今回はちょっと長くなっちゃいました。
それとマードックが酷い目に遭いますけど、まぁアイツのファンなんて1000%いないだろうし、いいか。
○月☓日、イーデン校・・・
「それでは、授業を始めます。」
アーニャのクラスの教壇に立つのは、教頭兼道徳の授業を担当するジョージだ。
「ねぇ、アーニャちゃん。教頭先生って結構イケメンだよね〜!ロイド様には及ばないけど。」
「むう・・・」
隣に座っていた友人のベッキーがジョージのことを褒めていたが、アーニャは眉間に皺を寄せ不機嫌そうな顔をした。
「ア、アーニャちゃん?」
「アーニャ、アイツきらい。」
アーニャはジョージのことが気に入らなかった。それは以前、ジョージは父、ロイドのことを侮辱したからだ。
(ふん、敵意剥き出しだな。あの小娘……)
アーニャの敵意には、ジョージ自身も気づいていた。しかし特段気にすることはなかった。
(アーニャ、そんなに敵意を向けるな・・・また
教室の外で、一人の男が教室を覗いていた。作業服を着た清掃員・・・しかしそれはロイドが変装した姿だった。
今日、ジョージの授業が始まると聞いて、気になって覗きにきたのだ。
(ドノバンの息子は・・・特に変化はなし。)
ジョージはダミアンの方をチラリと見た。
ジョージは本当は法条という、ロイドと同じ「WISE」のスパイだった。この学校へは、ダミアンを監視するために教職員となった。
「では、まず簡単な問題を出します。」
法条はそう言って、黒板に問題を書いた。
「AとBという人間がいます。Aは普段からBにいじめられています。しかし、Bにいじめているという意識はなく、ただ遊んでいるだけ。この場合、どちらが善と悪でしょうか?」
法条はニコニコ笑いながら問題を出した。すると、ベッキーが手を挙げた。
「はい!Aが正義で、Bが悪です!」
「……ベッキーくんと同じ意見の人は?」
法条が聞くと、ほぼ全員が手を挙げた。それを見て、法条はフッとため息をつき、
「不正解です。」
冷たい目をしながら言い放った。その様子と答えに生徒達は動揺していた。
法条は続けて言った。
「この世に正義と悪なんてものはありません。あるのは事実だけです。AにはAの事実があり、BにはBの事実がある。その事実だけを直視すること。それが人生において大事なことです。」
(……さすがは法条。エリートというだけあって、ためになりそうな授業だな。だが……それ年齢一桁の生徒に受けさせていい授業か!?)
授業を覗いていたロイドは心の中で法条にツッコんだ。
(ほら、みんな顔キョトンとしてるぞ!)
教室の生徒達は法条の話が理解できず、皆キョトンと目を丸くしていた。
「意見がある人はいますか?」
すると、アーニャが手を挙げた。
「……アーニャくん。」
「きょーとーのはなし、アーニャぜんぜんわからない。」
(アーニャ!?)
アーニャのその一言に、ロイドは驚愕した。
「よのなかに"せいぎ"なくても、"せいぎ"をもってるひと、いる!
「偏屈、と言いたいのですか?」
アーニャの一言を聞き、法条は自分のことを言われていることに気づいた。すると、法条は一瞬眉間に皺を寄せたかと思うと、すぐにニコッと笑った。
「確かに、そういう意見もありますね!それも大事なことです!」
すぐに笑顔をみせた法条に、ロイドはホッと胸を撫で下ろした。
(し、心臓がもたん……アーニャ、頼むから法条とケンカしようとしないでくれ……!)
それから法条の、小さい子どもにはおおよそ理解できないであろう授業は続き……
授業の終わりのチャイムが鳴り響いた。
「今日の授業はこれで終わりです。それと、明日はイーデン校の創立記念パーティがあります。皆さん、忘れてませんね?出るときは親御さんと一緒に来るように!」
法条は荷物をまとめ、教室から出て行った。
(パーティか……ドノバンが来るかもしれない。必ず出席せねば!)
────────────────────────
パーティ当日、ロイド達はパーティ会場であるイーデン校に正装で来ていた。
「でも、本当にいいんですか!?俺まで来ちゃって!」
ロイド達の隣には翔一も正装で来ていた。
ソワソワしている翔一に、ロイドはため息混じりに答えた。
「ここまで来て何を言ってるんだ。パーティの料理を見たいと言ったのは君だろ?」
「ははっ、まぁ確かに!」
「いいか?誰かに俺達の関係を聞かれたら……」
「はい!ロイドさんの腹違いの弟!・・・って言うんですよね!」
翔一は元気よく返事をし、ロイドはコクリと頷いた。
「そうだ。見ず知らずの人間を居候させてる、なんて怪しすぎるからな。では、行こう。」
ロイド達は会場の中へと入っていった。
パーティは立食形式になっており、皆皿に料理を盛って立ちながら食べたり、会話を楽しんでいた。
「うわ~、見たことない料理がいっぱいですよ!」
「ホントですね!あ、これなんかおいしそう!」
翔一はさっそく目に入った料理を皿に盛った。ヨルとアーニャもそれに続くように料理のテーブルに向かった。
その間、ロイドは辺りを見回した。法条を探しているのだ。
「あ、教頭先生!」
ロイドは法条を見つけ、声を掛けた。
「ああ、これはこれは。アーニャくんのお父さん。」
法条はロイドを見るなり笑顔を浮かべ、互いに会釈した。そして、二人は真剣な顔つきになった。
「……ドノバンの姿は見たか?」
「いえ……来ていませんね。さすがにここは人の目が多いですから。」
「そうか……」
二人はドノバンが来ていないか確認した。と、その時、
「貴様ッ!!いい加減にしろ!!」
会場から大きな声が響いた。
二人はその声が聞こえた方へ眼を向けると、そこには腹を立てたマードックと困った様子の翔一がいた。
「翔一君……!?」
二人はすぐさまそこへ駆け寄った。
「何があったんですか?」
「この男は貴様の知り合いか!?無礼極まりないぞ!!」
「翔一君、何をしたんだ!?」
「いや~、実は……」
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ロイドが法条と話していた頃……
「翔一さん、これもおいしそうですよ!」
「ホントだ!アーニャちゃん、はいアーン。」
「アーン。」
アーニャ、ヨル、翔一の三人は和気藹々と料理を楽しんでいた。
その時、
「やあやあ、お久しぶりですね後妻さん。」
マードックがニヤニヤ笑いながらヨルに近づいて来た。
「あ、あなたは……」
ヨルは露骨に嫌そうな表情を出してしまった。面接試験の時、自分のことを侮辱したことをヨルは忘れていなかった。
「そんな嫌そうな顔するなよ。しかし、あの時は気づかなかったが……なかなかイイ体をしてますなぁ、後妻さん♪」
マードックはいやらしい目でヨルのドレス姿をじろじろと見始めた。そのいやらしい目に、ヨルは怒りを覚えた。
(この男……!やはり殺すべきでしょうか……!)
ヨルは一瞬仕事モードに入ったが、そこに……
「ダメですよそんな目で見たら!ヨルさんはロイドさんのモノなんですから!」
翔一が二人の間に入ってきた。マードックは突然入って来た見慣れない男に、眉間に皺を寄せた。
「あ?なんだ貴様は?」
「えっと……この人は主人の弟でして……」
「はい!俺、ロイドさんの腹違いの弟です!津上翔一です!」
翔一は元気よく返事をし、自己紹介をした。
「……ワシはマードックだ。フン、あの男に弟がいたとはな。見るからにアホそうな顔だな。」
「いや~、マドリさんほどじゃありませんよ!」
翔一は笑いながら頭を掻き、素でマードックの名前を間違え、毒を吐いた。
「マードックだ!というか、貴様!ワシがアホだと言いたいのか!?」
「あ、すいません!ドックリさん!癖で言っちゃうっていうか……」
「だから、マードックだ!ワシを怒らせたいのか!?」
2度も間違えた翔一に、マードックはさらに怒った。
「わざとじゃないんですって!本当に申し訳ないって思ってますよ、金剛寺さん!」
「一文字も合ってないぞ!貴様ッ!!いい加減にしろッ!!」
────────────────────────
「……というワケでして。」
(何してんだ……)
翔一から事情を聞き、ロイドは胃が痛むのを感じた。
「きょ、教頭!この男は無礼者です!そしてこの男を連れてきたこいつらも!まとめて追い出した方が……!」
マードックが法条に向かって意見を出そうとしたその時、法条は懐から消臭スプレーを取り出し、マードックの顔面に吹きかけた。
「ぶわっ!?」
「前にも言ったはずです。臭いから近寄るな、と。」
「ぐぬっ……!」
「確かに、人の名前を何度も間違えたことは無礼極まりない。しかし……元を言えば原因はあなたにあるのでは?マードック先生。」
消臭スプレーをポケットにしまいながら、法条はマードックを睨みつけた。
その目つきに、マードックはたじろいだ。
「今の話を聞く限り……あなた、ロイドさんの奥さんに色目を使ったみたいですね?」
「な、何を根拠に……?」
「それから、こんなのもありますよ。」
法条はニヤリと笑うと、懐から2枚の写真を取り出した。
その写真にはマードックが写っていた。しかもその写真には、マードックが女性職員にセクハラをする瞬間がまじまじと写っていた。
「な、なぜそんなものが・・・!!?」
マードックは信じられないという顔で、口を魚のようにパクパクさせた。
「女性職員から直訴されましてね。あなたのセクハラを訴えたいと。私としても……あなたのようなゲスな人間に、これ以上イーデン校を荒らされたくないんですよ。」
(それに、これ以上学校で問題が起きたら、任務どころではなくなりますからね。)
本音を隠しながら、法条は白い手袋をつけ、マードックの肩を叩いた。
「マードック先生、早々に辞表を書いてください。」
「ッ!!」
法条の一言に、マードックは目を見開き、その場に立ち尽くした。
そんなマードックに対し、法条はつけた手袋を外し、そのままマードックの肩に置き捨てた。
「捨てといてください、汚いので。」
手袋を置かれたまま、マードックはトボトボと歩き始めた。
それを横目に、法条はニコッと笑い、ヨルに手を差し出した。
「失礼しました。私は教頭のジョージです!娘さんのことはヘンダーソン先生から聞いてますよ!」
「は、はぁ……」
ヨルは戸惑いながら法条と握手を交わした。
「で、でも、少しやりすぎだと思います・・・・」
ヨルはマードックに対する仕打ちに、少しやりすぎだと感じていたようだった。
すると、法条は冷たい目をしながらフッと笑った。
「やりすぎ……?そう言ってあなた、本当は『ざまーみろ』と思ってるのでは?」
「そ、そんなこと……」
「無理はなさらず。口角が上がってますよ?」
言われてヨルはハッと口を抑えた。法条の言ってることは本当だった。ヨルは本当はマードックの無様な所を見て、「ざまーみろ」と思っていた。そして無意識にほくそ笑んでいた。
それを指摘され、ヨルは恥ずかしいような悔しいような気分を味わった。
「それから、津上さん……でしたか。」
「はい!どうも!」
「わざとではないにしろ、人の名前を間違えるのはよくありませんね。敵を作りますよ?」
「いや~、すいません……」
法条に指摘されて、翔一は苦笑いを浮かべた。
(こいつが報告にあった津上翔一か……まぁ、特に気にするところはないか……)
「では、パーティを楽しんでください。」
法条はロイド達に一礼し、その場から離れた。
「なんか…イヤな人ですね……」
「気にしないでください、ヨルさん。アイツは前からあーいう奴なんです。」
法条に言われたことを気にしているヨルに、ロイドは気にしないよう気遣った。
「アレ?ロイドさん、あの人と知り合いなんですか?」
「えっ!?あっ、じ、実はアイツ、俺が通ってた医療学校の後輩なんですよ!俺は医者になりましたけど、アイツは諦めて教師に……」
「まぁ、そうだったんですか!」
指摘されたロイドは慌てて嘘をついた。その嘘をヨルは信じ、なるほどと頷いた。
その様子にロイドはホッと胸を撫で下ろした。
(と、咄嗟の言い訳にしては、中々だな俺・・・)
「確かに頭良さそうですもんね、あの人!なんか偏屈そうですけど!」
翔一はそう言って、ニコニコ笑いながら料理を食べていた。
それを見て、ロイドは深いため息をついた。
「翔一君……頼むから敵を作らないでくれ……」
「あ、そうだ!」
翔一は何か思いつき、新しい皿に料理を盛った。
「俺、さっきの金剛寺さんに謝ってきます!」
「マードックな。」
「失礼なことしちゃったし……これで許してくれるかなぁ…ちょっといってきます!」
「く、くれぐれも怒らせるなよ!」
その場から去る翔一に、ロイドは怒らせないように言い渡した。
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(ワシが、辞表だと……?ちょっと女に触ったぐらいで?)
そのころ、マードックは会場の片隅でグラスを手にわなわなと震えていた。
(ふざけるな!ワシがそんなことぐらいで……!あんな若造さえいなければ……!!)
マードックは怒りに震えていた。最近入ったばかりの、頭がいいだけの若造にコケにされ、罵倒され、挙句に「辞表を書け」と言われ、散々な目に合わされて、もう我慢がならなかった。
自業自得ではあるが、そんなことはマードックの頭にない。
(そうだ、あの若造さえいなくなれば……)
あの男さえいなくなればいい。そう思ったマードックはワインの瓶を手に取った。
そして、会場の中央にいた法条にじりじりと近づいていく。
「あれ~?どこ行ったんだろ……あっ!」
その時、マードックを探していた翔一は、ついに彼を見つけた。
「いたいた!金剛寺さ・・・?」
翔一はすぐにマードックの様子がおかしいことに気が付いた。
と、その時だった。法条の背後に近づいたマードックが、持っていたワインの瓶を振り上げた。
「死ねぇぇぇぇ!!」
「危ないッ!!」
「ッ!!?」
ワインの瓶が勢いよく振り下ろされた。そしてその一撃は、法条を庇った翔一の頭に直撃した。
「ぐっ……!!」
「なっ……!?」
「キャーー----ッ!!!」
その時、女性の悲鳴がこだまし、それを皮切りに、周りの客達も悲鳴を上げた。
「せ、先生が人を殴ったぞ!」
「人殺しー!!」
その時、悲鳴を聞いてロイド達が駆け付けてきた。
「……ッ!!翔一君!!」
ロイド達はすぐさま翔一の元に駆け寄った。
「翔一さん、翔一さん……!!」
ヨルは今にも泣きそうな顔で翔一の手を握った。
「ショーイチ……しんじゃヤダァ!」
「大丈夫、大丈夫だから……」
アーニャも同様に涙を流し、翔一に向かって叫んだ。
しかし、翔一は心配をかけまいと頭から血を流しながらも、アーニャの頭を撫でた。
「お前が……!お前がやったのか!!」
血を流す翔一を見て、怒りを覚えたロイドはマードックに向かって叫んだ。
「妻を侮辱し、アーニャを泣かせただけじゃなく……翔一君まで……!!」
「ち、違う!!ワシは悪くない!!わ、悪いのはその男だ!その男が飛び出したりしなければ……」
翔一に向かって指を差しながら、マードックは見苦しい様に言い訳をし始めた。
その様子を見て、ロイドとヨルの中で何かがプツンと切れた。
「貴様ァァァァ!!」
「いい加減に……!!!」
二人は怒りに任せてマードックに襲い掛かろうとした。だが、それよりも早く、法条がマードックの顔面に拳を叩きつけた。
殴られたマードックは床に倒れた。
「法条……?」
「この、恥さらしが!!」
倒れたマードックに、法条は力強く踏みつけた。
「ぐえぇぇ!!」
「お前は!一体!どれだけ!このイーデン校を!汚すつもりだッ!!」
最後のとどめとばかりに、法条はボールのように蹴り飛ばした。
「はぁ……はぁ……誰か!救急車を!怪我人を……!」
法条は客達に呼びかけ、すぐに医者を呼ぼうとした。だがその時、会場のガラスが勢いよく割れた。
「ッ!!」
「グルルルル……」
パーティ会場にジャッカルの姿をしたアンノウンが乱入した。
その瞬間、会場にまたも悲鳴がこだまし、皆一目散に逃げ始めた。
「くそっ、こんな時に……!」
翔一はフラフラと立ち上がり、アンノウンに突進した。
「翔一君!」
「早く逃げて!」
「だが……!」
「いいから早く!それと……マードックさんも!」
翔一は床に倒れて気絶しているマードックに顔をやった。
それに対し、ロイドは歯ぎしりを立てた。
「そんなヤツ放っておけ!君を殺そうとしたんだぞ!?」
「でも……それでも助けてあげてください!」
「~~~~っ!!わかった!」
ロイドは不服ながらもマードックを起こして肩を抱き、会場から逃げ出した。
誰もいなくなったことを確認し、翔一はアンノウンを中庭まで移動させた。
「変身ッ!!」
誰もいない中庭で、翔一はアギトへと変身した。
さらにベルトの左側のスイッチを叩き、青い鎧にストームハルバードを装備し、「ストームフォーム」へと姿を変えた。
対し、アンノウンも大鎌を取り出し、構えた。
「ハッ!」
「グオアッ!」
ハルバードと大鎌がぶつかり合い、火花を散らせた。
リーチの差は互いに大差ない。むしろ、アギトの方が上手だった。ハルバードを勢いよく押し出し、アンノウンを突き飛ばした。
「ハアッ!!」
アギトはブーメランのようにハルバードを投げた。アンノウンはそれを跳んでよけた。ハルバードは弧を描いて上空へ飛んだ。そこに、アギトは高くジャンプしてキャッチし、そのままアンノウンに向かって振り下ろした。
不意を突かれたアンノウンは頭にダメージを負った。
「ロイドさん!アレ!」
「アギト……!!」
(ショーイチ!)
その時、逃げていたロイド達がアギトの姿を目撃した。
アギトはそのままアンノウンにとどめを刺そうとした。だがその時、アギトは激しい頭痛に襲われた。
「がっ!?ああっ……!!」
先ほどマードックに殴られた傷が痛むのだ。
「どうしたんだ?アギトは……?」
ロイド達は何故アギトが頭を抱えだしたのか分からず、困惑した。
その時、アギトの背中を何者かが蹴り飛ばした。
「うわっ!!」
そこに現れたのはもう一体のアンノウンだった。
アギトはフラフラと立ち上がり、戦おうとするが、頭の傷で上手く動けない。そこを突かれて、アンノウンの攻撃をまともに喰らってしまう。
「ガァウッ!!」
その時、獣のような叫びが轟いた。同時に鞭のような触手が伸び、アンノウンの腕に巻き付いた。
「シイィィ……」
そこに現れたのは緑色の戦士、ギルスだった。
「緑色のアギト!?」
まだギルスを見たことがなかったロイドとヨルは目を見開いて驚いた。だが、一番驚いていたのは他でもないアギトだった。
(アイツ、どこかで……)
ギルスはアンノウン2体と戦闘を繰り広げる。その様子をアギトはポカンと眺め始めた。
同時に、激しい頭痛が襲い掛かった。
「があっ!!ああああああああっ!!!」
殴られた傷が痛むのと同時に、脳内に映像が流れた。
その映像には、G-3と思われる青いスーツを身に着けた戦士と、ギルスと思われる緑色の戦士が自分とともに戦っている姿だった。そして自分は炎を纏い、別の姿へ……
(な、なんだこれ……!?俺の、記憶なのか……!?)
「う……!」
(いま、すこしだけショーイチのこころよめた?!)
アーニャの頭にも同じ映像が流れ込んだ。初めて翔一の心を読めたことに、アーニャは思わず動揺した。
(いつの、いつの記憶なんだ……!俺は、俺は……!!)
「うわあああああああああああ!!!」
その瞬間、アギトは大きな叫び声を上げ、そのまま気を失い、地面に倒れた。
同時に変身が解かれ、翔一の姿へと戻った。
『ッ!!』
そして、それを見たロイド達はまたも驚き、目を見開いた。
「そんな……翔一君が……」
「翔一さんが……」
「ショーイチ……」
信じられないものを見たと感じていた。3人はまさかアギトの正体が、いつも身近にいた翔一だったとは夢にも思わなかった。
だが、驚いていたのはロイド達だけではなかった。
「津上君……!?」
(津上君が、アギトだと……!?)
ギルスに変身するフリッドも、アギトの正体を見て驚き、攻撃の手を止めた。
アンノウンはその隙をついてギルスを突き飛ばし、その場から逃げ出した。
「ま、待て!がっ!?」
ギルスはすぐ追いかけようとしたが、その場で苦しみ出した。
(もう時間切れか……くそっ!)
体に限界を感じ、ギルスもその場から逃げ出した。
ロイド達はすぐ翔一の元へ駆け寄った。すぐに抱きかかえ、病院に連れて行こうとした。だが、出来なかった。
津上翔一がアギト……その事実が受け入れられず、ただ呆然とするしかなかったのだ。
おまけ「願い事」
「お待たせしました!恵方巻でーす!」
翔一はテーブルにドンと恵方巻を置いた。
「これが恵方巻か。」
「美味しそうですし、キレイですね!」
「でしょう?恵方巻は節分の夜に、恵方に向かって願い事を思い浮かべながら丸かじりして、無言で全部食べ切れば願い事が叶うって言われてるんです!」
翔一は恵方巻を手に取るロイド達に食べ方を説明した。
「面白い風習だな。あぐ……」
ロイド達はおもむろに恵方巻にかじりついた。
(任務の達成第一だ……)
(ロ、ロイドさんにキ、キスができますように……)
(とくたいせいになって、きょーとーをみかえす……)
各々願い事を思い浮かべながら黙々と恵方巻を食べていく。と、その横でフリッドも恵方巻を手に取った。
「すまないな、俺までごちそうになって・・・・」
「いいんですよ!ちなみに、フリッドさんはどんな願い事するんですか?」
「ハハハッ、決まってるだろう。『東映さんがギルスのスーツを新造しますように』って。」
フリッドは笑顔で坦々と言い放った。
(せ、切実……!)
フリッドの儚い願いに全員冷や汗を掻いた。
「アナザーアギトは新造されたのに、なんでかなぁ……ジオウにも出なかったし……はぁ……」
フリッドはため息をつきながら恵方巻にかぶりついた。
(き、気まずいし、食べづらい……!!)
その日食べた恵方巻は何も味しなかったし、なんならフリッドの願い事に動揺して自分の願い事なんて考えられなかった、と後にロイド達は語った。
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初めておまけを書きました。今後、たまにおまけを書くと思いますが、ほとんどメタいネタになると思います。
本当は節分の日に投稿したかったけど、いろいろあって投稿できませんでした。
まぁ、季節ネタということで……
作品内において、どのライダーの話が一番好きですか?期間は4月10日から4月17日まで。アンケート結果は後日作品内で発表します
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アギト編(翔一+フォージャー一家)
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G-3編(ユーリ+対策班、ノエル)
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ギルス編(フリッド+ダミアン、フィオナ)