SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

19 / 159

最初に言っておく!
フィオナファンの皆様、ごめんなさい!




第19話「再会」

 

フリッド・リード、ドノバン・デズモンドの腹違いの弟であり、ダミアンの叔父である。アギトによく似た戦士「ギルス」に変身することができる。

だが、それがダミアンに拒絶されて以来、フリッドはダミアンの前に現れないことを誓った。

 

だが……

 

「会いたい……」

 

フリッドはボソッと呟いた。

 

「えっ?かてーきょーし、なんかいった?」

「あっ、な、なんでもないよ!アーニャちゃん。」

 

隣にいたアーニャが声を上げ、フリッドに尋ねてきたが、フリッドは首を横に振った。

この日、フリッドは家庭教師としてフォージャー家に来ていた。

 

(声に出てたか……情けないな、俺は。もうアイツの前に現れないと誓ったのに……)

 

ダミアンの前に現れないと決めたフリッドだったが、心の中ではもう一度会いたいと思っていた。

目をつむると、脳裏に浮かんでくる・・・

 

『おじさんっ!』

 

かわいらしい笑顔で自分にしがみついてくるダミアンの姿が浮かんでくる。

 

「やばい、泣きそう。」

 

思い浮かべた瞬間、フリッドはまたも思ったことを声に出してしまった。

 

「だ、大丈夫ですか?」

「大丈夫、大丈夫……ちょっと思い出し泣きしてただけだから……」

「思い出し泣き!?思い出し笑いじゃなく!?」

 

心配するロイドとヨルに心配かけまいとするフリッドだったが、逆に変なことを言ってしまい、困惑させた。

 

「ごほっ!ごほっ!ちょっと、お手洗いおかりします……」

 

フリッドは咳をしながら立ち上がり、トイレに向かおうとした。

 

「ぎゃっ!」

 

が、向かう途中でドアに顔面をぶつけてしまい、その場に尻もちをついた。

 

「……本ッッッ当に大丈夫ですか?」

 

どう見ても大丈夫じゃないと察したロイドは、フリッドにもう一度尋ねた。しかしフリッドはただ笑いながら頷くだけだった。

そしてそのままフリッドはトイレに入っていった。

 

「……なんか元気ないですね、フリッドさん。」

 

キッチンで洗い物をしていた翔一は、フリッドの様子を見て声を上げた。

 

「そうですね……何かあったんでしょうか……」

(大方、ダミアン・デズモンドとのことだろうな……拒絶されていたからな……)

 

ロイドはフリッドがギルスだということは知らないが、ダミアンに拒絶されていたことは知っていた。そのことに関して、フリッドに同情・・・してはいなかった。

 

(奴の服に仕掛けた盗聴器はまだ生きてる・・・有益な情報が見つかるまで、利用させてもらうぞ、フリッド・リード・・・)

 

ロイドはフリッドが何かを隠していることに気づいていた。それが分かるまで、盗聴器を外すつもりはなかった。

 

(かてーきょーし、りようされてる・・・どんまい。)

 

ロイドの心を読んだアーニャは、心の中でフリッドを哀れんだ。

 

と、その時、ピンポーンと家のインターホンが鳴り響いた。

 

────────────────────────

 

「ごほっ!ごほっ!げほっ、がふっ!!」

 

そのころ、フリッドはトイレの中で咳き込み、さらに口から血を吐いた。

 

(最近、やたらと血を吐くな……)

 

ギルスに変身する度に、フリッドは体を蝕まれていた。変身解除後には必ず咳が出て、同時に血を吐く。

今までは変身した後にそれが来ていたが、最近では変身していない時でも来るようになっていた。

 

(死ぬ、ってことか……)

 

自分は死に近づいている。そう確信した。今更後戻りはできない。恐れはない。しかし、それでも寂しさはあった。

せめて、誰か側にいてほしい、と思っていた。

そう思い、頭に浮かんだのはダミアンと、別れた恋人の顔だった。思い浮かんだ瞬間、フリッドはフッと笑った。

 

(バカか俺は・・・ダミアンとはもう会わないって決めたし、彼女とはもう別れてしまったし……俺の側には誰もいないじゃないか。)

 

フリッドは死ぬときは独りだけで死ぬのだと思いながら、吐いた血をトイレットペーパーで拭き取り、トイレに流した。

 

(そういえばさっき、インターホンが鳴ってたな。客人か?なら、もうお暇するか。)

 

フリッドはトイレから出て、リビングに戻った。

 

「お手洗い借り・・・!?」

 

リビングに戻った瞬間、フリッドは言葉がつまり、目を見開いた。

フリッドの目の前には、フィオナがソファに座っていた。

 

「あ、フリッドさん!この人、ロイドさんが務めてる病院の・・・」

「フィオナ……」

 

翔一の説明より先に、フリッドが呟いた。かと思うと、フィオナの元に近づき、無理やり手を取った。

 

「間違いない……!髪色と髪型こそ違うが、君はフィオナだ!そうだろ!?」

(チッ、まさかこの男がここにいるなんて……)

 

手を握りながら迫るフリッドに、フィオナは表情を崩さず、心の中で舌打ちを打った。

 

「も、もしかして……」

「フリッドさんが付き合ってた彼女って……」

「フィオナさん!?」

「フィオナくん!?」

 

ロイドとヨルは声を上げた。それを聞き、フィオナはため息をついた。

 

「……ええ、そうです。」

「……!!」

 

フィオナのその一言に、フリッドは目に涙を浮かべ、嬉しそうに微笑んだ。

 

「やっぱり君なのか……!フィオナ、俺はずっと……会いたか、ウボァッ!!」

 

「会いたかった」と言おうとした瞬間、フリッドは口から血を吐いた。

あまりに突然の状況にフィオナは目を丸くしながらビクッと体を震わせた。

 

「フ、フリッドさんっ!?」

「ち、血ッ!血吐いてる!!」

「しょ、翔一くんタオル!」

「あわわわわ……!!」

 

ロイド達も同様の反応を見せ、慌てふためいた。

 

「だ、大丈夫……これはフィオナに会えた嬉しさのあまり、幸せすぎて血を吐いただけで……そう、幸せ吐血だから。」

「幸せ吐血!?」

 

フリッドは安心させようとしたが、かえって変なことを口走ってしまった。

その後、フリッドはティッシュで吐いた血を拭い、フィオナの隣に座った。

 

「……まさかここで会えるとは思わなかった。元気そうでよかった。」

「あなたも元気そうね。」

 

フリッドは落ち着きを取り戻し、改めてフィオナと話し始めた。対しフィオナはフリッドには一切顔を合わせずに応対した。

その様子をロイド達はまじまじと見ていた。

 

(そういえば、前に聞いたことがある。)

 

ロイドは以前聞いた話を思い出した。今から2年前、「WISE」は当時からドノバン・デズモンドを危険視していた。それでドノバンについて調査をすることになった。そこでドノバンには血が繋がっていない弟がいることが判明した。それがフリッドだった。

フリッドに近づき、フリッド自身を調査するため一人のスパイが送り込まれた。それがフィオナこと夜帷だった。フィオナは恋人としてフリッドに近づき、彼の調査を行っていた。

しかしその1年後にフィオナは彼から離れた。1年の調査の結果、フリッドに危険はないと判断されたからだ。

 

「いきなり『別れたい』なんて言うから、何事かと思ったよ。」

「……」

 

フリッドは嬉々としてフィオナに話しかけるが、フィオナは何も答えない。

 

(しつこい男ね……なんで私に執着してるんだか……先輩ほどじゃないけどイケメンだし、モテないわけじゃないでしょうに。)

 

フィオナはフリッドが自分に固執していることに疑問を抱いていた。

 

(まったく、今日こそヨル(ゴリラ女)にリベンジしようと思ったのに……こいつのせいで台無し。)

 

フリッドに予定を崩され、フィオナは不機嫌そうに立ち上がった。

 

「すいません先輩。今日はもうお暇します。」

「あ、ああ……」

「待ってくれ!」

 

そのまま立ち去ろうとするフィオナに、フリッドは声をかけたが、彼女は振り返らない。

 

「フィオナ!」

 

フィオナがドアノブに手をかけようとしたその時、フリッドは背後から抱きしめた。ロイド達が見ているにも関わらずだ。

突然の状況に、フィオナは目を丸くした。

 

「愛してる、フィオナ……!」

 

抱きしめながら、フリッドは呟いた。

 

(う、うわぁ~~~!!な、生の告白なんて初めて見ます~~~!!)

(いきなりだな、この男・・・)

(フィオナさん、彼氏さんいたんだ……なんかショック……)

 

目の前で起きた告白に、ヨルは顔を真っ赤にして手で顔を隠し、ロイドは呆れ半分驚き半分で眺め、翔一は軽くショックを受けていた。

 

(フィオナ、愛してるんだ……)

(かてーきょーし、マジだ……)

 

そして心を読んだアーニャは、フリッドは本気でフィオナのことが好きだと理解した。

しかし、そんなフリッドの手を振り払い、フィオナは扉を開けて足早に外へ出た。

 

「待ってくれフィオナ!!」

 

フリッドは慌てて後を追いかけた。

外に出ると、すでにフィオナは車に乗り、その場から消えていた。フリッドも慌ててバイクに乗り、車の後を追った。

 

────────────────────────

 

フィオナとの"鬼ごっこ"は30分にもおよび、ついに車が止まった。

貨物船に乗せるコンテナが立ち並ぶ港で車が止まり、フィオナが降りた。フリッドもヘルメットを外してバイクから降りた。

 

「フィオナ……」

 

フリッドはフィオナの側に寄った。しかしその瞬間、フリッドは頬を思い切り平手で叩かれた。

突然のことに、フリッドは目を見開いた。

 

「しつこい男ね。言っておくけど、私はあなたとヨリ(・・)を戻す気はないの。」

「・・・そうか。でも、それでも、側にいてほしい!」

 

フリッドは悲しそうな眼をしながらフィオナに訴えた。それを見て、フィオナはため息をついた。

 

「はぁ……あなた、いい加減に……」

 

「しろ」と続けて言おうとした。しかし、その瞬間、

 

「グォウッ!!」

 

獣のような掛け声とともに、紅い豹の姿をしたアンノウンが現れ、剣を振るって襲い掛かって来た。

同時にフリッドはかばう様に前に出て、両腕を交差させ、アンノウンの手首の部分を受け止めて防いだ。

 

「アンノウン……!?」

(どうしてこんなところに……!?)

「フィオナ!」

 

突然アンノウンが現れたことに驚くフィオナだったが、それを遮るようにフリッドは声を上げた。

 

「今の俺の姿を見てくれ……!!変身ッ!!」

 

フリッドは声を大にして叫んだ。すると、フリッドが徐々に別のものへと変化を始めていき、同時にフリッドはアンノウンを蹴り飛ばした。

フリッドはフィオナの目の前で姿を変え、ギルスへと変身した。

 

「ウオオオオオオオッ!!」

 

変身したと同時に、ギルスは雄たけびを上げた。

 

「緑色の、アギト……!」

 

フィオナは初めてみるギルスの姿に驚きを隠せなかった。それをよそに、ギルスは果敢にアンノウンに立ち向かう。両腕からギルスクロウを伸ばし、アンノウンが持つ二振りの剣とぶつかり合う。

 

「ウウウウッ!ガァウッ!!」

 

アンノウンの剣を払いのけ、蹴りを一発入れ、怯ませる。

さらにそこから、アンノウンの顔面に連続のハイキックを叩き込む。そして最後に跳び上がって回し蹴りを繰り出し、アンノウンを蹴り飛ばした。

 

「グウゥゥゥ……フッ!!」

 

吹き飛ばされたアンノウンだったが、持っていた剣をブーメランのように投げた。

しかし、ギルスは右腕から鞭状の触手「ギルスフィーラー」を伸ばし、剣を巻き取った。

 

「ハァッ!!」

 

そして巻き取った剣を逆に利用し、鎖鎌のように振るってアンノウンにダメージを与える。

 

「グォウッ!!」

 

またもダメージを受け、アンノウンはその場に跪いた。

すると、ギルスは巻き取った剣を捨て、踵のヒールクロウを伸ばした。

 

「ハッ!」

 

右足を頭上まで振り上げて跳躍した。とどめの一撃を放つのだ。

だが、その瞬間、どこからともなく光弾が飛んできて、ギルスに命中した。

 

「グアアッ!!」

 

突然の一撃を受け、ギルスは吹き飛び、地面に転がった。

そして光弾が飛んできた方を見てみると、そこには女性型の豹のアンノウンが杖を持って構えていた。その出で立ちは、まるでエジプト神話のクレオパトラを思わせた。

 

「もう一体だと……!?」

『フフフっ・・・』

 

女性型アンノウンは不適な笑みを浮かべると、紅いアンノウンに向けて指をクイッと動かした。それを見て、紅いアンノウンはその場から退いていく。

 

「ま、待て・・・!ああっ!」

 

フリッドは逃がすまいと立ち上がるが、体に痛みが走り、変身が解除された。

 

(逃げられたか……)

 

アンノウンを取り逃がしたことを悔しく思いながら、フリッドはフィオナの元に歩み寄る。

 

「見ただろう。あれが・・・今の俺の姿だ。」

「……」

 

フィオナは何も言わなかった。それに構わず、フリッドは話し続けた。

 

「2、3ヶ月ぐらい前かな……俺、バイクに乗ってる時、居眠り運転のトラックに轢かれてな。奇跡的に助かったけど、それから体がおかしくなって……気が付いたら、あの化け物に変身できるようになった……」

 

ギュッと拳を握り、それを見つめながらフリッドは語った。

 

「それから・・・うっ!ごほっ!げはっ!!」

 

その瞬間、フリッドは突然咳き込んだ。かと思うと、口から血を吐いた。

それを見て、フィオナは目を見開いた。

 

「……変身した後、必ずこうなる。最近は変身してない時でも……多分、俺はもうすぐ死ぬ。死ぬことに恐れはない……前から受け入れてた。でも……寂しいんだ……!!」

 

その時、フリッドは両目からポタポタと涙を流し始めた。と、同時に先ほどと同じようにフィオナを抱きしめてきた。

 

「一人で死ぬのは寂しい……!だから、側にいてくれ!ヨリ(・・)を戻したいなんて思ってない!もう、『愛してる』なんて言わない!でもせめて……側にいてくれ……!!」

 

涙を流し、震える声でフリッドは叫ぶ。それは、先ほどまで獣のように荒っぽく戦っていた者とは思えないほどだった。

すると、フィオナはそっと抱きしめ返してきた。

 

「……大丈夫。側にいるから。」

 

優しい声で耳元で囁いた。それを聞いた瞬間、フリッドの目から涙がとめどなく流れ、嗚咽した。

 

「泣かないで……」

 

また優しい声で言い、フリッドの頭を撫でた。

だがこの時、フィオナは心の中でほくそ笑んでいた。

 

(この男、使える……あの作戦に……)

 

────────────────────────

 

後日、「WISE」本部にて……

 

「法条。」

「おや、夜帷くん。」

 

その日、フィオナは法条の元を訪れていた。

 

「珍しいですね、君が僕の元に来るとは。」

「……あなた、確かある作戦を上層部に勧めているらしいわね。確か、『アギト捕獲作戦』だったかしら。」

 

フィオナの一言に、法条はフッと笑った。

 

「君からその言葉が出るとは。それがどうしたんですか?」

「同期のよしみで頼みがあるの。その作戦、私も協力するわ。」

 

それを聞いた法条から笑みが消え、眉間に皺をよせた。

 

「・・・どういうつもりですか?」

「私、知ってるのよ。アギトの正体を……」

 

その時、フィオナは珍しく笑った表情を表に出した。心の中でも面白おかしく笑っていた。

 

(フフッ、悪いわねフリッド・リード……先輩に認めてもらうために、私のために……利用させてもらう。)

 

 

 





今回はちょっとフィオナファン怒るかな~って思ったんですよね。なんせオリキャラと元恋仲という設定なので……

後、ここから数話ぐらいフリッドが不幸な目に遭います。

作品内において、どのライダーの話が一番好きですか?期間は4月10日から4月17日まで。アンケート結果は後日作品内で発表します

  • アギト編(翔一+フォージャー一家)
  • G-3編(ユーリ+対策班、ノエル)
  • ギルス編(フリッド+ダミアン、フィオナ)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。