これからも頑張ります!
「うっ、ううっ……」
体に痛みが走り、その痛みでユーリはゆっくりと目を開けた。
「ユーリ!気が付いたか!」
声が聞こえ、顔を向けるとそこにはリョーマがいた。ユーリが目を覚ましたことに安堵しているのか、ため息をついている。
「ここは・・・?」
「保安局内の病室だよ。お前、アンノウンを倒した後、暴れ出したんだよ。」
「そ、そうだ・・・!アギトさんは!?」
ユーリは朧気だが思い出した。あの時、自分は半狂乱になってアギトを攻撃してしまったことを。
「俺とアイネがついた時には、もういなかったな。」
「そ、そんな・・・謝らなきゃ・・・うっ!」
その時、ユーリは全身に痛みが走るのを感じた。よく見てみると、ユーリは全身に包帯を巻かれていた。
しかし、あの時ユーリはアンノウンの攻撃を喰らっていなかった。にもかかわらず、だ。
「……全身打撲だとさ。打撲で済んでるのが奇跡だって、医者が言ってた。」
「ど、どうしてこんなケガを・・・?」
「G3-Xだよ。」
「えっ!?」
リョーマの一言に、ユーリは声を上げた。と、その時だった。
『どういうことですか、アイネさん!』
病室の外から声が響いてきた。
「今、システムを提供してくれた法条って奴が来てるんだ。」
────────────────────────
「さっきも言ったじゃない。G3-Xのあのシステムは失敗だって!」
「バカな!」
病室の外で、アイネと法条は言い争っていた。その内容はG-3Xに搭載されたシステムに関してだった。
「冗談じゃない!あのシステムは100%完成してる!欠点などあるはずがない!完璧だ!!」
「・・・それが欠点よ。
アイネはふと目を閉じて静かに呟いた。
「理想的な動きを装着員に促すコンピュータシステム……でも、それに少しでも抵抗する動きをしてしまえば、その分装着者の身体に負荷がかかる。ユーリ君は全身打撲だけで済んだけど、最悪、筋肉断裂もあり得たわ。」
「……ッ!!」
アイネの説明を聞き、法条は口ごもってしまう。法条もシステムのデメリットに気づいていなかったのだ。
アイネはさらに続けて説明した。
「あの時ユーリ君が暴走したのは、体に衝撃を受けて意識障害を起こしたの。結果、錯乱状態になってアギトを攻撃した……」
「……なるほど。」
説明を聞いて戸惑った法条だったが、すぐ息を整えてため息をつく。
「なら、G3-Xを装着できる人間はいない、ということですか?」
「そうね。使いこなすには、コンピュータと完全に同調しなければいけない。可哀想だけど・・・今のユーリ君には無理。でも、一人扱えるかもしれない人間がいるわ。」
「なんですって?それは一体・・・!」
扱うことはかなわないであろうG3-X……それを扱えるかもしれない人物。法条がそのことを問いただそうとしたその時、
「待ってください!」
病室から出てきたユーリが大声を上げた。そして、フラフラとアイネに近づき、両肩を掴んだ。
「僕は、僕はまだやれます!ちょっとケガをしただけです!システムに同調できるように、頑張りますから!!」
ユーリは必死にアイネを説得しようとした。G3-Xはユーリにとって新しい力だった。この力さえあれば、大好きな姉さんを守ることが出来ると確信していたからだ。
「落ち着きなさい、ユーリ君!」
「それに、その扱えるかもしれない人間って誰ですか!?教えてください!」
「……わかったわ。」
興奮状態で話すユーリに、アイネはため息をつきながら呟いた。
────────────────────────
翌日、ピンポーンとインターホンが鳴り響いた。
「はーい!あ、ユーリさん!アイネさんも!」
ユーリとアイネが訪れたのはフォージャー家だった。
笑顔で出迎える翔一に、アイネはニコッと笑っていたが、ユーリは釈然していないようだった。
「アイネさん、どういうことですか?なんでここに……」
部屋の中に通され、ソファに座った二人。ユーリはアイネに尋ねた。
「……彼よ。G3-Xを扱えるかもしれない人間は。」
「……はぁっ!?」
一瞬黙り込んだ後、ユーリは声を上げた。
そんな時、翔一はガラスの容器を持って戻って来た。
「すいません、ロイドさんもヨルさんも仕事で・・・あっ、よかったらどうぞ!」
翔一はそう言うと、テーブルにガラスの容器を置いた。その中には冷水で冷やされた豆腐が入っていた。
「冷奴ね!オツなもの出すじゃない!」
「冷奴なんてどうでもいいですよ!それより、どういうことですか!?なんでよりによって、こいつなんですか!?」
ユーリは声を荒げ、翔一を指差した。
何が起きているのか分からず、翔一は困った様子で首を傾げた。
「ごめんね、津上君。今日はあなたに用があって来たの。」
「え、俺に?」
アイネは事情をありのまま、翔一に説明した。
「・・・じゃあ、そのG3-Xっていうのを着て、アンノウンと戦えっていうんですか?」
「その通り。G3-Xを扱うには、無我の境地に達した人間でないといけない。私が見たところ、あなたはいつもリラックスしてるし、緊張感というものがまるでない。そこがいいのよ。」
アイネは坦々と説明しながら箸で冷奴を取り皿に取った。
「無茶ですよ!無謀すぎます!」
対し、ユーリはまたも声を荒げた。
すると、翔一はうんと唸り声をあげた。
「うーん・・・でも、なんか面白そうですね!」
「面白そう・・・?冗談じゃない!!遊びじゃないんだよこっちは!!」
ヘラヘラと笑いながら言う翔一に腹を立て、両手をバン!とテーブルに叩きつけ、ユーリは大声を張った。
「まぁまぁ、ユーリさん。あ、冷奴食べないんですか?取りましょうか!」
「冷奴ぐらい、自分で取れる!」
冷奴を取ってあげようとする翔一の申し出を断り、ユーリは箸で容器に入った豆腐を掴んだ。
しかし、力が入りすぎていたのか、豆腐は真っ二つに割れ、容器の中に落ちた。
「あっ!」
「ダメですよユーリさん!無駄に力入れちゃ~!」
「む、無駄な、力……」
翔一から毒舌(本人は悪気なし)を吐かれたのがショックだったのか、ユーリは一瞬固まった。
「ほら、俺が取ってあげますから・・・」
「余計なお世話はやめろ!お前は、黙って見てればいいんだ!」
代わりに豆腐を取ろうと箸を伸ばす翔一の手をどかし、ユーリは再度豆腐を箸で掴んだ。
今度は割れず、取り皿に取ることができた。
「ど、どうだ!まさに完璧だ!」
「甘いな~!」
絵に描いたようなドヤ顔で言うユーリだったが、翔一は笑っていた。
「甘い?何が?」
「これは木綿豆腐だから上手くいったんです。今の手つきじゃ、絹ごし豆腐は取れませんよ?」
「絹ごし・・・」
翔一の一言に、アイネはボソッと呟いた。しかし、ユーリはそれに気づかず、翔一を睨んだ。
「じゃ、じゃあ、絹ごしを出せよ!」
「いや、ウチにはありませんけど……」
「わかったよ!買ってくる!!」
ユーリは大声で言うと、その場から立ち上がり、最寄りのスーパーまで走って行き絹ごし豆腐を買ってきた。
そしてその豆腐を、翔一に冷奴にしてもらい、ユーリは箸を絹ごし豆腐に伸ばした。
しかし、何度やっても二つに割れ、容器の中に落ちていく。最終的に小さくなった豆腐も掴んだが、それでも割れてしまう。
その光景を見て、アイネはため息をついた。
「はぁ、やっぱりね……」
「ち、ちょっと待ってください!!」
ユーリはバン!と箸をテーブルに叩きつけて置いた。
「豆腐が取れないからって僕はこいつより劣ってるっていうんですか!?納得できません!!第一、なんですか豆腐なんて!こ、こんなものはスプーンで食べればいいだけの話だ!!」
「ユーリさんがやろうって言いだしたんじゃないですか……」
声を荒げるユーリに、翔一は不服そうにブツブツと呟いた。
「あっ、今思い出しました。津上ぃ……お前は確か無免許でバイクに乗ってるはずだ。」
「本当なの!?」
ユーリはニヤニヤと笑いながら翔一の顔を覗き込み、アイネは声を上げた。
「記憶喪失の人間に免許なんて取れるはずありませんからね!そんなヤツにG3-Xを任せるワケにはいきません!」
「甘いな!ジャーンッ!」
得意気に語るユーリに対し、翔一は財布からあるものを取り出し、ユーリに見せつけた。
それは紛れもなく運転免許証だった。
「こ、これは!?」
「記憶喪失でも免許は取れるんです!知りませんでした?勉強不足ですね!」
今度は翔一の方が得意気に言った。実はこの免許証は、ロイドが裏から色々と手を回して取ったものなのだが、翔一はそのことを知らない。当然、ユーリも知らない。
「だ、だからなんだっていうんだ!バイクの免許とG3-Xは関係ない!論点をすり替えるな!!」
「ユーリさんが言い出したんじゃないですか~、ねぇ?」
それでも声を荒くするユーリに、翔一は不服そうに言い、アイネに相槌を求めた。
するとアイネは、
「あなた達!漫才やってるんじゃないんだから!」
今度はアイネが声を上げた。アイネの一言に、二人は黙り込んだ。
「とにかく、さっき言ったこと、考えてくれるかしら?」
「はい・・・よくわかりませんけど、考えてみます。」
翔一の返事を聞くと、アイネはソファから立ち上がった。
「行くわよ、ユーリ君。」
「……はい。」
アイネはその場から立ち去り、家から出て行った。ユーリもその後に続く・・・かと思いきや、ドアの前で足が止まった。
「……津上。聞いていいか?」
「はい?」
「お前……死ぬほど怖い思いしたことあるか?」
ユーリは翔一に尋ねた。G3-Xを装着していた時、ユーリは恐怖を感じていた。それは死ぬかと思ったほどだった。
「うーん・・・死ぬほど、っていうのはない・・・かなぁ。記憶を失う前はちょっと分かりませんけど。」
「そっか……そうだよな。」
多くの人間は怖いと思ったことはあっても、死ぬほどと思ったことは少ないだろう。
予想通りの回答を聞いたユーリは、苦笑いを浮かべた。すると、翔一はニコッと笑った。
「でも、怖いものなんて、みんなあるじゃないですか。ゴキブリとか、幽霊とか・・・ヨルさんだって虫が苦手です!」
「まぁ、確かに・・・」
「俺、思うんですよ。怖いって思える人は、強くなれるんだって!『怖いものなんてない!』っていう人なんて、強くなれませんよ。」
「怖いから、強くなれる……」
翔一の言葉を聞き、ユーリは拳を握りしめた。
自分の中で、答えが見つかりそうな予感がした。だが、あと少しのところで、その答えが出ない。
答えが出ないまま、ユーリは家を出て行った。
────────────────────────
アイネとともに街を歩く中、
「あ、ユーリ君じゃん!」
ユーリを呼ぶ女性の声が聞こえてきた。
「ノエルさん。」
そこにいたのは以前、ユーリと遊園地に行った女性記者のノエルだった。
「先に行ってるわね。」
アイネは気を遣ったのか、先に進んで行ってしまった。
「なんか元気ないね。どうしたの?」
「い、いや、そんなこと……」
下から顔を覗かれ、ユーリは恥ずかしそうにそっぽを向いた。
「なんかあった?力になれそうなことがあったら言って?」
「実は・・・」
ユーリは近くにあるベンチに座り、ノエルにこれまでのことを話した。
「G3-X・・・保安局はそんなの開発したんだ。」
「うん。でも……正直、怖いんだ。あれを着て戦ったら、自分が壊れるような気がして……!」
ユーリの手は震えていた。これほどまでに恐怖を感じたのは生まれて初めてのことだった。
しかし、それでも装着員を続けたい理由があった。
「でも、それでも・・・G3-Xを誰にも譲りたくない!あれがあれば、姉さんを守れるんだ!」
そもそもG3の装着員としてアンノウンと戦ってきたのは、全てヨルを守るためだった。
ユーリは使命感を抱いた顔でそう言った。対し、ノエルは心配そうな顔をしていた。
「でも……それでもし死んじゃったら、お姉さん悲しむよ。」
「わかってるよ!でも!」
「少しは周りを見て!」
声を荒げるユーリの顔を、ノエルは優しく頬に手を添えた。
そして、ユーリの目をじっと見つめ始めた。
「ユーリ君が死んで悲しくなるのは、お姉さんだけじゃないよ?お姉さんの旦那さんとか、友達とか、同じ保安局員の人とか……」
「……ッ!」
ノエルの言葉を聞き、ユーリの脳裏に今まで自分と関わって来た人間達の顔がよぎった。ヨル、ロイド、アーニャ、翔一、アイネ、リョーマ、ノエル……
「お姉さんだけじゃなくて、自分自身のことも守って!」
「自分のことも・・・」
続けて言ったノエルの言葉を聞いたユーリ。その時だった。ユーリの中で一つの答えが出た。先ほどは見つからなかった、自分の中の答えが。
「・・・ありがとう、ノエルさん。僕、行くよ!」
「うん!」
そのままユーリはノエルに別れを告げ、保安局に向かって走り出した。
(わかった・・・!僕は、姉さんを守る!いや、姉さんだけじゃない!ロッティ、
青年は答えを得た。愛する者を守るために始めたアンノウンとの戦い・・・しかし今、守るべきものは愛する者だけではないこと気づいた。その人の周りにいる家族、友人、知人、場所……その全てを守ること。それが自分を守ることに繋がる。
その答えを胸に、青年は扉を開けた。
「アイネさん!!」
本部に戻ったユーリは大声でアイネの名を叫んだ。
椅子に座っていたアイネは、ユーリの方を向いた。
「もう一度……もう一度チャンスをください!必ず、G3-Xを使いこなしてみせます!!」
「そう言うと思ったわ。さっき民間人から通報があったわ。アンノウンが発生!現場へ急行して!」
「はい!!」
ユーリはすぐさまG3トレーラーへ移動し、ユニットを足から順番に装着していく。そして頭部ユニットを手に取り、その丸い瞳を見つめ始めた。
「……G3-X、僕はお前に相応しくないかもしれない……でも、力を貸してくれ!!」
ユーリは頼み込むように言いながら、頭部ユニットを装着。ガードチェイサーに跨り、現場へ急行した。
────────────────────────
「グルルルル……」
「う、うわあああああああっ!!」
いつもはたくさんの人で賑わう公園。その公園で残業で遅くなった男が襲われていた。
襲っていたのはエイの姿をしたアンノウン、スティングレイロードだ。
スティングレイロードは両刃の剣を片手に、男に向かって振り上げた。と、その時銃声が鳴り響き、ロードの背中に銃弾が命中した。
「グウッ!?」
そこに現れたのはG3-Xを装着したユーリだった。
「逃げてください!」
ユーリは男に逃げるよう促した。男はそれに従い、逃げ出した。
獲物を取り逃がしたロードは、矛先をユーリに向け突進してきた。ユーリは向かってくるロードに向かって銃を乱射した。
しかし、ロードは剣で銃弾を弾いてくる。そして間合いに入った瞬間、剣を振り上げた。だが、ユーリは左腿に携帯したガードアクセラーを抜いて剣戟を防いだ。さらに左腕に携帯したナイフ「GK-06 ユニコーン」を抜き、ロードを攻撃した。
「グオォッ!!」
「だあぁぁっ!!」
ガードアクセラーとナイフの二刀流を駆使し、打撃と斬撃を次々と当てていく。
ロードはその攻撃から逃れようと、空高くジャンプして飛び越え、逃げようとした。しかし、ユーリは即座に銃を手に取り、足を撃ち抜いた。
足を撃ち抜かれたことでロードはバランスを崩した。バランスを崩したところを狙い、ロードの胸をナイフで切り裂いた。さらに、ナイフでできた傷口にガードアクセラーを突き刺し、そのまま電流を流した。
「グアアアアアアッ!!」
体内に直接電流を流され、ロードは苦悶の声を上げた。その間に、ユーリはバイクのトランクから「GX-05」を取り出した。暗証番号「1、3、2」を入力。「カイジョシマス」の音声が響き、ガトリングモードへと変形させた。
「うおおおおおおおっ!!」
ユーリは雄たけびを上げ、ロードに向かってガトリング砲を乱射した。ロードは銃弾の嵐をまともに受け、今にも倒れそうなほどのダメージを受けた。
そんなロードにとどめを刺すため、ユーリはあるものを取り出した。それは「GX-05」専用のロケット弾だ。G3-Xの最強の攻撃力を持つ装備だ。
それをガトリングの砲身にセットし、さらに側面に銃を連結した。
「当たってくれ!!いけぇぇぇぇぇっ!!」
ターゲットをロックし、いざロケット弾が放たれた。
ロケット弾はロードの身体に直撃し、その直後に凄まじい爆発が起きた。ロードはその一撃に断末魔を上げることなく消滅していった。
「や、やった・・・!!ぷはぁっ!」
アンノウンを倒したユーリは、頭部ユニットを外し、首を振って汗を飛ばした。
体に痛みはなかった。ユーリはG3-Xと完全に同調できたと思い、笑顔を浮かべた。
────────────────────────
そのころ、対策班本部では
「どういうことですか、アイネさん!」
法条がアイネの元を訪れていた。
「あら?何かしら。」
「とぼけても無駄ですよ!あなた・・・システムの出力を落としましたね!?見ただけで分かりますよ!前回の戦いよりも動きが鈍かった!」
法条は先ほど戦いを見物していた。そして法条の言う通り、G3-Xに搭載されたシステムは前回の時より出力が抑えられていた。
「よく分かったわね。確かに出力を落としたわ。前回が100%なら、今回の出力は80%程度しかないわ。」
「何故だ!?あのシステムは100%完成しているのに、どうして質を落とすようなことを!」
ワケが分からず、法条は大声を上げた。そんな法条に対し、アイネはため息をついた。
「前から思ってたけど・・・ジョージ君、あなた本当に頭が固いわね。木綿豆腐みたい。絹ごし豆腐みたいに頭を柔らかくしなさい。」
「はぁ?」
突然の豆腐発言に、法条は意味が分からず首を傾げた。
「私、分かったのよ。どれだけいいシステムができても、人間がそれに扱われたら意味がない。つまり、
「な、なんですかそれは・・・?理解できない!」
「出来なくて結構。それじゃ。」
またしても意味が分からず頭を抱える法条に、アイネは冷たくあしらい、その場を去った。
その時、同じく立ち去ろうとしたリョーマが法条の肩を叩いた。
「アンタ、こんな言葉知ってるか?『1%のひらめきと、99%の努力』・・・とある発明家のセリフだ。こいつをウチのG3-Xで例えるなら、『80%のシステムと、20%の人間の勇気』!って感じだな。」
リョーマは捨て台詞のように言うと、そのまま立ち去ってしまった。
一人、ポツンと部屋に残された法条は疎外感を感じていた。
「な、なんだ・・・この敗北感は・・・!システムを提供したのは私なのに!」
同時に、謎の敗北感を感じていた法条だった。
────────────────────────
それから数日が経過し、フォージャー家に一本の電話がかかった。
「はい、フォージャーです。」
ロイドは電話に出た。
『あ・・・ロッティ。』
「ああ、ユーリ君。ヨルさんなら今、翔一君と買い物に出てるんだ。」
『い、いや・・・今日はロッティに用があるんだ。』
「俺に?」
ユーリはロイドに伝えたいことがあった。しかし、いざ言うとなると緊張してしまい、中々声に出せなかった。
だが、勇気を振り絞り、声に出した。
『い、いいか?一度しか言わないからな!その……姉さんのこと、これからもよろしく。に、
ユーリは恥ずかしそうに電話越しに呟いた。それを聞いたロイドは一瞬目を見開いたが、すぐに笑みを浮かべた。
「ああ。もちろんだよ。君に義兄さんって呼んでもらったからな。」
『い、言っとくけど、もう二度と言わないからな!今回だけだからな!』
「ははは、わかったわかった。」
『笑うな!』
ユーリは少しだけロイドと歩み寄ることができた。それは、ロイドはヨルに笑顔を、幸せをもたらしてくれると思っていたからだ。
(まさか、この男がこんなことを言うなんてな……仮面ライダーのおかげか?仮面ライダーは全てを変えていくな……)
ロイドはユーリは変わったと確信していた。そしてそれは、仮面ライダーという存在がこの世に生まれたからだと思った。
仮面ライダーは人を守るだけでなく、人を変えていく存在……ロイドの中でそんな考えが生まれたのだった。
おまけ「レジェンド その1」
「なんだよ津上。僕に合わせたい人って・・・」
「フフフッ、この人です!ジャーン!」
翔一の紹介で出てきたのは、スーツを着た黒髪の男だった。
「どうも、ユーリさん。元G3及びG3-Xの装着員、氷川誠です。」
「ひ、氷川さん!?」
氷川の姿を見た途端、ユーリは大慌てで敬礼をした。氷川も同様に敬礼し、フッと笑った。
「津上さんから活躍は聞いています。元装着員として、鼻が高いです!」
「あ、ありがとうございます!」
氷川に褒められた嬉しさのあまり、ユーリは目を輝かせながら礼を言った。
しかし、
「そういえば、ノコギリを折っていましたね。」
「え?」
「そして今回、豆腐を箸で掴めませんでしたね。」
「あ・・・」
氷川の指摘を聞き、ユーリは冷や汗を掻いた。さすがに怒られると思った。
だが、氷川は……
「それでいいです!それでこそ装着員です!」
「え?」
まさかの一言にユーリは声を上げた。
「さぁ、次はGX-05の番号を間違えてください!そうなってこそ、僕の後を継ぐのに相応しいです!さぁ、間違えなさい!」
「えっ、なに?G3の装着員ってみんな不器用なの!?不器用が条件なの!?」
氷川に肩を掴まれながら力説され、ユーリは戸惑い、声を上げた。
その様子を、ロイドは遠目から見ていた。
同時に、
「というか、精密機器だらけであろうG3を不器用な男に任せていいのか?」
と思ったロイドだった。しかし口には出さなかった。ロイドは空気が読める男なのだ。
—――――――――――――――――
氷川さん、翔一がG3-Xを装着してた時、パソコン操作してたんですよね。「不器用のなのに、パソコンの操作はできるんだ」って思って見てました。
サブタイトルはfripsideさんが歌う「LEVEL5 -JUDGELIGHT-」の歌詞から引用しました。歌詞的にG3-Xとユーリに合いそうな気がして選びました。
作品内において、どのライダーの話が一番好きですか?期間は4月10日から4月17日まで。アンケート結果は後日作品内で発表します
-
アギト編(翔一+フォージャー一家)
-
G-3編(ユーリ+対策班、ノエル)
-
ギルス編(フリッド+ダミアン、フィオナ)