久々にフィオナの出番です。アンド、ギルス再登場です。
ある日のこと・・・
「ハァ……」
バーリント総合病院で事務仕事をしていたフィオナは、珍しくため息をついていた。
それは、決してこの事務仕事が辛い、というワケではなかった。
(名誉挽回するための策が思いつかない……!)
アギト捕獲作戦が失敗して以来、フィオナはロイドの信用を回復するため、頭の中で様々な策を巡らせていた。
一つ目の策は成功した。フリッド・リードの殺害は上手くいった。
もう一つは何か大きな手柄を立てて、名誉挽回するつもりだった。しかし、そのための策が思いつかなかった。
(こうしてる間にも、先輩は
フィオナはポーカーフェイスを保ちながら親指の爪を噛んだ。
そんな時、
「フィオナさーん!すいませーん!」
フィオナを呼ぶ声が聞こえ、フィオナは上を向いた。しかし、呼んだ男の顔を見た瞬間、フィオナは怒りを覚えた。
「……津上さん。」
(津上翔一ィィィィィ!!)
「どうも!」
フィオナが怒っていることには気づかず、翔一は笑顔を浮かべている。
「……何の御用でしょう。」
「実は、ロイドさんから頼まれた資料を届けに来たんですけど・・・ロイドさんはどこにいます?」
「3階の方にいると思いますよ。ご案内します。」
フィオナはそう言うと椅子から立ち上がり、翔一の案内を始めた。これは親切心からではなかった。
フィオナはヨルと同様に、翔一のことを敵視していた。それもこれも、ロイドがヨルと翔一のことを好いていると、フィオナが勘違いしていたからだった。
(こいつと先輩を二人きりにしてたまるか!)
そんなことを考えながら、目的地にたどり着いた。
「失礼します。」
ドアをノックして中に入った。中にはロイドが机に向かってカルテを見ていた。
ロイドは二人に気づき、顔を向けた。
「あ、翔一君!」
「ロイドさーん!資料持ってきましたー!」
「やぁっ、すまないな。」
資料を手渡してきた翔一とにこやかに話すロイド。その光景を見て、フィオナは心の中で歯ぎしりを立てた。
(やはり……あの
フィオナの勘違いは加速していった。
その時、翔一はカバンから何か取り出した。
「ロイドさん、これ!お弁当です!忘れてましたよ!」
「なに?そうだったか……」
ロイドは翔一から弁当が入った包みを受け取った。
それを見たフィオナは目を見開いた。
(なっ!?ま、まさか……愛妻弁当!?い、いや、妻じゃないから"愛妻"じゃない……?混乱してきた……)
フィオナは頭が混乱していた。そんな時、翔一はフィオナに包みを差し出してきた。
「よかったら、フィオナさんも食べます?これ、俺の分ですけど・・・よかったらどうぞ!」
「え?」
「フィオナ君、もらっておきなさい。翔一君の料理は美味しいから。」
ロイドはそう言いながら弁当を食べていた。包みに入っていたのは"おにぎり"だった。
ロイドは片手におにぎりを持って食べながら、翔一が持ってきた資料に目を通している。
フィオナはチラリと部屋の時計を見た。もう昼食時になっていた。
「じゃあ、遠慮なく。」
「どうぞどうぞ!あっ、そうだ!フィオナさん、ちょっと聞きたいことがあるんですけどいいですか?」
「?」
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2人は屋上へ移動し、近くのベンチに隣り合って座った。
「・・・話ってなにかしら?」
「えーっと・・・あ、食べながらでいいですよ!」
翔一は笑顔で言うと、弁当を食べることを勧めた。それに従い、フィオナは中に入っていたおにぎりに手をつけた。
「で、聞きたいことなんですけど・・・フィオナさん、最近フリッドさんって見ました?」
フィオナの食べる手が止まった。
「・・・どうしてそんなことを?」
「フリッドさん、アーニャちゃんの家庭教師なんですけど……この前……フィオナさんと出会ってから見てないんですよ。だから、どうしたのかと思って……」
翔一は知らない。フリッドは目の前にいるフィオナに刺し殺されてしまったことを。
一度食べる手が止まったフィオナだったが、再度おにぎりを食べ進めた。
「……私には関係ないわ。だって、彼は元カレだし。」
「なんか、冷たいんですね・・・確かにフリッドさんは元カレかもしれませんけど、フィオナさんは一度は付き合ってたんでしょ?それって、フリッドさんのことが好きだったからですよね?昔好きだった人のこと、心配じゃないんですか?」
事情を知らない翔一はズケズケとフィオナに聞いてくる。そんな翔一の態度に、フィオナはますます苛立ちが募る。
「ちょっと聞きたいんですけど、フィオナさんはどうしてフリッドさんと付き合ったんですか?」
フリッドとは任務のために付き合っていただけ、とは言えなかった。
一瞬答えに困ったフィオナだったが、手に持ったおにぎりを食べ終え、残ったおにぎりを翔一に叩き返した。
「逆に聞くけど、なんで他人のあなたにそんなこと話さないといけないの?」
「え?いや、それは……」
「あなたストーカー?はっきり言って気色悪い!もう彼のことは話さないで!」
吐き捨てるように言うと、フィオナはその場から立ち去ろうと歩きだした。その時、ふと病院の庭に目が入った。
そこに一人の男が立っていた。
「!!」
フィオナは目を見開いた。何故ならそこにいたのは、すでに死んでいるはずの男・・・フリッド・リードだったからだ。
「フィオナさん?どうしたんですか?」
フィオナの異変に気付き、翔一は彼女に近づいた。そして、彼女が見ている場所に同じく目線を向けた。
「あっ!フリッドさん!おーー--いっ!!」
久々にフリッドを見て嬉しくなったのか、翔一は庭にいるフリッドに向けて手を振りながら叫んだ。
すると、向こうも翔一に気づいたのか、手を振ってきた。
「よかった~、元気そうで!ですよね、フィオナさ・・・」
翔一は後ろを振り向いた。しかし、そこにフィオナの姿はなく、階段に続く扉が開いていた。
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(どうして・・・!どうして奴が生きている!?)
フィオナは頭の中が混乱していた。混乱しながらも早歩きで病院内を歩き、駐車場に向かって移動していた。
(奴は確かに殺したはず!私が確実にこの手で!!)
あの時、フィオナは確実にフリッドを殺害した。しかし、フィオナは知らなかった。フリッドはアーニャとイワークという男の手で蘇ったことを。
(このまま奴を生かしたら、私が殺される!それに、先輩の身も危うくなる!)
焦る気持ちを抑えながら駐車場にたどり着いたフィオナは、自分の車のシートに手を触れた。その中に密かに隠していた拳銃を取り出し、内ポケットに入れた。
(もう一度殺さないと!今度は確実に・・・!!)
その時、フィオナは背後に気配を感じた。額に汗を掻きながら、ゆっくりと後ろを向いた。
そこにはフリッドがいた。その姿を見た瞬間、フィオナは一気に青冷めた。
「……!!」
「フィオナ……」
フリッドはフィオナの名を呟き、ゆっくりと近づこうとする。
しかし、フィオナはすぐさま車に飛び乗りエンジンをかけた。そして一気に走り始めた。
「ま、待ってくれ!!」
逃げていくフィオナを見て、フリッドはバイクで後を追い始めた。
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フリッドとの逃走劇は数十分ほど続き、街はずれの山の麓で車を乗り捨て、中へと入っていった。
そこは普段キャンプ場として使われている場所だが、今は人気がなかった。
フィオナは近くのコテージの中に入り、フリッドを待ち構えた。
(今度こそ、確実に……!!)
いつでも銃を抜けるよう、内ポケットに手を入れた。
その時、コテージのドアが開き、フリッドが中に入って来た。
「フィオナ!」
「動かないで!」
近づこうとしたフリッドだったが、フィオナに銃を抜けられて足が止まった。
「何故あなたが生きているのか分からないけど、今度こそ死んでもらう!あなたが生きてると、色々と迷惑なのよ!!」
「フィオナ……」
フィオナに拒絶され、フリッドは悲しい表情を見せていた。しかし、フィオナは関係ないとばかりに引き金に指をかけた。
だがその時、コテージの窓ガラスがガチャーンッ!と何者かに破られた。
「グルルルル……」
「アンノウン!?」
フィオナの後ろの方で、青いエイ型のアンノウン、スティングレイロードが窓ガラスを突き破って現れた。
フィオナは一瞬驚いたが、すぐさまロードに向かって銃弾を放つが、アンノウンにそんなものは効くはずもない。
ロードはヒレを鎖鎌のように変化させ、フィオナに向かっていく。ロードの狙いはフリッドだが、その前にいるフィオナは邪魔だと捉え、フィオナに向かってヒレを振り下ろした。
「ッ!!」
フィオナは思わず目を閉じた。しかし、いつまで経っても痛みがこなかった。不思議に思ったフィオナはそっと目を開けた。
目の前には、なんとフリッドが自分を庇うように立っていた。
「くっ・・・!!」
フリッドの腕には、ロードのヒレが突き刺さっていた。その痛みに耐え、フリッドは苦悶の表情を浮かべていた。
「あなた、どうして・・・!?」
フィオナは目を見開いて驚いていた。
さきほどまで自分を殺そうとしていたのに、フリッドはそんなことはお構いなしにフィオナを助けたのだ。
「……誰にも、君を傷つけさせない!殺させない!!うおおおおおおおっ!!」
フリッドは叫び、腕に力を込めてヒレを抜き取り、ロードを殴り飛ばした。
そして、両腕を顔の前で交差させた。
「変身ッ!!」
フリッドは叫び、その身をギルスへと変身させた。
「ウオオオオオオオオオオッ!!」
ギルスは雄たけびを上げ、ロードに掴みかかった。そしてロードを壁の方に蹴り飛ばし、さらにそこから渾身の力で飛び蹴りを喰らわせた。蹴りを喰らったロードはコテージの壁を突き破って外へ出た。
「グウゥゥゥ……フッ!」
ロードは立ち上がり、鎖鎌のように変化させたヒレを振り回し、ギルスに向かって攻撃した。
対し、ギルスは右腕から鞭状の触手「ギルスフィーラー」を伸ばして応戦した。
空中で鞭と鎖鎌がぶつかり合う中、ギルスは左腕からも触手を伸ばし、ロードの足に巻き付け横転させた。
「ガァウッ!!」
横転したロードに、ギルスが飛びついた。そのまま頭を掴み、地面にガリガリと引きずりながら駈け出した。
「ウォラァァァァァッ!!」
ギルスはロードを宙に放り投げた。
「ハアッ!!」
そして、ロードが落ちてきたところをギルスは手刀で胸を突き刺した。
「グアアアアアアッ!!」
「ウオオオオッ!!」
ロードは痛みのあまり叫ぶが、ギルスはお構いなしに投げ飛ばし、地面に叩きつけた。
そして、ギルスは踵の爪ヒールクロウを伸ばした。
「ハッ!」
ギルスは右足を頭上まで振り上げながら跳躍し、ロードの肩に踵落としを叩きつけた。同時に踵から伸びた爪が背中から突き抜けて心臓に突き刺さった。
「ウオアアアアアアアアアッ!!」
ギルスは叫ぶと同時にもう片方の足で蹴り飛ばし、刺さった爪で切り裂いた。
「グッ、ウウッ・・・グオアアアアア!!」
ロードは苦痛の叫びを上げながら頭の上に光輪を浮かばせた。そして断末魔を上げながら爆発した。
アンノウンが倒されたのを見て、フリッドはギルスから元の姿に戻り、その場を立ち去ろうとした。
「待って!!」
その時、立ち去ろうとするフリッドをフィオナは呼び止めた。
「どうして……どうして私のことを助けたの?私は、あなたのことを殺そうとしたのよ!?」
フィオナは声を荒げていた。それもそうだ。普通ならフィオナは恨まれても仕方ない立場にいる。にも関わらず、フリッドはフィオナのことを助けた。
すると、フリッドは静かに口を開いた。
「……君のことを恨んでないといえば、嘘になる。でも……君は、心から愛した女性だから。」
フリッドは悲しそうな目で言った。かと思えば、その場でフィオナに向けて頭を下げてきた。
「……ごめん。俺が現れなきゃ、君はあんなことしなかったと思う。本当にごめん。それから……『愛してる』なんて言って、ごめん。俺みたいな化け物に言われても、嬉しくないよな。」
フリッドは一瞬頭を上げて苦笑いを浮かべた、かと思えばまた頭を下げた。
フリッドは何度も何度も「ごめん」と謝り続けた。対し、フィオナは目を見開き、驚いているようだった。
どちらかといえば、フィオナの方が謝る立場であるにも関わらず、フリッドの方が頭を下げて謝っていたのだ。
そのことに、フィオナは理解できないでいた。
「本当にごめん。もう……二度と君の前には現れないから。さようなら。」
フリッドは最後に、微笑みを浮かべ、フィオナに別れを告げてその場を立ち去っていった。
フリッドが立ち去り、姿が見えなくなっていく中、フィオナはその場にへたり込んだ。
「なによ、『ごめん』って・・・恨み節ぐらい吐きなさいよ・・・!!」
この時、俯いていたフィオナの顔はポーカーフェイスが崩れ、今にも泣いてしまいそうな顔になっていた。
「なんで、なんでよ……!!」
────────────────────────
そのころ、フリッドはバイクを走らせてある場所へ向かっていた。
そこは、ダミアンが通うイーデン校だった。
(……何故かここに来てしまった……)
フリッドはもうダミアンとは会わないと決めていた。しかし、心の中では「もう一度会いたい」と何度も何度も思い続けていた。
そのため自然と足がこの場所に進ませたのかもしれない。
時刻はもうすぐ夕暮れ時になろうとしている。そろそろ学校が終わる時間だった。
(ダミアン……俺は……!)
息を深く吸い、勇気を持ってフリッドは校門をくぐり、その一歩を踏みしめた。
おまけ「これまでの不幸」
フリッド・リード(ギルス)のこれまでの不幸
1:居眠り運転のトラックに轢かれ、ギルスに覚醒する
2:変身してダミアンを助けるも、ダミアンに拒絶される
3:その後ダミアンと再会し、アンノウンから守るため戦うも、力不足で逆にダミアンがアンノウンの毒に犯される
4:さらにその後見舞いに行くも、さらに拒絶される
5:変身の度に体が傷つき、吐血するようになる
6:別れた恋人フィオナと再会するも、未練タラタラなのをいいことに利用される
7:言われるままに格闘技大会に参加したかと思えば、彼女に嘘をつかれていたことを知り、絶望する
8:その後、「WISE」の隊員たちから弾丸の雨を浴びせられる
9:ロイドとヨルのイチャイチャのダシに使われる
10:その後暴走し、アギトとG-3に襲い掛かるも、最終的にアギトともに海へダイブした
11:さらにその後、フィオナに刃物で刺されて殺される
「……俺、ロクな目に遭ってないな……」
「どんまい、かてーきょーし」
作品内において、どのライダーの話が一番好きですか?期間は4月10日から4月17日まで。アンケート結果は後日作品内で発表します
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アギト編(翔一+フォージャー一家)
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G-3編(ユーリ+対策班、ノエル)
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ギルス編(フリッド+ダミアン、フィオナ)