SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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Chapter.3「子ども達の日常」

 

翌日、アーニャはイーデン校で友人達と談笑をしていた。

 

「ねぇ、昨日も怪人絡みの事件片付けたんでしょ?」

「うん…でも……また怒られた……ちちに、『ごっこ遊びはやめろ』って……」

 

アーニャは不服そうな顔でベッキーに愚痴を言っていた。すると横から男子生徒三人組が割って入ってきた。ダミアンと、その取り巻きのエミールとユーインだ。

 

「親父さんの気持ちも考えてやれよ。愛娘に傷ついてほしくないんだろ。」

「……じなん、ジジ臭い。」

「なんでだよ!?」

 

ツッコミを入れるダミアンに対し、エミールとユーインは口を開いた。

 

「それより、もうすぐ夏休みだろ?」

「夏休み始まったら、ダミアン様の別荘でみんなで過ごさないかって話になったんだ!二人もくるだろ?」

 

二人の言葉に、アーニャはパッと笑顔を見せた。

 

「いいの!?じゃあ、シエルも連れていっていい!?それとマールちゃんにタスクくんも!」

「お、おお!いいぞ!」

 

笑顔には笑顔で返したダミアンだったが、少し微妙な気持ちになっていた。そんな心中を察したようにベッキーが言った。

 

「あら?私達はお邪魔だった?」

「べ、別にそんなんじゃねぇよ!あっ、そうだ……」

 

その時、「言い忘れた」とばかりにダミアンは言葉を続ける。

 

「母上が、『別荘に行くなら安全のために保護者を一人連れて行くこと』って言っててさ……」

「いや、私達もう高校生よ?保護者がいなくても……」

「俺もそう言ったんだけど、どうしてもダメって……ちなみに、俺の母上は仕事だから無理だ。」

 

ダミアンが答えるとベッキーも続けて答えた。

 

「いきなり言われてもね……ウチも両親忙しいし、マーサは引退したし……」

「あっ、そうだ!」

 

ベッキーに続き、アーニャは何か思いつき口を開く。

 

「アーニャ達には師匠(センセイ)がいるじゃん!」

「センセイって……お前やシエル達に戦い方を教えてる……あの便利屋か?」

 

アーニャはコクリと頷いた。アーニャ達は最初から戦闘技術を身につけたわけではない。経験豊富なロイド達が教えた……というわけでもない。彼らは子ども達がライダーになることに反対しているからだ。そんな中でアーニャ達に戦い方を教えているのが、師匠(センセイ)という男だった。

 

「うん!どうせ暇してるだろうし、頼んでみようよ。夏合宿だと思ってさ!」

 

────────────────────────

 

アーニャ達が話している間、シエルとマールの方は……

 

「シエルすげー!」

「野球部入ってねぇのに球が速ぇ!」

 

シエルとマールはアーニャと同じイーデン校に通っていた。

昼休み、ボール遊びをしていたシエルはクラスメートから褒められた。

 

「えへへ…そうかな。」

 

シエルの戦闘スタイルは巨大手裏剣となったフータロスを投げること……訓練と戦いで鍛えられた投擲力……おかげでシエルの球速は中・高校生レベルにまでになっていた。

シエルがボール遊びをしている中、少し離れたところでマールもクラスメートと戯れていた。

 

「マールちゃん、前のフェンシング大会……ジュニア部門で優秀したって本当!?」

「ご明察……私、こう見えて強いんですの♪」

『きゃーっ!カッコいい〜!!』

 

マールもシエルと同様、訓練と戦いで鍛えられた剣術のおかげで、フェンシングの実力は小学生の中でもトップの実力を誇った。

クラスメート達から褒められ、有頂天になっているマールだったが……

 

「ねぇねぇ、マールさんってシエルくんと仲良いけど、もしかして……シエルくんのこと好きだったりするの?」

「………はぁ!?」

 

突然のクラスメートの一言に、マールは顔を真っ赤にし、目に見えて慌てふためく。

 

「シ、シエルはただの幼なじみですわ!そ、それにあんなヒョロヒョロで軟弱な男なんて……!」

「マール〜!」

 

その時、ボール遊びをしていたシエルがマールを呼んだ。

 

「マール、今ね、姉さんが夏休みにみんなでダミアンさんの別荘に遊びに行かないかって……あれ?なんで顔赤いの?」

「な、なんでもありませんわ!」

 

 

─────────────────────────

 

その頃、タスクの方は……

 

「タスクくん……タスクくん!」

 

タスクは授業に集中できず、ずっと外ばかりを見ていた。

タスクはシエル達と違い、バレルとともに普通の街の小学校に通っていた。

 

「よそ見しないで授業に集中なさい!」

「でも、オイラ身体動かしたい。体育の方がいい。」

 

天真爛漫に笑いながら言うタスクに、担任は呆れてため息を吐いた。

 

「タスクくん、人は体育をするだけじゃいけないの。色んなことを学ばないといけないのよ?ねっ?だから授業に集中なさい。」

「……はぁい。」

 

納得いかないながらも返事をするタスク。そんなタスクを見て、周りのクラスメート達はクスクスと笑い、ヒソヒソと話し始めている。

タスクはクラスの中で浮いた存在だった。タスクが誰かに意地悪をしたとか、問題児……というわけではない。ただ、純粋無垢で元気なだけ……だが、それを異物として捉え、疎外する者もいる……

そうなるとどうなるか……

 

「おーい!オイラと一緒にあそぼー!」

 

休み時間、タスクが木登りをしていると、何人かそちらを見ている。気づいたタスクは一緒に遊ぼうと誘った。だが、クラスメート達は困ったような顔をみせる。

 

「ご、ごめん……今日は無理……」

「お、俺も……」

(タスクなんかといたら、こっちも仲間はずれにされるっての!)

 

明らかに自分を避けている……そう感じたタスクだったが、笑顔を見せて頷いた。

 

「わかった!またね!」

 

放課後……タスクは弟と一緒に帰ろうとバレルを探した。その時、体育館の方から声が聞こえてきた。

 

「おい、どこ見てんだ!こっちだろ!」

 

声がした方へ向かってみると、そこには上級生に絡まれているバレルがいた。

 

「お前の兄貴、気持ち悪いんだよ!いつもニコニコしやがって……」

「兄貴があんなだし、お前だってそうなんだろ!」

「ぼ、ぼくは兄さんとは…違う……」

 

高圧的な態度で詰め寄ってくる上級生に対し、バレルはおどおどしているだけだった。

その光景を見て、タスクは思わず駆け出し上級生達を飛び越えてバレルの前に立った。

 

「に、兄さん……」

「バレルをいじめるな!!グルルルル……」

 

振り返って上級生達を睨みつけ、獣のような唸り声を上げる。

 

「うわっ、出たよ動物野郎!」

「野生児気取りかよ、キモっ!」

「お前の父ちゃんと母ちゃんもキモいんだろうな〜!」

 

その言葉に、タスクの中で1本の糸がプチンと切れた。

次の瞬間、タスクは口を大きく開けて叫んだ。その叫び声は、子どもとは思えないくらい低く、まるでライオンのような雄叫びだった。

 

「ひっ!?」

 

その雄叫びに、上級生達は思わず怯み、逃げ出した。逃げたのを見て、タスクは落ち着きを取り戻しバレルの方を向いた。

 

「もう大丈夫だぞ、バレル♪一緒に帰ろ!」

「……いい。」

 

タスクが差し出した手を、バレルは振り払った。

 

「バレル……?」

「兄さんと一緒にいると、ぼくが嫌な思いするもん……」

 

実の弟にそう言われ、タスクの動きが止まった。対し、バレルはそのままスタスタと立ち去ってしまった……

さすがにショックを受けたタスクだったが、すぐに笑顔を浮かべた。

 

「……遊びながら帰ろ〜っと!」

 

笑いながらフェンスを飛び越え学校の外へ飛び出したタスク。すると、視線の先に自分と同じくらいの子ども2人と高校生の男女が4、5人、校門の前に立っていた。

 

「あっ、アーニャ姉!シエルにみんな〜!」

「タスクくん!」

「お前そっちから出てきたのかよ……」

 

アーニャ達はタスクに夏休みにダミアンの別荘へ行かないかと尋ねた。

 

「いいの!?いくいく!」

「バレルも連れてきていいぞ。」

「バレル?バレル……」

 

タスクの言葉が詰まった。さきほど拒絶されたとは言えず、ただ俯いた。

いつも元気なタスクがこんな状態になっているのは見たことがない……バレルと何かあったのだと察し、アーニャ達は互いに顔を見合わせた。

 

「……悪かった。バレルは連れてこなくてもいいから、お前だけ来な。」

 

ダミアンはタスクの肩を叩いて優しく言った。するとタスクは何も言わずにうんと頷いた。

 

「それとね、別荘には師匠(センセイ)も連れてくつもりなの!一緒に師匠(センセイ)のとこ行こっか。」

「うん、いく!」

 

────────────────────────

 

街の一角にある事務所……「便利屋シャークマン」。そこで所長をしているのは一人の男……

 

「すまんな、運び屋。ちょうどタコ焼きを食べたいと思ってたところなんだ。」

『気にするな。それより、クロヱ達とは連絡取り合ってるのか?』

「ああ、向こうも色々あったみたいだが、元気でやってるとさ。」

 

壁に立てかけられた刀、 本棚に納められた大量の漫画、その上に飾られた模型……それらに囲まれながら男は届いた荷物を電話をしながら開けた。中に入っていたのはタコ焼き器……それを見て男はニヤリと笑う。

 

「これで毎日タコパができる……」

『……一人でやるのか……?』

 

その時、入り口のインターホンが鳴り響いた。

 

『お客さんか?』

「ああ、これでも便利屋だからな。切るぞ。」

 

男は電話を切り、入り口のドアを開けた。

そこにはピンク髪の少女、アーニャとその仲間達が立っていた。

 

師匠(センセイ)ーー!!』

 

この男こそ、アーニャ達次世代ライダー達に戦い方を教えた師匠……その名は、鮫山ソウゴ……

 

 

 

 

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