焼け野原に5人の仮面ライダーが揃った。しかし、フリッド達はディケイドとジオウに対して敵意を向けていた。それはディケイドとジオウも同じだった。
『うおぉぉぉぉぉ!!』
それぞれ武器を構え、ライダー達はぶつかり合った。
武器と武器がぶつかり合い、火花が散る。
「本当にてめぇらがあの3人をぶっ潰したのか!?答えろピンク野郎!!」
「ああ……潰してやったよ!」
ディケイドの返事に、カイザはさらに怒りを込めて剣を握りしめる。
「グリム、よけろ!!」
その時、ユーリの声が聞こえ、カイザは咄嗟に後ろに下がった。それと同時にユーリはガトリング砲「GX-05」をディケイドに向けて乱射した。
ディケイドは逃げ回りながら飛んでくる銃弾をよけていく。ディケイドはそのまま走りながらベルトのバックルを展開し、新しいカードを挿入する。
《カメンライド》
《カブト!》
ベルトの音声とともに赤い鎧を纏ったカブト虫のライダーに変身したディケイド。さらにもう一枚カードを挿入する。
《アタックライド》
《クロックアップ!》
その瞬間、ディケイド以外の周りの時間がゆっくりと、遅くなった。その隙にユーリに近づき殴り飛ばした。それと同時に時間の流れが元に戻り、ユーリは地面に転がった?
「い、いまのはいったい……!?」
「場数が違うんだよ。」
ディケイドは元の姿に戻ると、さらにカードを挿入する。
《アタックライド》
《イリュージョン》
ベルトの音声が鳴ると同時にカイザが銃を撃ってくるが、ディケイドはそれをかわした。すると、ディケイドは突然4人に分身した。
「なにっ!?」
「ハッ!!」
ディケイドは瞬時にカイザを囲み、四方から違うタイミングで剣で攻撃を繰り出す。
それぞれ違う方向からの攻撃に対応できず、カイザは攻撃を食らってしまう。
そして、ディケイドは剣を銃に変形させ、四方から同時に弾を放った。
「うあぁぁぁぁ!!」
攻撃を食らったカイザは叫び声をあげ、その場に膝をついた。
少し離れたところで、ギルスとジオウも戦闘を繰り広げていた……だが、
《ジオウⅡ!》
ジオウは頭部に時計の針を模した角を2つ装備した強化フォームに姿を変えた。
姿が変わっても臆することなく攻撃するギルス。しかし、ジオウはヒラリと身をかわした。
「!?」
ギルスは驚くも、続けて攻撃した。しかし、ジオウはそのことごとくをかわしていく。
「当たらない……!?」
流石におかしいと気付いたギルス。ジオウの動きは、まるでこちらの動きを読んでいるかのようだった。
そう思っていると、ジオウは「ジカンギレード」に加え、巨大なジオウの顔がついた剣「サイキョーギレード」を装備した。
「ハァッ!!」
両手に持った剣を振るい、X字を描くようにギルスを斬りつけ吹き飛ばした。
「ぬあぁぁ!!」
「もう一発!」
「やめろ!!」
その時、遠巻きで見ていた宝太郎が叫んだ。
いきなりライダー同士の戦いが始まってしどろもどろになっていた宝太郎だったが、ギルスがやられそうなのを見て居ても立ってもいられなかった。
《ガッチャードライバー!》
宝太郎は透明な箱の様なベルトを取り出し、腰に巻いた。さらに2枚のカードを取り出し、ベルトに挿入した。
《ホッパー1!》《スチームライナー!》
カードを装填すると、宝太郎の背後に巨大になったカードが現れた。バッタと顔のついた機関車がカードの中で暴れている。
「変身ッ!!」
《ガッチャーンコ!!》
ベルトの両端のレバーを引くと、カードからバッタ・ホッパー1と顔のついた機関車・スチームライナーが出てきて、混ざり合うように黒いスーツを纏った宝太郎と融合した。
《スチーム……ホッパー!!》
黒いスーツの上に水色の鎧が装着され、額には触覚のついたゴーグルが装備された。
《エクスガッチャリバー!》
変身するやいなや、ガッチャードはXの字がついたような剣を手にジオウに斬りかかった。ジオウも剣で攻撃を防いだ。
「なんで……なんでこんなことするんだ!アンタだって仮面ライダーだろ!?」
「仮面ライダーだから……やることをやるだけだ!!」
「それが……あの3人を葬ることなのか!!」
ジオウの意識がガッチャードに集中しているその時、ギルスは懐に飛び込み、腕のクロウを突き出した。だが、ジオウはこれをよけ、ガッチャードを蹴り飛ばし、ギルスも剣で斬りつけ吹き飛ばす。
「これしか道がないんだ!これがこの世界のためだ!」
「そんな……フザけたこと言うなぁ!!」
《クロスオン!》
ガッチャードはエクスガッチャリバーを四角に折りたたみ、そのままベルトに装着した。
《グレイトフルエンシェント!》
さらにエクスガッチャリバーに赤い恐竜が描かれたカードを入れ、バックルのレバーを引いた。
《ガッチャーンコ!》
《エックスレックス!スーパー!!》
ベルトの音声とともに、ガッチャードの水色の鎧が剥がれ、代わりに赤い恐竜・エックスレックスが変化した赤い鎧が装着された。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
恐竜の如き雄叫びを上げ、ジオウに向かって突進する。間合いに入った瞬間、ガッチャードは獣のように拳を振るう。ジオウはそれをかわし、さらに剣で防ぐ。
しかしガッチャードはすかさず後ろにある尻尾を振り回して一回転。ジオウは後ろに下がってよける。
「ダァッ!!」
次の瞬間、ガッチャードは前方向に回転しながらジャンプし、上から尻尾を振り下ろした。ジオウはこれもよけた……だが、ガッチャードは振り下ろした尻尾を地面に突き刺した。
そして、それを軸にした回転蹴りを繰り出した。これは読めなかったのか、ジオウは攻撃を喰らい、蹴り飛ばされた。
「仮面ライダーは助け合うものだろ!それなのに……仲間割れみたいなことするなよ!!」
ガッチャードの叫びに、ジオウの動きは止まり、そのまま俯いた。
まるで、「俺だってこんなことはしたくない」と言っているかのようだった。
しかし次の瞬間、ディケイドが銃弾を放ち、ガッチャードを吹き飛ばした。
「うわあぁぁぁぁ!!」
「分かってないな……創造には破壊が付きものなんだよ。」
「破壊だと……!?」
ディケイドの一言にギルスは声を上げた。するとディケイドは鼻で笑ったように首を縦に振った。
「俺は世界の破壊者だ!この世界を破壊し、新たな世界を創造する!!」
「させるかよ、そんなこと!!」
グリムは叫び、銃口をディケイドに向ける。ユーリもガトリング砲を向け、ギルスも両腕からクロウを伸ばし構えた。
ディケイドとジオウも互いに武器を構えた。ただ1人、ガッチャードだけは戸惑い立ち尽くしている。
「やめろ……!やめろよみんな!!」
「ホータロー!てめぇは引っ込んでろ!!」
「みなさん!やめてください!!」
「姉さんは下がって!!」
ガッチャードとヨルが止めさせようと声を上げるが、誰一人として聞こうとしない。
このままでは仮面ライダー達による全面対決が始まってしまう……と思ったその時、
『っ!危ないっ!!』
ディケイドとジオウは何かに気づき大声を上げた。その直後、ミサイルが飛来し、地面にぶつかった瞬間爆発した。
『うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
ライダー達は爆発と爆風に巻き込まれ、叫び声を上げて吹き飛んだ。
「みんな!」
「みなさん大丈夫ですか!?」
ロイドとヨルは安否を気遣って呼びかけるが、返事はない。爆風による土煙で姿も確認できない。すると、たちまち土煙は消え、ライダー達の姿が見えてきた。
『っ!!』
ロイド達は声にならない声を上げた。そこには、まるでギルス達を守るように両手を広げて仁王立ちするディケイドとジオウが立っていた。
「くっ……!」
「うぅっ……!」
「こ、こいつら……なんで俺達を……!?」
ギルス達は困惑した。さっきまで自分達に敵対していたディケイドとジオウが、何故か自分達を守るようなことをしたのだ。
疑問が浮かぶが、そんな疑問を打ち消すように笑い声がこだました。
「フハハハハハハハッ!!久しいな仮面ライダー!それに……フリッド・リード!!」
「お前は……!アポロガイスト……!!」
ギルスは目を疑った。何故なら目の前に現れたのは、以前倒したはずの怪人……アポロガイストだった。
現れたのはアポロガイストだけではなかった。
「よぉ、久しいなぁ……デズモンド家の落ちこぼれ。」
「4号……カトルゥ!!」
過去にグリムと戦い、グリムの父と呼べる存在ニコルを殺した張本人、仮面ライダー4号ことカトル…
「ふふふっ……バカどもが勢揃いだな……」
「クリス……!」
世間を騒がせたテロ組織ブラックサレナの主犯格、元クレマチス社の社長、仮面ライダーグレアことクリス。
皆、仮面ライダー達に倒され、死んだはずの連中だった。それが今、ロイド達の前に立っている。
「何故お前らが生きてる!?死んだはずだ!!」
「我らは蘇ったのだ!」
「その通り……偉大なるショッカー大首領!」
「あの御方が私達を生き返らせてくれた!!」
3人はそれぞれ叫んだかと思うと、等間隔で道を開け、その場で跪く。
「恐れおののくがいい……我らがショッカー大首領を!」
アポロガイストの一言とともに、真っ赤なマントと顔全面を覆う真っ赤なとんがり帽子を被った怪しい男が現れた。
「フッフッフッ……お初にお目にかかる……仮面ライダー達よ。そして、フォージャー一家……私がショッカー大首領だ。またの名を……」
大首領は頭に被っている帽子とマントを掴み、一気に脱いだ。
「またの名をビッグマシン!!」
大首領の赤いマントと帽子の下に隠されていたのは、灰色の身体に青いバイザーのついた、まるでSF漫画に出てくる宇宙服のような姿をしたロボットだった。
「ビッグマシン……?ロボット?」
「ショッカー大首領の正体はロボットだったのか……」
「ケッ、ビッグマシンだかジンマシンだか知らねえが、ダッセェ見た目しやがって!」
ビッグマシンの奇妙な見た目に戸惑うロイド達だったが、ただ一人、カイザはビッグマシンを罵倒し銃口を向けた。
すると、ビッグマシンはフッと笑った。
「フッフッフッ……この3人はどのように生き返らせたのか、気にならんのか?見よっ!」
その時、ビッグマシンの目元の青いバイザーがカッと光を放った。すると放たれた光は人の形になり、次第に実体化していった。
「グルルル……!キシャアッ!!」
現れたのは、過去に仮面ライダーアギトが倒したはずの、ジャガーロードだった。
「あ、あいつ、確か津上君が倒した……!」
「フッ……そいつも私達3人も、記憶から生み出された存在だ。」
アポロガイストが静かに呟くと、それに続いて4号が呟く。
「これまで仮面ライダーどもの手によって、我らショッカーの作戦は何度も潰された。そして大首領様もその度に身体がボロボロになっていった……」
続いてグレアが呟き、
「そこで大首領様は、今ある自分の体を捨て、別の体に脳を移すことを思いついた。そのボディがビッグマシンだ。そして大首領様は、実に画期的なアイデアを思いついたのだ!」
そして締めくくりにビッグマシンが口を開いた。
「ワシの脳には今まで戦ってきた仮面ライダーどもと、ライダー達と戦った怪人達の記憶が詰まっている。このビッグマシンは、私の記憶をデータとして使い、それを実体化させることができるのだ!」
そう高らかに言ったビッグマシンの言葉に、皆は啞然とした。とても信じられる話ではないが、目の前でジャガーロードをさせたところを見た以上、信じるしかない。アポロガイスト達が復活したことにも説明がつく。
「もちろん、この世界の仮面ライダーと怪人達の記憶もある。フフフッ……お前達には感謝するぞ。」
「なんだと!?」
「お前達が神化教団やブラックサレナにかまけてくれたおかげで、私は十分に記憶を蓄え、戦力を整えることができた。礼をしてやろう……懐かしい男に会わせてやる!!」
その時、ビッグマシンの青いバイザーがカッと光を放った。そして、そこに現れたのは……
「っ!!お……親父……!」
現れたのは、グリムの育ての親……4号と戦って死んだ、仮面ライダー3号、ニコルことニコラス・ハワード。
3号の姿を見た瞬間、グリムの動悸が激しくなった。
「グリム、アレは偽物だ!お前の記憶から作られた偽物だ!」
ギルスの言う通り、頭の中では分かっていた。目の前にいる3号は本物ではない……自分の記憶から作られた偽物…人形のようなものだ。
すると、仁王立ちしている3号はフッと呟いた。
「グリム……」
「!!」
グリムは仮面の下で目を見開いた。同時に涙も出そうになった。3号の声は、他の誰でもない……ニコルの声そのものだった。その声を聞いた途端、グリムはニコルに向かって駆け出した。
「よせ!グリム!!」
「ニコル……!!」
カイザは手を突き出し、3号の手に向かって伸ばし、その手を握ろうとした……だが次の瞬間、3号はカイザの首を掴み、そのままカイザを持ち上げた。
「がっ……!?ニコ……ル……!?」
「……俺はショッカーの特殊工作兵……仮面ライダー3号だ。」
「嘘だろ……!ニコル……!!」
ニコルの言葉が信じられなかったが、首を絞める手の力は本物だった。ニコルは間違いなく自分を殺そうとしていた。
すると次の瞬間、3号はカイザを地面に投げつけ、叩きつけた。
「弱い……弱すぎるな……」
「そんな……どうしてだよニコル……!!」
倒れたカイザを踏みつける3号……父親に踏みつけられ、グリムは仮面の下で涙を流していた。だが声は決して出すことはなかった。それはグリムの意地だった。
しかし、そんなグリムを見て、アポロガイスト達は声を上げて笑っていた。
「無様だなぁ、グラハム!」
「父との悲しき再会か!フハハハハハハッ!!」
父と子の悲しき再会……抱きしめるどころか拒絶し、足で踏みつける……
その光景がアポロガイスト達には面白くてたまらなかった。
そんなアポロガイスト達を黙って見過ごすことなどできない。仲間達はグリムをあざ笑うアポロガイスト達を許しておけなかった。
「ふざけ……!!」
「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
《ガッチャーイグナイター!》
《ターボオン!》
ギルスが真っ先に声を上げようとした。だがそれよりも早く、ガッチャードが声を上げ、シリンダーと溶鉱炉を混ぜたようなアタッチメントを取り出し、ベルトに装着した。
「グリムの気持ちを利用して傷つけるなんて……絶対に許さないっ!!」
《ホッパー1!イグナイト!》
《スチームライナー!イグナイト!》
《ガッチャーンコ!ファイヤー!!》
ベルトにカードを挿入し、レバーを引いた。
《スチームホッパー!アチーッ!!》
ガッチャードは再度姿を変えた。容姿は通常のスチームホッパーと似ているが、ところどころに炎のような造形が施され、背中に巨大なX型のブースターが装備された。
「ハァァァァァァァッ!!ハアッ!!」
背中のブースターを点火させて一気に加速して飛び出した。そして一気にビッグマシンに突っ込んだ。
しかし次の瞬間、近くにいた4号が、飛んできたガッチャードにしがみついた。
「えっ!?」
「すっこんでろクソガキ!!」
ガッチャードに掴みかかると、4号は腹に膝蹴りを食らわせ、バランスを崩させる。さらにそのまま渾身の力でガッチャードを殴り飛ばした。
「うわぁっ!!」
「宝太郎君!」
4号に襲われたガッチャードを見て、手助けしようとギルスは駆け出した。しかし、それと同時にアポロガイストの持つ刃の生えた盾を投げた。
ギルスはすかさず両腕のクロウで防いだ。
「貴様の相手は私だ!フリッド・リード!」
「くっ……!」
ギルスの前にアポロガイストが立ちはだかり、お互いに構えた。
それと同時に、ユーリの前にはグレアが立ちはだかった。
「私が相手になってあげよう……」
「邪魔だ、どけ!!」
グレアは体の装甲からビットを射出し、対しユーリはガトリング砲を乱射した。
4対4の対決……その対決の中でただ1人、ビッグマシンは不敵に笑っていた。
「グフッフッフッフ……今だ、クモオーグ!!」
ビッグマシンが叫んだ次の瞬間、どこからともなく赤と黒のジャケットに身を包み、ドレッドヘアのような装飾のついた蜘蛛のヘルメットとマスクをつけた男がフォージャー一家の前に現れた。
『!!』
驚いたのもつかの間、クモオーグは口から糸を吐き出し、ヨルが抱いているシエルにくっつけ、そのまま奪い取った。
「シエルちゃん!!」
「貴様……!!」
2人は咄嗟に奪い返そうとクモオーグに襲いかかった。しかし、クモオーグはすかさず糸を吐いて2人の体に糸をつけ、そのまま渾身の力で振り回し、岩壁に叩きつけた。
「うぐっ!」
「かはっ!」
2人はイチカラ抜け出そうと抵抗するが、糸の強度が高い上に岩壁にピッタリくっついている。
そんな2人を背に、クモオーグは抱きかかえたシエルをビッグマシンに献上した。
「大首領様……御命令通り、例の赤ん坊を回収しました。」
「うむ、ご苦労。」
クモオーグからシエルを受け取り、表情は分からないがビッグマシンは上機嫌だった。それとは対照的に、シエルは怖いのか泣き叫んでいた。
我が子の悲鳴を聞き、すぐにでも駆けつけたかったロイドとヨルだが、糸のせいで動くことができない。
周りにいるギルス達も、目の前の敵に阻まれて助けに行くことができない。
目的達成とばかりに、ビッグマシンはその場を去ろうと、背を向けた。
「待てッ!!」
その時、大声がこだまし、ビッグマシンの脚を止めた。
その声の主は……ソラ。
「ソラくん……?」
「連れ去るならぼくにしろっ!!その子を離せ!!」
「グフフフフ……勇気があるのは褒めてやろう。だが、私の目的はこの赤ん坊……貴様などいらん!」
ソラは交渉しようとしたが、一蹴されてしまう。すると、ソラは一瞬苦しそうな顔を見せたかと思うと、ロイドとヨルの方を見て笑った。
「……大丈夫だよ。
ソラの一言に、2人はおろか、その場にいた全員が耳を疑った。そして、ソラは仁王立ちしながらビッグマシンを睨みつけた。
「おいっ!ショッカー!!ぼくは、今から10年後の未来から来た……ロイド・フォージャーとヨル・フォージャーの息子!シエル・フォージャーだっ!!!」
続くソラの叫びに、全員が驚いた。今、目の前にいる少年はロイドとヨルの息子の10年後の姿……他人に話しても信じてもらえるはずもない。
嘘かもしれない……だが、告白したソラは嘘をついているようには見えない。
これにはさすがのアポロガイスト達やビッグマシンも驚いていた。しかし、ビッグマシンはすぐに笑い始めた。
「フフッ……フハハハハハハハハハッ!!なんという僥倖……まさか
ビッグマシンが手を前に突き出すと、3号よりも先に召喚されていたジャガーロードがソラに飛びかかった。
ソラは抵抗することなく、すぐに捕まってしまった。
すると、ビッグマシンはさらに命令を出した。
「お前達、こいつらを殺してしまえ!」
しかし次の瞬間、ソラは叫んだ。
「フータロスーーーーーッ!!!」
ソラの叫びとともに、真っ白な砂とともに下半身を宙に浮かばせ、上半身が地面から生えた、悪魔のような怪物が現れた。
その怪物に向けて、ソラは続けて叫んだ。
「君と契約する!!」
「よっしゃっ!!待ってたぜ、この時を!!」
その時、フータロスの下半身と上半身が融合した。身体が赤く染まり、見た目が鮮明に映った。
「よーし、これで契約完了だ!」
「フータロス!みんなを連れて一緒に逃げて!!」
「おうっ、任せ……!お、おいっ!お前も一緒に来ねえと意味がねぇだろ!!」
ソラの指示を聞き、フータロスは困惑しながら命令を拒否しようとした。
しかし、ソラは構わず命令し、フータロスに頼み込んだ。
「お願いっ!!お願いだから逃げて!!」
「〜〜〜ッッッ!!わかったよ!!オラァッ!!」
フータロスは体を高速回転させて赤い竜巻を巻き起こした。同時に激しい砂煙を巻き起こし、ビッグマシン達の目を眩ませた。
「くっ……!」
砂煙が収まったときには、ロイド達の姿は消えていた。目を眩ませている間になんとか逃げたのだ。
「申し訳ありません、大首領様……取り逃がしました。」
「構わん。得たものはこちらの方が多いからな……グハハハハハハッ!!」
ビッグマシンは右手に赤ん坊のシエルを抱きかかえ、左手でソラの肩を掴んで高笑いを上げた。
まるで勝ち誇ったように……対し、ソラは暗い表情だった。
(これでいい……後は、ぼくが赤ん坊の時のぼくと一緒に消えれば……最悪の未来は回避できる……さようなら……)
ソラは目から一筋の涙をこぼした。まるで、今生の別れでも言うかのように……
おまけ「意外にも?」
「な、なぁ、グリム……」
「なんだよ?」
フランキーは突然ヒソヒソとグリムに声をかけた。
「ロゼッタちゃんってさ……あの、娼婦なんだよな…?」
「それが?」
「つまりそれってさぁ……金払ったらあのボインボインのロゼッタちゃんとヤれるってことだろ!?」
突拍子もないフランキーの言葉に、グリムはポカンと口を開いていた。すると、それは聞き捨てならないとばかりにロイドが近づいてきた。
「フランキー……お前なぁ!いくら彼女が出来ないからって人の彼女とヤろうとするのはどうなんだ?娼婦とはいえ……」
「うるせぇ!もうなりふりかまってられるか!で、どうなんだ!?」
「いや、まぁ……客として行けば相手してくれると思うけど……」
「よっしゃあぁぁぁぁ!!」
グリムの返答を聞いた瞬間、フランキーは両手を上げて喜び、外へ飛び出していった。
「あ、でも『ベロニカ』は高級娼館……」
「聞いてないぞアイツ。」
30分後……フランキーはショックを受けたような顔で戻ってきた。その後ろにはロゼッタの姿もあった。
「高すぎる……1時間1万ダルク(約320万円)って……!!」
「ごめんなさーい……でも、『ベロニカ』は超高級娼館って言いませんでしたっけ?」
「だからって高すぎだろ……!!」
「ん?待てよ……?」
その時、グリムは声を上げ、自分の手のひらを指でなぞり、何か計算を始めた。
「1時間で1万ダルクで、それを女の子と店で半分ずつにするとして……これで5000ダルク(160万円)。それで1日に相手にした客の人数を掛けると……」
グリムの計算が確かなら、ロゼッタの稼ぎはとんでもない額になる。それに気づいた瞬間、グリムは苦笑いを浮かべた。
「な、なぁ……ロゼッタ、お前ってもしかして……俺らの中だと一番高給取り……?」
「うーん、どうかな~?でも、この前通帳見たら、数字の後ろに0がいっぱいついてたよ。」
その一言を聞いた瞬間、グリム達は息を飲んだ。そして、「欲のない人に金が集まるんだなぁ」と思ったのだとか。
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実際、そういう仕事をしてる方がどれだけ稼いでいるのか分かりませんが、想像でこれだけ稼いでるのかなと書いてみました。
ソラの正体に関して、シエルという名前はフランス語で「空」という意味があるので、気づく人はすぐに気づくと思います。