SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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Chapter.4「不穏な予感」

 

アーニャ達が学校で話していた頃……

 

「こちらイクサA1部隊、ただいま現地に到着。」

『了解。そのまま本部の合図が出るまで待機せよ。』

 

ユーリはイクサ部隊の指揮官として、装甲車に乗って街から遠く離れた鉱山に来ていた。

目的は、鉱山を隠れ家にしているショッカー残党の駆逐。

 

「しかし、今さらショッカーですか。」

「所詮はならず者だろ。俺らイクサ部隊なら簡単だろ。」

「油断するな!」

 

ヘラヘラと笑いながら話すイクサ部隊の隊員に、ユーリは叱咤した。

 

「ショッカーを甘く見ない方がいい……奴らはいくら倒してもゴキブリみたいに湧いてくる。現に、大首領が死んでも、その跡を継ごうとする奴が出てる……ぼくも倒すのに苦労した……」

「例のG3でですか?もう時代遅れじゃないッスか!G3なんて!」

「……っ!」

 

G3を馬鹿にされ、ユーリは思わず怒りそうになった……が、そこは大人として、上司として怒りを抑えた。

その時、通信が入った。

 

『本部から通達。イクサ部隊、突入。』

「みんな聞いたな、変身だ!」

 

ユーリが指示を出すと隊員達は一斉に立ち上がり、ベルトを装着した。ユーリも同様にベルトを巻く。さらに、右手に握りしめたナックル状の武器「イクサナックル」を握りしめ、手のひらに押し付ける。

 

《R•E•A•D•Y》

『変身!!』

 

叫びとともにユーリと隊員達はイクサナックルをベルトに装着。

 

《フィ•ス•ト•オ•ン》

 

ベルトから白い光が出現し、ユーリと隊員達は白と金色の装甲を纏った、仮面ライダーイクサへと変身を完了した。

それと同じく、装甲車のドアが開き、イクサ達は一斉に外に出る。

 

「切り込み隊、前進!」

 

イクサ部隊の数人が前に出て、横並びで鉱山の入り口に立つ。

 

「イクサカリバー、装備!」

 

切り込み隊のイクサ達は腰に下げた専用武器「イクサカリバー」を手に持つ。

 

「出撃!」

 

ユーリのその一言とともに、イクサ部隊は鉱山に突撃する。

鉱山の中には数人の怪人達がアジトを作り、生活の基盤を整えている最中だった。

 

「動くな!」

 

イクサ達は銃口を怪人達に突きつける。突然の襲撃に怪人達は何もできず、両手をあげて降参するしかなかった。

 

「ここにいるのはお前達だけか?怪人はこれで全員か?」

「お、奥の部屋に我々のリーダーがいる……だ、だが、俺達がここで捕まっても、いつかショッカーは……!」

 

怪人の一人が強がりを言おうとした次の瞬間、横から鋭い刃のようなものが飛び出し、怪人の頭を貫いた。

 

「わ、わぁぁぁぁぁ!!」

「何者だ!?」

「いけませんねぇ……私の許可なく降参なんて……」

 

鉱山の奥から、低い声による丁寧口調が聞こえてきたかと思うと、一人の怪人が現れた。

 

「おやおや、イクサ部隊の皆様ですか……はじめまして。私は十面鬼カウィールと申します……以後お見知りおきを……」

 

十面鬼を名乗る怪人は、ユーリ達を見るなりペコリと紳士的に頭を下げた。十面鬼、という名に相応しく、十面鬼の身体はアステカ文明やマヤ文明を思わせる鎧に10の面がついていた。

 

「貴様、なぜ仲間を殺した!?答えろ!!」

 

ユーリが叫ぶと、イクサ部隊は銃口を十面鬼に向けた。すると、十面鬼はククッと笑い始めた。

 

「仲間……?お笑いですねぇ……私は簡単に降参を選択するゴミを仲間と呼ぶ趣味はないのですよ。」

「ゴ、ゴミ……!?」

 

十面鬼の無慈悲な一言に、他の怪人達は落胆しショックを受けているが、十面鬼は続けた。

 

「私はね、この世が気に入らないのですよ。仮面ライダーが強いのと、このゴミどもが弱いせいもありますが……この世は平和になりすぎました。平和そのものを否定はしません……ですが、我々のような戦うことしか知らない怪人は、他に何をすればいい?我々は不器用なものでしてねぇ……戦うこと以外に仕事なんてできないんですよ。」

(こいつ、ヤバい……!)

 

ユーリは十面鬼の異質さに気づいた。紳士的な態度とは裏腹に、同じ怪人仲間を殺す野蛮さ……言葉だけでは言い表せない異質さがあった。

 

「本部……バーストモード使用の許可を。」

『了解。使用承認。』

 

通信機から声が聞こえた直後、ユーリが装着するイクサの顔面についた「クロスシールド」が四方に展開し、下に隠された赤い目が出現した。

クロスシールドを展開することで、イクサは「バーストモード」へと移行できるのだ。

 

「みんな、下がれ!」

 

ユーリは叫びながらイクサカリバーの銃口を十面鬼に向け、銃弾を乱射する。十面鬼はフッと笑ったかと思うと、飛んでくる銃弾を全て片手で弾いた。

 

(やはり銃弾は効果なし……なら、近接戦だ!)

 

イクサカリバーを剣へと変形させ、突進とともに斬りかかる。

十面鬼はひらりとかわしてくるが、ユーリは負けじと二手、三手と次々と剣戟を繰り出す。

 

「ほぉ、なかなか鋭い太刀筋ですねぇ……いい師範がいるのでしょうなぁ……」

 

剣戟を次々とかわしながら、十面鬼は余裕そうに笑っている。

 

「しかし、こちらも用事があるのです。これから電話をしないといけないのでね……」

 

その時、十面鬼の右肩についたキツネのような面が光った。

 

「ギーツアタック!」

 

十面鬼が叫んだ次の瞬間、十面鬼の背中に九尾の尾を思わせる9本の光の帯が出現し、ミサイルのように発射した。

 

(ッ!マズイ!)

 

ここは鉱山の中……爆発したら中が崩れる恐れがある。そう考えたユーリはイクサカリバーを銃に変形させて発砲、光の帯が着弾する前に空中で爆発させ事なきを得た。

 

「フハハハ……また会いましょう……」

 

爆炎が消えた時には、もう十面鬼の姿はどこにもなかった……ユーリが光の帯の対応をしている最中に逃げたのだろう。

 

「なんだったんだアイツは……さっきの攻撃、ギーツ……?」

 

 

────────────────────────

 

その頃グリムの方は……

 

「親父……」

 

グリムは墓場にいた。墓はひとつだけではなく、何個か隣り合って建てられている。それぞれ、母親のヘレン、義父のニコル、腐れ縁のガオ、兄貴分のライド、弟のミゲル、別の世界で出会った友人のグレイと結城凱、そして木場勇治……

 

「元気してたか、みんな……」

 

久々に墓参りに来たグリムは、花を添えると自分の身の回りの話をし始めた。

最初こそ楽しげに話すグリムだったが、だんだんと声のトーンが落ちていく。

 

「……なぁ、俺幹部になったけどさ……ぶっちゃけどうすりゃいいかわかんねぇ……夢も、家族も、仕事も……全部中途半端だ……」

 

グリムはその場に蹲った。こんなことを墓前に話す自分に嫌気が差す……自分が頼りがいのある大人だったらこんなこと考えなくてもいいのだろうと、思いたくもないのに思ってしまう……

 

「……今、オルフェノクがどんな立場になってるか知ってるか?人間でも怪人でもない……グレーゾーンの化け物って呼ばれてんだ……」

 

人間とは残酷なもの。人間は、人間か怪人か……どちらかでしか判別できない。人間と怪人……両方の姿を持つ、どちら側でもない化け物と人間と怪人両方から差別されていた。

 

「……あれ以来ずっと考えてる……どうすればオルフェノクのためになるのか……どうすればオルフェノクが笑える未来を作れるのかって……」

 

蹲ったグリムは立ち上がり、静かに呟いた。

 

「俺は、何もかも半端だ……だからせめて……オルフェノクのために……」

 

その時、グリムは気配を感じ、顔を横に向けた。そこには墓の前に立つ黒いコートを着た人物……背丈的に男だと思うが、顔はフードに隠れて見えない……そう思った次の瞬間、男は姿を変えた。

男はオルフェノクだった……だが、その姿を見た瞬間、グリムは目を見開いた。なぜなら、目の前に現れたのは……ホースオルフェノクだからだ。

 

「その姿……まさか、木場……!?」

 

ホースオルフェノクは木場勇治がオルフェノクに変身した時の姿……木場勇治は死んだはず……だが、目の前にいるのは……

 

「木場……!木場っ!!」

 

木場が蘇ったのかと思い、グリムは思わず駆け寄った。だが次の瞬間、ホースオルフェノクは灰色の剣を出現させ、グリムに突きつけた。

 

「木場……?」

「はっ!」

 

ホースオルフェノクは容赦なく剣を振るってきた。グリムはとっさにライオンオルフェノクへと姿を変え、剣を防いだ。

 

「な、何をするんだ木場!?」

「むんっ……!」

 

ホースオルフェノクは剣を構えたかと思うとフェンシングのような連続の突きを繰り出し、グリムは後ろへ追い詰める。

 

「やめろ!やめろって木場!この……!!」

 

痺れを切らしたグリムは灰色の槍を出現させ、勢いよく突き出して剣を空中に弾き飛ばした。

 

「いい加減にしやがれ!俺のこと忘れたとは……!」

 

空中に弾かれた剣はホースオルフェノクの背中を通り過ぎて地面に……と思いきや、ホースオルフェノクは剣を逆手に掴んで上半身を捻って一撃を繰り出した。

完全に不意を突かれたグリムは槍で攻撃を防ごうとしたが間に合わず、吹き飛んで壁にぶつかってしまう。

 

「がは……!!」

「……お前程度の力ではオルフェノクを救えない……私が、オルフェノクの未来となる……」

 

ホースオルフェノクは捨て台詞を言うと背中を向け、

 

「王の目覚めは近い……」

 

そう言って墓場から姿を消した……

グリムは立ち上がり、人間の姿に戻って身体についたゴミを払った。

 

「今の……木場じゃ、ない……?」

 

グリムは思った。今のは木場ではないのではないかと。まず、戦い方が違った。木場の戦い方はどこか力任せな剣の振り方をしていたが、さっきのホースオルフェノクはフェンシングの突きを繰り出しただけでなく、テクニカルな技まで使ってきた。

それから、口調がいつもの木場と違い、グリムのことを「お前」、自分のことを「私」と呼んでいた。

 

「いったいアイツは……」

 

その時、グリムが持つカイザフォンが鳴った。

 

「もしもし……」

『グリム様、お疲れさまです。相談役(コンシリエーレ)のトルエーノです。グリム様の新しいシノギの件で首領(ボス)がお呼びです。』

「ああ……わかった。つーか、俺を様付けで読むなよ。立場はアンタの方が上なんだから。」

『フフッ……いいじゃないですか……私はあなたを尊敬していますから……』

 

トルエーノの通話しながらグリムも墓場を後にしようとした。だがその時、とある墓前……さきほどのホースオルフェノクが見ていた墓が目に入った。

 

「……ティ、ス、タ……ロウン……?」

 

聞き覚えのない名前だが、さきほどの男が見ていたということは、きっと友達か家族の誰かなのだろうと思い、そのまま墓場を去った……

 

 

 





おまけ「753は315」

「変身!」

ユーリはイクサナックルを使って仮面ライダーイクサへと変身した。改めて、変身した自分の姿を見た。

「うーん、G3ほどじゃないにしろ、カッコいいじゃん。時代の波には逆らえない……バリバリ働かないと!」

ユーリは気合を入れてシャドーや武器の訓練を始めた。だがその時、

「その使い方は甘ーーーい!!」

どこからともなく見知らぬ顔の男が割り込んできた。

「えっ、だ、誰!?」
「私を知らないのか!?俺は名護だぞ!!」
「知らんがな!」

名護という男は困惑するユーリを構わず、詰め寄った。

「貴様……イクサでありながら、その戦い方は未熟だ!まず、決めゼリフを言っていない!」
「決めゼリフ……?」
「その通り……『その命、神に返しなさい』……リピートアフターミー!」
「そ、その命……」

言われた決めゼリフを言おうとした瞬間、変身しているにも関わらずユーリは頰を殴られた。

「ぶへら!?」
「もっと気合を入れなさい!」
「は、はい!!」

それからユーリは名護の指導の元、決めゼリフから始まり、様々なことを叩き込まれた。
気がつけば、ユーリはいっぱしのイクサとして成長を果たす……

「ありがとうございます、名護さん!」
「フフッ、そうだろう……」
「名護さんは最高だ……」
「もっと大きな声で言いなさい……」
「名護さんは最高です!!」



「………っていう夢を見て、最後はイクササイズっていう変な踊り踊ろうとしたとこで目を覚ましたんだけど……これって……」
「うん、ユーリくん疲れてるんだよ……」

変な夢を見たユーリを、ノエルは優しく慰めた……

─────────────────────────

最後に登場した名前ですが……遠藤先生の作品ファンならすぐに「ん?」と感じるでしょう。


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