「あの……ロイドさん、アーニャさん……」
「どうしました、ヨルさん。」
ある日、ヨルは困った顔をしながらロイドとアーニャの前に出た。ヨルの後ろにはたくさんの花とケーキなどの菓子が置かれていた。
「おかしいっぱい!」
「どうしたんですか?これ……」
「実は、さっきグリムくんとフリッドさんがプレゼントしてくれたんです。私に……」
ヨルの一言に2人は首を傾げた。
「なんで2人が……別に今日は誕生日じゃないですよね?」
「そうですけど……」
場所は変わり、街のとあるバーでグリムとフリッドは飲んでいた。
「……グリム、最新話……よかったな。」
「ああ……」
フリッドと酒を飲む中、グリムはグスグスと泣いていた。
「グリム。」
「わかってる……わかってるけどよぉ……!」
「気持ちは分かるさ……」
『スパイファミリー最新話(120話)最高だった!!』
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スパイファミリー最新話(120話)マジで良すぎた……ロイヨル推しは絶対見るべし。
「……よし。ロイド、味見頼む!」
翌日、グリムは喫茶シオンの厨房で客に提供する料理を作っていた。
作った料理のソースを小皿に少しだけ移し、同じく隣で料理を作るロイドに差し出した。ロイドはそのソースをスッと一飲みし、味を確かめる。
「……ヨルさん!1番テーブルの料理、オッケーです!」
ロイドは少し離れたところにいるヨルに呼びかけながら、グリムに料理を皿に盛るように促した。
それを見たグリムはホッと胸を撫で下ろし、料理を皿に盛った。
喫茶シオンで働いて数年、調理の方も徐々に任せられるようになった。グリムはそのことを嬉しく思っていた。自分の夢にどんどん近づいているような気がしたからだ。
賄いもグリムが作ることが増えた。
『いただきまーす!』
今日の賄いは余り物のパスタとバジルで作ったジェノベーゼとオニオンスープ。
グリムが作った2品をロイドとヨルは食べ始める。
「……ど、どうだ?」
「うん、いける。」
「美味しいですよ、グリムくん!」
その言葉にグリムは思わず笑みをこぼした。
「最近筋がよくなってるな。後もう少し修行すれば2号店を任せられる。」
「ほ、ホントか!?」
続くロイドの言葉にグリムは喜びの声を上げた。それと同時にグリムの目線に時計が見えた。
「あっ、そうだ。俺、昼から早退するわ。またライドの兄貴を手伝わねぇといけねぇから……」
「例の借金取りか?」
「ああ、もう少し稼がないとな……」
グリムはそう言いながら自分で作ったジェノベーゼを5分足らずで平らげ、オニオンスープを飲み干した。
「稼ぐって……お前、金欠なのか?」
「いや?ロゼッタがかなり貯金貯め込んでるし、暮らしていていくだけなら金はある。でも最近平和だから殺しの依頼はないし……ロゼッタの稼ぎだけに期待するわけにはいかねぇ。そ、それに、欲しいものあるし……」
「欲しいもの」と言った瞬間、グリムは頰を赤らめた。それを見てヨルは目を輝かせた。
「もしかして……結婚式の資金ですか!?」
「え」
グリムが声を上げたのをよそに、ヨルはキャーキャーと騒ぎ始めた。
「ついにお二人も式を挙げるんですね!!私、絶対に式に行きますから!」
「い、いや……もう籍入れたけど……」
一人ではしゃいでいたヨルは、その言葉で一気に静まり帰った。
「え……じ、じゃあ式は……?」
「挙げるつもりねぇけど……」
「どうしてですか!?殿方がいる女性にとって、結婚式はどれだけ大事か……!!」
「ロゼッタと相談して決めたんだ。」
ヨルがあーだこーだ言おうとしたが、グリムの一言で止まった。
「アイツは『ダーリンが一緒にいてくれるだけでいい』って言ってくれてな。俺はそれに従うだけだ。だからせめて……俺はアイツが娼婦を辞められるぐらい稼ぐ!」
グリムが金を稼ぐ目的は至極単純。ロゼッタのため……それ以上の理由などない。
「じゃあな!」
グリムは2人に一言だけ言って別れ、喫茶シオンを後にした。
ライドのところへ向かう途中、グリムはロゼッタに結婚のことを相談した時のことを思い出していた。
『えっ、結婚式はいい?なんで?女ってみんなウェディングドレス着たいんじゃねえの?』
『そりゃあ、着たいけど……結婚式っていろんな人呼ぶでしょ?私……それちょっと嫌なんだよね……』
そう言ってロゼッタは苦笑いを浮かべた。それからロゼッタは続けて言った。
『私……娼婦でしょ?娼婦のウェディング姿なんて見たくないじゃん。』
娼婦という仕事はロゼッタ自身が生きるために選んでやっている仕事だ。
だが、本当はやりたくなかったのかもしれない……とグリムは思った。好き好んで自分の身体を売る者などいない。大半が仕方のない理由でやっているだけだ。
『それにね、私……子ども産めないんだ。』
『えっ……』
その言葉にグリムは思わず声を上げた。ロゼッタはハッと口に手をやって説明を始めた。
『厳密には産めるんだよ?でも……私、中に避妊具入れてるんだ。』
別段驚く話ではない。娼婦という仕事上、客が嬢を孕ませたとなっては問題になる。そうならないために避妊具を入れるのは不自然ではない……が、グリムは予想していたとはいえショックを受けた。
それを見かねてロゼッタはグリムに近づき、自分の胸元に顔を引き寄せて抱きしめた。
『私……ダーリンがいればそれでいいの。そのためだったら……私、なんだってできるから……』
その言葉があって、グリムはロゼッタが娼婦をやめられるぐらい稼ごうと決めたのだった。
(こいつァ、俺の意地だ……男が嫁さんより稼げなくてどうすんだ!)
そんなことを考えている間に、ライドとの待ち合わせ場所にたどり着いた。待ち合わせ場所にはすでにライドが到着しており、グリムはその姿を見た途端駆け寄った。
「ライドの兄貴!またせ……っ!?」
挨拶をしようとした瞬間、ライドは突然グリムの顔を殴り飛ばした。突然殴られたグリムは地面に倒れた。
「おせぇぞ!5分前に来いって言ってんだろ!!」
「す、すんません!!」
「さっさと起きろ!何やらせてもおせぇなテメェは!!」
ライドに怒鳴られ、グリムは慌てて起き上がった。
「で、今回の取り立て相手は?」
「この事務所の社長だ。」
2人の目の前には3階建てのビルがあり、3階には金融会社が入っている。
「資金繰りが悪化してウチに借金したんだが……もう3ヶ月も経つのに1割も払わねぇ……」
「そいつからいくら取り立てるんスか?」
「利子も合わせて……50万ダルク(約一億円相当)。」
「マジすか。そりゃ気合い入るわ。」
2人は早速事務所へと乗り込み、グリムは右足でドアを蹴破った。
『!!?』
突然ドアが蹴破られ、中にいた社長と社員達は驚いた。
「ラ、ライドさん……!!」
「……要件はウチの若いモンが伝えたはずだが。」
「も、もう少しだけ待ってください!後少しで金が……!!」
「……逃げる準備してる奴に言われても、説得力ねぇな。」
ライドの言う通り、社長と社員達は会社にある資料や金庫にある金をカバンに詰めていた。
すると社長は深々と頭を下げ始めた。
「お、お願いします!!後少しだけ……」
「おい……いい加減にしろよ!!」
頭を下げる社長に我慢ならなくなったか、グリムは社長の頭をつかんだ。
「そういうのは返すモン返してからにしろや!!立場分かってんのか、あぁっ!?」
怒鳴り声を挙げるグリム……だが次の瞬間、社長は懐からナイフを取り出し、グリムに向かって突き出した。
「!!」
グリムは咄嗟に攻撃をよけた。社長はふらふらと立ち上がると、ナイフを2人に差し向ける。周りの社員達も同様にナイフを抜いた。
「か、金は払えねぇって言ってんだろ……!こうなったら、やるしかねぇだろうがよ!!」
「グリム……出口抑えとけ。」
「……はいっ!」
ライドの一言に、グリムは心を躍らせた。ライドは一人でやるつもりだと理解したのだ。グリムは出口のドアを抑え、ライドの戦いを見物する。
「や、やれ!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
社員の一人がナイフを突き出しながら突進する……だが次の瞬間、ライドの右拳が炸裂し、顔面にぶち当たる。拳が当たった社員は滑るように床に倒れた。その顔面はまるで漫画のように陥没し、鼻や口がめり込んでいた。
「すっげ……」
他の皆がその様子に恐れおののく中、ライドは感嘆の声を上げていた。
「こ、この化け物が!!」
社員の一人が手に持ったハンマーで殴りかかった。対し、ライドは近くにあった椅子を手にしてハンマーの一撃を防いだ。ハンマーによって椅子は2つに割れ、2本の棒になった。
ライドは棒を回転させながら持ち直し、社員の腹に棒を叩きつける。
「シッ!」
ライドは棒を粉砕するほどの力で社員の脳天に棒を叩きつける。
その時、後ろからナイフが襲いかかるが、社員の手を絡み取り、ナイフを弾き飛ばした。
フィリピンの武術「カリ」の「ディスアーム」という技だ。
(すげぇ……ライドの兄貴は力だけじゃねぇ……技術も持ち合わせてる……やっぱり、この人なら……昔の俺みたいな日の当たらない人間に夢を……!!)
その時、グリムは改めて実感した。ライドこそ自分の想いを託せる男だということを。
ライドは瞬く間に社員達と社長を叩きのめし、社長が持ち去ろうとした金を回収した。
「兄貴、やっぱすげーよアンタ!!俺の見込んだ通りの男だ!!」
仕事を終えた後、グリムは無邪気に笑いながらライドについて行った。だが、ライドは何も言わずにただ無言で歩いていた。それに構わず、グリムは喋り続ける。
「俺……アンタには期待してんだ!力もあるし、技術もカリスマ性も……アンタならこの街を変えられる!誰もがアンタみたいになりたいって思うようになる!そうすればみんな、夢を……」
「なんでテメェがやらねぇんだ。」
ライドは突然足を止め、グリムに問う。まさか質問されると思わなかったのかグリムはまごついた。
「……悔しいけど、俺にはライドの兄貴ほど強くなくて……津上せんぱ…仮面ライダーアギトほど魅力も優しさもねぇし……それに、今はロゼッタ……嫁さんについてやりたいし……」
「……お前、確か自分の店持つのが夢だったよな。」
まごつくグリムに、ライドは続けて問う。するとグリムは食ってかかる。
「それは忘れてねぇ!今だって自分の店持ちたいって思ってる!でも……みんなに夢を見せたいって目的もある……どっちも捨てられねぇ……だから、俺のもう一つの夢をアンタに……っ!?うわっ!!」
話の途中でライドはグリムを殴り飛ばした。殴られたグリムは倒れながらもキッとライドを睨んだ。
「何すんだよ!?」
「チッ……テメェみたいなのを“中途半端“って言うんだろうな。」
「なんだと!?」
聞き捨てならないと思ったグリムは立ち上がり、ライドの胸ぐらを掴んだ。
「俺のどこが中途半端だ!?俺だって、俺なりに考えてんだ!!」
グリムは怒り、拳を振り上げた。
「おーおー、殴るなら殴れ。半端モンの拳なんて痛くも痒くもねぇ。」
「……!!」
グリムは振り上げた拳を止めた。今ここでライドを殴ったところで何にもならない。無駄なことだと分かっているからだ。
するとライドはグリムの手を振り払い、背を向けた。
「このまま仕事を続けたいンなら、2度と俺にくだらねぇ口利くな。それと……兄貴って呼ぶんじゃねぇ。俺はお前と義兄弟になったつもりはねぇ……」
ライドはそれだけ言うとグリムをその場に残して去っていった。
一人取り残されたグリムは悔しそうに拳を握りながらも、その顔つきはまっすぐだった。
「俺は諦めねぇぞ……ライドの兄貴……」
静かにそう呟き、グリムは歩き始めた。
「ロゼッタに慰めてもーらおっと♪」
家に帰ったらまたロゼッタに抱きしめてもらおうとスキップ混じりに歩き始めた……だがその時、何か小さいものがグリムの顔面に飛びついてきた。
「えっ、うわっ!?な、なんだ!?」
グリムの顔に激突し、グリムの手のひらに落ちた“それ“は手のひらより小さく、薄紫色でまるでグミのパッケージにも見えた。
「なんだこりゃ……う、動いてるし……」
“それ“は何か「ワニャワニャ」と喋っているが、何を伝えようとしているのか分からない。
「グミっぽいな……食えんのかな。あー……」
グリムは大きく口を開け、“それ“を放り込もうとした。だがその時……
「わーーーっ!!?ちょっと待ってーーー!!」
見知らぬ青年がグリムの腕を掴んで食べようとする行為を止めた。
「な、なんだテメェ!?」
「ご、ごめんなさい!それ俺の……」
「なんだって?……ほら。」
グリムは不思議そうに青年を見ながら手に持った“それ“を投げ渡した。
「ありがとう……」
「なんなんだその……生き物?」
「こいつはゴチゾウっていって……その、俺の眷属。」
聞き慣れない単語にグリムは首を傾げた。
「ゴチゾウ……?けんぞく……?」
「えーっと、なんて言えば……」
説明に困ったのか青年は頭を搔いて考え始めた。
と、その時だった。遠くから悲鳴が聞こえてきた。
『!!』
何事かと思った2人は悲鳴が聞こえた方へ駆け出した。
大通りの方へ着くと、そこには巨大な頭をした魚のようなショッカー怪人が戦闘員を率いて街を襲っていた。
「ショッカー!」
(グラニュートじゃない……)
「我が名はザンジオー!亡き大首領様の仇だ!やれー!!」
ザンジオーの命令を受け、戦闘員達は暴れまわる。
怪人と戦闘員達の姿を見た瞬間、グリムは人を襲っている戦闘員に向かってドロップキックを繰り出して蹴り飛ばした。
「早く逃げろ!!」
グリムは街の人間を避難させつつ戦闘員達に殴りかかる。すると、なぜか青年も戦闘員達に殴りかかった。
「あぁ!?お前何やってんだ!!素人が出てくんな!!」
「大丈夫!こいつらは……俺が倒す!」
青年は戦闘員を殴り飛ばし、服の腹の部分についたファスナーを勢いよく開けた。その下に隠されていたのは、赤い“もう一つの口“だった。
「あれ……ベルトか……?」
青年はその口を手動で開き舌を出す。その舌の上に先ほどのゴチゾウを乗せた。
《グミ〜!》
そのまま口を閉じて右横についたハンドルを回し始めた。
《EATグミ!EATグミ!》
ハンドルを回転させるとベルトから音声が流れ、同時に青年の身体が大量のカラフルなグミに覆われていく。
「……変身!!」
青年は叫び、今度は左横についたボタンを叩いた。
すると、青年の全身を覆うグミが黒いスーツとカラフルなアーマーに変化した。
《ポッピングミ〜!ジューシー!!》
「なっ……仮面ライダー……!?しかもグミって……お菓子の仮面ライダー!?」
「チィッ、新たな仮面ライダーか……貴様何者だ!?」
ザンジオーは青年が変身した新たなライダーに向かって問う。
「……俺は、仮面ライダーガヴ!!」
ガヴは名乗りを上げ、ベルトの口から大剣「ガヴガブレイド」が現れ、それを手にとって目の前にいる戦闘員達を切り裂いていく。
「まさかお菓子の仮面ライダーなんていたとはな……よし、俺も!」
グリムも腰にベルトを巻き、黒い回転式ケータイ「カイザフォン」を取り出した。
何を隠そう、グリムも青年と同じく仮面ライダーなのだ。
カイザフォンを開き、「9.1.3」のキーを押した。
《Standing by,..》
「変身!!」
グリムは叫び、カイザフォンをベルトに装填し横に倒した。
《Complete.》
ベルトの音声とともにグリムの身体に金色に輝くラインが走り、顔に「X」の模様が入った紫色の目をしたライダー、仮面ライダーカイザに変身した。
「えっ……君も、仮面ライダー…!?」
「おう、俺は仮面ライダーカイザだ!ショッカーどもを蹴散らすぞ!!」
「……うん!」
カイザは剣と銃が合体した「カイザブレイガン」を取り出し、弾丸で撃ち抜きながら剣で戦闘員達を切り裂く。
「カイザって言うんだ……俺のと違う……仮面ライダーって色々いるんだ……」
ガヴは自分のベルトとカイザのベルトを見比べ、違いに興味津々だった。
「ええい……これでもくらえ!!」
その時、ザンジオーは口から火炎弾を2人に向けて発射した。
「あぶねっ!!」
「うわっ!!」
カイザは咄嗟に足元にあったマンホールから蓋を取り外して防いだが、ガヴは直撃を食らって吹き飛んだ。
「ガヴ!!大丈夫か!?」
「大丈夫……こうすれば……!」
ガヴは胸の装甲が剥がれてしまったが、慌てることなくポッピングミゴチゾウをベルトに装填、ハンドルを回してボタンを押した。すると剥がれてしまった装甲はたちまち元に戻った。
「すっげ……どうなってんだよ……」
「それより……まだ敵がいっぱいいる……こいつだ!」
ガヴが新たに取り出したのは黄色いゴチゾウだった。ガヴはそれをベルトに装填した。
《スナック!》
《EATスナック!EATスナック!》
ベルトを回転させるとガヴのカラフルな装甲が剥がれ、新たに大量のポテトチップスが身体に纏わりつく。そして左横のボタンを押した。
《ザクザクチップス!!ザックザク〜!!》
大量のポテトチップスが鎧に変化し、ガヴは両手にポテトチップスを模した双剣を装備した。
「変わった!先輩達みてーにフォームチェンジできんのか……」
ガヴはさらにハンドルを回し始めた。
《チャージミー!チャージミー!》
ベルトから音声が流れボタンを押した。するとガヴは双剣の刃同士をぶつけた。すると刃が砕け、砕けた刃が宙に浮いた。
「ハァァァァァ……ハッ!!」
ガヴが双剣の持ち手を振るうと宙に浮いた刃が戦闘員達に向かって飛んでいき、次々と切り裂いていく。
刃はそのまま消滅したが、持ち手から新たに刃が生え復活した。
「復活すんのかそれ!便利だな……よこせ!」
「あっ、ちょっと!」
ガヴの双剣に興味を抱いたカイザは半ば無理やりその剣を奪い取った。
「オラ、いくぜ!!」
残ったのはザンジオーのみ。カイザはザンジオーに向かって双剣を振るった……が、当たった瞬間刃が砕けた。
「え“っ!?」
「だぁっ!!」
刃が砕けたことに驚いている隙に、ザンジオーはカイザを殴り飛ばし、地面に転がした。
「なんだよコレ!?役に立たねぇじゃん!?」
「それ普通に使わないで!角度使って!!」
「角度……?」
カイザは起き上がり、試しに近くにあった柵に向かって少し角度をつけて剣を振った。すると柵は簡単に切れた。今度は乱雑に振るが、刃は粉々に砕けた。
「角度ってこういうことか!やり方が分かればこっちのモンだ!!」
やり方を理解し、カイザは懐に飛び込み、角度を入れながら双剣を振るう。今度は刃は砕けずザンジオーに一撃を与える。
「ぐうっ!!よ、よくも……!!」
ザンジオーは負けじと火炎弾を吐いた。カイザはすかさず双剣を盾にして防いだが、刃は砕けて持ち手は空に吹き飛んだ。
「もらった!!」
《チョコダン!パキパキー!!》
ザンジオーがつづけて火炎弾を吐こうとするが、ガヴはすかさずフォームを変えた。チョコで出来たテンガロンハットとポンチョを身に纏い、板チョコを模した銃でザンジオーを攻撃した。
「うおっ!?」
「サンキュー、ガヴ!!」
チョコの弾丸にザンジオーが怯んでいる内にカイザは跳んで双剣の持ち手を掴み、そのまま落下とともにザンジオーに押し付ける。すると刃が元に戻る仕組みを利用し、ザンジオーに刃を突き刺す。
「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!?」
「今だ!」
怯んだザンジオーを横目に、カイザは腰につけたカイザポインターを取り出し、さらにカイザフォンからメモリを抜いてポインターに装填。それを右脚に装着した。
同時に、ガヴもポッピングミフォームに戻り、さらにオレンジ色のゴチゾウをベルトに装填した。
《EATグミ!EATグミ!》
《キッキングミ〜!!》
ガヴの右脚に巨大なオレンジ色のブーツのような鎧が装着された。
「どうする……?二度と街の人を襲わないと誓うか、この場で俺達に倒されるか……!!」
ガヴとカイザは必殺技を繰り出すための構えを取りつつ、ガヴはザンジオーに最後の審判を迫る。
だが、ザンジオーの答えは……
「き、貴様らライダーに命乞いなどせんぞ!!」
「……わかった。」
答えを聞いたガヴはハンドルを回した。
《チャージミー!チャージミー!》
続けてカイザもカイザフォンを開き、「Enter」キーを押した。
《Exceed Charge.》
ベルトの音声とともに、ベルトから右脚を経由してポインターに金色の光が流れていく。
次の瞬間、カイザは空高く飛び上がった。空中で1回転し、ポインターをザンジオーに向ける。するとポインターから金色の円錐状の光線が放たれた。
「トアァァァァァァァァ!!」
カイザは雄叫びとともに飛び蹴りを繰り出し、光線とともにザンジオーにぶち当たり、ザンジオーを貫いた。
《キッキングミ・フィニーッシュ!!》
「ハァァァァァァァァァ!!」
それに続いて、ガヴも空高く飛び上がり飛び蹴りを繰り出した。鋭い飛び蹴りはザンジオーにぶち当たり、そのまま地面に倒して踏みつぶす。するとオレンジ色の巨大なアーマーが「ムニュン」と流動しながらザンジオーにエネルギーを流し込んだ。
「い、偉大なるショッカー大首領……!バンザーーーイ!!」
2人の必殺技を食らったザンジオーは断末魔を上げながら爆散していった。
「……っしゃ!怪人どものお掃除完了!」
「こいつら、何者なの……?グラニュー……俺のいた世界にはいなかった。」
「あー……どっから説明すりゃいいかな……」
カイザはどう説明するべきか悩みながら変身を解除しようとした……が、ふと周りを見るとすでに野次馬が集まっていた。
「すげーっ!カイザだ、カイザ!」
「新しいライダーもいるじゃん!なんかプニプニしてそ〜」
皆、見たことのないライダー……ガヴのことに興味津々といった様子だった。
「しゃーねぇ……ずらかるぞ!このまま変身解除できねぇ!」
「う、うん!」
2人はすぐさまその場から逃げるように去った。何人か追おうとする者もいたが、それも撒いて人気のないところにたどり着いたところで2人は変身を解除した。
「お前……結構強いんだな。それに、お菓子のライダーなんて初めてだぜ。あ、俺はグリム・ハワードだ。」
「俺も……ケータイを使って戦うライダーなんて初めて見た!俺は井上ショウマ!」
2人は互いに自己紹介をし、握手を交わした。
「こっちには他にもライダーが2人いるんだ。そいつらも変身方法がそれぞれ違うんだ。」
「へぇ……」
「気になるな」とショウマが言おうとした瞬間、彼の腹が鳴った。
「なんだ、腹減りか?」
「う、うん……こっち来てから、ロクなもの食べてなかったから……」
「じゃあ俺らのたまり場に来いよ!なんか食わせてやるし、仲間にお前のこと紹介したいし!」
「本当!?ありがとう!」
グリムは新たな出会いに喜びながら、ショウマを連れて喫茶シオンへと向かっていった。
その後、グリムは知ることになる。ショウマが自分の大切な人の過去と関わっていたことを。
そしてショウマも知る。自身の血族が……ロゼッタに暗い過去を背負わせたことを。
おまけその2「母性」
「フィオナさん、実はグリムくんから聞いたことがあるのですが……ロゼッタさんのお胸は……人を赤ちゃんにさせるらしいです。」
「………ヨルちゃん、風邪でも引いた?」
真面目な顔をして話すヨルにフィオナは病気にでもなったのかと疑った。しかし、ヨルは首を横に振った。
「いえ、本当です!だって現にグリムくんは骨抜きになってます!」
「それはあのガキが乳離れできてないガキだからでしょ。」
「私はそうは思いません……実際に確かめてみましょう!」
「ちょっ……」
ヨルはフィオナを連れてロゼッタの元へと向かった。
「ロゼッタさん……失礼な話ですが、ロゼッタのお胸で私達のことを抱きしめてくれませんか?」
「えー……いいですよぉ♪」
(なんで私まで……)
「で、では失礼して……」
ヨルはドキドキと胸を高鳴らせ、ソファに座るロゼッタの前で膝立ちになりゆっくりロゼッタの胸に顔を埋めた。
(こ、これは……!?マシュマロなんて目じゃないくらい柔らかい……まるでパン……羽毛布団……?)
その極上ともいえる柔らかさに驚きつつも、まるで母親に抱かれるような安心感を覚えるヨル。するとロゼッタはヨルの頭を撫でながら抱きしめてきた。
「よーしよーし……ヨルさんは頑張り屋さんですね。最新話でようやく自分の気持ちに気づけてましたし……えらいえらい♪」
「……バ……バブゥ……(cv.早◯沙織)」
「ヨルちゃん!?」
突然赤ん坊のような口調になったヨルにフィオナは思わず声を上げた。抱擁から解放されると、ヨルはフィオナの手を掴んだ。
「フィオナさん……ヤバいです!フィオナさんも体感してみてください!」
「い、いや、私は……」
「フィオナさん……おいで♡」
「!!」
ロゼッタに囁かれた瞬間、フィオナは思わずその場に跪き、誘われるままにロゼッタに抱きしめられた。
(お、おおお……!?こ、これはたしかに……!?)
「ふふっ……いい子いい子♡」
「お、おぉ……!?おふっ……マ、ママァ……(cv.佐倉◯音)」
フィオナもすっかり虜になってしまい、ヨルよりも長い時間抱きしめられたのだった。
「……とんでもおっぱいだったわね……」
「とんでもおっぱいでしたね……」
「そりゃ男は虜になるわ……」
その日、女2人はロゼッタの溢れんばかりの母性の強さを思い知り、この日の出来事は誰にも言うことはなかったという……
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ちなみにこの数年の間に、Kカップだったロゼッタはワンサイズアップして驚異のLカップに成長しました。