「ただいまー!」
夕方頃、皆は自分達の家に戻り、アーニャとシエル姉弟も自分達の家に笑顔で戻った。
食卓へいくと、母親…ヨル・フォージャーが出迎えた。
「おかえりなさい、二人とも!」
10年経って、ヨルも四十路手前にはなったが、シワひとつなく、美しい容姿を保っていた。物腰が柔らかく優しいところも変わっていない。
「もうすぐご飯できますからね!」
「アーニャ……」
その時、ダイニングテーブルの前に座っていた、父のロイド・フォージャーが声をかけた。
ロイドもすでに40代……見た目こそ変わっていないが、実は最近白髪が見つかったとぼやいている。
「お前……また街でライダーごっこをしてたな。シエルを巻き込んで……」
「……ごっこじゃないもん、ちゃんとしたライダーだもん。」
プイッとそっぽを向くアーニャに、ロイドはため息をついた。
「お前……今の仮面ライダーの状況を理解できてるのか?ショッカーがなくなった今……仮面ライダーは危険分子だ……!」
あれから10年……何もかも変わらないまま……ということにはならない。ショッカーが壊滅してから、怪人達はだんだん人間社会の中に溶け込んでいき、怪人絡みの騒動は減っていった……
その結果、仮面ライダーの力は恐怖の対象になった。
新聞やニュースの見出しはいつもこうだ、「仮面ライダーは正義か悪か」「誰がライダーを見張るのか」「怪人がいなくなった後、ライダーはどうなるのか」……
「知ってるよ、そんなの……でも!だからこそじゃん!こんな状況だから、私達が活躍して、みんなから信頼されれば……!戦うだけじゃないよ!ボランティアで炊き出しとかゴミ拾いにも参加してる!時間をかけていけば、きっと昔みたいに……!」
「もう昔のようにはならない!!」
ロイドは思わず大声を上げた。対し、アーニャは俯き、項垂れた。
「ちち……変わっちゃったね。昔の方がかっこよかった。」
捨て台詞のようにアーニャは呟くと、シエルの手を取った。
「いこう、シエル。一緒にお風呂入ろ。」
「えっ…!?ぼ、ぼくもうそんな歳じゃないし……」
「今さら何言ってるの?ずっと一緒に入ってたでしょ?」
赤面するシエルの手を引き、アーニャは足早にその場を離れていった。
2人が去ったタイミングで、影の中からフータロスが顔を出した。
「ロイドよ〜、なーんであんなに厳しいんだよ。2人が仮面ライダーが大好きだってことは知ってんだろ?」
「私も……仮面ライダーのことは大好きです……ロイドさん、少しだけ、少しだけでも子ども達のこと許してあげられませんか……?」
ロイドは何も答えられなかった。ロイド自身も、仮面ライダーのことは好きで、今までのように活躍していてほしいと思っていた。しかし、今の世情を鑑みれば……どうしても「しかたない」と思ってしまう。そんな自分が嫌に思ってしまう。
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他の家も似たようなもので……マールの家では……
「ふふっ、今日の私は冴えていましたわ!覇王戦舞刃に天地双牙を決めちゃいましたわ〜!」
自慢気に話すマールに対し、母のフィオナ・リードはため息を吐いた。
「マール……あなたねぇ、危険なことはやめなさいって何度も言ってるでしょ?」
「危険なんかじゃありませんわ!みんなも一緒にいますし……それに、私は強いですわ!」
「もう……あなたも何か言ってよ。」
フィオナは呆れながら隣を……父親のフリッド・リードの方を見た。ロイドと同じく40代になったフリッド。見た目こそあまり変わっていないが、最近は腰が痛くなったと何度かぼやいている。
「……マール、こっちに来なさい。」
食事中ではあったが、フリッドはマールを自分の側までこさせた。
「マール、君はどうして仮面ライダーとして戦う?」
「それは……」
マールはとっさに答えられなかった。ただ単に「カッコいいから」と言ったら、怒られるだろうか……「みんなのため」と言っても嘘だと見透かされるだろうか……
そんなマールの考えを見透かしたように、フリッドはフッと笑い、マールの頭に手を置いた。
「そんなすぐ答えは出ないよな。俺も、すぐには答えを出せなかった。けど、フィオナやダミアン……みんなが答えをくれた。」
フリッドは優しい声で言うと、マールの頭を自分の方へ引き寄せて自分の額とくっつける。
「マール、君には君の答えがある。それをいつの日か見つればいい……でも、これだけは約束してくれ。絶対、危険なことだけはしないでくれ……いいね?」
「はい……わかりましたわ……」
マールがコクリと頷き、静かに呟いた。それを聞いてフリッドはニコッと笑って頭を撫でた。
「よーし、いい子だ!ほら、ご飯食べような。」
「まったくもう……甘いんだから……」
フィオナも呆れつつも微笑ましそうに2人を見つめていた……
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タスクの家では……
「モグモグ……もっちゃもっちゃ……ズルルルル……母ちゃんのご飯おいしい〜♪」
「たくさん食べてね、タスクちゃん♪」
テーブルに置かれた大量の料理を美味しそうに食べるタスク、それを見つめる母親、ロゼッタ・ハワード……
あれから10年、ロゼッタは2児の母になったが、スタイルの良さは昔のまま。バストサイズに至ってはМカップにまで上がっていた。
「ほら、バレルちゃんも食べてね♪」
「う、うん……」
タスクとは対象的に大人しめな弟…「銃身」の意味を持つバレル・ハワード。
最低5人分はあった料理の内、3人分はタスクの腹に収まり、タスクは満足そうに笑っている。
「おいしかった〜」
「お粗末さま。そういえばタスクちゃん、今日はどこに遊びに行ってたの?」
「木登りしてー、野鳥捕まえてー、仮面ライダーになって怪人倒したー!」
タスクは楽しそうに語ったが、その一言を聞いた瞬間…ニコニコ笑っていたロゼッタの表情が一変した。怒っているようにも、困惑しているような顔をしていた。
「タスクちゃん……前にも言ったじゃない……!無闇矢鱈に変身しちゃいけないって!なんで何度言っても分からないの!?」
ロゼッタの怒り方は叱る、というよりヒステリックになっていると言うべきか……何かを恐れているようだった。
その態度にバレルはビクビクしていたが、タスクは笑っていた。
「でも、みんな喜んでた!アマゾンになるの、楽しい!」
「ダメッ!!」
ロゼッタは言って聞かせようとタスクを叱りつけるが、タスクは楽しそうに笑うだけ……その時、玄関の鍵が開く音がした。
「あっ、父ちゃん!」
父が帰ってきたと思い、タスクは玄関へ駆ける。バレルもその後を追った。玄関には、父親…グリム・ハワードが立っていた。
この10年……飲食店とマフィアの二足のわらじを履き続け、グリムはマフィアの幹部に昇進……店の方は別の者に任せ、グリムは幹部としての仕事に従事していた。
「父ちゃん父ちゃん!一緒にあそぼ!!鬼ごっこと、かくれんぼと……」
「パ、パパ、ぼくも……いっしょにカードゲームしたい……」
タスクとバレルはグリムに群がって一緒に遊ぼうと催促する。しかし……
「……後でな。」
グリムはそっけない態度だった。目線は決して子ども達に合わさず、逃げるようにリビングの方に向かった。
取り残されたタスクは笑みを浮かべたままキョトンし、バレルは諦めにも近い顔でタスクの手を握っていた。
「お兄ちゃん……」
「……バレル、兄ちゃんとあそぼ!」
2人が部屋に入った頃、リビングの方では……
「ねぇ、ダーリン聞いて!タスクちゃんがまた変身して……!」
「……なら、なんか買ってやれよ。金ならいくらでもある……おもちゃでも食い物でもなんでも……」
「そういうことじゃないでしょ!!そんなことしたってワガママになるだけじゃない!!」
グリムの言葉にロゼッタは珍しく怒鳴り声を上げた。しかしすぐに悲しそうな目でグリムを見つめる。
「ねぇ……お願いだから、子ども達とちゃんと向き合って……」
「……もう、無理だって……あの子が仮面ライダーになっちまったのは、俺のせいなんだから……」
その時、グリムの脳裏に、異形に変身してしまったタスクの姿がよぎった……耳を裂くような獣の雄叫びに、大粒の涙、「父ちゃん」と叫ぶ声……どれだけ耳を塞いでも聞こえてくる……
「……とにかく、この家は…俺達家族はこのままでいい……不自由はさせないから……」
「だから、お金じゃなくて……!!」
「……飲みに行ってくる。」
ロゼッタの話を話を遮り、椅子から立ち上がった。
「……どこから歯車がズレたんだろうな……」
ボソッと去り際に呟くと、グリムは家から出ていってしまった。
「……私だって知りたいよ……そんなの……」
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「ちくしょう……おい、酒足りねぇぞ!」
そのまま街のバーに移動したグリムは乱雑に酒を飲み、早いペースで飲み続けていた。
そんなグリムに話しかける男がいた。
「何やってるんだ、お前は……」
「ユーリ……」
ユーリ・ブライア……10年経って31歳になり、大尉に昇進し次期G3部隊全体を取り仕切る立場を与えられた。
ユーリはグリムの隣に座ってカクテルを注文した。すると、グリムは懐から札束を取り出すとユーリに差し出した。
「今月も、これで頼む。」
「……ああ……」
ユーリはなんの疑いもなく、それを受け取って懐に入れた。
「こんなこと、いつまで続けるつもりだ?」
「……ずっとだよ。オルフェノクが安心して暮らし続けるために……」
酒を飲み、深刻そうな顔でグリムは言った。その時、後ろから声が聞こえてくる。
「二人とも、お待たせ!」
後ろを向くと、そこにはロイドとフリッドが立っていた。4人は事前に会う約束をしていたのだ。
二人も隣り合って座り、同じく酒を注文した。それから4人は今日あったことを話し始めた。
「やっぱり……アーニャ達はまた仮面ライダーやってたか……」
「ああ…やめろと言っても聞きやしない……」
ロイドがため息交じりに言うと、フリッドは笑った。
「そりゃあそうさ。アーニャちゃんにとって仮面ライダーはヒーローなんだから。君だってそうだろう?ロイド君。ロイド君にとっても、仮面ライダーは特別だろ?」
ロイドはとっさに答えられなかった。フリッドの言う通り、ロイドにとっても仮面ライダーの存在は特別だった。ライダーが、アギトがこの世界にいなければ、ロイドはヨルやアーニャ達と本当の家族になることはなかったかもしれない。
「……昔は昔だ。今は時代が違うんだ……それより、ユーリ君。」
ロイドは話題を変えようとユーリに話しかけた。
「ノエルさんの方はどうなんだ?」
「ノエルさんね……」
ショッカーとの決戦を終えてから3年……ユーリはノエルと結婚した。しかし、とある問題が生じた。
「まだダメみたいで……家無しだったときに色々あったらしいから……」
ノエルは妊娠しにくい身体だった。そのせいで2人の間にはまだ子どもがいなかった。
「でも、治療は続けてるしいつの日か……それに、子どもがいない分、ノエルさんとの日々を大切にするよ。」
「立派じゃないか。G3部隊が廃止って聞いたときは落ち込んでるかと思ったけど……」
フリッドの言葉に、ユーリは苦笑いを浮かべた。
「え、ええ、まぁ……アイネさんもショック受けてましたよ。せっかくG6まで開発したのに……」
“連合国“となってからというもの、東国のG3システムと西国のV-1システムは廃止され、そのかわりに両国の技術力が結成して作られた最新式国家防衛用強化外骨格“イクサシステム“……別名「仮面ライダーイクサ」が作られた。廃止されたG3とV-1にかわってイクサが治安維持を守ることとなった。
「ヒック……何もかも変わらないまま……ってわけにはいかないよな……」
「そうだな……でも、変わっていくからこそ、変わらないものだってあるじゃないか。」
酒を飲みながら寂しそうに呟くグリムに対し、フリッドは笑顔を浮かべながら言った。
「変わらないものがあるから、守りたいって思うし……信じたくなるじゃない。」
フリッドの笑顔に三人の胸はざわついた。
変わらないものもある……フリッドの言う通りかもしれないと思った。現に今、目の前で笑っているフリッドは昔と変わらない……お人好しで、怒ったら怖くて、自分より他人を優先する……変わらないものの象徴のようだった。
「アンタは変わんないよな……」
ロイドとユーリが思っていることを、グリムが先に口に出した。
「ああ、俺は変わらないよ。変わったとすれば……腰が痛くなったことぐらいかな。若い時無理しちゃったせいかな……」
フリッドがそう言うと、グリムはプッと吹き出した。
「まだ若いだろ。フケて見えるだけで。」
「フォローになってなーい!」
フリッドのおかげで、場の空気は少し和やかになり、その日の夜は楽しく飲むことができた。
深夜を回った頃、4人は店を後にし、別れて帰路についた。
「みんな大変だな……でも、それでも頑張らなきゃ……ゴホッ!!ゴホッ!!ウゲッ!!」
その時、フリッドは大きく咳込んだかと思うと、口から血を吐いた。手についた血を見て、フリッドは大きく目を見開いた。
「……本当に、今まで無茶してきたからな……でも、でも……それでも俺は……変わらない。」
手についた血、口についた血をハンカチで拭い、空を見上げた。
「……ロイド君、ユーリ君、グリム……自分を見失わないでくれ……俺は変わらないから……」
まるで星に願い事を言うように、静かに呟き、フリッドは足を進めた……
10年という月日は、ロイド達大人に、重く、重く、重くのしかかる。だがそれでも生きなければいけない……そんなロイド達の前に、また困難が降りかかるとは、誰も気づかなかった。
おまけ「比べるな」
グリムはいつもより暗い顔をしていた。その手には一冊の本が握られていた。
「グリム、どうした?」
「フリッド……いや、『のあ先輩は友達』って漫画読んでんだけどさ……この、のあ先輩って俺と年齢近いんだよ……27歳……」
グリムは鏡で自分の顔とのあの顔を見比べた。ギャルのようで若々しいのあと、どこかくたびれたグリム……
「……同じ20代後半とは思えねぇんだけど。」
「……比べるな。」
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おまけ2「声のイメージと元になったキャラ」
子ども達の声のイメージと、元になったキャラはこんな感じです
シエル
声…伊瀬茉莉也
モデル…野上良太郎(電王)
マール
声…小倉唯
モデル…壱百満天原サロメ(vtuber)
タスク
声…小林由美子
モデル…太歳星君(FGO)
-ARMAGEDDON-には今後、何を期待しますか?
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これまでにない展開
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鬱展開
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親子での共闘
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ギャグ展開