『おい…!おい、ウォルター、聞こえるか!?』
「うあぁぁぁぁぁぁ!!」
通信機からクリスの声が聞こえてくるが、ウォルターはただうめき声を上げるだけだった。
今、アーニャと精神をリンクしたウォルターは悶え苦しんでいた。
意識の中でアーニャは、アギトと共に戦っていた。
「ハッ!」
静かな構えから繰り出される熟練の拳撃と蹴り……それはまるで達人のようだった。
「ショーイチ、うしろっ!」
「ハッ!」
「みぎっ!」
「フッ!」
「したからもっ!」
「ハァッ!」
さらに、アーニャの心を読む超能力によるサポートで、アギトは亡霊達の攻撃を確実によけ、退けていく。
「やめろ……!やめろぉぉぉ……!!」
自分の中で誰かが暴れている感覚に、ウォルターは身悶えした。
そんなウォルターにクリスは命令を下す。
『早くネオプラーナを供給しろ!そうすれば少しは楽に……!』
その時だった。外の柱の方から爆発音が聞こえてきた。見れば、ネオプラーナが入った巨大な柱が爆発を起こしていた。
「な、なんだ!?」
────────────────────
少し時間は遡り、古城の外では……
「アイネ、ついたぞ!」
カイザは外に停めた自身のバイク「サイドバッシャー」にたどり着き、通信機でアイネに知らせた。
『それじゃ、ハンドルのとこにあるボタンを言う通りに押して!』
「ボタン……これか。」
カイザはアイネの指示通り、ボタンを順番に押していった。すると、
《Battle Mode》
バイクから音声が鳴ると同時に横についていたサイドカーが独りでに分離した。
「えっ!?な、なになにっ!?」
カイザが驚き慌てるのをよそに、サイドカーはさらに2つに割れ両脚に変形し、さらにバイク本体もボディ部分が胴体と顔に、タイヤ部分が両手に変わり、サイドバッシャーはバイク形態からロボット形態へと姿を変えた。
「ロ、ロボットォ!?こんなのあんのかよ!!」
『あー、やっぱり驚くわよねぇ……』
マスクの下でキラキラと目を輝かせるグリムに対し、アイネは苦笑いに似た声を上げた。
『”K”からもらった設計図見て驚いたわ。ほとんどロボットの設計図なんだもの。フランキー君がめっちゃくちゃ喜んで作ってたわ。』
「確かにテンション上がるなぁ、こいつは!」
カイザは意気揚々とハンドルを操作し、サイドバッシャーの両手を挙げさせる。
少し離れたところで、同じくギーツが柱の前に到着した。
「ハッ!」
ギーツはすぐに手持ちの銃で光線を放つが、火力が足りず、柱を破壊できない。
「さすがに硬いな……もっと火力があれば……」
「助太刀必要か?」
その時、背後から声が聞こえてきた。振り返ると、そこにいたのはタイクーン達だった。
「そっちは片付いたのか?」
「ああ……はぁ、だいぶ骨を折ったけどな……」
大量のG4を相手にしたせいか、タイクーン達は肩で息をしていた。
しかし、疲れを振り払うように武器を構えた。
「よし……技を一斉にぶちかますぞ!!」
『了解!!』
ギーツ達は一斉にベルトのバックルに手をかけた。
《LASER BOOST VICTORY》
《FEVER ZOMBIE STRIKE》
《BUJIN SWORD STRIKE》
《FANTASY STRIKE》
ベルトから音声が流れると同時に、カイザもハンドルを強く握りしめ、サイドバッシャーの両手の砲門を柱に向けた。
「俺もぶちかますぜ!!」
『ハアァァァァァァ……!!』
タイクーンとバッファは武器にそれぞれのパーソナルカラーのオーラを纏い、ナーゴは自身の周囲に無数の剣を出現させ、ギーツは右脚に青い炎を纏い、さらに4人の分身を出現させ、そのまま空中に飛び上がった。
「くらえぇぇぇぇぇぇ!!」
カイザの叫びとともに、サイドバッシャーの右手からバルカン砲が、左手からはミサイルを発射した。
『ハアッ!!』
同時に、タイクーンとバッファも武器に纏ったオーラを振り下ろして斬撃を飛ばし、ナーゴも周囲に展開した武器を一斉に放った。
最初にナーゴの武器が柱に突き刺さり、それを後押しするようにタイクーンとバッファの攻撃が命中し、さらに奥へと突き刺さる。
そしてそこに、ギーツが炎を纏った飛び蹴りを繰り出し、武器とともに柱を貫き、爆発とともに柱をへし折った。
もう一つの柱も、サイドバッシャーが放ったバルカンによってヒビをつくり、そのままミサイルによって柱は爆発し、破壊された。
その様子は、ロイド達がいるダンスホールからも見えていた。
「バ……バカな……!!」
その様子を見て、グレアは声を上げた。こうも簡単に壊されるとは思ってもいなかったようだ。
「よそ見……!」
「するなぁ!!」
その時、ロイドとギルスは動揺しているグレアの懐に潜り込み、同時に拳を繰り出した。その拳はグレアのヴィジョンドライバーに直撃した。
「うぐぁっ!?」
殴られたグレアは吹き飛ばされ、床に転がった。
そして、ベルトにはヒビが入った。
「ベルトが……!?」
「ロイド君、今だ!」
「ああっ!」
チャンス到来とばかりに、ギルスは足を開いて構えた。すると、床に緑色の紋章が浮かび上がる。同時にロイドも少し離れたところへ移動し、そのままグレアに向かって駆け出した。
『ハッ!!』
ギルスは紋章のエネルギーを右脚に吸収して飛び上がり、ロイドも助走をつけてのジャンプで高く飛び上がった。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「ダアァァァァァァァァァァァッ!!」
2人は雄叫びとともに同時に必殺の飛び蹴り……ダブルライダーキックを繰り出した。
グレアは咄嗟に両腕を交差させて防ごうとした。しかし、それは無駄な行為だった。2人の蹴りが直撃した瞬間、グレアは吹き飛び、爆発を起こした。
「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!」
爆発とともにグレアの変身が解除され、クリスはその場に膝をついた。
「そ、そんなバカな……!私が…こんな奴らに……!」
「立て……クリス……!」
フラフラと立ち上がろうとするクリスに、ギルスは近づいた……かと思うと、クリスの首に手をかけ、ゆっくりと締め始めた。
「うっ……!?」
「殺しはしない……お前に利用された人達…お前に殺された人達の苦しみは、これだけじゃすまない!」
その声に怒りを滲ませて、ギルスは手の力を徐々に強くさせた。
「が……あ……!!」
「何が需要と供給だ……何が弱者の救済だ……!!お前がやってるのは、ただ弱い人を騙して弄んでいるだけだ!!そのことを檻の中でじっくり思い知るんだな……」
怒りを隠すことなく、徐々に絞め落としていく……
「檻の中で一生恥晒してろッ!!」
次の瞬間、ギルスは一気に力を込め、クリスを絞め落とした。その瞬間クリスは意識を失い、その場に倒れた。
「……殺したのか?」
「気絶させただけだ。こいつを殺しても、利用された人達は浮かばれない……後は……」
ギルスは変身を解き、フリッドの姿に戻り上を見上げた。
「後は君だ……ユーリ君……」
────────────────────
「ぐっ……!ぬあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そのころ最上階では、ウォルターは悲鳴を上げながら悶え苦しんでいた。
ネオプラーナを供給できれば、頭の痛みを抑えることができるが、その供給機関が破壊され、助かる術がなくなった。
後はG4の副作用で死ぬか、ESPシステムの暴走で死ぬかのどちらかになる。
「ウォルター先輩、スーツを脱いで!」
他に助かる方法があるとすれば、スーツを脱ぐこと……ユーリは悶え苦しむウォルターにしがみつき、スーツを脱ぐよう促した。
しかし……
「黙れぇぇぇぇぇぇ!!」
ウォルターはユーリを振りほどき、乱雑に蹴り飛ばした。
すると、ウォルターは床に落ちていた、折れた武刃の刃を拾い上げた。
「システムの暴走……望むところ!!」
その叫びとともに折れた刃をスーツの左胸に突き刺した。刃はスーツを貫き、ウォルター自身の左胸に突き刺さった。
「うぐっ……!これで、正気を保てる……!」
ウォルターはシステムの暴走で正気を失いかけていた。だが、それを痛みによって無理やり正気を取り戻した。
「先輩……!そこまでして……!」
「そうだ……俺は死を背負っているからな……!そしてお前は、生を背負っている……!」
ウォルターはユーリに向かって指を差した。ウォルターの言葉通り、ユーリは姉であるヨルの命を、他の仲間の命を背負っている。そしてウォルターは、家族の死を背負っている。
「俺は死を背負い、お前は生を背負っている……どちらが正しいか、今この場で……答えを出す時だッ!!」
「先輩……!ウオォォォォォォォォッ!!」
ユーリは雄叫びを上げた。今目の前にいるウォルターに恐怖と悲しさを覚えていた。
今のウォルターは、まるで悪鬼羅刹。きっと道を間違えなければ、今も自分とまだ秘密警察として戦っていたかもしれない……そう思うと叫ばずにはいられなかった。
ユーリは突進し、ウォルターに掴みかかる。同時にマスクとベルトを掴み、剥がそうとした。
(これさえ剥がせば……!)
ベルトとマスク、どちらかを剥がせばウォルターは助かると思ったユーリ。しかし、ウォルターにとってそれは余計なお世話でしかなかった。
「小賢しい……!!」
ウォルターは逆にユーリの右腕を絡み取り、そのままへし折ってしまった。
「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!」
「諦めろ……ユーリィィィィィ!!」
ウォルターはへし折った腕を掴みながら、もう片方の手を握りしめ、拳をユーリの顔面に叩きつけた。G3-Xのマスクは壊れてしまったため、ユーリは素でその拳を受けることになる。
だが、ユーリは折れなかった。たとえ顔が痣だらけになったとしても、たとえ歯が全部折れたとしても、絶対に倒れないという覚悟があった。
「……お前は昔からそうだ……昔からタフだった……何故そんなにタフなんだ!?お前の姉が、家族がそうさせるのか!」
決して倒れようとしないユーリに怒りを見せ、胸ぐらをつかんだ。
「言ったはずだ……人は人を裏切る……それがたとえ家族であってもだ!!」
「そんなの……あなたの勝手な思い込みだ!」
「お前に……お前に何が分かるっ!!」
ウォルターの声は震えていた。まるで「何も知らない奴が綺麗事を言うな!」と言っているかのようだった。
対し、ユーリはそれに反論した。
「少しは分かる……!僕も、姉さんの嘘を知ってしまったから……っ!?」
その瞬間、ウォルターはユーリを床に倒し、拳を握りしめた。
「だったら……だったら邪魔をするなァッ!!!」
次の瞬間、ウォルターの拳がユーリのベルトのユニットに叩きつけられた。ユニットにヒビが入り、危険信号を示しているのか赤く点滅し始めていた。
それと同時に、通信機からアイネとフランキーの声が聞こえてきた。
『エネルギー、残り30%まで低下!!』
『このままじゃ、G3-XBはただの重りになるわ!ユーリ君、離脱しなさい!!ユーリ君!!』
アイネの言う通り、ベルトのユニットが壊れたことでエネルギーが抜けていき、だんだんとスーツが重くなるのを感じるユーリ……離脱しようにも、身体がどうも動かなかった。
そんなユーリを見下ろしながら、ウォルターは吐き捨てるように言った。
「終わりだ、ユーリ……俺は世界中全ての人間をネオプラーナに変える……!お前もその内の一人になる……!!」
そう言うと、自分の左胸に刺した刃を引き抜き、今度は倒れているユーリに突きつけた。
「死ね、ユーリ!!」
折れた刃を突き立てながら、勢いよく振り下ろした。
よけなければ……だがスーツが重く、うまく動けない。もうダメだ……と思ったその瞬間、
『ユーリさんっ!!』
「っ!!」
どこからか声が聞こえてきた。その声を聞いた瞬間、ユーリは咄嗟に足を上げてウォルターの持つ刃を弾き飛ばし、さらにそのまま蹴り飛ばした。
「ハァ……ハァ……今の声は……」
一瞬聞こえた声……忘れるはずもない、その声の主は、ユーリの親友の声だった。
「……またお前の声を聞くなんてな。お前のアホみたいな声を……津上っ!」
(”そこ”にいるんだな?津上……戦ってるんだな?その中で……!)
どんな理屈なのかは分からないが、今、津上翔一はG4-Xの中で戦っている。彼のことだから、きっとアーニャを助けるために戦っているのだろう。
(そうだよな……来るよな、そりゃあ……大事な家族の一大事なんだからな……)
ユーリはふらつきながらも立ち上がった。親友が、大事な家族のために戦っているのだ。
ならば自分も、大切なもののために、もう一度立ち上がる時……
と、その時、
『……戦いなさい、ユーリ君!!』
通信機からアイネの叫び声が聞こえてきた。
するとフランキーの慌てる声も聞こえてくる。
『なっ!?あ、姐さん何言ってんだよ!?』
『戦いなさいユーリ君!G3の装着員としてじゃなく、ユーリ・ブライアとして!!』
それはアイネからの激励だった。その言葉に背を押され、ユーリは大声を上げた。
「僕は……アギトの会正式会員、ユーリ・ブライアだ!!」
そこにいたのは、今までのユーリ・ブライアではない。今までは、ただ姉のために戦ってきた。しかし、今のユーリ・ブライアは守るものが増えた。姉だけでなく、傍にいてくれた女性……そして他の戦友達……それを守るためならば、スーツの重みなど屁でもない。
「うおぉぉぉぉぉ!!」
背中のブースターで空中に舞い上がるユーリ。そして、そのまま片足を突き出しながらウォルターに突進した。
「これが僕の!ライダーキックだぁぁぁぁぁぁ!!」
ユーリの渾身のライダーキックが、ウォルターに炸裂する。ウォルターは咄嗟に両腕を交差させて防ぐが、ウォルターはもうギリギリの状態だった。スーツにネオプラーナを供給した完全な状態であれば、この程度の攻撃など一捻りだったが、供給を絶たれた今となっては防ぐことしかできない。
だが、ギリギリなのはユーリも同じ。スーツのエネルギー残量はもはやゼロに近い。そんな状態でブースターを使っている……いつスーツがスクラップになってもおかしくない。
勝敗を決めるのは、2人の意地とプライドのみ……その次の瞬間、
バキッ!
背中のブースターが音を立ててヒビが入り、そこから炎が噴き出した。
『マズイぞ!このままじゃスーツがオーバーヒートしちまう!!火ダルマになるぞ!!』
「……っ!!構わないっ!!それで先輩を止められるなら!!」
叫ぶと同時にブースターの出力を全開にさせた。そしてその勢いのまま突進し、ウォルターのガードを突き破り、ユーリの蹴りが胸に突き刺さった。
「うぐっ!!?」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
さらにそのままブースターによる加速でウォルターを壁まで追い込んでいく。その瞬間、炎がスーツに燃え移ったが、ユーリは構わず加速し続けた。
さらに突き進み、城の壁を貫通しウォルターを城の外へ追い出した。しかし、それはユーリも同じだった。
「ぬあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
(勝っ……た……!)
外へ叩き出された2人は、そのまま城を囲んでいる池に落ちていった……
────────────────────
「……うっ……?」
「おっ、目ぇ覚ましたぞ!」
ゆっくり目を開くと、眼の前には見知った顔が並んでいた。ロイド、フリッド、グリム、英寿、それに救出されたアーニャの顔もあった。
「みんな……」
「大丈夫か?ユーリ君……」
「チ…チワワ娘……」
「うぃっ!みんなのおかげでアーニャたすかた!」
そう言って笑顔を見せるアーニャ。それを見てユーリもフッと笑みをこぼした。
しかしすぐにハッとあることを思い出し、辺りを見回した。
「……先輩は?」
「ウォルターなら……」
ロイドはユーリの後ろの方に顔を向けた。釣られてユーリは背後を振り向いた。そこにはフリッドが右腕から伸ばした触手で縛られているウォルターの姿があった。
「先輩……」
「………」
ウォルターは何も言わず、抵抗することもなく大人しくしていた。すると、ウォルターはフッと笑い、ゆっくり口を開いた。
「俺を殺し損ねたな。あの女の仇である俺を。」
「……殺しませんよ。だって……先輩にノエルさんを殺すつもりなんてなかったんですから。」
ユーリのその言葉に、ウォルターは目を見開いた。同じく周りにいた皆も一様に驚いていた。
「お、おい!何も言ってんだよ!?ノエルは刺されたんだぞ!?」
「ノエルさんの手術をした医者が言ってただろ。『刃物は動脈を傷つけず、背中から抜けていた』って。」
ユーリの言う通り、ノエルは胸を刺されたが、なんとか致命傷を免れている。
「でも、普通に考えて、動脈を傷つけずに刃物を貫通させるなんて無理だ。素人がやったら、99%動脈を傷つけてる。でも……先輩なら、動脈を傷つけずに貫くことができる。先輩は刀のスペシャリスト……そんな芸当お手の物だ。」
「………」
ウォルターは肯定も否定もせずに黙り込んだ。さらにユーリは続けて言った。
「先輩は、ノエルさんを守りたかったんですよね?だから、殺したフリをした……違いますか?」
「お前の妄想には付き合いきれん。何を根拠に言っている。」
「根拠はあります。」
ユーリはそう言うと、フリッドの方に顔を向けた。
「フリッドさん……確か、グインって人、こう言ってたんですよね?『最初はノエルさんをシステムの中核にするつもりだった』って……」
「ああ、言ってた。」
「なんでノエルさんがシステムの中核になるのか……なぜ、その代わりがアーニャなのか……全然分からなかったけど、僕は昔のことを思い出したんだ。」
ユーリは目を瞑り、頭の中にある光景を思い浮かべる。脳裏に思い浮かぶのは、ノエルと始めて遊園地に行った、その帰り……
「あの日、僕とノエルさんは遊園地で遊んだ。その帰り道、アンノウンに襲われた。……アンノウンが襲うのは、超能力者かアギトの力を持った人間……当然、僕はアギトでも超能力者でもない。つまり……」
「まさか……!?」
「そう……アンノウンの狙いはノエルさん……つまり、ノエルさんはアギトだ。」
その推理に皆はまたも驚いた。だが同時に、辻褄が合うとも感じていた。ESPシステムを動かすには超能力者かアギトが必要。だからアーニャが選ばれた。そうなれば必然的に、ノエルがアギト……ということになる。
「ESPシステムに取り込まれるのは、ノエルさんだった……でも、先輩はノエルさんをこれ以上巻き込まないために、あんなことをしたんじゃないですか?やっぱり先輩は、ノエルさんのことを……!」
「お前はそう思いたいんだろうな。お前の中ではな。」
また肯定も否定もしなかった。ただ一言二言呟き、ウォルターは立ち上がった。目の前には数台のパトカーとG3トレーラーが止まっていた。
「……ウォルター・クロフォード。あなたを逮捕します。」
トレーラーからアイネが降り、ウォルターに近づいたかと思うと、その手に手錠をかけた。
「……フッ」
その時、ウォルターは何故か鼻で笑った。
「……俺はいずれ脱走する。」
とんでもないことを口走った。周りの反応を見ず、彼は続けた。
「言ったはずだ……人間は粗悪品だと。俺はそのことを世界中の人間に分からせる。俺の戦いは……まだ終わっていない……!」
「……行きましょ。」
捨て台詞のように言うと、アイネはパトカーに乗せようとその腕を引いた。
すると、ユーリは立ち上がった。
「先輩!ノエルさんは……生きてます!」
ユーリの叫びを聞き、ウォルターはその足を止めた。
「ノエルさん……言ってました。もし生きてたら、先輩のこと……今度は心の底から『お兄ちゃん』って呼びたいって!」
ノエルからユーリに託された願い……そしてその願いを、直接ウォルターにぶつけた。
すると、ウォルターは空を見上げたかと思うと、ただ一言だけボソッと呟いた。
「……そうか。」
それ以上何も言わなかった。ただ、その声色は、まるで家族に接する時のような優しい声だった。
ブランクサレナは壊滅し、主犯格である2人は逮捕された。
もう二度と、復讐の花が咲くことはない……
────────────────────
数日後、
『次のニュースです。昨夜深夜2時頃、ブラックサレナの指導者だったクレマチス社社長のクリス氏が死体として発見されました。死体は刃物によって幾つにもバラバラに解体されており、死体には「次はお前だ」と書かれたメモが添えられていました。凶器はいまだ見つかっていません。警察は今回の事件を、ブラックサレナのテロ行為に関係があるとして調査を進めるとの方針です。』
おまけ「G4-Xのスペック&性能」
仮面ライダーG4-X
身長:190cm
体重:185kg
パンチ力:6t
キック力:10t
ジャンプ力:33m
走力:6秒/100m
正式名称「国家殲滅用戦略強化外骨格”仮面ライダーG4-X”」。
ウォルターとクリスが共同開発したG4の究極進化形。ネオプラーナをメインエネルギーとしており、両肩、両腕、両脚に増設されたアダプターにチューブを差し込み、そこからネオプラーナを注入することでエネルギーを取り込む。
注入されたネオプラーナは、エネルギーとして使われるだけでなく、攻撃手段として使える。手のひらに増設された噴射口「GZ-02 鳴神」から凝縮されたネオプラーナを弾丸として発射できる他、腕や脚に纏わせて攻撃力を増大させたり、剣に纏わせ振るうことで「飛ぶ斬撃」を可能にしている。
単純な戦闘能力も通常のG4よりも強化されており、さらにG4-Xを無敵足らしめているのは「ESPシステム」の存在である。
「ESPシステム」とはアギト及び超能力者を拘束台に拘束し、頭につけるヘルメットで脳波を増幅させることでG4-Xの装着者と精神リンクすることができる。精神リンクすることで、装着者は超能力者の能力を使うことができる。サイコキネシスや予知能力、テレポートなど、リンクする超能力者によって使える能力は様々。
──────────────────
G4-Xの見た目は頭部、胸部、腰部は通常のG4と同じですが、両肩、両腕、両脚はビルドジーニアスのリデコになっています。色はG4と同じ黒。機械っぽい装飾が増えています。
次回、長かったEpisode.Y、最終回……前のEpisodeより長くなるとは思わなんだ……