはだかった。

 

「くっ……旧式の分際で邪魔をするなぁ!!」

 

グレアが拳を突き出すと、同時にギルスも拳を突き出し、拳と拳がぶつかりあった。

力はグレアの方が強かったようで、ギルスは手が痺れるのを感じた。

その時、すかさずロイドはグレアに向けて発砲した。しかし、グレアに攻撃は通じず、片腕だけで防がれた。

 

(チッ……やはりスペックに差があるか……!)

 

グレアと比べると、ロイドのG3もギルスも、どちらかといえば旧式……単純なスピードやパワーはグレアの方が上だった。

しかし、たんなるスペックの差で負けるわけにはいかない。

 

(アーニャ、待ってろ……!)

 

囚われているアーニャの為にも、負けるわけにはいかないのだ。

 

「答えろ!あのESPシステムとはどういうものなんだ!」

 

グレアと攻防を繰り広げながら、ギルスは問いかけた。

2人からの攻めを防ぎつつ、グレアはその問いに答え始めた。

 

「あの装置は、言わば脳波増幅装置!あの小娘の頭につけたヘルメット……それにチューブで繋がれた装置……それであの小娘の脳波を増幅させた!」

「脳波だと……!?」

「そうだ!」

 

グレアはギルスに拳を、ロイドに蹴りを叩きつけながら、さらに続けて言った。

 

「増幅された脳波はG4-Xに送られ、ウォルターの脳波とシンクロする。そして、スーツに注入されたネオプラーナによってシンクロ率はさらに上がる。そうすればどうなると思う……?」

《DELETE》

 

ベルトの頭にある指紋認証装置を一回押した。するとグレアは腕に紫色の雷のような光を纏った。

 

「G4-Xの装着者は超能力者とシンクロすることで、その能力を使うことができる!ハッ!!」

 

グレアは叫ぶと同時に光を纏った拳で地面を殴った。すると紫色の雷の柱が2人に向かって走った。

 

「ロイド君、危ないっ!!」

 

その時、ロイドを庇うようにギルスが飛び出し、盾になった。ギルスはグレアの技をその身に受けた。

 

「ぐっ……あぁぁぁぁぁ……!!」

「フリッド!」

《SHUT DOWN》

 

ギルスが膝をついたその時、グレアはロイドに突進しながらベルトの指紋認証装置を2回押した。

今度は脚に紫色の光を纏い、膝をついたギルスを飛び越えた。

 

「セヤァァァッ!!」

「!!」

 

飛び回し蹴りが繰り出され、ロイドは咄嗟に避けることができず、そのまま喰らい吹き飛ばされてしまった。

 

「ロイド君……ぐわっ!!」

 

続けてギルスも蹴り飛ばされ、床に転がった。

 

「言ったはずだ……旧式の分際で邪魔をするなとな!!」

 

床に倒れる2人を見下ろしながら、グレアは吐き捨てるように言った。

 

「ロイド君……大丈夫か……?」

「ああっ……」

 

ギルスはふらつきながら、倒れるロイドに駆け寄った。

ロイドもふらつきながらも立ち上がった。攻撃を受けたことでG3のマスクの顔部分が砕け、ロイドの顔が露出していた。

 

「なにがなんでも、アイツを倒して……アーニャを助ける……!」

「なにがなんでも……か。君っぽくないセリフだな。」

 

冷静沈着なロイドには似つかわしくないセリフだと思ったギルスはフッと笑った。

 

「おかしいか?」

「いや……おかしくないさ。俺も……なにがなんでもやってやるさ!」

「ああっ……なにがなんでもだ!!」

 

2人は立ち上がり、構えながらグレアを睨みつけた。ふらつきながらも戦闘を続けようとする2人を見て、グレアは怒りを覚え、頭を掻きむしるような仕草を見せた。

 

「ああああああ……!!言っても分からんなら、殺してやる!!」

 

両者、互いに駆け出し、その拳を同時に繰り出した。

 

─────────────────────

 

「ぐあっ!!」

「お前もしつこいな……」

 

最上階ではユーリとウォルターの決闘が続いていた……が、力の差は歴然だった。

アーニャの力を使うウォルターには攻撃が通じず、ウォルターが攻撃を繰り出す度にネオプラーナが放たれ、ユーリに確実にダメージが与えられる。

 

「ハァ……ハァ……!」

 

それでも、ユーリは立ち上がり、銃を乱射する。

しかし、ウォルターは右手を軽く振るい、ばら撒くようにネオプラーナを張り、それで銃弾を防いだ。

次の瞬間、ウォルターはユーリに向かって飛びかかり、空中から胴回し回転蹴りを繰り出した。ユーリは左腕の盾で防いだが、蹴りが当たった瞬間に盾は砕け、そのまま脳天に蹴りが当たった。

 

「ウッ……!!」

 

頭に蹴りを喰らい、ユーリは倒れそうになった。そこにウォルターはさらに拳の連撃とネオプラーナを叩き込み、

 

「フンッ!!」

 

さらに腹に掌底を叩き込んだ。掌底が当たると同時にネオプラーナが腹から全身に流れ込んだ。

 

「ゴブッ!」

 

掌底を喰らった瞬間、ユーリはマスクの下で口からは血を吐き、その場で膝をついた。しかし、ユーリはまだ食らいつこうとウォルターの身体を掴んだ。

 

「……しつこい……!!」

 

怒り混じりで呟くと、右手で手刀を作り、そのままユーリの頭に振り下ろした。その手刀はマスクに直撃し、マスクは真っ二つに割れた。

 

「うっ……!」

「いい加減、諦めろ!!」

 

怯んだユーリを、ウォルターは乱雑に蹴り飛ばし、床に転がした。

その時、ウォルターの身体がグラっとグラついた。

 

「くっ……」

(プラーナが減ってきたか……!)

 

ウォルターは後ろに跳んで先ほどネオプラーナを供給した場所へ戻った。そして再度ネオプラーナを供給しようとした……しかし、その時だった。

 

「ウッ……!?」

 

ウォルターは突然うめき声を上げた。突然スーツに電流が流れるような感覚と、頭痛が襲いかかってきたのだ。

 

(なんだ、これは……!?)

 

まるで自分の中で、別の誰かが暴れ回っているような感覚だった。

その時、ウォルターの中……G4-Xの中では精神とシンクロした一人の少女が奮闘していた……

 

────────────────────

 

真っ暗な暗闇の中……アーニャは、アーニャの意識はそこにあった。

 

(ここ、どこ……?ちち…はは……)

 

周りを見渡しても何もなく、アーニャは一抹寂しさを覚えた。しかし、それはすぐに恐怖へと変わった。

 

『助けて……!!』

 

誰かの助けを求める声が聞こえてきたかと思うと、ぼんやりと光を放つ白い手がアーニャの手に触れた。

しかもその手は一つではなかった。

 

『助けてくれ……!!』

『こんなところは嫌だぁ……!!』

『俺達を救ってくれぇ……!!』

 

アーニャの前に現れたのは、ネオプラーナの生贄にされた被害者達……

ネオプラーナは人間を溶かして液体にして作られるもの……意識だけはまだ残っているようで、アーニャはその心の声を聞いていた。

そして今、その声の主達が髑髏の怨霊となって姿を現した。

 

「ひっ……!やぁ……!!」

 

アーニャは即座に逃げようとしたが、アーニャの小さい身体に次々と白い手が纏わりつき、すぐに身動きが取れなくなっていった。

 

(うごけない……!)

 

意識の中とはいえ、身体に無数の手が這う気色悪さと悪寒が走る。そして、だんだん自分の意識が遠のいていくのを感じた。

 

(アーニャ…もうダメ……!ちち……はは……ボンド……!)

 

「もうダメだ」…そう思ったアーニャは意識を手放そうとした……だがその時、

 

「アーニャちゃん」

 

アーニャを呼ぶ声が聞こえてきた。その声に、アーニャは聞き覚えがあった。

 

(このこえ……)

「大丈夫だよ、アーニャちゃん」

 

忘れるはずのない、その優しい声……その姿……まばゆい光とともに、それは現れた。

 

「あ……!」

 

それを見た瞬間、アーニャは両目からポロポロと涙をこぼした。

アーニャの仲間、友達、家族……その全ての役割を担った一人であり、東西両国をアンノウンの脅威から救った英雄……この世界に現れた最初の仮面ライダー……

 

その名は、仮面ライダーアギト

 

「ショーイチ!!」

「助けに来たよ、アーニャちゃん。」

 

アギトは安心させる様ににこやかに言うと、拳をグッと握りしめた。

 

「ハァァァァ……ハァッ!!」

 

まばゆい光を拳に纏い、勢い良く突き出した。拳を突き出したことで衝撃波が巻き起こり、アーニャに纏わりつく亡霊を吹き飛ばした。

亡霊を吹き飛ばすと、アギトはアーニャの前で屈み、両手を差し出した。

 

「ほら、もう大丈夫っ!」

「うっ……ううっ……!ショーイチ〜〜〜〜!!」

 

アーニャは滝のように涙を流しながら、アギトの胸に飛び込んだ。アギトもアーニャを優しく抱きとめた。

 

「久しぶり。でも、ちょっと待ってて。」

 

アーニャを優しく抱きしめたアギトだったが、すぐにその場に下ろし、立ち上がって上を見上げた。そこには、まだ大量の亡霊がいた。

 

「すぐに終わらせるから……」

 

アギトは亡霊の群れに立ち向かおうとしたその時、アーニャはアギトの手を握った。

 

「アーニャもいっしょ!いっしょにたたかうっ!」

「フフッ……いこう!」

 

アギトはフッと笑いながらアーニャを背中に背負い、身構えた。そして、亡霊の群れに向かって飛び込んでいった……

 

 




おまけ「旧式」

「旧式の分際で粋がるな貴様らぁ!!」

グレアはロイドとギルスに向かって叫んだ。すると、ロイドはグレアに言ってやった。

「そんなことを言っていいのか?あの人達が黙ってないぞ!」

ロイドが指を指した方向には、仮面ライダー旧1号と旧2号が立っていた。2人は拳の骨を鳴らしながら、グレアに詰め寄った。

「俺達に向かって旧式とは……いい度胸だな。」
「覚悟は出来てるんだろうな、若造……」
「い、いや、お二人に向かって言ったワケじゃなく……」

詰め寄ってくる2人のライダーに、グレアは慌てて弁解しようとした。だがその時、

「トアァァァッ!!」

雄叫びとともに窓が割れ、外からとあるライダーが入ってきた。そのライダーは、仮面ライダーBlackだった。

「貴様……自分が何を言ったのか、分かっているのかッ!!?」
「いや、あなた関係ないよね!?」
「関係ある!俺は仮面ライダーBlackからBlack RXに進化した。つまり広い意味で言えば、俺も旧式だ!そしてお前は俺のこともバカにしたんだ!!許さんッッッッ!!!」
「ちょっと無理ありません!?」

3人に増えたライダーに詰められ、グレアはさらに困惑した。その隙にロイドとギルスはその場から離れていた。

「先輩!そいつ任せました!俺らはユーリ君の助っ人に行きます!!」
「ま、待て貴様らァァァッ!!」
「ライダーパワー全開だ!」
「いくぞぉ!!」
「バイタルチャージだ!ハァァァァッ!!」

困惑し、戸惑うグレアをよそに3人のライダーは必殺技を繰り出すために力を溜め始めた。

「ちょっ、待て……ぎゃああああああああああああ!!」

こうしてグレアは無事に倒され、なんやかんやあってアーニャは助かった。

───────────────────

旧式には旧式の良さがある……素人には良さが分からない。

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