SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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長い長いAfter Stories……ここに完結!次回からまた長くなる……



After Stories with Epilogue
エピローグ


仮面ライダー……それは、悪と戦う戦士の名である。

この世界には、3人の仮面ライダーがいる……

 

「おいっ!お前、チクっただろ!」

「チ、チクってなんかないよぉ……」

「嘘つけ!お前ぐらいしかいないだろ!」

 

イーデン校の体育館裏……3人の男子生徒が、一人の男子生徒を取り囲んで追い詰めていた。どうやら3人の方が悪さをしたようだが、それを教師に密告されたようだ。

3人は目の前の生徒をリンチしようと詰め寄ってくる。しかし、

 

「コラ!そこで何をしてるんだ!!」

「あっ!」

 

そこに現れたのは、この世界の仮面ライダーの一人……仮面ライダーギルスことフリッド・リード。

 

「お前達は誇り高きイーデン校の生徒だろう!男子たるもの、喧嘩の一つぐらいするだろう……だが、1人相手によってたかって3人で詰め寄るとは何事だッ!!」

「す、すいません……!」

「おい、行こうぜ……」

 

フリッドの剣幕に押され、3人はすごすごと立ち去っていった。

3人がいなくなると、フリッドはイジメられていた生徒に歩み寄った。

 

「大丈夫かい?」

「す、すいません先生……!うっ……!ううっ……!」

 

生徒は安心して涙腺が緩んだのか、両目から涙をこぼした。

すると、その涙を見たフリッドは、その子を優しく抱き寄せた。

 

「大丈夫だからな。」

「はい……!ごめんなさい……!」

 

フリッドは泣き止むまで生徒を抱きしめ、頭を撫でて慰めた。

泣き止んだ頃合いを見て、フリッドは事情を聞くことにした。

 

「そうか……あの3人、答案の答えを見ようとしてたのか……」

 

事情を聞いたところ、先ほどの3人は小テストでいい点を取るために、答案の答えを盗み見しようとしていた。それをこの生徒は教師に密告したようだった。

 

「それでさっき、イジメられそうになってたのか。」

「はい……先生、僕がやったことは間違いだったんでしょうか?ダミアンくんから聞いたんですけど、フリッド先生……『負けたっていいから、辛いことに抗う』って言ったんですよね。」

「うん……言った。」

 

生徒の話に耳を傾けながら、フリッドは微笑んだ。その笑みを見ながら、生徒はさらに続けた。

 

「でも、どれだけ抗っても、辛いものは辛いです……抗う意味なんてあるんですか……?」

 

その質問に、フリッドはしばし何も答えなかった。しかし、フッと息を整え、フリッドは口を開いた。

 

「君……確か最近転校してきたばかりの子だったよね?名前は確か……」

「ティム……」

「ティム、確かに現実は辛いことばかりだ……抗っても意味がないかもしれない。世の中には理不尽なことがいっぱいあって、人が苦しんでいるとこを見て笑う奴もいる……でもな、」

 

すると、フリッドはティムの頭に手を置いた。

 

「最初から『ダメだ』と諦めて投げ出してしまったら、何もできなくなってしまう。君は、そんな大人になりたいか?」

「……イヤです。」

「うん……それでいい。」

 

フリッドはティムの頭をポンポンと軽く叩くと、その場で立ち上がった。

 

「……先生な、前に一度『もうダメだ』と思って、何もかも投げ出したことがあるんだ。でも、俺の周りにいた人達が支えてくれた。」

 

そう言ったフリッドの脳裏に浮かんできたのは、仲間のライダー達とフォージャー家の皆、そして愛するダミアンとフィオナ……皆がいなければ、フリッドはイーデン校で教師を続けることはなかった。

 

「ティム……辛いことがあっても、みんなと一緒に進んでいこう。もし、それでもダメだったら……先生に言いなさい!力になれそうなら、いくらでも手を貸してやる!」

「……はいっ!」

 

自身ありげにニコニコ笑うフリッドを見て、ティムも釣られて笑った。

 

「よーし、教室に戻ろうか。もうすぐ授業が始まるぞ!」

 

ティムの背中を優しく叩きながら、一緒に教室へ向かった。

かつて孤独だった戦士はもういない……今、この学び舎にいるのは、未来を担う子どもたちを守る仮面の戦士……

 

───────────────────

 

そのころ、バーリントン総合病院……カミラが入院している病室に1人の少年が入ってきた。

 

「グリムくん!」

「よぉ、調子はどうだ?」

 

仮面ライダーカイザこと、グリム・ハワード。この日、ガールフレンドのロゼッタとともにカミラの見舞いにきていた。

 

「おっ、だいぶ腹デカくなってきたな。」

 

あれから3ヶ月……カミラの腹は……もとい、お腹の子は大きくなっていた。カミラは愛おしそうに腹を撫でた。

 

「男か?女か?」

「そんなのまだ分かんないわよ!」

 

グリムの言葉にカミラは笑う。カミラの笑顔はとても優しく、例えるなら、母親が子どもに見せるような笑顔だった。

それを見て、グリムも釣られて微笑んだ。

すると、カミラの恋人ドミニクはグリムに話しかけた。

 

「グリムくん、こんなこと急に言うのもアレだけど……俺達、君に会えてよかった。」

「な、なんだよ急に……」

 

急にお礼を言ってきたドミニクに、グリムは困惑した。

 

「グリムくんに会えてから、毎日が楽しいんだ!カミラも、グリムくんと会ってから、いつもより笑うようになった。」

 

続くドミニクの言葉に、カミラは頬を赤らめ、そっぽを向いた。

 

「ま、まぁ……楽しかったのは事実かな……」

 

2人は何かとグリムのことを気にかけていた。2人はグリムを仲間として、家族として接してくれた。過ごした年月は短いが、それでも培った絆は固い。

 

「それでねグリムくん……実は子どもの名前、考えたんだ。女の子だったら、カーラ。男の子だったら……グラハム。」

「えっ……?」

 

グリムは思わず声を上げた。何故なら、グラハムという名前は自分にとって忘れられない名前だったからだ。

グラハムは、グリムの昔の名前……グラハム・デズモンドだった時の名前だ。

 

「君の名前を借りたんだ。グリムくんみたいに強い子になってほしいから……迷惑だったかな……」

「べ、別に……」

 

その時、グリムの中で何かがこみ上げってきた。同時に目から涙がこぼれ出しそうになってきていた。

このままでは泣き面を見せてしまうと思ったグリムは、

 

「ちょっとトイレ……!」

 

そう言ってそそくさと病室を出ていってしまった。

病室を出たグリムは、そのまま病院の外に出て裏手に回った。

 

「なんだよ……なんだよコレ……!?」

 

裏に回り、周りに誰もいないことを確認し、グリムはポロポロと涙を流し始めた。

何故涙が出るのか、理由が分からずただただ泣き続けるグリム。そこに……

 

「ダーリン。」

 

泣いているグリムの前に、ロゼッタが現れた。グリムは慌てて涙を拭うが、とめどなく涙が流れ出る。

 

「なんだよ……」

「泣いてるの?」

 

そう言いながら、ロゼッタはグリムの頬に優しく手を触れた。

 

「……分かんねぇよ。なんでこんなに涙出るのか……でも、嬉しいんだ。胸の中で、なんかこみ上げてきて……」

 

何故泣いてしまうのか、自分の気持ちを吐露するグリム。すると、ロゼッタはそんなグリムの背中に手を回し、抱きしめた。

 

「大丈夫だよ。」

「悪い……もう少ししたら、元通りになるから……」

 

泣きじゃくるグリムに、それを慰めるロゼッタ……

過去の自分と同じ名前をした子どもが、もうすぐ生まれることがなんとも言えず嬉しかった。

同時に、ずっと1人だった自分にかけがえのないモノがたくさんできたことに感動を覚えた……

 

───────────────────

 

「ユーリ君、とうとう復活したみたいね。」

「はい、ご迷惑おかけしました!」

 

3ヶ月の入院を経て、ユーリは退院し秘密警察に戻ってきた。格納庫にいるアイネに笑顔を見せ、敬礼をする。

しかしすぐに、アイネの後ろにあるものに目が映った。

 

「アイネさん……それ……G3-XBですよね?」

 

アイネの後ろにあるのは3ヶ月前に活躍したG3-XB……アイネはそれを直している……ようには見えなかった。どちらかといえば解体しているように見えた。

 

「解体してるんですか?」

「というより、前のG3-Xに戻してるの。G3-XBは強力すぎるし、コストがかかるから……」

「そうでしたか……」

 

解体されるという事実を聞き、ユーリは寂しそうに笑い、マスクに触れた。

 

「……思えば、ずいぶん長いことお前と一緒に戦ってきたな。」

 

マスクを持ち上げ、その赤い瞳を見つめながら、ユーリは今までの戦いを思い返した。

最初はG3を使って戦った。当初はG3もユーリも弱く、死ぬかと思ったこともあった。それでも、ユーリと同じようにG3も調整されていき、強くなっていった。

そしてG3-Xに変わり、より強くなっていった。ユーリとG3は一心同体だった。

 

「……お疲れ様。」

 

マスクを置き、ユーリはG3-Xに対して敬礼をした。今までの礼を言うように……

 

「……さて、ユーリ君も復活したし、今日は美味しいもの食べましょっ!!私、奢ってあげる!」

「また鉄板焼きですか?」

「いいでしょ!美味しいんだから!」

 

アイネはユーリと話しながらドアを開けた。ユーリもアイネと話しながら部屋を出ようとした。

その時、背後からウィーン……と機械が動く音が聞こえてきた。不思議に思ったユーリは後ろを向いた。それと同時に、ユーリは目を見開いた。

そこにいたのは、立ち上がってユーリを見つめているG3-Xの姿だった。

 

「えっ……!?」

「………」

 

驚くユーリに対し、G3-Xはユーリをじっと見つめ……先ほどユーリが自分にしてくれたように、ユーリに向けて敬礼をした。

 

「ユーリ君、どうしたの?」

「えっ?」

 

アイネに呼びかけられそちらに振り向いた。しかしすぐにG3-Xを向いたが、そこに立ち上がっていたG3-Xはいなかった。

今見たものは、幻だったのか……それとも本物だったのか……それを判別することはできなかったが、少なくともユーリは、G3-Xは自分にお礼を言ってくれたのだと思った。

 

(ありがとう……これからもよろしくな……)

 

相棒からの礼を受け取り、ユーリは部屋を後にした。

これからも共に戦うことに感謝しながら……

 

──────────────────

 

その夜……3人は喫茶シオンを訪れた。

 

「3人とも……今日はどうしたんだ?」

「それはこっちが聞きてぇよ。」

「アーニャちゃんに呼ばれてきたんだが……」

 

この日3人が喫茶シオンを訪れたのは、自分達の意思ではなく、アーニャに呼ばれたからだった。

すると、二階に続く階段からアーニャが降りてきた。

 

「みんなそろった!さんにんとも、そこならんでかがめっ!」

 

笑顔で言うアーニャに、3人はただ言われるまま横一列に並び、姿勢を低くした。

 

「おじっ!ぱいせんっ!かてーきょーし!(ステラ)をじゅよするっ!!」

 

アーニャの言葉とともに、3人の胸に折り紙で作られた星をくっつけた。

 

(ステラ)……?」

「なんだこりゃ?」

「僕ら、何かしたっけ?」

 

何故胸に折り紙の星をつけられたのか分からず、3人は首を傾げた。するとアーニャは笑ってこう言った。

 

「”ライダーがんばったでしょう”!!」

 

その一言にポカンとする3人にロイド、ヨルだったが、すぐにプッと笑い始めた。

 

「なるほど、”がんばったで賞”か……」

「ありがとう、アーニャちゃん。」

「へへっ……つーか、お前も頑張れよ。皇帝の学徒(インペリアルスカラー)になるんだろ?」

「うぃっ!アーニャもがんばるっ!」

 

アーニャは鼻息をフンスッと鳴らし、右手の親指を立てた。

それを見て、5人はまた笑った。すると、ロイドは手を叩いた。

 

「さて、食事にするか!」

「私、手伝います!」

「あっ、俺も手伝うぜ!今日こそみんなを唸らせてやる!」

 

ロイドは食事を作るためキッチンに向かった。それに続くようにヨルとグリムが後を追った。

 

「じゃ、俺はテーブル拭いとこうかな。ユーリ君はアーニャちゃんと遊んであげて。」

「はい!……って、なんで!?」

「だってユーリ君、けっこうぶきっちょだし。」

「そんなにぶきっちょじゃないですよ!!」

 

サラッと毒舌を吐かれて、ユーリは大声を上げた。すると、それをなだめるようにアーニャはポンポンと脚を叩いた。

 

「おじ、あそんでやる。」

「ナマイキ言うなチワワ娘!」

 

その後、ロイド達が作った料理を皆で味わった。わだかまりもなく、和気藹々と……

この世界を救った英雄、仮面ライダーアギトはこの世界を去った。しかし、この世界には3人の仮面ライダーがいる。それを支えてくれる頼もしい一家がいる……

これからも世界は守られ続ける……仮面ライダー達によって……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、このときは誰も知らなかった。

 

「偉大なるショッカーの精鋭達よ!よくぞ集まった!!」

 

すでに歯車は回り始めていたことを……

 

「まもなくだ……まもなくこの世界は我らの物になる!!」

『オーーーーーーッ!!』

 

否、思えばずっと前から……仮面ライダーがこの世界に現れた時から、運命の歯車は回っていたのかもしれない。

 

「今ここに、タイムクラッシュ計画の開始を宣言するっ!!」

 

大いなる戦いの火蓋が静かに幕を開けた……

 

 

 

 




おまけ「最終章予告」

東国と西国……かつてこの2つの国は互いに争っていた。戦争が終わった後も、幾多もの危機が訪れたが、仮面ライダー達の手によって危機は免れ、平穏を取り戻した……はずだった。

「お前達に伝えなければいけないことがある……仮面ライダーX、ファイズ、ギーツ……お前達と共に戦った3人のライダーが……消息を絶った。」

消えた仮面ライダー達……

「まもなくだ……まもなく世界は我らの物に……!!」

ついに動き出す、ショッカー大首領……

「ぼくはソラ!このままだと世界が大変なことに!」

謎の少年・ソラと───

「ここが『タイムクラッシュ』の爆心地……」
「このままじゃまた『タイムクラッシュ』が起きる!」
「お前らが戦ったら、『タイムクラッシュ』が起きて、世界がヤバいんだよ!!」

謎の現象「タイムクラッシュ」によって明らかとなる──衝撃の真実───

「俺達が戦えば戦うほど、ライダーが活躍すればするほど、世界が不安定に……!?」
「せかいきえるの、アーニャたちのせい……?」

フォージャー家と仮面ライダー達の最後のミッションが幕を開ける!

元スパイ”黄昏”/ロイド・フォージャー
「この勝負勝たせてもらう。」

元殺し屋”いばら姫”/ヨル・フォージャー
「息の根止めさせてもらいます!」

超能力者/アーニャ・フォージャー
「アーニャもみんなといっしょにたたかうっ!」

超能力犬/ボンド・フォージャー
「ボフッ!」

仮面ライダーG3-X/ユーリ・ブライア
「命を守るのに、理由なんていらない!」

仮面ライダーギルス/フリッド・リード
「もう誰も……こぼさない!必ず守ってみせる!!」

仮面ライダーカイザ/グリム・ハワード
「仮面ライダー……舐めてんじゃねぇぞ!!」

仮面ライダーX/神 敬介
「今こそ、君達家族の絆を見せる時だ!」

仮面ライダーファイズ/乾 巧
「守ってやるよ、この世界ってヤツをな!!」

仮面ライダーギーツ/浮世 英寿
「あの家族のハイライトはここからだ!」

そして───

「だいたいわかった。」
「なんかいける気がする!」
「これがフォージャー家のみんなの……!この世界の人達のガッチャだッ!!」
「私に続け!仮面ライダー達よ!!」

ついに───

「人の未来が、お前の手の中にあるのなら……俺達が奪い返す!!」

役者は揃った。

「ライダァァァ……!!」
『変身ッ!!!』

Welcome to....

「俺が!」
「俺達が!!」
「私達が!!」
「アーニャたちが!!」
『仮面ライダーアギトだッ!!!』

CROSS WORLD.


「SPY×AGITΩ LAST MISSION:CROSS WORLD」……近日公開



「ライダーなど、お供にすらならんっ!!」
『……誰……?』


皆様のおかげでAfter Storiesは無事終了しました。お好きなEpisodeはありましたか?

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