「……ここか。」
元・神化教団で現在“WISE“の構成員ペルランはスラム街となっている街中にある一軒の家を訪れた。そこはもう廃墟になっており、鍵も壊れていた。
「グリムの奴……こんなとこで生まれ育ったのか……」
ペルランが訪れた廃墟はグリムがかつてヘレンとともに過ごした家だった。しかしヘレンが中で死んだことで事故物件扱いされ、買い手がつかずにそのまま廃墟となってしまった。
壊れかけのドアを開け、ペルランは中へ入った。
「予想通りとはいえ……荒れてんな……」
床や家具には埃がかぶっており、壁紙も剥がれかかっている。
「?」
子供部屋と思わしき場所に入った時、ペルランは妙な違和感を覚えた。壁の隅に落ちている木彫りのピエロ人形が2つ……
(なんで2つも……)
同じ人形が2つあるなど、どこか奇妙だ。その2つの人形は形も、顔も、色合いも同じなのだ。
2つある理由はいくらでも考えられる。例えば、失くしたと思いこんで新しいのを買ってしまった、など……
(おっと、仕事仕事……)
人形は放っておき、ペルランは部屋の調査を始めた。
ペルランがここに来た理由は他でもない。ヘレンの死の真相を知ることだ。
(幸い、部屋の中のものはまだ残ってる……何か手がかりが残ってるはずだ……)
ペルランは部屋の中を隅々まで探る。化粧道具や調理器具などは見つかったが、他にめぼしいものはない……かと思った矢先、クローゼットの屋根の上にテープで留められているものがあった。それを取って見てみると、なんと日記だった。
「これ……!」
ペルランは思わずそれを開き、読み始めた。
そこに書かれていた内容に、ペルランは言葉を失った。日記に綴られたヘレンの言葉は、ペルランや他の皆が考えていたものの想像を越えていた。
「……たしか、グリムってドノバン・デズモンドに復讐しようとしてたんだよな……でも、これ見たら……」
「何してんの?」
「!!」
その時、部屋の中から男の声が聞こえてきた。振り向いたが、そこには誰もいなかった。
(今の声……どっかで……?)
どこかで聞いたような声だと思っていると、部屋の隅で何か黒いものが蠢いていた。よく見ていると、その黒い物体は人の形に変わっていく。
「こいつ、いったいどこから……!?」
「こ、ん、に、ち、は♡」
目の前に現れたのは黒いコートにフードを深くかぶってピエロの仮面をつけた怪しい男だった。
「君、ここでなにしてるの?ここは“ぼくら“の家だ。」
「ぼくら……?何者か知らねぇが、そんなことお前に言うつもりはないんでな……」
ペルランはフッと笑いつつ仮面の男を睨み、袖口から銃剣を2本取り出し両手に構えた。
「元神化教団幹部の俺を、舐めんなよ……!」
「遊ぼっか……」
────────────────────────
その頃、
「も、もう許して……!」
「だったら吐けやコラァ!!」
グリムはいつものようにライドとともに借金取りに勤しんでいた。今回も相手を殴って金を出させた……だが、グリムは必要に相手を殴っていた。
「バートン・フォン・バルドナクのこと知ってんだろ!?奴はいろんな事業に手ぇつけて、高利貸しもやってるって聞いたぞ!!ってことはお前だって奴から金借りてんじゃねぇのか!?」
「そ、そんな……俺はライドさんところにしか……」
「何も知らねぇってか……役立たずがっ!!」
グリムは男の腹を蹴り飛ばし、気絶させてしまった。
グリムはバートンを殺すため、借金している者達に片っ端から聞いて回っていた。だが、一向に居場所を突き止めることができなかった。
「ずいぶん荒れてんな……グリムゥ……」
「あ“ぁ?アンタに口出しされる筋合いねぇんだよ。」
グリムはライドを睨みつけた。その目にはライドへの尊敬の念はなく、ただバートンを殺してやりたいという欲望だけに満ちていた。その目を見て、ライドは一瞬フッと笑ったかと思うと、気絶した男のポケットから財布を抜き取った。
「バートンに手ぇ出すつもりならやめとくんだな。」
「あ?知ってんのかよ?」
「金を扱う商売してんだ……多少はな。奴は得体が知れない……奴に恨みがある奴は大勢いる。それこそ殺したくなるぐらいな。実際、奴を刺しに行った奴は多い……だが、奴は不死身だって噂だ。」
ライドの話を聞き、ロイドは首を傾げた。ショウマとロゼッタの話を聞く限り、バートン=ギアンはほぼ確実……不死身というのは、怪人にナイフや銃が効かないという意味で言っているのかもしれない。
「他にもきな臭い噂があってな……警察上層部に賄賂を渡してるなんて噂も……」
「もういい!アンタに口出しされる筋合いはねぇって言ってんだろ!!」
怒鳴り声を上げ、グリムはライドから背を向けた。その場を立ち去ろうとしたその時、ライドが声を上げた。
「何をしようとしてんのか知らねぇが、狂ったみたいになってるぜ。狂犬みたいな顔してるぜ!」
ライドの言葉に答えることなくグリムは無言でその場を去っていった……
「……へっ、少しはマシな顔になりやがった……齧りつきたくなるな……」
─────────────────────────
「ハァ…ハァ……!クソ……!」
「つまんないな……」
仮面の男と対峙していたペルランは疲弊していた。仮面の男が強すぎる……というより男の能力に苦戦していたのだ。
(まさかこいつが……)
次の瞬間、仮面の男が消えた……かと思いきやペルランの背後に現れ包丁で襲いかかった。
(超能力者だったとはな!)
仮面の男は超能力者……
瞬間移動による死角からの攻撃への対処にペルランは疲弊していたのだ。
(相手は生身の人間……だけど、このままじゃ拉致があかねぇ!)
「チェンジ!!」
状況を打開するため、ペルランは奥の手に打って出た。
叫んだと同時にペルランの身体は両腕が翼になった鳥人イカルスへと姿を変えた。
「トゥルルルァァァァ!!」
「あははっ、君ショッカーの怪人だったんだ?」
「そう言われると微妙なとこだが……昔の俺とは違うぜ?瞬間移動なんて意味ないってこと……思い知らせてやる!!」
イカルスはその場でギュンッと高速で回転。すると、イカルスの周囲に羽根の形をした弾丸が設置され、壁を作った。
「なるほど……考えたね。」
「ここまでやれば、お前の瞬間移動なんて意味な……」
「変身」
「意味ない」と言おうとその時、仮面の男は腰の前で両腕を交差させ、静かに呟いた。
呆気に取られているイカルスをよそに、仮面の男はなんと……
「なっ……!?ルデス……!?こ、こいつはグリムの……!!」
仮面ライダールデスは、グリムが仮面ライダーカイザになる前……まだオルフェノクではなくアギトだった頃の姿。それを何故この男が変身したのか……困惑を隠せなかった。
「……ねぇ、瞬間移動移動できるのはさ……ぼくだけだと思う?」
その言葉とともに、ルデスはイカルスに近づこうと足を動かした。
「く、来るな!来たらタダじゃすまねぇぞ!!」
「ぼくは、自分自身を瞬間移動させるだけじゃなくて……こんなこともできるんだ。」
羽根弾丸の壁まで近づくと、羽根弾丸の一つに手を触れた。すると羽根弾丸の全てがルデスに向かって飛んでいった。
「フッ……」
次の瞬間、ルデスは目にも止まらぬ速さで全ての羽根弾丸に触れた。すると羽根弾丸は一瞬消えた。
「!?」
そしてすぐに羽根弾丸はイカルスの目の前に瞬間移動し、イカルスの身体に突き刺さった。
「がはっ……!?」
「ぼくは、触れたものも瞬間移動させることができるんだ……!」
ルデスは羽根弾丸に触れ、瞬間移動させた。その羽根弾丸はそのままの軌道でイカルスに向かって飛んでいった……ということだ。
自分の攻撃を食らったイカルスは、変身が解け、ペルランの姿に戻った。
「クソ……!」
ペルランは倒れはしなかったが、ダメージもあってその場で膝をついた。
「神化教団幹部っていうけど、大したことないなぁ……」
「“元“だ、“元“……!お前、何者なんだ……!?」
「安心しなよ。顔は見せてあげるよ……」
ルデスは変身を解いた。仮面の男は同じく膝をつくと、自分の仮面に手をかけた。
「君にはメッセンジャーになってほしいんだ……アイツへのね……」
次の瞬間、男はついに仮面を取った。その下に隠されていた顔に、ペルランは驚愕のあまり目を見開いた。
「お、お前は……!!?」
─────────────────────────
「……とりあえず、今日の成果はこんな感じ。」
その夜、喫茶シオンでは閉店後、地下室にグリム、ロゼッタ、ショウマ以外の全員が集まった。
テーブルの上にユーリが集めた資料が広げられた。
「フィオナ、ペルラン君から連絡は来てないのか?」
「残念ながら、まだ来てないわね。時間かかってるのかしら……」
「まぁ、先にユーリ君が持ってきた情報をまとめよう。」
ペルランが来ていないのを見て、ユーリが得た情報を先に見ることにした一同。ユーリは資料を見ながら話し始めた。
「まず、ヘレンさんの身辺を調査したんだ。ヘレン・ステイナー……西国出身で、父親は雑貨屋を営んでいたけど、大戦時に死亡……母親の方も20歳の時に胃癌で死亡……以来、ヘレンさんは一人で雑貨屋を切り盛りしていたみたい。」
「うーん……今のところドノバンとの接点はないな……」
そう、知りたいのはドノバンとの接点。今のところヘレンとの接点は出てきていないが……
「その後は……切り盛りしていた雑貨屋に、偶然ドノバンが入店して関係を持った……」
「は?」
思わずフリッドの声が上がった。
「いや、なんかおかしくないか……?間が空いてるというか……過程が飛ばされてないか?」
フリッドの言う通り、今の情報では違和感が多い。まず、なぜドノバンが雑貨屋に入店したのか、その時なぜ西国に来ていたのか、どのように関係を持ったのか……
すると、今度はノエルが口を開いた。
「私も、調べてきました。」
そう言ってノエルが取り出したのは一冊の雑誌だった。
「勤め先の新聞社でドノバン関連の記事を探したんですけど、それらしいのがなくて……代わりに雑誌の方を探したら見つけました。」
その雑誌はゴシップ記事ばかり取り上げる、ゴシップ好き向けの雑誌だった。その中にある一つの記事……「ドノバン・デズモンド、グランツ署長と密会?」という記事……
「グランツ……?誰でしょうか……」
「西国保安局の署長ですよ。質実剛健……って感じの人物で、こういうスキャンダラスなイメージとはかけ離れているイメージが強い人ですね。地域住民からの評判もいいし、ボランティアにも力を入れてます。」
グランツのことをヨルに説明するロイド。その時、皆の脳裏に疑問が浮かぶ。
ドノバンとグランツは何の目的で密会などしていたのか……この記事が載った後、二人の元にインタビューが来ただろうが、おそらくはノーコメント……
「八方塞がり、かな……」
「ペルランを待つしかないか……」
後はペルランからの情報を待つだけ……と思っていると、
「なにやら行き詰まっているようですね。」
後ろから声が聞こえ、振り向くとそこには“WISE“の一員……法条がニヤリと笑いながら立っていた。
「法条!」
「面白いことをしていると聞きましてね……私なりに情報を探していたら……面白い情報を掴みましてね……」
法条は懐から紙の束を取り出すと、テーブルの上にばら撒いた。
法条がばら撒いたのは、病院のカルテだった。
「ヘレンがグリム君を出産した病院のカルテです。医者として潜り込んで、主治医に色々聞いたんですが……どこか辿々しくてね……それで、カルテを拝借してきたんですよ。そしたら……色々面白いことが分かったんですよ。」
ロイド達は恐る恐るそのカルテを手に取った。それに載っている情報に……ロイド達は戦慄した。
「ちょっと待て……これ……!?」
「こんなの、ありえるのか……!?」
「でも……少なくとも、これはグリムくんに見せちゃダメです……!!」
「うん……こんなの見たらアイツ……!!」
カルテに載っている情報は、復讐に生きていたグリムの存在を否定する紛れもない事実……もしこれをグリムに見せれば、グリム自身が壊れてしまう危険がある……否、また復讐鬼に戻る可能性も……
その時、喫茶シオンのインターホンが鳴り響いた。
「わ、私、出ますね……」
今見たものを見なかったことにするかのように、ヨルは上の階に上がっていった。
「……このことは、グリムには絶対黙っているんだ……」
「そうだな……法条、カルテは病院に返して……」
「ロイドさん!!」
その時、上に上がったはずのヨルが慌てた様子で戻ってきた。
「ヨルさん?どうしたんですか?」
「それが……!」
ヨルは慌てながらも状況を説明し、ロイド達を案内した。
そこには、身体中傷だらけで壁にもたれかかるペルランの姿があった。
「ペルラン!?」
傷だらけのペルランを見て、ロイド達は駆け寄った。
「いったい何があった!?誰にやられた!?」
「……グ、リ、ム……」
ペルランはただ一言だけ言い残し、気を失い倒れてしまった。
「お、おい……今……『グリム』って……」
「ああ……言った……」
「まさか、グリムくんがペルランさんを……!?」
「とにかく、救急車だ!応急手当も!」
早急にペルランの応急手当が施され、さらに救急車を呼び、ペルランは病院に搬送された……
とりあえず一安心……だが、ペルランが言い残したことがロイド達の中で引っかかっていた。
気を失う前に「グリム」とペルランは言い残していた。ペルランを病院送りにしたのはグリムなのか、それとも……
謎が深まっていく中、グリム達は出会うことになる。グリムの隠された真実に……
おまけ「思い返してみれば」
「なぁ、オッサン。」
「どうしたグリム。」
「ショッカー大首領と対決した時のこと思い返してみたらさ……」
近距離得意∶アギト、ギルス、X、ファイズ、ヨル、ディケイド、ジオウ
中距離得意∶ギルス、ギーツ、G3-X
遠距離得意∶ギーツ、G3-X、ロイド
チート能力∶アギト(シャイニング)、ギーツ(マーク9)、アーニャ&ボンド(超能力)、ディケイド(コンプリート)、ジオウ(グランドジオウ)
力によるゴリ押し∶全員いける
「……もしかしてだけど、大先輩方の力借りなくても勝てたんじゃね……?」
「……言われてみれば……」