SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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Part.13 獅子王進軍

 

西国首都のとあるテレビ局……そこにグランツは来ていた。とあるバラエティ番組でコメンテーターを務めることになったのだ。

 

「グランツさんは質実剛健で有名ですよね。それが若者やお年寄りから支持を集めているとか!」

 

番組の視界がそう言うと、グランツは笑って答えた。

 

「ハハハ……私は特別なことはしていません。ただ、皆様の期待に応えたい一心でやっているだけですよ。」

 

そう言ってにこやかに笑うグランツはカメラ写りがとてもよく、他の皆の注目を集めた。共演の芸能人達も、エキストラの民衆達も……

 

「私のこういった理念は、署長になった時からも一切ブレてはいません。もちろん、これも市民の皆様の……」

 

その時、グランツは異変に気付いた。共演者達とエキストラ達がざわめいていたのだ。

 

「……なにか?」

 

共演者達とエキストラ達の目線は、グランツの後ろにあるモニターに向かれていた。グランツはその視線に誘われ、モニターを見てみると……

 

《保安局署長グランツ•マートル、人身売買•殺人教唆の罪で逮捕状請求》

 

モニターのテロップにはそう書かれていた。グランツは開いた口が塞がらなかった。ただただ困惑するしかなかった。

すると、司会はおそるおそるグランツに尋ねてきた。

 

「あ、あの、逮捕状請求とありますが……?」

 

司会の狼狽えている様子から、これは決してドッキリではないと察することができた。ここで下手なことは言えないと、グランツは必死に言葉を探す。

 

「こ、これは……手違い!そう!これは何かの手違いです!!」

「手違いって……それはどういう意味なんでしょうか!?」

「説明をお願いします!」

 

グランツの発言に、エキストラの民衆達は騒ぎ始めた。すると、その混乱の中、エキストラの女性の一人が立ちあがった。

 

「グランツ署長!あなたは昔、今の奥様とは別の女性とお付き合いしていましたよね!?女性の名前はヘレン!」

「っ!?」

「その当時、あなたは別の女性と交際していながら、ヘレンさんと二股をかけていた!」

 

女性が叫ぶ内容に他のエキストラや出演者、スタッフまでもが驚き、さらにざわめいた。

 

「今の奥さんと結婚した後、あなたはヘレンさんを捨てた!それだけじゃなく、あなたは息子さんを東国へと売ったという噂が流れています!!」

「だ、誰か!あの女を追い出せ!!」

 

グランツは声を思わず荒げた。同時に頭の中に浮かぶ、自分が捨てた女とその間に生まれた赤ん坊の顔……グランツにとって、とっくの昔に捨て去った記憶だった。

すると、さらにエキストラの一人である男性が立ちあがった。

 

「それから、あなたの同僚が不審死したという話も聞きました!!」

「!!」

「その同僚は、あなたと次期署長の座を争っていたとか……もしかしてあなたが殺したんじゃないですか!?」

 

グランツは冷や汗を掻いた。同時に頭に思い浮かぶ同僚の顔……自分より人望も実力もあった同僚……その同僚の首に手を回した自分が……

 

やがて警備員が現れ、その女性と男性の腕を掴んだ。

 

「待ってください!この噂は事実なんですか!?どうなんですかグランツ署長!!」

「グランツ署長!!」

 

女性と男性は最後まで騒いでいたが、やがて外へ追い出された。女性は悔しそうに歯ぎしりを立てる……が、すぐにフッと笑い、耳につけた通信機に手を当てた。

 

「こちらの手筈は整ったぞ……グリム。」

『サンキュー、シルヴィアさん……』

 

通信に出たのはグリムだった。そして、この二人の正体はWISEのシルヴィアと法条だった。

 

『あの野郎だけノーダメで終わらせるわけにはいかねぇ……でも、ギアンの方で手一杯だ……』

「分かっている。だから私に任せたんだろう?大丈夫だ……お前は自分のやるべきことをやれ。」

『ああ……わかってる。』

 

グリムはそう言うと通信を切った。すると法条はため息をついた。

 

「なぜ私まで……」

「何を言ってるんだ。グランツを陥れると言ったらノリノリだったじゃないか。」

「……まぁ、余裕ぶっこいた奴を蹴落とすのは好きですがね……」

 

─────────────────────────

 

『だから!どうなっているのかと聞いてるんです!!あなたの仕業じゃないんですか!?』

 

そのころ、隠れ家にいたギアンはある男から電話を受けていた。その男とはグランツだった。さきほどのテレビのテロップのことで電話をしてきたのだ。

 

「私もテレビで確認しましたが、例のテロップはそちらのモニターにしか映らなかったそうですが。」

『だが、それをテレビで生放送されてたんですから同じことでしょう!!多くの市民があのテロップを目にしたんです!!誰が何の目的でアレを流したのか、早急に説明しなければならない!』

「落ち着いてください。とにかく今は軽率な行動を取らない方が……」

 

憤るグランツに、ギアンは冷静に警告を送るが……グランツの怒りは収まらなかった。

 

『だったら、あなたがどうにかしてください!今、自由に動けるのはあなたぐらいなんですからね!!』

「……まぁ、いいでしょう。今まであなたのことは色々助けてあげましたからね……あの同僚さんの時とか……」

『……!!と、とにかく、頼みましたよ!!』

 

グランツは急に歯切れが悪くなり、一方的に電話を切った。

 

「電話は終わったかい?」

 

電話が終わったのを見計らい、一人の男が部屋に入ってきた。その男は高級そうな黒いスーツを身に着け、耳や鼻など至る所にピアスをつけた男だった。

 

血の雨(ブルートレーゲン)のヘイル……どうした?」

「いや……10億の件で話があってな……うちらレーゲンファミリーの取り分はいくらになるんだ?」

 

このヘイルという男はレーゲンファミリーの幹部(カポレージム)……いわばライドと同じ立場の男だった。ヘイルはギアンの向かい側に座るなり、金の話をし始めた。

 

「当初の予定は私が5、君達レーゲンファミリーが2、グランツが3の予定だったが……もしかしたら私と君達で半分ずつになるかもしれんな……」

 

そう言ってギアンはニヤリと笑ってみせると、ヘイルも同様に不敵に笑う。

 

「つーことは、グランツを始末すんのかい?」

「ああ、誰かはわからんが、奴の過去を暴いた奴がいる……奴はパニクってる……こうなると手を切ることも考えないとな。それに……保安局の中にはレーゲンファミリーが送り込んだスパイもいるんだろう?そいつを次の署長にすれば……」

「なるほど……いい考えだ……」

 

ギアンにとってグランツは蹴落とす相手の一人……否、場合によってはレーゲンファミリーと手を切る可能性もある。ギアンは周りの相手を道具と思っている。レーゲンファミリーもその一つに過ぎない……

その時、ドガァンッ!という爆発音とともに部屋全体がグワンと揺れた。

 

「な、なんだ!?」

 

さらにマフィアの一人が慌てた様子で部屋に入ってきた。

 

「へ、ヘイルさん大変です!ブ、ブリッツファミリーの連中が……全員攻めてきましたぁ!!」

 

報告に来た構成員の言う通り、隠れ家の外には大量のブリッツファミリーの構成員達が待ち構えていた。

 

「おどれらぁ!!よくもライドのアニキやってくれたのぉ!!」

「生きて帰れると思うなや、レーゲンのガキどもがぁ!!」

「とっとと出てこんかい!!船なんぞに隠れよって!クルージングのつもりかぁ!!」

 

ギアンとレーゲンファミリーは船を……それも巨大な貨物船をアジトとして使っていた。そこにブリッツファミリーの構成員達は手榴弾を投げ入れる。

 

「どんどん投げろぉ!!在庫処分だ!!」

『おおっ!!』

 

どんどん手榴弾が投げ込まれ、船のあちこちで爆発が起こる。それに対し、ギアンは無線で指示を飛ばす。

 

「船を発進させろ!ここから離れる!!」

 

あらかじめエンジンをかけていたため、すぐさま貨物船は動き出した。そのまま船はどんどん離れて……

 

《ブリザードソルベ!》

 

次の瞬間、海面が港から船に渡って凍りつき、貨物船の動きを止めた。

 

「よっしゃあ!!いくぞオラァ!!」

 

凍りついて動かなくなった貨物船を見て、一人の男がバイクに乗って叫んだ。その男は、“獅子王“グリム•ハワード。

 

「全員、突っ込むぞぉぉぉぉ!!」

 

グリムは叫び、バイクを走らせて船へと突っ込んでいく。その後ろを彼の仲間達とブリッツファミリーの面々が車やバイクに乗って突き進む。

 

「ロゼッタ、しっかり捕まってろ……あと、絶対そばから離れるなよ!」

「うん……!!」

 

この戦いに、ロゼッタはついていった。ギアンを一発でも殴らないと気がすまないと聞かなかったからだ。それと、もしミゲルに会ったら説得したいと考えたからだ。

 

「オラァ!!」

 

バイクに乗ったまま甲板を駆け上る。甲板の上には大量のマフィアと、ギアンが召喚した大量のエージェント達が待ち構えていた。

 

「しっかり捕まってろよ!」

 

バイクのアクセルを力強く捻り、全速力で突進して目の前のエージェントを跳ね飛ばした。

 

「こ、こいつ……!」

「フンッ!」

 

バイクの後輪をウィリーをするように上げ、そのまま横に回転させて周りの敵を吹き飛ばした。

その間に他の仲間も甲板に上がってきた。

 

「仲間がいやがったか……!」

「あいつらもやっちまえ!!」

 

他のマフィア達は仲間達の方に襲い掛かった。だが、グリムの仲間達も猛者の中の猛者……その殿を務めるのは、フリッドとヨルだ。

敵が間合いに入った瞬間、二人の蹴りが敵の顎に炸裂し、吹き飛ばした。

 

「なっ……!?」

「誰が……」

「誰をやっちまうって?」

 

振り上げた足をスーッと下ろしてダンッ!と床を踏みしめる二人は今までにないほど怒り、睨みつけた。

 

「私……今、すごく怒ってます……全員、息の根止めてさしあげます……!!」

「お前らは群れになってグリムの大切なものを傷つけた……教師としてこんなこと言うのは恥ずべきことだが……くたばれ、クソども……!!」

 

怒りの表情を向けたまま、二人は敵陣に切り込んだ。ヨルは2本のスティレットで、相手の首を的確に切り裂き、さらには強力な蹴りを食らわせる。

そこに、エージェントの一体がヨルに襲いかかる。

 

「シッ!!」

 

エージェントは銃を撃とうとするが、それよりも早くヨルがエージェントの目をスティレットで突き刺し、そのまま床に倒して頭を踏み潰した。

 

「ハァァァァ!!」

 

フリッドの方は姿勢を低くしながらブレイクダンスさながらの回転で周りの敵を怯ませ、地面に倒れた状態から腕を使って跳躍し、起き上がると同時にエージェントを蹴り飛ばす。

 

「変身っ!ウオォォォォォォ!!」

 

フリッドは両腕を交差させ、ギルスへと変身し、獣のような雄叫びを上げた。

 

「ガァウッ!」

 

両腕から鋭い爪を伸ばし、向かってくるエージェント達を切り刻む。さらに爪を鞭のような触手に変え、ヌンチャクのように振り回して殴りつける。

 

「さーて、どうする?変身するか?イグニス。」

「無理しないでくださいね、ペルランさん。無理して退院したばっかりなんですから。」

 

大勢の敵に取り囲まれながらも余裕そうな顔を見せているのは、イグニスとペルラン。ペルランは病院に入院していたが、半ば逃げる形で病院から退院した。

 

「シャッ!」

 

イグニスはコートの袖口から両手合わせて6本の銃剣を射出し、それを指に挟み、一斉に投げて襲いかかってくるマフィア達の顔面に突き刺した。

同時に、ペルランは懐から2丁の拳銃を抜き、向かってくる敵の眉間を正確に射抜いた。

 

「こんな奴ら、変身するまでもありませんよ。」

「確かに。」

 

その時、上空からヘリのローター音が聞こえてきた。顔を上げると、そこには東国保安局が保有するヘリが飛んでいた。

 

「ユーリ君、準備はいい!?」

「はい!G3-X、出動します!」

 

G3-Xを装着したユーリはヘリから飛び降り、甲板の上に着地した。

 

「全員逮捕!及び処断する!!」

 

両手で銃を構え、エージェントには銃で応戦し、マフィア達には格闘戦で応戦する。

他の面々と比べると派手さはないが、一人一人着実に下していく。

 

「できればライドの奴に引導を果たしたかったが……仕方ない……かわりに貴様らを八つ裂きにしてやる!」

 

弟切を先頭に敵陣に切り込むのは“ガーデン“の殺し屋達。その実力はマフィア達はおろか、エージェント達すらも越えていた。

さらに、もう一組共に戦う協力者がいる。ブリッツファミリーだ。

 

「うらぁっ!!」

 

副首領(アンダーボス)のグロームは手槌をエージェントの一人に炸裂させ、顔面を陥没させた。

 

「ひ、ひいぃ!!?」

「ま、まさか、抗争相手の顔面を尽く陥没させたと恐れられている……“雷神の槌(トールハンマー)“グローム!?」

「次!顔面へこまされたい奴出てきな!!」

 

グロームの怪力と破壊力にレーゲンファミリーは恐れ慄いた。その少し離れたところで、相談役(コンシリエーレ)のトルエーノがサーベル片手に敵と対峙していた。

 

「こいつは弱そうだ……やっちま……!?」

 

次の瞬間、マフィアの一人の身体に無数の穴が空き、血しぶきが噴き出した。

トルエーノが弾丸よりも速いスピードでサーベルの刺突を繰り出し、相手の身体に穴を開けたのだ。

 

「弾丸よりも速い刺突……雷撃剣(ライトニングボルト)のトルエーノ!?」

「ホホホ……大げさな……まぁ、ゴリラ(グロームさん)には及びませんが、こう見えても強いんですよ、私……」

 

ケラケラ笑いながら、トルエーノは糸目だったまぶたをゆっくり開き、瞳を見せた。

 

「さて……レーゲンのガキどもが10億で何を企んでやがるか知りませんが……塵芥(みなごろし)にするのみでございます。」

 

目を開けて笑顔でサーベルを構えるトルエーノの姿には恐怖すら覚える……

 

「グリム!雑魚は俺達に任せて、お前はミゲルとギアンのところへ!」

「わかった!」

 

グリムとロゼッタはバイクから降り、そのまま奥へ進もうとしたその時、レーゲンファミリー幹部、ヘイルが立ちはだかった。

 

「待ちな……」

「あ?なんだてめぇ……」

「レーゲンファミリー幹部……ヘイルってんだ。お前とは会いたかったんだよ……ライドの野郎を殺せたのはお前のおかげだからなぁ……」

 

ヘイルの言葉にグリムの表情が曇った。ヘイルは続けて言った。

 

「アイツと俺はライバルなんだがなぁ……アイツは俺にとっては邪魔者……だったんだが、お前のおかげで俺が手を下す必要がなくなったぜ!ひゃははははははは!!」

 

ヘイルは高笑いを上げ、その部下達も笑い声を上げた。しかし、グリムの反応は……

 

「ふあ〜あ……もう終わった?」

 

いらん話を聞いて疲れたような顔であくびを上げていた。その反応にヘイル達はキョトンと目を丸くしている。

 

「お前、ライドのアニキのライバルって言ってたけど……俺、肝心のアニキからあんたの話なんて一個も聞いてねーんだけど?ライバルだったら普通話すよな?『アイツはクソ強いから手を出すな』とか『奴は俺の獲物だ』とか……でもアニキはそんなこと言わなかった。」

 

グリムは思ったことをありのままヘイルへと話す。対するヘイルは歯ぎしりを立てて明らかに怒りを示していた。

グリムはその様子をチラリと見ながら話を続ける。

 

「つまり……アニキにとってアンタはその程度の男だったんだよ。眼中になかったんだよ。」

「こ、の……!ガキがぁぁぁぁぁ!!」

「そりゃっ!!」

 

怒りのままに叫ぶヘイルは懐から拳銃を取り出した。だがそれよりも早く、グリムはバイクをヘイルに向かってぶん投げた。

 

「うおっ!?」

「てめーは後回し!」

 

グリムは地面を思い切りぶん殴り、大穴を開けた。そのままロゼッタと二人中へと落ちていった。

 

「チッ……!追いかけ……!」

 

ヘイルと部下達が後を追おうとしたその時、部下の一人の頭が撃ち抜かれた。

 

「なっ……どこから撃った?!」

 

頭を撃ち抜いた弾丸が放たれたのは、船から50kmも離れた港からだった。

 

「おみごとです、トネール氏。」

「いや……さすがに鈍っちまった。俺の若え頃は眉間ど真ん中を撃ち抜いたんだがなぁ……今のは0.3mずれた。」

 

トネールは港の倉庫の屋根の上からスナイパーライフルでヘイルの部下を撃ち抜いたのだ。横にいたガーデンの“店長“はゴクリとツバを飲んだ。

 

「さすが……スナイパーライフルだけで軍艦や戦闘機を射抜いたと云う“雷光の弾丸(サンダーバレット)“のトネール……」

「尾ひれがついてやがんな……撃ち抜いたのは軍艦や戦闘機じゃあねぇ。それを操縦してるパイロットだ。」

 

ボヤきながらもライフルに弾をこめ、次々とエージェントやマフィアを撃ち抜いていく。

 

「ア、アニキ!味方がどんどんやられて……」

「どいつもこいつもなめやがって……!!」

 

歯ぎしりを立てながら、ヘイルは服を捲り上げた。その腹にはなんと、ライドと同じく黒ガヴが備えられていた。

 

「黒ガヴ!改造されたのか……」

「まずはてめぇらから血祭りにしてやる!!」

《スナック!》

 

ヘイルは黒ガヴの口を開き、懐から取り出したゴチゾウを舌に乗せて口を閉じ、ハンドルを回した。

 

《BITEスナック!BITEスナック!》

「変身!!」

 

ヘイルが横のスイッチを叩くと、全身が黒い霧に包まれ、さらにポテトスティックが身体に突き刺さり、黒いスーツと黄色い装甲を形成する。

 

《バキバキスティック!ヤミー!!》

 

さらに口から紫色の禍々しい剣を抜き、逆手持ちで構えた。

 

血の雨(ブルートレーゲン)のヘイルの実力……お前らにも見せてやるよ!」

 

────────────────────────

 

「バートン様、こちらです!」

 

そのころ、ギアンの方は部下数人を引き連れて船の中を逃げ回っていた。

 

「まさかブリッツファミリーが攻めてくるとは……人間とは度し難い……身内が死んだだけで敵討ちとは……!」

 

ブツブツとギアンが愚痴を言っていると、背後からパンッ!という発砲音が聞こえてきた。

 

「お、お前、いったいなに……!」

 

また発砲音が響き、部下の一人が倒れた。茶髪に顎髭を生やした部下が銃で他のギアンの部下を撃ち殺したのだ。

 

「なんだ、貴様……」

「……確かに、復讐しても何の意味もないかもしれない……だが、身内を殺されてどうにも思わない人間がどこにいる!!この気持ち……お前には分からないだろうな……バートン……いや、その皮を被ったギアン•ストマック!!」

 

茶髪の部下は自身の顔面を掴んだかと思うと思い切り引っ張った。その顔はマスクになっており、その下に隠れていたのは……ロイドだった。

 

「お前はあの男といた……」

 

ロイドはすかさず拳銃を構えて撃った。

 

「……ククッ、心臓を狙ったのなら……正確な射撃だな……」

 

ロイドの弾丸はギアンの心臓を撃ち抜いた……だが、効いている様子がなかった。

 

(対アンノウン用の弾丸ではダメか……!)

「所詮人間では私には勝てない!さぁ、覚悟して……」

 

するとその時、天井がドガァン!という音を立てて穴を開け、上からロゼッタを抱きかかえたグリムが降ってきた。

 

「ギアァァァァァン!!」

 

落ちるのと同時にグリムはギアンに飛び蹴りを繰り出した。しかし次の瞬間、どこからか現れたミゲルが二人の間に入り、その蹴りを受け止めた。

 

「待ってたよ……兄さん♪」

「ミゲル……!」

 

何日かぶりの再会にミゲルは笑顔を浮かべ、グリムはただミゲルを睨む。

 

「来たか……ここは任せたぞミゲル……私は力を溜めておく……」

「待て、ギアン!」

「ロイド!」

 

ギアンの後を追おうとするロイドをグリムは引き止めた。

 

「ロゼッタを頼む……巻き込まれないように守ってくれ……」

 

グリムはロゼッタをロイドに託し、ミゲルと対峙する……

 

「来てくれたんだね、兄さん。」

「ああ……ミゲル、お前を止める。ギアンをぶっ倒すだけじゃない……お前を止めるために来たんだ!!」

「……兄さんに、ぼくの気持ちなんてわからないよ!!」

 

今まで笑顔だったのが一変し、ミゲルは拳を固く握ってグリムへ突っ込んだ。グリムも拳を握ろうとしたその時、天井に空いた穴から一本の剣が振ってきて、ミゲルの足元に突き刺さった。

 

「この剣は……!」

「グリム!ミゲル!」

 

そこに現れたのは、ショウマだった。

 

「ショウマくん……」

「ショウマ!お前なんで……」

「グリム……本当に、ミゲルと戦うの……?殺し合いになるかもしれないのに……」

 

ショウマは心配そうな顔でグリムに問いかける。少し黙った後、グリムは静かに答えた。

 

「……だとしても、もうこれ以上……ミゲルを放っておくわけにはいかねーんだ……ずっと放ったらかしにしてたからよ……」

「……わかった。」

 

ショウマはフッとため息を吐き、グリムとミゲル、二人の顔を見合わせた。

 

「二人は思う存分戦っていいよ。俺は……二人の邪魔をしてでも二人の戦いを止めるから。」

「へっ……好きにしろ。」

 

弟と戦う者、兄と戦う者、二人を止めようとする者……3人の思いが、今……ぶつかり合う。

 

『変身っ!!!』

 

 

 

 




おまけ「化け物だらけ」

「ブリッツファミリーの面々……化け物じみた連中だな……味方なのが安心だな……」
「……先輩、ふと思ったんですけど……今まで出てきた強者ってだいたい東国出身なんですよね……」

ヨル•••ガーデンの殺し屋“いばら姫“
ユーリ•••タフネスが化け物クラス
フリッド•••不死身
グリム•••オルフェノク
ウォルター•••秘密警察最強の男(刀を使わせれば最強)
ライド•••雷狼(ネームドクラス3人をボコれる)
グローム•••雷神の槌(怪力によるハンマーで顔面を陥没させる)
トルエーノ•••雷撃剣(弾丸より速い刺突を繰り出せる)
トネール•••雷光の弾丸(50km先から狙撃できる。その気になれば戦闘機や軍艦のパイロットを撃ち抜ける)

「……東国って修羅の国か何かですかね。」

フィオナの言い分に否定できず、ロイドはうーんと唸るだけだったらしい……

────────────────────────

これまでの味方キャラや敵キャラを思い返すと、みんな東国出身だったなぁ、と気づきました。
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