SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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Chapter.11 Promise

 

ビッグマシンのレイズバックルのスイッチを押したことで、タイムクラッシュが始まった。

その影響がロイド達にも現れた。ロイド達は今、ありえたはずの未来、もしもの未来を「夢」見ていた。

 

「父さん……!ごめんなさい……!ぼく、あの日参考書買いに行くって嘘ついた……!」

「いいんだ……謝ってくれただけで嬉しいよ……」

 

「お母さんの料理だ……姉さん……!」

「ええ…おいしいね、ユーリ……!」

 

「あらあら、どうしたのフリッド。そんなに泣いて……」

「ごめん、母さん……でも、母さんが生きてる……!!」

 

「フフッ……グラハムったら、今日は甘えん坊さんね。」

「俺、ずっと…ずっと怖い夢見てた……母ちゃんが死んだ夢……!」

 

そして、同様にアーニャも「夢」を見ていた。

 

「……ここは?」

「お前の『夢』の中だよ、アーニャ。」

 

真っ白な空間の中で、アーニャの前に現れたのはアベルだった。

 

「パパ……」

「みんな、やり直したいことがある。会いたい人がいる……だから、『もしも』を夢見てしまう。お前にはあるか?」

「もしも……」

 

アベルの問いかけに、アーニャは自身の過去を思い返した。もしも…また会える人がいるならば、それはアベルとソニア……実の両親。だが1つ気になることがあった。

 

「パパとママだけじゃなくて……ちちとははも、みんなもいっしょにいられる?」

「……アーニャ、それはダメだ。『もしもの世界』は変わってしまった未来なんだ。変わってしまった未来に、ロイド達はいられないんだ。」

 

アベルの言うことを分かりやすく言えば、みんながいる「現在」を選ぶか、死んだ両親が生きている「もしもの未来」を望むか……ということだ。

幼いアーニャにも、そのことはなんとなく分かっていた。だが、決して泣くことはなかった。決して迷うことはなかった。

 

「……アーニャ、ミライをいきるっ!」

 

アーニャの答えは決まっていた。たとえ本当の両親と会えたとしても、そこにロイド達と仮面ライダーがいなければ意味がない、みんなとずっと一緒にいたい……それがアーニャの望みだった。

すると、アベルは笑った。

 

「答えはもう決まってたか。」

「ういっ!みんなをたすけにいくっ!どうすればいい!?」

「お前はアギトだ。」

 

そう言うと、アベルはアーニャの手をギュッと握った。

 

「アギトは進化を続ける力……お前が本当に望んだ未来を生きたいと願うなら、願い続けろ。願い続ける限り……」

「アギトの力はそれに答える。」

 

その時だった。語りながらアーニャの手を握るアベルと同じように、もう一人手を握ってくる者が現れた。それは、アーニャの実の母親、ソニアだった。

 

「ママ!」

 

ソニアの姿を見た瞬間、アーニャは目から涙がこぼれ出しそうになった。だが、それと同時に2人に握られた手が光り始めた。

 

「アーニャ、みんなを『夢』から覚ましてあげて。」

「お前ならそれができる。みんなの心の声を、彼らに届けるんだ。」

 

アーニャから手を離すと、2人は優しく笑みを浮かべた。そして、こう言った。

 

『いってらっしゃい。』

 

それは愛する言葉を送り出す言葉だった。それに返す言葉は決まっている。

 

「……いってきます!!」

 

アーニャは真っ白な空間の中を駆けた。行く先は見えなくても、行くべき場所は決まっている。

2人から貰った力をもって、囚われた仲間達を救うために……

 

「みんなのこえっ!みんなにとどける!!」

 

眩い光とともに、アーニャは飛んだ。

 

 

 

「母さん……俺はもう、どこにも行かないからね。ずっとここで母さんの世話をするよ。」

「そんなこと言って、あなた結婚しなくていいの?」

 

自分の思い出の家で愛する母の世話をするフリッド。結婚しなくていいのかと問われたが、フリッドは鼻で笑った。

 

「いいんだ……結婚なんて……結婚……」

 

その時、フリッドの脳裏に女性らしき姿が浮かんできた。自分はこの女性のことをよく知っている……はずなのに思い出せなかった。

 

(なんだ……?俺、何か大切なものを忘れてる……?)

 

その時だった。

 

『フリッド先生ーー!!がんばれーーー!!』

 

たくさんの子どもの声が頭の中に響いてきた。さらに続けて、老人の男の声と、若い男の声が聞こえてきた。

 

『フリッドさん……あなたのおかげで、僕はヘンダーソン先生とまた出会えたんです!!やり直すことができたんだ!僕はまだ、そのお礼をできてない……だから、負けないで!!』

『フリッド……最初は不安だったが……お前を我が校の教師に迎えてよかったと思っているぞ!生徒達はずっとお前を待っている!!』

 

(この、声……)

 

さらに、幼い男児の声と女性の声が聞こえた。

 

『叔父さん……俺、ずっと叔父さんと一緒にいたい……!だから、負けないで……!!』

『フリッド……お願い……!死なないで……!!』

 

忘れてはいけない2人の声……その声を聞いた瞬間、フリッドは目から涙を流した。

 

(俺は何故忘れていたんだ……!大切な人達を……!!)

 

その声が届いていたのは、フリッドだけではなかった。

 

グリムの方にも……

 

『グリム……こんなところで諦めるのか!?お前の未来はここからのはずだ!!未来をつかめ、グリムーーッ!!』

『グリム……最初はクソガキだって思ってたけど、私……気づいてたらアンタのこと大好きになってたのよ……!また姿を見せて……!』

『グリムくん……俺とカミラの子ども、君には一番に見せたいんだ……!!』

『ダーリン!私、いつだって待ってるから!ダーリンの好きなもの、いっぱい作って待ってるから!!絶対に帰ってきてね!!』

 

ユーリの方にも……

 

『ユーリくん、私……あなたをG3の装着者に選んでよかったわ。G3は何も言わない機械だけど、あなたが装着してくれてよかったと思っていると思うわ。』

『ユーリくん……死なないで……!私、ユーリくんとずっと一緒にいたい……!!』

『ユーリ……お前の力はそんなものだったのか!?俺に勝ったのはまぐれだったのか!?そんなことで、ノエルを抱けるのか!!』

 

そして、ロイドとヨルの元にも……

 

『ちちーっ!!ははーっ!!みんなおきてーーーっ!!』

『ボフッ!!』

 

「アーニャさん……ボンドさん……」

「アーニャ、ボンド……」

 

大切な人達の声を聞き、ロイド達は今、何故ここにいるのか、目の前に何故死んだはずの大切な人達がいるのかを理解した。

そして、覚悟を決めた。

 

「……父さん。」

「お母さん……」

「お父さん……!」

「母さん、ごめん……!」

「悪い、母ちゃん……」

 

『俺(私)、まだそっちに行けない……』

 

ロイド達が選んだのは過去ではなく、未来。そのために目の前の大切な人と別れを告げた。

すると、ロイド達の親達は泣くわけでも、取り乱すこともなくニコッと笑った。

 

『いってらっしゃい!』

『……いってきます!!』

 

ロイド達も親と別れを告げ、未来へ……自分の望み未来に向けて歩み始めた。

 

──────────────────────

 

「ハァァァァッ!!」

 

ロイド達が眠っている間、残されたガッチャードとフータロスは必死にビッグマシンに立ち向かっていた。

しかし、ビッグマシンには歯が立たず、ついに倒れ、変身が解除されてしまう。

 

「クッソ……!ミラージュアギトっての……強すぎんだろ……!!」

「みんなの代わりに、俺がやらなきゃならないのに……!!」

「グフフフフ……これでもう終わりだ、もうすぐタイムクラッシュが始まり、この世界は我らの物となるのだ!!」

 

ビッグマシンの叫びとともに、レイズバックルがさらに赤く輝き、2人のシエルが入っているカプセルも青く光り始めた。

だが、次の瞬間、気を失っていたはずのロイド達が目を覚まし、その拳をカプセルに叩きつけた。

 

「なにっ!?」

 

カプセルのガラスが割れ、そのままロイド達はカプセルをこじ開け、シエル2人を救出した。

 

「な、なんだとォォォォォッ!!?」

「み、みんなっ!!」

「や、やっと目ぇ覚ましやがった!!」

 

救出したシエルを抱きしめるヨルとロイドの横で、グリムは静かに呟き始める。

 

「……夢を見てた。死んだ母ちゃんと会う夢……嬉しかったけどよぉ……とても悲しい夢だったよ。」

「大切な人を忘れてしまうという、オマケつきだからな……」

 

グリムに続いてフリッドが呟き、それと同時にロイド達はビッグマシンを睨みつけた。

ビッグマシンは思わず後ずさる。決してロイド達にビビったわけでなく、何故、ロイド達が目を覚ましたのか理解できなかったのだ。

 

「何故だ……何故目を覚ました!?貴様ら……死んだ人間とまた会えるんだぞ!?また愛する者と過ごしたくないのか!?」

「会いたいです……会いたいに決まってるじゃないですか!」

「だが、そのために現実で手に入れた物を手放したくないっ!!」

 

皆、確かに大切なものを失った。だが、それ以上に手に入れたものが多かった。それをまた失うわけにはいかない。

だからこそ立ち上がる。二度と失わないために。

 

「うぅっ……お母さん……お父さん……」

 

その時、シエルが目を覚ました。赤ん坊の方のシエルも目を覚まし、泣き始めた。

 

『シエル!!』

「シエルちゃん……!もうっ!無茶なことをして!!」

 

未来のシエルをヨルは泣きながらも抱きしめ叱りつけた。

 

「で、でも……僕がやらなきゃ、未来が大変なことになるんだ……だから、僕が命を捨ててでも……!!」

 

シエルはこの状況になっても、まだ自分が犠牲になろうとしていた。すると、ロイドはシエルの頬を叩いた。

 

「この…馬鹿野郎!!」

「お父さん……!」

「俺達が……悲しまないとでも思ってるのか!?息子が死ぬのなんて……耐えられない……!!」

 

ロイドは滝のように涙を流しながら、シエルを抱きしめた。

 

「でも、誰かが止めなきゃ……!」

「俺ら仮面ライダーが止めればいいだろ!」

「僕達のことが信じられないのか!?」

「うっ……」

 

グリムとユーリの言葉に、シエルは何も言い返せなかった。

すると、今度はフリッドがシエルの肩に手を置いた。

 

「フータロスから聞いたよ。君は、仮面ライダーみたいになりたいんだろ?シエルくん……君の好きな仮面ライダーは、大切な人を悲しませてまで自分を犠牲にするような奴か?」

「……違います……」

「だったら、ここは俺達に任せてくれるか?」

 

フリッドの優しい言葉に、シエルは何も言わずにコクリと頷いた。

 

「シエルくん!」

 

すると、宝太郎がシエルに駆け寄ってきた…かと思うと、急にその場に座り込んだかと思うと、頭を下げてきた。

 

「ホ、ホータローお兄ちゃん!?」

「ごめん!!俺……シエルくんの気持ち……何にも分かってあげられなかった……!!でも、今度は違う!一緒に問題を解決しようよ!俺が……俺達が仮面ライダーが力になるよ!!」

 

力強く、自信をもって熱弁してくる宝太郎に、シエルは胸が熱くなった。出会った歳月が短いにも関わらず、ここまで心配してくれているのだ。

そして、宝太郎と同じくシエルを心配していた者がもう一人……

 

「あー……シエル。」

「フータロス……」

 

フータロスは照れくさそうに頭を掻きながら、シエルに歩み寄った。

 

「なんだ……そのぉ……お、俺は、お前を利用していい思いしようとしてたんだ!ま、まだいい思いしてねぇんだからよ……勝手に死のうとすんな!」

「フータロス……!」

 

一見怒鳴りつけているように見えるが、それはフータロスなりの優しい言葉だと理解したシエル。理解した瞬間、シエルは目に涙が浮かびあがった。

すると、アーニャは背伸びをしてシエルの頭に手を置いた。

 

「よしよし、もうだいじょぶだぞ!」

 

アーニャはニコッと笑いながらシエルの頭を撫でた。その瞬間、シエルの脳裏に、元の世界にいたときの記憶がよぎった。

 

『よしよし、もう大丈夫だから……お姉ちゃんが守ってあげる!』

 

姉と一緒に暮らしていた日々がよぎった。小さい頃からずっと一緒にいてくれた姉……学校に行く時も、食事の時も、お風呂の時も、遊びに行く時も一緒にいてくれた、大好きな姉……

その記憶がよぎった瞬間、シエルが今まで抑えてきたものが溢れ出した。

 

「う……う、うわぁぁぁぁぁぁ……!!」

 

シエルはアーニャに抱きつき、ワンワンと赤ん坊のように泣き出した。未来のシエルが泣いたのに呼応するように、赤ん坊のシエルも泣き出した。

その姿を見て、ロイド達は微笑ましく笑っていた。

しかし、その空気を壊すようにビッグマシンが叫んだ。

 

「貴様ら……よくも邪魔をしてくれたな!!」

「これでお前の作戦は崩れたな、大首領!」

 

ロイドの言う通り、シエルが解放されたことでビッグマシンの計画は潰れたといえる。元はシエルが特異点であることを利用し、自分の身をタイムクラッシュから守ろうとする計画だったが、それは丸潰れ……これでショッカーの野望も潰えた……と思いきや、

 

「こうなれば……!!」

 

ビッグマシンがレイズバックルを握りしめると、赤い光がさらに眩く光り始めた。

 

「タイムクラッシュだけ発生させて、この世界を破壊してくれよう!!」

 

なんと、ビッグマシンは玉砕覚悟でタイムクラッシュを発生させるつもりだった。だが突然、ビッグマシンが持つバックルが何かに引っ張られた。

 

「な、なんだ……!?引っ張られて……うおっ!?」

 

レイズバックルはビッグマシンの手から離れ、そのままロイド達の所……よりも後ろの方へ飛んでいった。そして飛んでいったバックルはある男の手に……

 

「……このブーストレイズバックルMark.9は……二つに分割できるんだ。『創生』の力と、『破壊』の力……って感じにな。」

「お、お前は……!」

「ようやく取り戻したぞ、俺の創生の女神の力……!」

 

そこに現れたのは、少し前にロイド達に協力してくれた、仮面ライダーギーツこと、浮世英寿だった。

 

「エース!!」

「久しぶりだな、ユーリ。」

 

エースだけではなかった。

 

「間に合ったか!」

「神さん!」

 

仮面ライダーX・神 敬介、

 

「大丈夫か!?」

「タクミー!!」

 

仮面ライダーファイズ・乾 巧……ロイド達に協力してくれたライダー3人が揃った。

さらに、それだけではなかった。

 

「やっと反撃開始か。」

「やっと、いけそうな気がする!」

 

なんと、仮面ライダーディケイド・門矢士と仮面ライダージオウ・常磐ソウゴまでも英寿達と一緒にいた。

 

「あーっ!?お前ら!?」

「なんで君達まで神さん達と一緒にいるんだ!?」

「お前ら、エース達のこと倒したとか言ってなかった!?」

 

フリッド達は思わず声を上げた。それもそのはずディケイドは少し前に、3人のことを「倒した」と発言したのだ。

 

「あー、それウソだ。」

『はぁっ!!?』

 

さらにフリッド達は大声を上げた。

困惑するフリッド達に英寿達が説明に入った。

 

「実はな……俺達はずっと隠れてたんだ。この世界にいるショッカーを叩き潰すための準備をするためにな。」

「じゃあ、倒されたってのは?」

「ショッカーを欺くための嘘だ。士とソウゴはそれに協力してくれてたんだ。狐に騙されたな♪」

 

英寿は片手で狐を作り、笑ってみせた。それを見て、ロイド達は肩透かしをくらい、ガクリと項垂れた。

 

「ウソだろ……」

「敵を欺くなら味方から……ってやつだ。」

「兎にも角にも、これで反撃の準備は整ったわけだ。」

 

巧の言う通り、これでショッカーの企みは完全に阻止し、反撃の準備は整ったといえる。全員、ビッグマシンを睨みつけ、今にも襲いかかろうと身構えた。

 

「おのれ仮面ライダー!!こうなれば!」

 

その時、ビッグマシンは壁にあるスイッチを押した。すると部屋からビーッ!ビーッ!と音が鳴り始めた。

さらにビッグマシンは壁を突き破り、外へ飛び降りた。

 

「野郎っ!このタワーを爆破させる気か!!」

 

ビッグマシンは自分だけ逃げ、ロイド達をタワー諸共爆発させて倒すつもりのようだった。

 

「スチームライナー!力を貸して!」

『スチィーーームッ!!』

 

その時、宝太郎は蒸気機関車のような生き物が載ったカードを取り出し、その場に掲げた。すると、カードからスチームライナーが飛び出し、巨大化した状態でロイド達の前に現れた。

 

「みんな、スチームライナーに乗って!」

『スチィーーーム!!』

 

宝太郎の指示に従い、全員スチームライナーに乗り込み、タワーから脱出した。まもなくしてタワーは爆発し、崩壊した。

 

「待て、大首領!!」

 

スチームライナーから飛び降り、ロイド達はビッグマシンを追い詰めた。

しかし、追い詰められたにも関わらず、ビッグマシンは笑っていた。

 

「これでワシを追い詰めたと思ったのか……?私がストックしている怪人どもはまだ残っているぞ!!」

 

ビッグマシンの青いバイザーが光り輝いた。

そして、ビッグマシンから新たな怪人が喚び出された。その怪人は……

 

「な、なんだこいつ……!?」

「デ、デカい……!!」

「キングダーク!!」

 

それはかつて仮面ライダーXが苦労の末倒した巨大な怪人、キングダークだった。

いくらロイド達が歴戦の戦士でも、巨人と戦ったことはない。と、その時……

 

「あ、あんなのとどう戦うんだよ!?」

「大丈夫だ。反撃の準備はできたって言ったろ?」

 

英寿の一言とともに、どこからかズシン!ズシン!と巨人のような足音が聞こえてきた。そして……

 

「ジャンボライダーパーンチッ!!」

 

その一声とともに巨大な拳がキングダークを殴り飛ばした。

 

「な、なんだあれ……!?」

「ロ、ロイドさん……私、夢を見てるんでしょうか……?め、目の前にすごく大きい仮面ライダーが……!?」

「ゆ、夢ではないですよヨルさん……!巨大な仮面ライダーが、俺達の前に……!!」

 

突然現れた巨人のような仮面ライダーを見て、ロイド達は唖然としていた。そんなロイド達を横目に、士は静かに口を開く。

 

「奴は仮面ライダーJ。仮面ライダーの中で唯一、自力で巨大化できるライダーだ。」

「そんな奴がいるのか……」

「他にも助っ人は呼んであるぞ。」

「うん、この世界に来たの……俺達だけじゃないんだよね。」

 

─────────────────────

 

「これは……いったい、どうなっている……!?」

「奇跡だ……この世界で、一番の奇跡だ……!!」

 

それは、突如として集まった。

 

「2号の力、お見せしよう!!」

「このV3が相手だ!」

「ライダーマン、結城丈二が相手だ!」

「ケケーッ!ケケケケーッ!!」

「天が呼ぶ!地が呼ぶ!人が呼ぶ!悪を倒せと俺を呼ぶ!俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!!」

 

時代を越えて、

 

「さぁ、元気いっぱいいこうぜ!」

「赤心少林拳、沖一也が相手になる!」

「仮面ライダー!ZX(ゼクロス)ッ!!」

「仮面ライダー……BLACK(ブラァック)ッ!!」

「俺は太陽の子!仮面ライダーBLACK(ブラァック)!!RX(アーッルエックス)ッ!!!」

 

世代を越えて、

 

「グオォォォォォォォォォォッ!!」

「みんな、一生懸命生きてる……それを邪魔する権利は誰にもない!!」

「これ以上、誰かの涙は見たくない……!!」

「仮面ライダー同士、一緒に戦おう!」

「俺は運命と戦う!そして勝ってみせる!!」

 

世界を越えて、

 

「さてと、いきますか。」

「俺は天の道を行き、総てを司る男……」

「俺、参上!!」

「行くよ、キバット!」

「よっしゃあ!キバッていくぜぃ!!」

 

役者は揃った。

 

『さぁ、お前の罪を数えろ!』

「アンク……いくよ。」

「宇宙〜〜〜っ!!キターーーーッ!!!」

「さぁ、ショータイムだ。」

「ここからは俺達、仮面ライダーのステージだ!!」

 

願った奇跡は、

 

「いくぞ、ベルトさん!」

「OK!Start You Are Engine!」

「命、燃やすぜ!!」

「ノーコンテニューでクリアしてやるぜ!」

「さぁ、実験を始めようか。」

 

いつか形を変え……

 

「お前らを止められるのはただ一人、俺だっ!!」

「物語の結末は、俺が決める!!」

「いっくよー!!一輝ッ!!」

「あぁっ!沸いてきたぜ!!」

 

希望という名の道となり、人々を導く───

 

─────────────────────

 

「ほ、他の世界の仮面ライダーが全員、ここに集まってる!?」

「なんて人達だ……自分達の世界だって大変だろうに……」

 

別の世界のライダー達が勢揃いしているということに驚きを隠せないロイド達だったが、それ以上にビッグマシンも驚きを隠せていなかった。

 

「仮面ライダーどもが揃い踏みだと……!?どこまで我らの邪魔をするのだ……!!」

「ハッハッハッハッハッハッ!!」

 

その時、どこからか笑い声が聞こえてきた。

 

「あ、あそこ!」

 

その時、ユーリは少し遠くにある高台の上を指差した。そこには、たくましい肉体を持った初老の男が雄大に立っていた。

 

「貴様……本郷猛!!」

「久しぶりだな……ショッカー大首領!!」

 

本郷という男を見るなり、ビッグマシンは大声を上げて睨みつけた。対し、本郷も睨みながら高台から飛び降りた。

 

「あの人は……?」

「世界で一番最初に仮面ライダーになった男……原初のライダー、仮面ライダー1号”本郷猛”さんだ。」

「あの人が……!?」

 

今、目の前にいる男こそ、全てのライダーの始まりといえる男……その事実に驚きを隠せない。

すると、本郷はビッグマシンを睨みながらロイド達に語りかけた。

 

「フォージャー家の諸君、私達仮面ライダーがこの世界に来たのは、何も英寿君達に誘われたから……というだけではない。”彼”の、強い想いを感じたからだ。」

「彼……?」

 

その時、カツン…カツン…とこちらへ静かに歩いてくる靴音が聞こえてくる。

そこに目を向けると、そこには……

 

『あ……』

 

逆光で見えにくかったが、ロイド達にはハッキリ見えていた。歩いてくるのが誰なのか……

忘れもしない……その男は、ロイド達の友であり、仲間であり、家族になってくれた、”仮面ライダーアギト”と呼ばれた男……津上翔一……

 

「みんな、ただい……」

「津上君〜〜〜〜!!!」

「センパーーーーイ!!!」

 

「ただいま」と言おうとした瞬間、フリッドとグリムが駆け出し、翔一に抱きついてきた。

 

「うわっ!?ふ、二人とも……」

「本当に、本当に津上先輩だぁ〜〜〜!!」

「あぁ、津上君……!元気そうでよかった……ハグしてもいいか?」

「もうされてます……」

 

グリムはワンワン泣き喚き、フリッドは泣きながらギュッと翔一を抱きしめる。すると、続けてユーリが駆け寄ってきた。

 

「津上ィィィィィ!!」

「あっ、ユーリさ……!?」

 

突然、ユーリは殴りかかった……かと思いきや、その拳は眼前で止まった。

 

「津上……!!心配かけるなぁっ!!」

「フフッ……相変わらず不器用ですねー」

「うるさいっ!!」

 

ユーリは目に大量の涙を溜めながら叫んだ。皆が泣く中、自分だけは絶対に泣くまいとしているのが伝わってくる。

それを理解した翔一はいつものようにからかった。

そして、

 

「翔一君。」

「ロイドさん。」

「翔一さん。」

「ヨルさん。」

「ショーイチ!」

「アーニャちゃん。」

「ボフンッ!」

「ボンド。」

 

忘れてはいけない3人と一匹……記憶喪失だった翔一を拾い、一緒に悩み、笑ってくれた大切な人達、翔一にとっての第二の家族。

 

『おかえりなさい!』

「はい……ただいま!」

 

ようやく出会えた4人は笑い合い、お互いに抱きしめあった。これまで一緒にいられなかった分、少しでも長く触れ合おうとしたのだ。

 

「翔一君……この子、俺とヨルさんの息子の……」

「シエルちゃんです。」

「この子が……髪の色はロイドさんに似てますね!顔つきは……ヨルさんかな?」

赤ん坊のシエルを見て、翔一は思わず顔が綻んだ。しかし、すぐにキリッとした顔つきに戻った。

 

「この子のためにも……みんなでアイツを倒しましょう!」

『よっしゃあ!!』

 

翔一の一言とともに、皆は声を張り上げながらベルトを腰に巻いた。

すると、本郷もビッグマシンから離れて翔一達の元に飛んできた。

 

「私に続け!仮面ライダー達よ!!ライダァァァ……!!」

「ハァァァァ……」

《standing by...》

《ジッオーウ!》

《SET》

《スチームライナー!》《ホッパーワン!》

 

本郷は掛け声とともに全身に力を込めて腕を振り上げる。それに続くように翔一も左手を腰に置きながらゆっくりと右手を前に突き出し、フリッドも両腕を前に交差させる。

敬介も両腕を上に上げてXの字を描くように横に広げ、巧とグリムはボタンを操作、英寿は二つのバックルを装填、士はベルトを展開して、カードを用意。ソウゴはライドウォッチを起動し、宝太郎は二つのカードをベルトに装填した。

そして、全員は一斉に叫ぶ。

 

『変身ッ!!!』

《Complete.》

《カメンライド・ディケーイドッ!》

《カメーンライダー……ジッオーウ!》

《GET READY FOR BOOST & MAGNUM》

《READY FIGHT.》

《スチーム……ホッパー!》

 

仮面ライダーアギト、ギルス、G3-X、カイザ、X、ファイズ、ギーツ、ガッチャード、そして1号……役者は揃い、ついに最終決戦の幕が上がる。

 

「いくぞぉっ!!」

『おおっ!!』

 

全てを終わらせるため、仮面ライダー達はビッグマシンへ向かって突き進んでいった……

 

 

 




おまけ「なにそれ」

「ついに最終決戦が始まりましたね、我が魔王……」
「うむ。」

ロイド達がアギト、翔一と再会している様子を別の世界から覗いていたオーマジオウと家臣のウォズ。その時、ウォズはあることをオーマジオウに尋ねた。

「ところで我が魔王……アーニャ君がシエル君の心を読むことができなかったのは何故ですか?」
「私が秘術をかけた。シエルの作戦を読まれないためにな。」
「それはそれは……ところで、どうやって術をかけたのですか?」

さらに気になったことを投げかけるウォズ。オーマジオウの答えは……

「分からん。テキトーに『ハァッ!』ってやったらなんかできた。」
「なにそれこわい」


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