SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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Chapter.9 強くなれるよ 愛は負けない

 

ギルスとカイザ達が戦っていたころ、他のフロアでも戦いは続いていた。

東棟でユーリはジェネラルシャドウと対峙していた。

 

「クッソォォォォォ!!」

 

しかし、ユーリは苦戦していた。頭上から飛んでくる大量のトランプ弾を撃ち落とすのに苦労していた。トランプ弾の数は100を越えていた。それをガトリング砲やサブマシンで撃ち落とすが、キリがない。

 

「フフフ……どこまで耐えられるかな……?」

 

ジェネラルシャドウが黙って見ているワケはない。サーベルを抜き、トランプ弾に対処するユーリにジワジワと近づいてくる。

 

「くっ……!」

「死ね、仮面ライダー!!」

 

次の瞬間、ジェネラルシャドウは鋭い連続の突きを繰り出した。ユーリはそれを防ごうとするも、激しい攻撃に思わずバランスを崩した。

その隙を狙った一突きに、ユーリは吹き飛ばされ、床に転がった。

 

「くっ……!僕が、紛い物だと!?」

「そうだ!自力で変身できず、他人が鎧を身に纏わなければ戦えない者など……仮面ライダーなどではないわ!」

 

ユーリは思わず口ごもってしまった。正直いって、自分がメンバーの中で一番弱いということは分かっていた。スーツがなければ怪人と戦うことすらできない……紛い物と言われても仕方ないのかもしれない……しかし、

 

『ユーリ君!』

 

その時、アイネの声が通信機から聞こえてきた。

 

『あんなヤツの言う事、真に受けてどうすんの!?あなたは、そのG3と一緒に戦ってきたんでしょ!!その子と一緒に、成長してきたんでしょ!!』

「!!」

 

アイネの言う通りだった。自分はこのG3とともにあった。相棒とともに戦ってきた。ともに成長し、守りたいものを守れるようになった。

 

「そうだった……!」

 

その相棒を、誰にも否定させない。

 

「トランプショット!!」

 

トランプの弾丸が投げられた……しかし、ユーリは銃でそれを撃ち落とした。

 

「!!」

「お前……よくも僕の相棒をバカにしてくれたな……覚悟しろ!!」

 

ユーリは銃と一緒にナイフを構えた。ジェネラルシャドウは鼻で笑い、先ほどと同じく鋭い連続の突きを繰り出した。

だが、もうその攻撃はユーリには通じない。

 

「な、なにっ!?」

 

ジェネラルシャドウの攻撃を右へ左へとよけ、さらにナイフを使って弾いている。

 

『知らなかった?G3-Xには、理想的な動きを装着員に促すコンピュータ機能が搭載されてるのよ!性能を落としてるから100%の出力じゃないけど……』

「お前相手には十分だ!」

 

ジェネラルシャドウの攻撃がよけられるのは、G3-Xの性能によるものだった。100%の性能ではないが、その足りない部分を補うのが相棒であるユーリ。ユーリとG3-Xが2つ合わさって、始めて100%になれるのだ。

 

「な、ならばこいつだ!!」

 

ジェネラルシャドウはもう一度分身を多数作り出し、ユーリを取り囲んだ。

 

「いくらコンピュータが優秀でも、この数は捌ききれまい!!」

 

ジェネラルシャドウは縦横無尽に動き回り、ユーリを撹乱していく。対し、ユーリは両手で静かに銃を構えた。

 

「死ねぇぇぇぇぇぇ!!」

 

その時、4人のジェネラルシャドウは前後左右からユーリに襲いかかった。同時に、ユーリは銃口を向け……銃弾を一番遠くにいたジェネラルシャドウに向けて放った。

 

「なっ!?ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

そのジェネラルシャドウは本体だった。銃弾を食らって床に転がり、分身は消滅した。

 

「な、なぜ私が本体だと……!?」

「……目印をつけたからな、足元に。」

 

ユーリの一言を聞き、ジェネラルシャドウは自分の足元を見た。なんと、ジェネラルシャドウの脚には塗料が付着していた。

 

「銃弾にペイント弾を混ぜといたんだ。どうせまた分身するだろうと思ってな。」

「おのれ……!!」

「とどめだぁぁぁぁ!!」

 

ユーリは雄叫びを上げ、ジェネラルシャドウに突進しながら銃を乱射していく。銃弾を浴びせながら懐に入り込み、その瞬間銃にグレネードユニット「GG-02」を装着し、銃口をジェネラルシャドウの腹に押し当てた。

 

「な、何をする気だ!!?」

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

銃口を押し当てたゼロ距離からグレネード弾を発射し、両者は勢いよく吹き飛んだ。

 

「シ、ショッカー大首領……バンザァァァァァァイ!!」

 

ゼロ距離からのグレネード弾を食らったジェネラルシャドウは断末魔を上げて爆散していった。同じく吹き飛んだユーリは立ち上がり、アイネと連絡を取った。

 

「アイネさん、聞こえますか?」

『うん、聞こえてる!』

「FAユニット……パージしちゃいましたね……もう一度装着できますか?」

『残念だけど、それは無理ね……FAユニットは重いから、機械を使わないと装着できないわ。ここに置いていくしかないわね……』

 

G3-XFAは確かに協力ではあるが、重量がある上に装着した状態では階段を上がれないどころか、エレベーターに入れなくなる可能性もある……ここで手放すほかなかった。

 

「そうですか……惜しいなぁ……」

 

ユーリはFAユニットを名残惜しそうに見ながら、その場を後にすることにした。

 

────────────────────

 

そのころ、ロイドとヨルもクモオーグ相手に奮闘していた。

 

「ハァァァァッ!!」

 

ヨルの素早い蹴りとスティレットによる突きが繰り出されるも、クモオーグは手を後ろに組んだまま、複腕を使うことなくサッとよけていく。

 

「なかなか鋭い攻撃ですね……どうでしょう、今からでも私と同じオーグメントとして共に戦いませんか?」

 

攻撃をかわしながら、ヨルをスカウトしようとするクモオーグ。

 

「あなた方に協力する理由なんてありません!」

 

当然、ヨルはそれを拒否し、足払いをかける。しかし、クモオーグは後ろに飛んでよけた。

その時、クモオーグがヨルから離れたところを狙い、ロイドはショットガンを発射した。

しかし、クモオーグは6本の腕を使って飛んできた弾丸を全て掴んでみせた。

 

「……理解に苦しみます。この殺傷能力……人ではない喜び……何故この幸せが分からんのです?」

 

クモオーグはウットリとした口調で自分の6本の腕を見ながら、2人を睨みつけた。

 

「理解できないのはお前の方だ!そんな幸せ……俺達にはない!!」

 

もう一度ショットガンを撃とうと、ロイドは銃口を向けた。しかし次の瞬間、クモオーグは口から糸を吐き、ショットガンの銃口を塞いだ。

 

「!!」

 

さらにクモオーグは糸を吐き出し、ロイドに付着させると、そのままロイドを振り回そうとした。

 

「ロイドさん!」

 

ヨルはすぐさまスティレットで糸を斬ろうとするが、それよりも早くクモオーグはロイドを振り回し、ヨルもろとも投げ飛ばした。

 

「……アーニャちゃんとシエルくん……でしたか?あの2人にオーグメント手術を、怪人にする手術をしてあげましょうか。」

 

クモオーグのその一言に、ロイドとヨルは赤い十字架をかたどったマスクの下で目を見開き、怒りを覚えた。

 

「お子さんが怪人になれば、あなた方も……」

 

次の瞬間、クモオーグの語りを遮るようにロイドとヨルはクモオーグに襲いかかった。ヨルはスティレットを、ロイドは脚のホルスターに収納したナイフを抜いた。

しかし、2人の攻撃は簡単に防がれてしまう。

 

「いいですねぇ、また近接戦闘能力が上がりましたよ!やはりあなた方ご夫婦には素質がありますよ!!」

「だまれ……!!」

「今すぐその口を閉じてください……!!」

 

クモオーグは2人の逆鱗に触れた。2人にとって、アーニャとシエルの命はどんなものよりも重い。そのため、クモオーグの一言は、たとえ冗談だったとしても許せるものではないのだ。

 

「ショッカーは人類を幸福へと導いてくれる……現に、私は今、幸せなのです!!獲物の命をこの手で奪える幸福感……あなた方もきっと理解できるはずです!」

「だまれと……!!」

「言っているんです!!」

 

2人は思った。

「こいつの全てを止めてやる!」……逆鱗に触れたこの男の息の根を止めてやると決めた。

次の瞬間、ヨルは飛び蹴りを繰り出した。同時に、ロイドはメリケンサックのようなものを取り出し、拳につけた。

 

(私に武器など通じ……)

 

クモオーグは複腕を使って攻撃を防いだ。しかしその瞬間、ロイドの攻撃を受け止めた腕が爆発し、ヨルの蹴りを受けた腕に高圧電流が流れた。

 

「なっ……!?ぐあぁぁぁぁ!!」

「さすがアイネさんとフランキーだ……短期間でこんな威力の武器を作るとは!」

 

2人はスティレットや銃火器以外にも武器を装備している。ヨルはブーツの中に小型スタンガンが仕込まれており、蹴りが直撃したと同時に作動する仕組みになっている。

ロイドのメリケンサックは殴る部分に火薬のカートリッジを装填することで殴ると同時に爆発ダメージを与えることができる。

 

「まさか……この私が不覚を取るとは……!!」

「ヨルさん、一気に決めましょう!」

「はい!!」

 

2人は決めるなら今とばかりに、一気にクモオーグに突進した。

 

「くっ!」

 

クモオーグは口から糸を天井に向けて吐き、それで逃げようとしたが、その前にヨルはその糸を掴んだ。

 

「ハァァァァァァァッ!!」

「バ、バカな!!?」

 

ヨルは糸を掴んだまま、ハンマー投げのようにクモオーグを振り回し、空中に投げ飛ばした。

 

(なんて馬鹿力……!)

 

ヨルの怪力に驚いている内に、2人はクモオーグに向かって飛び上がった。

 

(しまりました……!!空中では私が圧倒的に……不利ィィィィィ!!)

 

次の瞬間、2人の拳がクモオーグの胸に命中した。クモオーグはそのまま床に直撃し、倒れた。

さらに2人はそのまま倒れたクモオーグに向かって飛び蹴りを繰り出した。

 

「トドメを……いきましょう!!」

「はい、一緒に!!」

 

2人は仮面ライダーではない。だが、2人は思った。たとえ仮面ライダーではなくとも……気持ちだけでも、魂だけでも彼らに近づけたなら……

 

『ライダーキィィィィィック!!』

 

2人の渾身の飛び蹴りが、クモオーグの胸に命中し、その衝撃は心臓まで貫いた。

 

「かはっ……!!」

 

心臓を潰されたクモオーグは、断末魔を上げることなく息絶えた。その体は泡になり、消滅していった。

 

「か、勝った……勝ちましたよ、ロイドさん!」

「はい……なんとか……!」

 

クモオーグを倒せたことに喜び、2人は思わず抱き合った。

その時、耳に当てた通信機から通信が入った。

 

『ロイド君、聞こえるか?』

「フリッド!」

『こっちは片付いた……が、シエル君はいなかった。他の皆のところにもいなかったらしい。』

「そうか……ならやはり……」

 

フリッドからの通信を聞き、ロイドは上を見上げた。

塔の中を探してもいない……となると、シエルは最上階にいる可能性がある。

 

「フリッド、一度合流しよう。」

『ああ、待ってるぞ!』

 

それぞれ強敵を倒し、ロイド達は最上階へと向かった……

 

───────────────────

 

場所は変わり、ウォルターとノエルがいる病院では……

 

「ハァ……ハァ……!」

「お兄ちゃん……!!」

 

ウォルターはグレア相手に苦戦していた。持っている刀は折れ、身体は傷だらけにされた。

 

「フハハハハハ!さすがの貴様もライダー相手では分が悪いようだな!」

 

ウォルターは生身でクリスはグレアに変身している。いくらウォルターが強くても、実力差はあった。

 

「このまま始末するのもいいが……こいつらにやらせるか。おい、出てこい!」

 

グレアが叫ぶと、後ろから2人のライダーが現れた。それは、ウォルターとノエルがよく知る人物だった。

 

「そんな……!」

「くっ……!ガオ……グイン……!!」

 

現れたのは仮面ライダーダパーンことガオと、仮面ライダーギンペンことグインだった。

以前はウォルターの部下で、すでに死んでこの世にいないはずの二人だった。

 

「フハハ、以前の部下に殺されるのも一興だろう?さぁ、やれ!」

 

ダパーンとギンペンはそれぞれ身構え、ウォルターに近づいた。

 

「くっ……!」

 

もうダメかと思ったウォルター……だったが、次の瞬間ダパーンとギンペンは後ろを振り向き、手持ちの武器でグインを攻撃した。

 

「ぐあぁぁっ!!?」

「なにっ!?」

 

驚いたのも無理はない。ビッグマシンによって蘇った者は基本的にショッカーの手先になっている。グレアがそうだ。しかし二人はそんなことはないようだった。

困惑していると、二人は口を開いた。

 

「ボス……大丈夫ですか?」

「き、貴様ら……なんのつもりだ!?」

「別にぃ?歯向かったら怖いと思った方に従ったまでだ。ショッカーやアンタより、ウォルターの方がよっぽど怖え。」

 

二人の言葉にウォルターは啞然としながらも、嬉しくも思っていた。二人は復活してもなお、ブラックサレナの一員であり、ウォルターの部下だったのだ。

その時、ポーンとエレベーターが到着した音が響いた。ついにノエルが乗る順番が回ってきた。

 

「お兄ちゃん、一緒に逃げよう!」

「……お前だけ行け。」

 

一緒に逃げようというノエルの誘いを、ウォルターは断った。そしてウォルターは嫌がるノエルを無理やりエレベーターへと乗せた。

 

「ヤダ!逃げる時は一緒がいい!絶対だからね!」

「……ノエル……」

 

涙ながらに首を横に振るノエル。そんなノエルを見て、ウォルターは彼女の頬に触れた。

 

「……頼む。これが俺の最後のワガママだ……これが終わったら、今度はお前のワガママを聞いてやる……」

「お兄ちゃん……」

 

その時、涙を流すノエルに向けて、ウォルターは満面の笑顔を浮かべた。

 

「大丈夫だよ、ノエル。俺は……お兄ちゃんは負けないからな!」

 

初めて見せる兄の笑顔……それを見て、ノエルは覚悟を決めた。兄は、ウォルターは死なない。そう信じてエレベーターのボタンを押してドアを閉じた。

 

(……すまん、ノエル……俺は、もうそっちには戻れない……)

 

ウォルターは刀を握りしめた。ウォルターは思った。自分はノエルのそばにはいられない。ノエル達の側にいる資格はないと思っていた。

 

「リーダー!指示くれよ!」

「ボス!私達はあなたに従いますよ!」

 

二人の言葉を聞き、ウォルターはフッと笑い、折れた刀の切っ先をグレアに向けた。

 

「そうか……ならば命令する。奴を殺せッ!!」

『了解!!』

(死すならば……戦いの中で!!)

 

 

 

 

 

 




おまけ「投票結果」

厳正なる投票の結果……「SPY×AGITΩ」に登場するオリキャラ人気投票……見事1位に輝いたのは……グリム・ハワード!!

「ハーハッハッハ!!俺様一番ーーー!!」

第2位はフリッド・リード!

「前回は俺の方が圧倒的に票が上だったんだがなぁ……負けたよ。」

第3位は同票でロゼッタとシエル・フォージャー。

「やったねシエルちゃん!」
「う、うん!」

1位に輝いたグリムには特典としてプレゼントが与えられる……そのプレゼントとは……

『グリムくーーーん♪』
「うん?うわっ!?」

グリムの前に現れたのは、ヨルとロゼッタ、それにカミラ、ミリー、シャロンの同僚三人組にメリンダと、今までグリムと関わったことのある女性達だった。
女性陣はグリムを取り囲むと、各々作ってきた料理を取り出した。

『はい、あ〜ん♪』
「な、なんだよ!いきなりベタベタしやがって……!」

複数の女性達に囲まれ、グリムは思わず赤面し、照れてしまう。

「ダーリン、こっち来て〜♡ギュ〜ッ♡」
「私もグリムくんをギュッってしちゃいます♡」
「ロゼッタにヨル先輩……!か、勘弁してくれよぉ……!」

大好きなロゼッタとヨルにギュッと抱きしめられ、グリムはますます赤面し、顔が真っ赤に染まっていった。
そんなグリムの姿を見て、フリッドは笑っていた。

「ははは、グリムにとっては嬉しいプレゼントだな。」
「でも……こうやって見ると、グリムおにーさんって女性と関わり多いんですね……」

その後、グリムは1日中女性陣に囲まれ、ベタベタとくっつかれグリムはすっかり参ってしまったのだった。

「大変な1日だった……」
(で、でも、身体中に柔らかい物が来て……す、凄かった……)

─────────────────────

読者の皆様、投票ありがとうございます!
正直言うとフリッドとグリムの2強になるのは予想ついたのですが、まさかロゼッタとシエルに票が入るとは思いませんでした。入るならニコルかなぁと思ってたので……

読み返してみると、グリムが一番女性と関わり多かったです。一回だけの関わりでいえばフィオナも入ってます。

SPY×AGITΩのオリキャラで好きなキャラは誰?(6月半ば頃に集計します)

  • フリッド・リード
  • グリム・ハワード
  • イグニス・ブレイズ(グレン)
  • ニコラス・ハワード(ニコル)
  • ウォルター・クロフォード
  • ロゼッタ
  • ノエル・アスール
  • シエル・フォージャー(ソラ)
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