諸事情ありまして、連載中の「呪雄奇譚」は一旦おやすみさせていただきます……
そのかわり、こちらの連載をスタートします。皆様、何卒よろしくお願いします……
東西の間に鉄のカーテンが降りて十余年、隣り合う東国<オスタニア>と西国<ウェスタリス>の間には仮初の平和が成り立っていた……のは、すでに過去の話……
ショッカーとの決戦から10年が経過し、その間に東国と西国の間で正式に終戦協定が結ばれ、2つの国は一つとなり「連合国」と呼ばれるようになった……
「カメバズーカ仕込みの人形焼はいかがズーカー!」
「お荷物でーす」
「ザンジオーさん、いつもお疲れさま。」
変わったことはもう一つ……10年の間に怪人達による犯罪行為はなくなり、人間と共存する道を歩み始めた。
しかし、それでも全ての怪人が共存を選んだわけではなかった。
「フラーイ!命が惜しくば金を出せ!!我ら偉大な大ショッカー復活のための資金にするのだ!!」
町中にある銀行を、ハエとテレビを合体させた怪人「テレビバエ」が襲う。
ショッカーがいなくなっても、その意思を継がんとする者は後を絶たない。テレビバエもその一人。
突然の襲撃に、銀行員はもちろん、来ている一般人達も困惑し、恐怖に顔を歪めている……だが、そんな空気を切り裂くように、次の瞬間天窓が音を立てて割れ、獣のような叫びとともに戦士が現れた。
「ケケーッ!!ケケケケケーッ!!」
現れたのは黄緑色の身体に赤色の斑模様を持ったトカゲのような戦士「仮面ライダーアマゾンJr」。
「出たな、仮面ライダー!」
「仮面ライダーだ!」
「仮面ライダー!」
さらにアマゾンJrの後に続き、三人の仮面ライダーが現れた。
「悪逆の輩は、私達が征伐しますわ!」
顔にスパナ、胸部にエンジンのようなものをつけた「仮面ライダーヴァルバラド」。
「ぼ、ぼくらがいる限りは好きにはさせないぞ!」
黒いスーツに水色の手裏剣を模した鎧に、鬼の顔がついた巨大な手裏剣を手にした「仮面ライダーシエル」。
そして……
「ハァァァ……ハッ!」
金色の鎧に、真っ赤な瞳……この国の英雄……仮面ライダーアギト。
「ライダーめ……!やれ!」
テレビバエは戦闘員達に指示を出し、戦闘員はそれに従って4人に襲いかかる。
「ケケーッ!戦いだーっ!」
アマゾンJrは見た目通りの獣のような戦い方に素早い動きを得意とするスピードファイター。
四つん這いになったかと思うと足をバネにして襲いかかる戦闘員に襲いかかった。戦闘員の頭を床に叩きつけると、自慢の爪で次の敵を切り裂き、脚技で蹴り飛ばす。
「クロコダイルスロー!」
さらにアマゾンJrは戦闘員の足と腕を掴んで、回転をつけながら投げ飛ばす。まるでクロコダイルのデスロールの如く。
仲間達も後に続く。ヴァルバラドはレンチを模した剣…「ヴァルバラッシャー」を手に、敵に向かっていく。
「いきますわよ……!覇王戦舞刃!!」
自分で考えた技名を叫びながら、横薙ぎ、下からの袈裟斬り、上からの一振り、最後に突きを繰り出す。
ヴァルバラドは武器を使った近距離から中距離を得意と他……
《ガッツショベル!イグナイト!》
《ジャマタノオロチ!イグナイト!》
ショベルが描かれたカードと、八岐の大蛇のような怪物が描かれたカードをベルトに装填し、レバーを引くと、
《ガッチャーンコ!バースト!》
《カスタムアップ!オロチショベル!》
音声とともに胸部に2頭の龍を模した鎧、両腕にショベルのバケットと3頭の龍が合わさったような巨大な手甲が装備された。
「一足先にいただきますわ!天地双牙!!」
ヴァルバラドは両腕のバケットでテレビバエに飛びかかると、上から両腕を鋭く振るい一撃、そこにすかさずアッパーカットを繰り出して殴り飛ばした。
「シエル!俺らもいいとこ見せんぞ!」
「う、うん……!フェイクスロー!」
シエルは独りでに喋る手裏剣を敵陣に向かって投げるが、戦闘員達は軽々とよけた……が次の瞬間、手裏剣が鬼のような怪人に変化し、背後から戦闘員を殴り飛ばした。
「フータロス、戻って!」
「おうよ!」
シエルが飛びかかると同時に、フータロスは光とともに手裏剣の姿へと戻り、シエルの手元へ戻る。シエルは手裏剣を持ち直すと着地と同時に戦闘員達を切りつける。
「サイクロンスロー!」
技名を叫びながら手裏剣を投げ、自分の周囲を旋回させて敵を斬り刻んだ。
シエルは手裏剣を用いた投擲とフータロスによるトリッキーな攻撃を得意とする。
「ハッ!」
そして、アギトは鍛えた身体と洗練された技を用いた徒手空拳でテレビバエを攻撃する。
テレビバエの攻撃をかわして受け流し、後頭部に裏拳を食らわせる。さらにそこから三段蹴りを食らわせる。
「うわっ!やっぱりアギトかっけー!」
「でも、最近のアギトってなんか変わったか?身体の線が細いっていうか……」
アギトの活躍に沸く民衆達だったが、その内の何人かはアギトの身体に違和感を感じていた……
それをよそに、アギトは頭部のツノを展開する。
「ハァァァ……」
地面に黄色いアギトの紋章を浮かばせると、それを足へと吸収させる。
「ハッ!」
紋章を吸収すると空高く跳び上がり、
「ハァァァァァァ!!」
空中で一回転し、テレビバエに必殺の飛び蹴りを繰り出した。飛び蹴りがテレビバエの胸に激突し、テレビバエは吹き飛んで入り口を突き破っていった。
「ぐぼっ!!」
「怪人が出てきたぞ、取り押さえろ!」
外には警察が待機していた。白いアーマーを身にまとった機動隊員はテレビバエが倒れたのを見て、即座に群がって取り押さえた。
「フフフ……オホホホ!!私達の勝利ですわ〜!みなさん、もうご安心……」
「やったー!勝ったー!」
ヴァルバラドが高笑いとともに市民にもう大丈夫だと呼びかけようとした瞬間、アマゾンJrが大声を上げて飛び跳ね始めた。
「ちょっ、ちょっとタス……アマゾン!まだ私が喋ってる最中でしょう!?」
「け、喧嘩はダメだよぉ……とにかく、ここは立ち去らないと警察が……」
シエルがおどおどした様子で2人の間に入ると、機動隊員が乗り込んできた。
「動くな!仮面ライダー……貴様らを取り調べる!」
「こっち!」
その時、アギトが先導して仲間と一緒に窓から外へ飛び出した。
「ま、待て!」
「追うぞ!」
アギト達の後を機動隊員達が追いかける。アギト達と機動隊員による町中のチェイス……しばし続いていたが、アギト達が曲がり角を左に曲がった。機動隊員達も左に曲がったが、そこにアギト達の姿はなかった……
「くそっ、どこ行った……!?」
「おい、そこのお前ら!今、怪しい集団が通らなかったか!?」
機動隊員は近くのベンチに座っているピンク髪の女の子に声をかけた。ピンク髪の女の子は困ったような表情を浮かべながら上を見上げた。
「えっとぉ……今、屋根の上にピョーンって跳んで……」
「チッ、逃げ足の速い……」
「お前、見かけたら警察に連絡しろ!仮面ライダーなど、怪人と変わらん!危険分子だからな!」
機動隊員は捨て台詞を吐くとその場を去っていった……
「ふぅ……みんな、もういいよ。」
ピンク髪の女の子が声を上げると、物陰に隠れていた3人の少年少女が出てきた。彼らこそ、さきほど戦った仮面ライダー達の正体だった……
「はぁ、助かった〜……」
「間一髪だったな〜、シエル。」
シエル・フォージャー……仮面ライダーシエルに変身し、
「もうっ!タスクがあそこではしゃぐから、私の決めゼリフが……」
マール・リード……仮面ライダーヴァルバラドに変身し、剣術と錬金術を嗜む10歳の少女
「でも楽しかった〜!あはは!」
タスク・ハワード……仮面ライダーアマゾンJrに変身する、天真爛漫な野生児のような9歳の少年
そして……
「それにしても、アーニャお姉様!どうしてアーニャお姉様は必殺技を叫ばないのです?」
「えっ、えっと……それはね……大好きで、尊敬してる人をリスペクトしてるからかな……」
赤面しながら話すこの少女……この少女こそ、この世界における仮面ライダーアギト、アーニャ・フォージャーである。
「リスペクトも大事かもしれませんけど、アギトは過去の人!今はアーニャお姉様がアギトなのですわ!最近は必殺技を叫ぶのがトレンドですわ!」
「トレンドって……それはマールが勝手に言ってるだけじゃ……」
「何か言ったかしら、シエル〜!?」
「ご、ごめん!ごめんってば……」
シエルのいらぬ一言にマールは苛立ち、胸ぐらをつかんだ。シエルはそれに慌てて謝る……そんな光景にフータロスは呆れながら見ていた。
「シエル〜、お前もうちょい自我持てよな〜」
「わはーっ!みんな〜、こっちに焼き鳥屋ある〜!」
「おめーはおめーで協調性持て!」
我道を行くタスクにフータロスはツッコミを入れるが、タスクは構わず財布を取り出して焼き鳥を買い始めた。
「あはは、もう小遣いなくなった〜」
「どうするの?もうお菓子とか買えないよ?」
「大丈夫!スズメとか野鳥捕まえる!後、トカゲ出るとこ知ってる!トカゲの丸焼きも美味い!」
野生児感のあることを言いながら焼き鳥を頬張るタスクの姿に、アーニャ達はため息を吐いた……
「タスクくんは相変わらずだね……みんな、今日はこれぐらいで帰ろっか。」
「わかったよ、お姉ちゃん。」
「わかった〜!また明日〜!」
「街に危険が及んだら、また私達『少年ライダー隊』の出番ですわ〜!オホホホ……!」
アーニャ率いる「少年ライダー隊」……それが、この街で起こる怪人絡みの騒動を片付ける自警団……
だが、彼らはまだ知らない……この先に巻き起こる、10年の歳月が生んだ、“歪み“を……
おまけ「技のルーツ」
「覇王戦舞刃!天地双牙!」
「マールちゃん、前から気になってたんだけど……」
必殺技の練習をするマールに、アーニャは声をかけた。
「マールちゃんの技名って、なんかモデルあるの?それともオリジナル?」
「無論、オリジナルですわ!よそ様からパクるなんてプライドが許せませんわ!」
「そっか、ちゃんとしてるんだね。」
マールは木刀を構えると、それを下から掬い上げるように振るう。
「魔神剣!」
「ん?」
「虎牙破斬!」
「んん?」
2回連続で放たれるマールの技名に、アーニャは違和感を覚えた。
「あの、マールちゃん?それ、どっかで聞いたことが……」
「……オリジナルですわ。」
「いや、それテ◯ルズ……」
「オ・リ・ジ・ナ・ルですわ。」
「……そっかぁ……」
「多分あの作品に影響されたんだろうなぁ」とアーニャは思ったが、本人が楽しそうならいいと解釈したのだった……