SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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Part.3 苦い記憶(ビターメモリー)

 

「電話でみんなに話した通り、こいつが……」

「い、井上ショウマ!仮面ライダーガヴ……です!」

 

グリムとショウマは喫茶シオンを訪れていた。そこで仲間達がいる中でショウマが自己紹介をすると他の皆も順番に自己紹介をしていく。

 

「えーっと、これが俺のベルト……っていうか赤ガヴで……」

 

ショウマは服の腹の部分にあるファスナーを開き、自分のベルトを皆に見せた。

 

「これが君のベルトか……身体と一体化してるんだな。俺と一緒だ。」

「そういえば……あのゴチゾウだっけ?ベルトから外したら昇天していったよな……?補充とかどうすんだ?」

 

グリムに問われ、ショウマは少し考えロイド達に向かって尋ねた。

 

「すいません、お菓子……ありますか?」

「お菓子?グリムが置いていったポテチならあるが……」

 

ショウマの言っていることが何か分からないまま、ロイドはポテチを取り出し、ショウマに差し出した。

ショウマはそれを受け取るとおもむろに封を開けて食べ始めた。

 

「うーん……美味っ♪」

 

ショウマは美味しそうにポテチを食べ始めた。すると、ベルトの口が一人でに開き、その中からゴチゾウが飛び出してきた。

その様子に皆は驚き、思わず声が出そうになった。

 

「こ、こうやって出てくるのか……」

「は、はい……だから、俺……人間じゃないんです……」

 

ショウマは申し訳なさそうに俯きながら呟いた。人間じゃないことに気味悪がられるのではないかと思ったのだ。

だが、

 

「なんだ、それなら俺と同じだな。」

 

……グリムは言った。

 

「え?」

「見てろよ……ムンッ!」

 

グリムは少し目を閉じ、気合いとともに目を見開いた。するとたちまちグリムは灰色のライオンの怪人、ライオンオルフェノクへ姿を変えた。

 

「!!」

「まぁ……俺も化け物ってことだ。でも、みんなは俺のことを受け入れてくれた……お前だってそうだろ?」

 

グリムの言葉に、ショウマは仲間達の顔を頭に思い浮かべた。

ショウマの仲間達は、ショウマの正体を知って最初は驚きはしたが、受け入れた。

そのことを思い出し、ショウマは微笑んだ。

 

「グリムも、俺と同じなんだね。」

「だな。」

 

2人は互いに顔を見合わせて笑った。するとその時、ショウマとグリムの腹がぐ〜っと鳴った。

 

「あ、そうだった。俺もショウマも腹ペコだったんだ。ロイド、なんか食わせてくれよ!」

「そう来ると思った……」

 

ロイドはため息を吐きながらもキッチンへ向かった。すると割とすぐに料理がテーブルに運ばれてきた。

 

「あれ?なんか早いな。前から作ってたのか?」

「まぁな。みんなで作ったんだ。お前の結婚祝いのためにな。」

 

テーブルにはパーティ並とはいかないまでも、たくさんの料理やお菓子が並べられた。

ロイドの言葉を聞き、グリムとロゼッタは互いに顔を見合わせてポカンとしていた。

 

「お前ら2人、結婚式挙げないんだって?」

「だったらこれぐらいのことはしようと思って、フィオナとノエルさん呼んで作ったんだ。」

 

ここに並んでいる料理はロイドと女性陣が作ったもの。こんなに作った理由はグリムとロゼッタを祝福するためだった。

 

「みなさん……!」

「わ、わざわざこんなことしなくても……」

 

ロゼッタは感動のあまり目をうるうるさせていたが、グリムは照れくさそうに俯きながらブツブツ呟いていた。

そんな2人の様子を微笑ましく思いながら、他の皆はパーティの準備を進めた。

その後、

 

『カンパーーーイ!!』

 

グリムと仲間達はグリムとロゼッタの結婚祝いとショウマの歓迎パーティを始め、皆は大いに盛り上がった。

 

「う〜ん、美味〜〜〜♪」

 

ショウマも思い切り楽しんでいた。ロイドが作った料理やお菓子を頬張り、幸せそうな顔を浮かべていた。さらにショウマがお菓子を食べる度にベルトからゴチゾウが飛び出してきた。

そんなショウマの様子にフリッドはニコニコ笑いながら見ていた。……だが、その笑顔はどこか不気味に見えた。

 

「ショウマくん美味しそうに食べるねぇ♪おじさんのもお食べ……」

「えっ!?いいんですか!?ありがとうございます!」

 

フリッドはニコニコ笑いながら自分の皿に盛られたお菓子をショウマに差し出した。ショウマは戸惑いながらも嬉しそうにそれを受け取り食べ始めた。

 

(あ〜〜〜、ショウマくんカワイイ〜〜〜〜♡グリムと同じくらいの歳だよな……?それなのにあの圧倒的少年感……あざとい!カワイイ!ぜひともお近づきに……)

 

……フリッドは例の病気(ショタコン)が発症していた。自分好みのカワイイ少年(ショタ)と仲良くなろうと、フリッドはショウマに近づこうとした。だがその時、後ろからフリッドの肩が掴まれた。

振り向くと、そこにはフリッドの妻であるフィオナがいた。いつもは笑顔をめったに見せないフィオナがニッコニコ笑っていた。

 

「あ、な、た?」

「フィ、フィオナ……」

「あなたは仮面ライダーである前に教師だし、一人の父親よね?」

 

ニコニコ笑うフィオナの腕には、フリッドとの間に授かった娘、マールが抱きかかえられていた。

 

「マール……!ごめんな〜!目の前のカワイイショタに惑わされるパパで……よちよち♪」

(まったく毎回毎回この男は……)

 

自分のカワイイカワイイ娘を抱きながら頬にキスをしてやるフリッドをよそに、フィオナは内心呆れていた。

 

「ダーリン、あーん♡」

「あーん……美味っ」

「私にもあーんってやって♡あーん♡」

「はいはい……」

 

それとは別に、グリムとロゼッタは互いに料理を食べさせあってイチャイチャしていた。その様子に皆はもちろん、ショウマも笑っていた。

 

「グリムとロゼッタさんって……すごく仲良しなんだね!」

「ぱいせんとスイカおねーさん、イチャイチャ。」

「ぱいせんって……グリムのこと?スイカおねーさんはロゼッタさんで……ロゼッタさんって……スイカなの?」

 

ショウマは分かっていなかった。アーニャがロゼッタを「スイカおねーさん」と呼ぶのは、ロゼッタの胸がスイカ並に大きいからなのだが、ショウマはそういった方面には疎いのか首をかしげていた。

そんなショウマを見かねてグリムはショウマの耳を塞いだ。

 

「えっ、なに?」

「はいはい、男は男同士で仲良くやろうな〜」

 

グリムはショウマの耳を塞ぎつつ2人で外へと出ていった。

 

「……ショウマ、お前もしかして女の子と付き合ったことなかったり?」

「付き合う……?一緒に買い物にいったことはあるよ!幸果さんって言うんだけど……」

「そういうことじゃなくてよ……」

 

想像以上にピュアなショウマにどう言えばいいか分からないグリムは頭を抱えた。

すると、

 

「付き合うっていうのはね、ショウマくん。」

 

2人に続いて外に出たロゼッタがショウマに語りかけた。

 

「男と女が出会って、恋に落ちて……ず〜っと一緒にいることなのよ。」

「それって……グリムとロゼッタさんみたいなこと?」

 

ショウマがそう言うとロゼッタはニコッと微笑んで頷いた。

 

「まっ……そういうことにしとくか。」

「あっ、そうだ!ショウマくん、こっちに来て日が浅いでしょ?明日、街を案内してあげよっか?」

「えっ、いいんですか?」

 

ロゼッタの申し出に思わず声を上げるショウマ。するとグリムはロゼッタの肩を抱いてショウマから少し離れた。

 

「おい……どういうつもりだ?」

「えー、だってせっかく出会ったんだし……それに、ショウマくん……前にどっかで会ったことあるような気がするんだよね……」

「あ?どこで?」

 

そう問われるとロゼッタは首を傾げて考え込んだ。言われて考えてみると怪しいが、頭の中でぼんやりとショウマのような少年の顔が浮かんでくる……と思ったその時、

 

「ひゃんっ!?」

 

グリムがいきなり背後からロゼッタの胸をガッと鷲掴みにしてきた。

 

「なに難しい顔してんだ〜?リラックスさせてやろうか〜?」

「やっ♡んもう……ショウマくん近くにいるのに……我慢できないの?」

 

ショウマが近くにいるにも関わらず胸を触り始めるグリムに、ロゼッタは半分呆れながらも、半分いっそこのまま……と期待していた。

 

「バーカ、アイツだって男だ……気まずくなって皆のとこに……」

「ねぇ~!2人とも何してるの〜?」

『っ!!』

 

ショウマが駆け寄ってきた瞬間、グリムは手を引っ込め、ロゼッタは胸を隠すように腕を組んだ。

 

「い、いや?なんでも?」

「な、なんでもないよ〜!」

(空気読めよ、このバカ……)

 

その場になんともいえない空気が流れたもののパーティは滞りなく進んでいったのだった……

 

 

───────────────────────

 

翌日、

 

「うわ〜!これが仮面ライダーアギト……」

「ああ、その銅像だ。」

 

グリムとロゼッタはショウマを連れて街を案内していた。訪れた駅前の公園で、ショウマは目を輝かせていた。3人の前にあるアギトの銅像……

この銅像は、仮面ライダーアギトがこの世界から去ってから数年経った後に作られたもの。足の下にある土台には「東西を救った英雄」と彫られていた。

 

「すごく大事にされてるんだね……ピカピカだもん。」

 

毎日磨かれているおかげか、アギトの銅像は建てられてから数年経っても汚れが目立たない。

それだけアギトが愛されている証拠でもあった。

 

「すっげぇ人だったんだぜ、津上先輩……アギトは。強い上に優しくて、作る飯が滅茶苦茶美味いんだ。」

「会ってみたかったなぁ……俺もアギトに。」

 

ショウマの一言を聞き、グリムの脳裏に仮面ライダーアギト……津上翔一の顔が浮かんできた。

自分のような人間にも分け隔てなく笑顔を向けてくれる翔一……自分を変えてくれた仲間の一人……

 

(……もうちょいアンタと話したかったなぁ……先輩……)

「……さ、次に行くぞ。」

 

一抹の寂しさを感じながら、グリムは2人を連れてその場を後にした。

それからグリムとロゼッタは街のあらゆる場所を見せていき、その途中でレストランに入り昼食を終えた。

 

「あー、食った食った!」

「美味しかったね、ここのパスタ!」

「次はデザート行こ!私、穴場知ってるの!」

 

昼食を食べ終えた三人は続けてスイーツの店に向かうことになった。ロゼッタが先導する中、ショウマは唸り声を上げた。

 

「うーん……」

「どうした?食いすぎてハライタになったか?」

「そうじゃなくて……俺、前にロゼッタさんに会ったことあるような気がするんだ。」

 

ショウマの言葉にグリムは昨日ロゼッタが言っていたことが頭に浮かんでいた。

ロゼッタも以前ショウマに会ったことがあるような気がすると言っていた。

だが、それはありえないとグリムは笑った。

 

「バーカ!お前は別の世界から来た人間だろ?そんなお前がどうやってロゼッタと会うんだよ。」

「それは……」

「っ!!」

 

ショウマが「それはそうだけど」と言おうとした瞬間、グリムは殺気を感じショウマの腕を引いて横に飛んだ。それと同時に地面に光弾が当たった。

 

「誰だ!?」

 

光線が飛んできた方に顔を向けるとそこには全身黒尽くめのフードをかぶった怪物が立っていた。ペストマスクのような仮面を被り、仮面についた発光体が紫色に光っている。

 

「エージェント……!?」

「お知り合い?」

「俺がいた世界の……エージェントって眷属……」

(紫色……?いったい誰の……)

 

2人が話しているとエージェントは光線銃を向けてきた。

 

「赤ガヴを発見……総員、戦闘態勢。」

 

2人がいるところは人気の少ない通り……その暗がりの中から多数の紫色の光が2人を捉えた。

 

「いつの間にこんなに……!!」

「向こうはやる気みたいだな……!いくぞ、ショウマ!!」

「うん!」

 

エージェントの群れに囲まれる中、グリムはベルトを巻き、ショウマは腹の部分のジッパーを開いてベルトを晒す。

 

《Standing by,..》

《グミ〜!》

 

グリムはカイザフォンの「9.1.3」のキーを押し、ショウマはポッピングミゴチゾウをベルトにセットする。

 

『変身!!』

《Complete.》

《ポッピングミ〜!ジューシー!》

 

2人はそれぞれカイザ、ガヴに変身した……と同時にエージェント達が一斉に襲いかかってきた。

 

《Ready.》

 

その時、カイザはカイザブレイガンにメモリを装填したと同時にトリガーを引いて地面に弾丸をばら撒く。弾丸が地面に当たったことでその場に砂煙が舞い上がる。

 

『!!』

 

急に立ち込めた砂煙にエージェント達は2人の姿を見失った。その時、紫と黄色の眼光がぼんやり輝いた瞬間、エージェントの顔面と後頭部に拳が叩きつけられた。

砂煙が晴れたころ、そこにいたのは……カイザとガヴ。砂煙の中でエージェント達の死角に入り、同時に拳を繰り出し、近くにいたエージェントの顔面と後頭部をつぶしたのだ。

 

「へっ、こんなモンかよ。」

「油断しないで!」

 

2人は自分達を取り囲むエージェント達を睨みながら、その場で背中合わせになり、武器を取り出す。

 

「オラッ、いくぜ!!」

 

カイザは自分に向けて放たれる光線をカイザブレイガンの刃で全て弾いていく。

 

「ラァッ!!」

 

カイザは武器を持ちながらその場で回転し、エージェントに向かって武器を投げた。回転が加わったことで勢いが増し、エージェントに刃が突き刺さった。両サイドにいたエージェント2人はそれに驚きつつも果敢にカイザに殴りかかる。

カイザは一方の攻撃を掴んで防ぎ、もう一方を蹴り飛ばした。さらに掴んだ拳を引き寄せて腹に肘を叩き込んで怯ませ、そのまま身体を持ち上げた。

 

「ふんっ……どりゃぁぁぁぁ!!」

 

そのままジャイアントスイングのように振り回して周りを巻き込み投げ捨てる。そして最初にエージェントに突き刺したカイザブレイガンを引き抜いてそのまま一刀両断。

 

「ハッ!」

 

ガヴの方は剣でエージェント達に斬りかかりながらエージェントを壁まで追い詰めたが、背後から他のエージェントが襲いかかる。しかし、ガヴは剣をエージェントごと壁に突き刺し、そのまま剣を踏み台にして壁を駆け上る。

空中へ舞い上がるガヴは身を翻して落下の勢いと同時に拳を叩きつける。

さらに突き刺した剣を引き抜き、パワーをためて一気に横一閃で斬り飛ばす。

 

「チッ……キリがねぇな……」

「それなら……こいつだ!」

 

ガヴが取り出したのはケーキを四等分に切ったような形のゴチゾウだった。

ガヴはベルトを開いてポッピングミからそれに差し替えた。

 

《ケーキング!》

 

音声とともに上顎を閉じ、ハンドルを回す。

 

《EATケーキ!EATケーキ!》

 

ハンドルを回すと巨大な半透明のホールケーキがガヴを包む。

そしてスイッチを叩く。

 

《ケーキング!アメーイジング!!》

 

ガヴはイチゴのショートケーキを鎧のように身に纏い、王の様な出で立ちのケーキングフォームへと変わった。

 

《ガヴホイッピア!》

 

ベルトから下半分がショートケーキで、上半分がホイップクリームの絞り袋が合体したようなレイピアが飛び出した。

ガヴはそれを掴むと真ん中の絞り袋を3回押した。

 

《ホイップパーティー!》

 

レイピアの先から白いクリームが飛び出したかと思うと、そのクリームは人の形に変化し、槍を持ったホイップ兵が現れた。

 

「そうか!人海戦術か!」

「俺が大技でまとめて倒す!グリムはみんなと協力して一か所に集めて!」

「任せな!」

 

カイザはホイップ兵の肩を叩き、エージェント達に突っ込んでいく。ホイップ兵も槍を構えて散開。4人は四方に分かれてエージェント達に攻撃を繰り出していく。

 

「てめぇらの相手はオレらだ!!」

 

怒涛の連続攻撃にエージェント達は押されて後ろに下がっていく……そして、エージェント達はひと纏まりに。

 

「今だ!」

《ホールケーキ!》

 

ガヴはベルトからゴチゾウを抜き、ホイッピアについたケーキの欠けた部分に取り付けた。さらに絞り袋の部分を3回押すと刀身にエネルギーがチャージされていく。

 

《ホイップチャージ!》

 

刀身が光を放ち、ガヴは腰を深く落として武器を構える。

そして、

 

《ケーキングブレイキング!!》

「ハァァァァァァァァァ!!」

 

武器を突き出すと同時に剣先から太めの光線が放たれ、ひと纏まりになったエージェント達を飲み込み、消し飛ばしてしまった。

 

「やったな、ショウマ!」

「うん!」

 

2人は変身を解除した。ショウマが変身を解除するとホイップ兵も消えてしまった。

その時、グリムはふと視線を感じ、顔を横に向けた。そこにはロゼッタがいた。何故かロゼッタは目を見開いていたが、2人は構わず駆け寄った。

 

「なんだ、いつからいたんだよ。」

「ごめんなさい!敵が現れたから……」

 

2人は今まで通りロゼッタに話しかけた。しかし、ロゼッタは突然力が抜けたようにその場に尻もちをついた。

 

「ロゼッタ?」

「い、今のは……」

「えっと……エージェントっていって、俺の世界にいた眷属で……」

 

腰を抜かすロゼッタにショウマはエージェントのことを説明しようとした。だが次の瞬間……

 

「いやっ……!!いや、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ロゼッタは突然ヒステリックな叫び声を上げた。突然のことに2人は驚き戸惑った。

 

「お、おい、どうしたんだよ!?」

「ロゼッタさん!?落ち着いて……!!」

 

戸惑う2人に対し、ロゼッタは目から涙を流し、過呼吸になりながら静かに呟いた。

 

「私……知ってる……!!アイツらのこと……」

「えっ……?」

「アイツらに、私は……!!」

 

そう言ったロゼッタの脳裏に浮かんできたのは……ベッドの上に寝かされ、縄で拘束されている自分の姿……そこに大量のエージェントが群がり、身体に手を伸ばし蹂躙される光景……その奥に映る、不気味な顔……

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「ロゼッタ……!!」

 

どうすればいいか分からなくなったグリム……しかし次の瞬間、ショウマはその場に崩れるように膝をついた。

 

「そんな……嘘だ……!!」

「おいっ、お前まで……!」

「ロゼッタさんが、あの時の……!!?」

 

その時、震えるショウマの脳裏にある光景が浮かんできた。誰も立ち入らない部屋に入った自分……その目に映ったのは、10名ほどの怪物達に取り囲まれている腹の大きい、妊婦と思わしき女性……その腹に突き立てられる鋭い刃、部屋の外からでも聞こえてきそうな悲鳴……その中に、幼い自分より少し年上くらいの女子がいた……

それを思い出した瞬間、ショウマは叫んだ。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「ショウマ!!?」

 

ショウマとロゼッタ……2人がいきなり泣き喚き、叫び声を上げたことにグリムは驚きを隠せない。

そして、泣き叫ぶ2人は……

 

「もうやめて叔父様!!」

「もうやめてよ叔父さん!!」

 

2人の口から放たれた「叔父」という言葉……グリムは訳が分からなくなっていた。

 

「なんだよ……なんなんだよコレ……!?」

 

グリムは、仲間達は知ることになる。ショウマに刻まれた、思い出したくもないトラウマ……狂わされたロゼッタの人生を……

2人の苦い記憶(ビターメモリー)を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……もうすぐかな……やっと、やっと会えるね……グリム……」

 

そして、苦い記憶(ビターメモリー)を持つのは、もう一人……

 

 

 

 

 

 





おまけ「不審者」

戦いが終わり、元の世界に帰ったショウマ……なんでも屋「はぴぱれ」で仲間の幸果、絆斗(ハント)、ラキアに別の世界でグリム達と会ったことなどを話した。

「そっか〜……大変だったねー、ウマショーもそのグリムって子とロゼッタって人も……」
「慣れない世界で大変だったろ。なんか変な奴に出会わなかったか?」
「変な人なんて……みんないい人だったよ!グリムと友達になれたし……フリッドって人からいっぱいお菓子もらったんだ!」

嬉しそうに話すショウマに、幸果と絆斗はニコニコ笑いながら聞き、ラキアはショウマに尋ねた。

「……どんな奴なんだ?」
「えっとね……優しいおじさんだったよ!『お菓子食べな』っていっぱいくれるし、戦いでも頼りになるし……でも、俺のこと『カワイイね♡』って言ってた……変な人かも。」
「へぇ〜〜……」

ショウマの話を聞き、絆斗とラキアはこっそり自分達のベルトを取り出した。

「やばっ!その人ヘンタイじゃん!?」
「そ、そんなはずないよ……ただ……」
「ただ?」
「俺、あの人に変なこと言われたんだよなぁ……たしか……」

『ショウマくん……1回だけでいいから……俺のこと「おじたん♡」って呼んでみてくれないか?』

「……って言われたんだけど。」
「……言ったの?ウマショー……」

幸果はニコニコ笑いながらショウマに尋ねると、ショウマは首を横に振った。その答えに幸果は肩をポンポンと叩いた。

「うん、それでいいよ。ウマショーはそのままでいいからね。」
「?」

それとは別に、絆斗とラキアは立ち上がった。

「あれ?2人ともどこ行くの?」
『ちょっと殴り込みに……』

その後2人はフリッドに殴り込みに行ったとか行かなかったとか……

─────────────────────────

フリッドがどうなったかは読者の想像にお任せします……


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