SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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今回、日常パートが多くなってしまったので戦闘は次回に持ち越しです。




第30話「戦いの前の休息」

 

「モグモグ・・・うん、美味い!」

「ホントですか!?いや~、喜んでもらえてよかったです!」

 

この日、フォージャー家にフリッドが家庭教師として来ていた。勉強の途中、昼食時になったので、翔一が手料理を振舞っていた。

そこで出されたホットドッグを食べ、フリッドは目を輝かせた。

 

「これは、店の物にも引けを取らないぞ!」

 

そう言ったフリッドは両手にホットドッグを持って、美味しそうに食べていた。

 

「フフッ、翔一さんはお料理だけじゃなくて、お掃除や洗濯もお上手なんです!」

「そりゃあ凄い!俺も独り者として、見習わないとな・・・そうだ!津上君、俺にこのホットドッグの作り方を教えてくれないか?」

 

ホットドッグをペロリと平らげ、フリッドは席から立ち上がって翔一に申し出た。

 

「ダミアンに作ってやりたいんだ。」

「いいですよ!じゃあまずはソーセージに切れ込みを入れて・・・」

「ふむふむ。」

 

キッチンで翔一が料理を教え、その隣でフリッドが真剣な顔で翔一の手さばきなどを見ている。

その光景を見て、ヨルは笑った。

 

「フフッ、フリッドさん・・・最近イキイキしてますね。」

「そうですね。きっとダミアン君と仲直りできたからでしょうね。」

 

ロイド達はフリッドが前よりもイキイキとしていることに気が付いた。前はどこか影がある印象を出していたが、今は裏表がない・・・翔一に近い印象を抱かせた。

 

その時、家のインターホンが鳴り響いた。

 

「はーい!」

 

ヨルは玄関のドアを開けた。

そこには見知った男が立っていた。

 

「姉さ~ん♪」

「あら、ユーリ!」

「久しぶり、姉さん♪会いたかったよ~~♪」

 

中に入るなり、ユーリはヨルの手を掴んでデレデレと笑っていた。

その時、ふとユーリの目にフリッドの姿が映った。

 

「あ、あれ?お客さん?」

「ああ、ユーリ君は初めて会うんだったな。彼はアーニャの家庭教師。フリッド・リードだ。」

「は・・・?」

 

ロイドの一言を聞き、ユーリは目が点になり、一瞬固まった。

 

「はあああああああああっ!!?」

 

かと思いきや突然大声を上げた。

 

「ち、ちょっとユーリ!声が大きい!」

「か、家庭教師って・・・こいつの家庭教師は僕のはずだ!なのになぜ!?」

 

アーニャを指差しながら、ユーリはロイドに詰め寄った。ロイドは額に汗を掻きながら説明を始めた。

 

「い、いや、ユーリ君はG-3の装着員になってから、色々忙しいだろうし・・・アンノウンとの闘いで疲れてるだろう?それに俺もプロの家庭教師から、子どもへの教え方を教わりたいと思ってな・・・」

(お、教わりたいだと・・・?こんな、どこの馬の骨かも分からん男を・・・!)

 

ユーリはフリッドの方を睨みつけた。フリッドの方は翔一と二人で、ユーリのことなど意に介さず料理に熱中していた。

 

「多めの油で強火で焼く!これでソーセージがパリッと焼けますよ!」

「なるほど・・・」

「ちょっとすいません!」

 

料理を教わっているフリッドに、ユーリは割り込んで話しかけた。

 

「あ、ユーリさん!」

「えっと、君は?」

「ヨルの弟、ユーリ・ブライアです!この家の娘、アーニャの家庭教師です!」

 

ユーリはフリッドを睨みながら軽い自己紹介をした。すると、フリッドは笑顔を浮かべた。

 

「俺はフリッドだ。そうか・・・君がG-3の装着員でヨルさんの・・・それにアーニャちゃんの家庭教師?凄いなぁ!」

「へ?」

「保安局の仕事だけじゃなく、アーニャちゃんの家庭教師もしてるなんて・・・君は頑張り屋なんだね!」

「い、いやぁ・・・それほどでも・・・」

 

唐突に褒められてユーリは思わずニヤニヤと笑ってしまった。

しかし、ハッと我に帰って首を横に振った。

 

(いやいやいや、こんな奴に褒められてどうする!こいつが家庭教師でいられると、姉さんに会う機会が減るじゃないか!!この野郎・・・!だがどうすれば・・・)

 

ユーリはなんとかフリッドをフォージャー家から追い出す策はないかと思考を巡らせた。

と、その時、

 

「ユーリさん!ちょっと口を開けてください。」

「あ?何?」

「いいからいいから!はい、あーん♪」

 

翔一はスプーンで黄色い液体を掬ってユーリに差し出した。ユーリは言われるまま、その液体を口に含んだ。

 

「・・・うっ!?辛っ!!」

 

突然舌に辛さを感じ、ユーリは口を抑えて涙目になった。

 

「あー、ちょっと辛子が多かったかなぁ・・・マヨネーズの量増やそう。」

「人に毒味させるなぁぁぁぁぁぁ!!」

 

辛さに耐えかねたユーリを見て、翔一は黄色い液体にマヨネーズを加えた。どうやらカラシマヨネーズを作っているようだったが、その毒味をさせられたユーリは翔一に向かって怒鳴り声を上げた。

その様子をヨルはニコニコ笑って見ていた。

 

「フフッ、翔一さんとユーリ、仲が良いですね♪」

「そ、そうですね・・・」

(アレをどう見たら仲が良いって思えるんだ・・・?)

 

ヨルの一言に賛同するロイドだったが、心の中では首を傾げていた。

 

「こ、こうなったら!おい、フリッド・リード!僕とあんた、どっちが勉強を教えるのが上手いか、勝負だ!」

 

その時、ユーリは突然フリッドに勝負を挑んできた。

 

「ち、ちょっとユーリ!いきなり失礼でしょ!?フリッドさんだってご迷惑・・・」

「いえ、大丈夫です。」

『え?』

 

ヨルはユーリを止めに入ったが、フリッドはあっさりと勝負を承諾した。

それに対し、その場にいた全員声を上げた。

 

「じゃあ、やろうか!ユーリ君!」

(くそっ!余裕ぶりやがって・・・!今に見てろ・・・ギャフンといわせて・・・)

 

その時、アーニャが二人の元に駆け寄ってきた。

 

「おじ!かてーきょーし!みてみて!」

 

アーニャの手にはおもちゃの剣が握られていた。どうやらヒーロー番組に出てくるものらしい。

それを見て、ユーリはため息をついた。

 

「お前なぁ・・・これから勉強だろ。遊んでる場合じゃ・・・」

「へぇ、これはどうやって遊ぶものなのかな?」

 

アーニャに勉強を促そうとするユーリに対し、フリッドは逆におもちゃの方に興味を抱いた。

 

「こうやる!」

 

アーニャはフリッドに説明しながら、剣についているレバーを順番に下げていく。すると剣から壮大な変身音が流れた。

 

「おれさまは、ジャアクのおうアーニャ!おれさまが、せかいをしはいするーっ!!」

「おお、凄い凄い!」

 

得意気に剣を振ってポーズを決めるアーニャに、フリッドは拍手を送った。

 

「レバーを順番に下げると変身音が鳴るんだね。それを覚えられるなんて、アーニャちゃんは記憶力がいいね!」

「むふふ・・・」

「じゃあ、その記憶力を勉強にも生かせるかな?」

「できるーっ!」

 

アーニャは笑顔を浮かべながら、得意気に言った。そんなアーニャの頭をフリッドは撫でた。

 

「よーし、じゃあ勉強しようか。この剣は部屋に戻そうね。」

「うぃっ!」

 

アーニャはフリッドの言うことに従い、おもちゃを部屋に戻しにいった。その間、フリッドは勉強を教える準備を整えた。

 

「………」

(・・・なんだろう、すでに負けたような気がする・・・)

 

2人のやり取りを見たユーリは、すでに敗北感を味わっていた。

それから1時間後、ユーリとフリッドは勝負と称して交代でアーニャに勉強を教えた。

 

「ど、どうだ?どっちの方がわかりやすかった!?」

 

勉強が終わり、ユーリは食い気味にアーニャに問いかけた。

 

「かてーきょーし!」

(即答された!?)

 

アーニャは即答し、フリッドを選んだ。その返答にユーリはひどくショックを受け、椅子から崩れ落ち、その場で膝をついた。

 

「な、なにが・・・何が違うっていうんだ!?」

「ユーリ君。」

 

そんなユーリに、フリッドはかがんで肩を叩いた。

 

「子どもはな、褒められるのが好きなんだ。まずは色んなことを褒めてあげることが大事だよ。」

(褒める・・・言われてみれば・・・)

 

ユーリは今までアーニャのことを褒めたことがない、と思っていた。アーニャがロイドの連れ子だと思っていたため無意識の内に敵視していた。

 

(でも、こいつを褒めるのもなぁ・・・なんかシャクなんだよなぁ・・・!あの泥棒猫の娘だし!でも、このままじゃ姉さんに会う機会が減る・・・!!ただでさえアンノウンのせいで会う機会減ってるのに!!)

(おじ、いじっぱり・・・)

 

ユーリはアーニャを褒めるべきか褒めないべきか悩んだ。そんなユーリの心を読んだアーニャは内心呆れていた。

 

「と、ところでユーリ君。今日は何の用で来たんだ?」

「あ、そうだ・・・忘れてた。」

 

ロイドに聞かれ、ユーリは当初の目的を思い出した。

ユーリはポケットから1枚の紙を取り出した。それはチケットだった。

 

「それは?」

「福引でもらったんだ。『汽車で行く日帰り旅行 東国(オスタニア)自然公園』!姉さん達に渡そうと思って。」

「え?そんなの悪いわ!ユーリがもらったんだし・・・」

 

ユーリからチケットを手渡され、ヨルは受け取るまいと首を横に振った。すると、ユーリは苦笑いを浮かべた。

 

「いや、本当は行きたかったけど・・・アンノウン対策で忙しいし、G-3Xの調整とかもあるから行けなくて。だから姉さん達が使ってよ。」

「まぁ……ありがとう、ユーリ♪」

 

ヨルはニコッと笑うと、ユーリの頭を撫でた。するとユーリは頭を撫でられてデレデレと笑みをこぼした。

 

(はぁ~~~♡姉さんのナデナデ久しぶり~~~♡たまんな~い♡)

「うっぷ・・・」

 

ユーリは撫でられたことの嬉しさに身も心もデレッデレになっていた。そんなユーリの心を読み、アーニャはドン引きすると同時に胸やけを覚えた。

 

「チケットには4人までと書いてますね……じゃあ、翔一さんも一緒に行きましょう!」

「は?」

「え、俺もいいんですか!?」

 

ヨルの一言に、翔一は喜んだ。対し、ユーリは声を上げ、翔一を指差した。

 

「こ、こいつも連れてくの!?」

「指を差さない!当たり前でしょう?翔一さんも私達の家族です!」

「そうだな・・・翔一は今までウチで家事をたくさんしてくれたし、たまには息抜きをしよう。」

「うわっ、嬉しいなぁ・・・!じゃあ明日、たくさん弁当作っちゃいます!」

 

翔一は嬉しそうに言うと、食材の買い出しに行こうとした。そんな翔一をロイドは引き留めた。

 

「待て待て、慌てるな。チケットの日付は、明後日・・・この日は建国記念日で祝日だ。弁当はその日に、な?」

「そうですね!たはは・・・」

 

翔一は慌ててしまったことを反省するように苦笑いを浮かべた。そんな翔一を見て可笑しかったのか、ロイド達は笑った。

しかし、ユーリは悔しそうに歯ぎしりを立てていた。

 

(くっそ、津上の奴・・・!渡さない方がよかったかな・・・)

 

────────────────────────

 

翌日、放課後のイーデン校にて・・・

 

「へぇ、じゃあアーニャちゃんも明日、自然公園に行くのね。」

「ベッキーもいくのか?」

 

アーニャはベッキーと二人、明日の祝日の予定について話していた。

ベッキーも自然公園に行くことを聞き、アーニャは一瞬喜んだが、ベッキーは浮かない顔をしていた。

 

「それがね・・・その日は両親が急な仕事が入っちゃってね・・・保護者がいないとダメなのよ。だから行けないかも・・・」

「うーん、ざんねん・・・」

 

ため息をついてがっかりするベッキーに、アーニャもため息をついた。

その時、

 

「ダミアン様!」

「明日は学校休みですし、寮の奴ら集めてボードゲーム大会しましょうよ!」

 

目の前でダミアンの友人エミールとユーインがダミアンに話しかけていた。

 

「悪い。俺は明日用事があるんだ。」

 

しかし、ダミアンは二人の誘いを断った。

 

「用事って・・・どこか出かけるんですか?」

「へへっ、デートだよ!」

『えっ!!?』

 

ダミアンはニヤリと笑って言い放った。その一言に、二人だけでなく、後ろにいたベッキーまでもが驚いた。

 

「ダ、ダミアン様!い、いつの間に彼女を作ってたんですか!?」

「まぁな。俺の彼女はワガママだからな・・・参っちまうぜ。」

 

ダミアンは得意気に言ったが、実は嘘をついていた。

 

(まっ、本当は叔父さんと遊ぶんだけどな。3連休だし、いっぱい遊んでもらおう!)

 

本当は叔父のフリッドと会うつもりだった。それが見栄を張って「彼女とデート」と嘘をついた。

 

(じなん、ウソついてる。)

 

ダミアンの嘘を見抜いたアーニャは嬉しそうに微笑んだ。

 

「お前ら、先に寮に戻ってろ。今からその彼女に会いに行くんだ。あ、ついてくるなよ!?」

 

ダミアンは二人に忠告すると、そのまま走って行ってしまった。

エミールとユーインはポカンと口を開けながら、その後ろ姿を見送った。すると、ベッキーが二人の背中を叩いた。

 

「追いかけるわよ!」

「えっ!?で、でも、ダミアン様はついてくるなって・・・」

「ダミアンの彼女!気にならないの!?」

「き、気になるけど……」

「だったら行くわよ!ほら、アーニャちゃんも!」

 

ベッキーは半ば強引に3人を連れてダミアンの後を追いかけた。ベッキーは、ダミアンはアーニャのことが好きだと思っていた。なのに他に彼女を作っているのはどういうことなのか、知ろうと思っていた。

 

「スーッ・・・ハーッ・・・」

 

ベッキー達が尾行してるとも知らず、ダミアンは校舎の裏の歩道で深呼吸をしていた。その物陰で、ベッキー達は隠れていた。

その時、ダミアンの前に1台のバイクが止まった。

 

「ダミアン!」

 

男はヘルメットを取った。男の正体は叔父のフリッドだった。

 

「叔父さ~ん!」

 

フリッドの顔を見るなり、ダミアンは満面の笑みを浮かべて足にしがみついた。

その様子に、物陰で見ていたベッキー達は驚いていた。

 

「ダ、ダミアン様があんなフニャフニャな笑みを・・・!?」

「というか、あの人男じゃない!あれが彼女だっていうの?」

(まぁ、イケメンだけど・・・)

 

物陰からまじまじと見ていたベッキー達をよそに、ダミアンはフリッドの前でモジモジし始めた。

 

「お、叔父さん・・・」

「ん?」

「えっと、その・・・だ、抱っこして・・・?」

 

両手を広げ、顔を赤らめながらダミアンは甘えた声でハグをねだった。

 

『~~~~~~っ!!?』

(ダ、ダミアン様があんな甘えた声を!?)

(や、やばい!俺ちょっとドキドキしてきた・・・!)

(な、なによ今の!ちょっとカワイイじゃないの!!)

 

それを見たベッキー達は、いつもは絶対見せないであろうダミアンの甘える姿に悶々としていた。

 

「・・・し、仕方ないなぁダミアンは。」

「お、叔父さん大丈夫?鼻血出てる・・・」

「大丈夫だ。」

(俺の甥っ子カワイイ……)

 

甘えてきたダミアンが愛らしさすぎたのか、フリッドは鼻血を出していた。そして願い通り、ダミアンを抱き上げてギュッとした。

 

(い、言っちゃった・・・こ、こんなとこ、知ってる奴に見られたら恥ずかしくて死ぬ!でも、叔父さんにギギュッてされると凄く落ち着く・・・)

「ところでダミアン。」

 

抱かれた際のフリッドの胸に温かさに酔いしれる中、フリッドは声をかけた。

 

「あそこにいるのって、ダミアンの友達か?」

「へ?」

 

フリッドが指差した方向を見てみると、そこには・・・ベッキー達がいた。

 

「~~~~~~っ!!?」

『あ・・・すいません・・・』

 

ベッキー達の姿を見た瞬間、ダミアンはムンクの叫びのような顔をして、声にならない叫びを上げた。

 

────────────────────────

 

「えっと、その・・・すいません、ダミアン様。」

「お、俺達、見るつもりじゃ・・・」

「そ、その、可愛かったわよ?」

 

必死にフォローしようとしるベッキー達に対し、ダミアンは恥ずかしさのあまり体育座りをしながら顔を下に俯いていた。

 

(み、見られた・・・!し、しかもアイツにまで・・・!)

 

ダミアンはチラリとアーニャの方を見た。

 

「フッ」

(うれしそうだな、じなん)

 

アーニャは笑みを浮かべていた。ダミアンがフリッドに抱っこされていた様子を微笑ましく思っていたのだ。

 

(あ、嘲笑ってる・・・!!)

 

しかし、ダミアンはその笑みが嘲笑われていると勘違いしていた。

そんなダミアンを慰めるためか、フリッドは頭に手を置いた。

 

「ほらほら、いつまでもしょぼくれてないで。明日は自然公園に行くんだろ?」

「かてーきょーしもいくのか?」

「ああ。ダミアンと一緒に遊ぼうと思ってな。」

 

その時、フリッドの話を聞いてベッキーが手を叩いた。

 

(いいこと思いついた!)

 

────────────────────────

 

そして建国記念日当日・・・

 

「うわー、蒸気機関車!俺初めてかも!」

 

駅のホームで初めてみる蒸気機関車に、翔一は目を輝かせていた。

 

「そういえば、いつもバイクで移動してるもんな。」

「はい!テレビとかでは見たことありますけど、本物は・・・ふ、ふわぁ~」

 

ロイドとの会話の最中、突然翔一はあくびをした。

 

「ショーイチ、ねむいのか?」

「うん・・・朝5時に起きて弁当作ったからね。」

「列車の中で寝てなさい。着いたら起こしてやるから。」

 

ロイドは眠そうな翔一を気遣ったが、翔一は首を横に振った。

 

「ダメですよ!俺、列車から見る景色も楽しみにしてたんですから!絶対に起きてます・・・!」

(フフッ、翔一さんったら、カワイイかも・・・)

 

絶対に寝ないと意地を張る翔一に愛らしさを感じたのか、ヨルは微笑んで見ていた。

そしてロイド達は列車に乗り込み、いよいよ機関車が発進した。

 

ロイド達は気づいていなかったが、他の車両にはフリッドとダミアンも乗っていた。

 

「おっ、動いたぞダミアン!」

「ホントだ!」

 

ダミアンも初めて乗る蒸気機関車に目を輝かせた。しかし、すぐに不満そうな顔になった。

 

「・・・って、なんでお前らまで来るんだよ!」

「す、すいませんダミアン様。」

「俺らは来るつもりなかったんですけど、ブラックベルの奴が・・・」

「あーら、気に障った?」

 

ダミアンの向かいの席にはベッキー、ユーイン、エミールが座っていた。エミールとユーインは申し訳なさそうにしていたが、逆にベッキーはふてぶてしい態度を取っていた。

 

「まぁ、いいじゃないか。ベッキーちゃんも困ってたんだから。」

 

昨日、ベッキーはフリッドに保護者の代わりを頼んでいたのだ。仕事で来れない親の代わりとして。

しかし、それだけが目的ではなかった。

 

(この殿方がどういう人なのか見定めないと・・・あのダミアンをフニャフニャにしちゃうぐらいだから、さぞかしイケメン度が高いと見た!まず顔は間違いなくSランク!ロイド様と同クラス!性格は・・・)

 

ベッキーはフリッドのことを品定めするつもりでもあった。

そんなベッキーの目的など知らず、ダミアンはただただ不満そうだった。

 

(チェッ、今日は二人きりでいられるはずだったのに・・・)

 

ダミアンは今日、二人で公園で遊ぶのを楽しみにしていた。それを潰されたことが残念でならなかった。

すると、フリッドはダミアンの肩を抱いて自分の方に引き寄せた。

 

「ダミアン、まだ二日休みが残ってるだろ?その時は二人で遊ぼうな。」

「・・・っ!うん!」

 

ダミアンは力強く返事をすると、フリッドの腕にしがみついた。

それを目の前で見せつけられ、エミールとユーインは申し訳なさそうに目を逸らしていた。

 

「な、なぁユーイン。俺達、ここにいていいのかなぁ・・・」

「あ、ああ・・・なんか、すごく気まずい・・・」

 

逆に、ベッキーの方は二人の方をまじまじと見ていた。

 

(人目もはばからずイチャイチャと・・・ダミアンったら、アーニャちゃんに振り向いてもらえないからって年上の、それも男に乗り換えたわけ?・・・お、男同士も、案外アリ?)

 

その時、ベッキーは頭の中でイケないことを考えてしまったのか頬を赤らめた。

そんな中、フリッドは穏やかな気分に包まれていた。

 

(こんな日が来るなんてな・・・頼むから、今日だけはアンノウンは来ないでくれ。)

 

フリッドは今のこの平穏な時間が続くことを願った。しかし、その願いも空しく壊されることになる。

次の瞬間、列車の速度が突然上がり始めた。

 

「な、なんだ!?急にスピードが・・・!!」

 

声を上げた次の瞬間、今度は前方車両に繋がるドアが蹴り破られた。そこに現れたのは、魚型のアンノウン、フィッシュロードだった。

アンノウンが現れた瞬間、乗客達の悲鳴がこだました。

 

「アンノウン!」

(くそっ!こんな時にアンノウンが・・・!!)

 

────────────────────────

 

同時刻・・・

 

「むにゃむにゃ・・・うっ?」

 

いつの間にか寝ていたアーニャは周囲のざわめきに気づき目を覚ました。

 

「アーニャ、起きたか!」

「・・・ショーイチは?」

 

目をこすりながらアーニャは辺りを見回し、翔一の姿がないことに気が付いた。

 

「さっき、トイレに行くって言ってました。それにしても、この列車ちょっと変です。スピードが上がってます・・・列車ってこんなにスピードを出すものなんですか?」

「いえ、普通ならこんなに速くありません。一体何が・・・」

 

ロイドとヨルは突然列車のスピードが上がったことに疑問を抱いた。と、その時だった。客席の窓がガシャン!と割れ、外から何かが飛び出してきた。

 

「フシャアァァァ・・・!」

 

そこに現れたのはもう一体のフィッシュロードだった。

 

「アンノウンだと!?一体どこから!」

 

ロイド達が驚く中、フィッシュロードはただただ怯えて悲鳴を上げる乗客達には目をくれず、ロイド達の方、すなわちアーニャの方に向かって突進してきた。

 

(こっちに向かってる?!)

「アーニャ!」

「アーニャさん!」

 

ロイドとヨルは咄嗟にアーニャを自分達の元に引き寄せた。そこにフィッシュロードの槍が襲い掛かる。

 

「ハッ!!」

 

だがその時、何者かがフィッシュロードを殴り飛ばした。

そこに現れたのは、アギトに変身した翔一だった。

 

「アギト!」

(翔一君!)

「か、仮面ライダーだ!」

「仮面ライダーが来てくれたぞ!」

 

アギトの姿を見た瞬間、乗客達は沸いた。そんな乗客達に囲まれながら、アギトとフィッシュロードは構えた。

 

────────────────────────

 

さらに同時刻・・・

一機のヘリが上空を飛んでいた。そのヘリには、G3-Xを装着したユーリとアイネ、リョーマが乗っていた。

 

「ユーリ君!わかってるわね?目的はあくまで乗客の救助よ!」

「はい!」

 

自然公園行きの列車にアンノウンが現れたとの報告が入り、対策班はヘリに乗って列車に向かっていた。

 

「ついたぞ!」

「G3-X、出動します!」

 

ヘリは列車の真上につき、ユーリは屋根の上に降り立った。

 

 

アギト、ギルス、G3-Xが1台の列車に集まった。初めての3人の共同戦線が始まる……

 

 

 





おまけ「変態?」

ロイド「フリッド・・・お前、いくらダミアン君がカワイイからって、鼻血出しながら抱っこするのはどうかと思うぞ。」

フリッド「いや、本当にダミアンが可愛くて仕方ないんだ・・・まぁ、一度あの子を俺の家に連れ帰って、添い寝をしてあげようと思ったが・・・」

ロイド「ユーリくー--んっ!!保安局ー--っ!!ここに変態がいるぞー--!!」

フリッド「待て待て待て!違う違う違う!!実際にはしてない!しようとしただけだ!」

ロイド「しようとした時点でアウトだろ!お前フィオナにフラれたから頭おかしくなったのか!?」

フリッド「そんなことは・・・あ、フィオナで思い出した。フィオナと付き合っていたころ・・・彼女は料理を作るときエプロンをつけててな。別れた時、そのエプロンは置いていったんだが・・・今、そのエプロンは俺が使ってる。で、たまにそのエプロンにフィオナの残り香が残ってないかどうか嗅いで・・・」

ロイド「保安局ー--っ!!この変態を捕まえろー--っ!!」

一途な愛情は、時に人を変な方向へ導いてしまう。そのことを深く理解したロイドだった。
同時に、フリッド・リードは見た目も中身もイケメンだが、特定の人物への愛が強すぎる故に、変な行動をしてしまうということを理解した。

────────────────────────

フリッドはまともな奴だと思った?残念!こいつもまともじゃないよ!
まぁ、甥っ子助けるために、いきなりチンピラの脳天に踵落とし食らわせて、体の骨を折る時点でまともじゃないけどさ。

そういえば、仮面ライダーって電車の中とかで戦うこと少ない気がする。僕が知ってるのは「ムービーバトルロワイアル」くらい。平成にはあったっけ・・・昭和だとあったのかな?

作品内において、どのライダーの話が一番好きですか?期間は4月10日から4月17日まで。アンケート結果は後日作品内で発表します

  • アギト編(翔一+フォージャー一家)
  • G-3編(ユーリ+対策班、ノエル)
  • ギルス編(フリッド+ダミアン、フィオナ)
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