SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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第31話「列車上の戦い」

 

「なぜ、列車の中にアンノウンが・・・!?」

 

突然列車にアンノウンが現れたことに、フリッドは戸惑いを隠せないでいる。しかし、それは他の乗客達も同じだった。

 

「グルルルル・・・」

 

フィッシュロードはゆっくりと前進していく。

 

(やはり、狙いは俺か・・・?マズいな、こんなに人が多くちゃ変身できない!)

 

フリッドは自分がギルスであることを隠していた。そのため、人が大勢いるこの場では変身できなかった。

その時、ふと窓の外に目が入った。

 

(こいつを外に出さないと・・・イチかバチかだ!)

「みんな、後部列車に逃げろ!」

 

フリッドはダミアン達に向かって叫ぶと同時に、フィッシュロードに突っ込んでいった。

 

「うおおっ!!」

「フンッ!」

 

フリッドが突っ込んできたと同時に、フィッシュロードは槍を突き出してきた。フリッドはそれを跳んでよけ、さらに荷物を入れる棚に捕まりながら敵を蹴り飛ばした。

さらに、そのまま攻撃させまいと槍を掴んで奥まで押し込んだ。

 

「車掌さん!」

 

その時、フリッドは恐怖のあまり隅でうずくまっている車掌に声をかけた。

 

「乗客の人達を全員、後部列車に誘導してください!」

「わ、わかりました!み、みなさん!!」

 

フリッドの助言に従い、車掌は立ち上がり大声を上げた。

 

「後部列車に移動をお願いします!!ここは危険です!すぐに移動を!!」

 

後ろでフリッドがアンノウンと戦う中、車掌は乗客達を誘導していく。

 

「叔父さん!」

「ダミアン!友達を連れて逃げろ!!」

「叔父さーんっ!!」

 

逃げていく乗客達に揉まれながら、ダミアン達の姿が消えていく。

その時だった。フィッシュロードはフリッドを窓の方へ投げ飛ばした。

 

「うわあああああああっ!!」

 

フリッドの身体は窓ガラスを突き破り、外へ身が投げ出された。

 

「くっ・・・変身っ!!」

 

外に放り出されながらも、フリッドは叫び、ギルスへと変身した。

そして、ギルスへ変身するのと同時にバイクのエンジン音が鳴り響く。現れたのはギルスの専用マシン、「ギルスレイダー」だった。ギルスはハンドルに捕まり、なんとかマシンに乗った。

マシンに乗ったギルスは、アクセルを捻って加速した。運転席の方へ移動すると、そこへ向かってジャンプし、窓を突き破って中に入った。

 

「っ!!」

 

中に入ると、そこにはすでに殺されていた運転手と、粉々に砕かれていたブレーキがあった。

 

「ブレーキが壊されてる・・・!まだ加速は続いてる・・・このまま終着駅まで行ったら・・・」

 

ギルスは頭の中で想像した。このまま加速した状態で終着駅まで行けば、大惨事になるのは目に見えていた。死者も大勢出る。

 

「そうなる前に、なんとしてでも後部列車を切り離さないと!」

 

ギルスは叫び、運転席を後にして後ろの車両に入った。しかし、車両に入った瞬間、フィッシュロードの攻撃が飛んできた。

ギルスは咄嗟にクロウを伸ばして攻撃を防いだ。

 

「くっ、そうか・・・お前がいたんだったな!どけぇっ!!」

 

ギルスは牙を剥きだしにしながら叫び、クロウを振り回す。対し、フィッシュロードも槍を振り回し、互いの攻撃がぶつかり合い、火花を散らす。

その時だった。奥の車両のドアが開いた。

 

「動くな!」

 

そこに現れたのは、G3-Xを装着したユーリだった。

 

「っ!あいつは・・・!」

 

ギルスの姿を見た瞬間、ユーリは目を見開いた。

 

「あいつ、アンノウンじゃないのか・・・?いや、前にアギトさんを攻撃したんだ!敵のはずだ!」

 

ユーリは以前、ギルスがアギトを攻撃したことを思い出し、銃口を向けた。そして、引き金に指をかけようとしたその時、

 

「ユーリ君!!」

「!?」

(僕の名前を・・・呼んだ・・・!?)

 

突然、ギルスが自分の名を呼んだことに、ユーリは動揺を隠せなかった。しかし、ギルスは構わず続けた。

 

「後部列車に、ロイド君達と、つが・・・アギトが乗ってるはずだ!彼らに伝えてくれ!乗客全員をできる限り後部列車に移動させてくれと!そして、後部列車を切り離す!こいつは・・・俺が抑える!!」

 

ギルスはフィッシュロードと交戦しながら、ユーリに懇願した。

しかし、ユーリはまだ動揺していた。なぜギルスが自分の名を知っていたのか理解できなかったのだ。

 

「な、なんで僕の名前を!お前は一体・・・!」

「早くっ!!」

 

しどろもどろになっているユーリに、ギルスは大声で叫んだ。その大声に驚きながらも、ユーリは従い、後部列車に向かった。

 

────────────────────────

 

その頃、後部列車ではアギトと、もう一体のフィッシュロードが対峙していた。

アギトは徒手空拳で、フィッシュロードは槍で攻撃し合っていた。リーチではフィッシュロードの方が勝っており、アギトは攻めあぐねていた。

 

(どうしたんだ、翔一君・・・どうして武器を出さない?)

 

ロイドはフォームチェンジして武器で応戦しないアギトを不信に思っていた。しかし、すぐにその理由が頭に浮かんだ。

 

(そうか!俺達や他の乗客がいるからか!)

 

アギトの武器はストームハルバードとフレイムセイバー。どちらも狭い車両の中で振り回すには不相応だ。しかも下手に振り回せば周りの乗客を巻き込んでしまう可能性も高い。

 

(クソッ、なんとか助けられないか・・・!?)

 

ロイドは何かないか辺りを見回した。すると、ある物が目に入った。それは、1車両に1個ずつ備え付けされている消火器だった。

ロイドはそれをおもむろに手に取った。

 

「アギト、よけろ!」

 

ロイドの叫びに、アギトはその場でかがんだ。かがんだと同時に、ロイドが振るう消火器がフィッシュロードの顔面に直撃した。

さらにロイドは消火器の発射口を向け、消火剤を発射した。

 

「ハアッ!!」

 

突然得体の知れないものを吹きかけられたフィッシュロードは視界を失った。その隙にアギトは思い切りフィッシュロードを蹴り飛ばし、ドア付近まで吹き飛ばした。

その時、天井の方からギコギコと何か切るような音が聞こえ・・・たかと思うと、バンッと屋根が破られ、その上からユーリが降りてきた。

 

「姉さん!」

「ユーリ!?」

 

ユーリの右手にはナイフ「GK-06 ユニコーン」が握られていた。それを使って屋根を切ってこじ開けていたのだ。

その時、

 

「グアァッ!!」

 

フィッシュロードが背後からユーリに襲い掛かった。

 

「し、しまった!」

 

後ろから掴まり、ユーリはふいにナイフを落としてしまった。あまつさえ蹴り飛ばしてしまい、向こう側に飛んで行った。

 

「!」

 

その時、ヨルはユーリが落としたナイフに目が入った。

 

「この・・・!だぁっ!」

 

ユーリはなんとかフィッシュロードの拘束を振りほどき、殴り飛ばした。

その時、何かがユーリの横を通り過ぎた。それは、ヨルだった。ヨルは咄嗟に拾ったGK-06をクルリと回転させて逆手に持つと、勢いよくフィッシュロード目掛けて振り上げた。

 

「ッ!!」

「シィッ!!」

 

フィッシュロードは咄嗟に槍で防いだが、ナイフによって槍は二つに切り裂かれた。さらに、ヨルはその隙を突いて、腹に掌底を叩き込んだ。

 

「グオォッ!!?」

 

掌底を喰らったフィッシュロードは勢いよく吹き飛んだ。同時に、アギトは宙を跳び、先回りしてフィッシュロードが吹き飛んだ先に回り込んだ。

 

「デヤァッ!!」

 

アギトは力を込め、外に繋がるドアに向かって、吹き飛んできたフィッシュロードを蹴り飛ばした。

 

「グオアアアアアアアッ!!」

 

フィッシュロードは叫び声を上げながらドアを突き破り、外に追い出された。

 

「ね、姉さん・・・?」

(僕のことを助けて・・・?やっぱり姉さんは素敵だ・・・!!)

 

突然戦い始めたヨルを見て、ユーリは感動しながら、ヨルに近づいた。

その時、ヨルはハッと我に返った。

 

「はっ!ご、ごめんねユーリ!き、気づいたら体が動いてて・・・」

(翔一さんとアンノウンの戦い見てたら、殺し屋モードに入ったとか・・・言えない・・・)

(はは、マジになった・・・)

 

ヨルはアギトとアンノウンの戦闘を見て仕事モードに入り、その結果戦いに割り込んでしまったのだ。もちろん、それを口に出して言えるわけがない。

ヨルが戦ったのを見て、周りの乗客達はポカンとしていた。

その時だった。前方車両の方から逃げ込んできた車掌と乗客達がやってきた。

 

「か、仮面ライダー!」

「どうしたんですか?」

「さっき、短髪で茶髪の人が、乗客の皆さんを後部列車に移動させてくれと・・・」

 

車掌はフリッドから頼まれたことを説明した。それを聞いたユーリはハッと思い出した。

 

「そ、そうだ!ロッティ!さっき前方車両で緑のアギトを見たんだ!そいつも、『乗客を後部列車に移動させてくれ』って!それから後部列車を切り離すって!」

 

説明を聞いたロイドは思考を巡らせた。

 

(フリッドも来ていたのか?だが、そうか!後部に集中させて、列車を切り離せば、少なくとも乗客達の命は助かる!)

 

フリッドの真意を理解したロイドはウンと頷くと、行動に出た。

 

「車掌さん、俺もみなさんの移動を手伝います!」

「なら、私も・・・!」

 

ロイドが申し出たのを見て、ヨルも名乗り出た。しかし、ロイドは手をヨルの前に出して止めた。

 

「ヨルさんはアーニャの傍にいてください!いざという時、アーニャを守ってください!」

「わ、わかりました!」

「なら俺は、前方車両に行って、アンノウンと戦います!」

「ああ、頼んだぞアギト!」

 

ロイドとアギトは互いに頷くと、アギトは移動するため、先ほどフィッシュロードを追い出したときのドアから外に出て、屋根の上に上った。

 

「ぼ、僕もアギトさんと一緒にアンノウンと戦う!」

(というか、いつの間にアギトさんとロッティって仲良くなったんだ?)

 

アギトと親しげに話すロイドを見て、ユーリは首を傾げながらもアギトの後をついていった。

 

 

────────────────────────

 

ロイド達が乗客達を後部列車に誘導している間、ギルスはまだフィッシュロードと交戦していた。

 

「ガァウッ!!」

 

ギルスはフィッシュロードの頭を掴むと、客席の角に顔を叩きつけた。何度も何度も叩きつけ、最後に思い切り叩きつけた。叩きつけられたことで客席は壊れたが、アンノウンはその場で動かなくなった。

 

「逃げ遅れた人は・・・?」

 

ギルスは誰か逃げ遅れた人はいないか、辺りを見回した。

そのときだった。奥の方から泣いている声が聞こえてきた。全8両の内、前から3両目に移動した。

そこで見たものに、ギルスは目を見開き、フリッドの姿へと戻った。

 

「ダミアン、みんな!」

 

フリッドは思わずその場に駆け寄った。ダミアン達はその場でうずくまっていた。

ベッキーが涙を流して座っている。その周りでダミアンとエミール、ユーインはオロオロしている。

 

「叔父さん!」

「どうしたんだ?」

「ブ、ブラックベルが足にケガを・・・!」

 

ベッキーの足を見てみると、窓ガラスの破片が刺さっていた。

 

「痛いよぉ・・・!」

 

ベッキーはワンワン泣いている。ガラスの破片は大きいものが一つと小さい破片が2つほど刺さっていたが、どれも奥深くまでは刺さっていない。

 

「落ち着くんだ。下手にガラスを抜いてはいけない・・・固定して処置を・・・!」

 

フリッドはハンカチを取り出して応急処置をしようとした。その時、奥の車両からロイドが現れた。

 

「フリッド!」

「ロイド君!この子達を頼む!」

「わかった!」

 

ロイドはすぐさまベッキーを抱き上げた。

 

「君達も早く・・・!」

 

フリッドはダミアン達をロイドについていくように促した。だがその時、ドスッ!と鋭い物がフリッドの胸を貫いた。

 

「叔父さん!」

「フリッド!」

「グルルルル……」

 

先ほどのフィッシュロードが、背後から槍でフリッドの胸を貫いた。

 

「だ、大丈夫だ・・・!俺は、不死身だッ!!」

 

フリッドは叫ぶと、振り向きざまに槍をへし折ってフィッシュロードを殴り飛ばした。

 

「ロ、ロイド様・・・!あの人はどうして動けるの!?胸を刺されたのに!」

 

ベッキーは胸を刺されてもまだ動いているフリッドに動揺を隠せないでいる。その傍らにいるエミールとユーインも同様だった。対し、ダミアンは動揺していない。というより、ダミアンは知っているからだ。もちろんロイドも。

 

「それはね、ベッキーちゃん。」

「叔父さんは・・・仮面ライダーだからだ!!」

「変身ッ!!」

 

両腕を顔の前で交差させ、フリッドは叫び、ギルスへと変身した。

 

「ウオアアアアアアア!!」

『か、仮面ライダー!!』

 

変身したフリッドを見て、ベッキー達は叫んだ。それに構わず、ギルスはフィッシュロードに襲いかかる。

 

「ガァウッ!!」

「グアァッ!!」

 

攻撃をかいくぐり、回し蹴りを連発し、さらに延髄切り、サマーソルト、ハイキックと様々な蹴り技を叩き込む。

 

『か、カッコイイ・・・!』

「さぁ、早く逃げよう!」

 

ロイドはギルスに見惚れる子ども達を連れて、後部列車に逃げ込んだ。

同時に、窓の外からアギトが乗り込み、ギルスに加勢した。

 

「お待たせしました!ハァッ!」

「津上君!」

 

アギトは遅れたことを詫びると同時にフィッシュロードを殴り飛ばした。

さらに、

 

「二人とも伏せて!」

 

その叫びとともに、二人は横に少しずれた。同時に弾丸が飛び、フィッシュロードに命中した。

2人の後ろにいたのはユーリだった。遅れて合流できたようだった。

 

「よし、3人で倒すぞ!」

「よーし!」

「やりましょう!」

 

3人は互いに頷くと、敵の方を一斉に睨んで構えた。

 

「グオオオオッ!!」

 

フィッシュロードは雄たけびを上げ、無謀にも3人に突撃していった。

その時、ギルスは客席を踏み台にして背後に回りこんだ。そして着地すると同時にフィッシュロードの背中をクロウで切り裂いた。

さらに、そこからアギトとユーリの拳が炸裂した。

 

「いくぞ!」

『うおおおおおっ!!デヤァッ!!』

 

3人は拳に力を込め、同時にアッパーカットを繰り出した。拳は顎に命中し、フィッシュロードの身体はそのまま屋根を突き破って上空へと打ち上がった。

 

「アギト、いくぞ!」

「はい!」

 

返事をすると同時に、アギトは頭部のクロスホーンを展開した。そして、空高くジャンプし、宙へと舞い上がる。

さらにギルスも宙に跳び上がり、踵のヒールクロウを伸ばした。

 

「ハァァァァァァッ!!」

「ウオアアアアアアア!!」

「グッ、グオアアアアアアア!!」

 

2人は互いに必殺の蹴りを繰り出し、同時にフィッシュロードを貫いた。フィッシュロードは断末魔を上げて爆発した。

2人は屋根の上に着地し、ユーリの元へ戻った。

 

「今上から見えましたけど、後部列車が切り離されてます!」

「よし、これで少なくとも、乗客達は助かった!後はこの列車を止めるだけだ。」

「あの・・・」

 

その時、ユーリが手を上げた。

 

「この先に行くと、橋があります。その下には川があります。その下に列車を落とせば・・・」

「時間がない・・・それでいこう!」

 

ギルスの言葉に従うように、アギトとユーリは頷くとすぐさま行動を開始した。

アギトはスライダーモードのマシントルネイダーに搭乗する。その後ろにはユーリも乗っていた。さらにユーリの手には、先ほどヘリから受け取ったガトリング砲、「GX-05 ケルベロス」を持っていた。

 

「今です!」

「うおおおおおおおっ!!」

 

列車が橋の手前に来たところでユーリはガトリング砲を車輪に向けて乱射した。

その時、列車の中では・・・

 

「グオアアアアアアア!!」

 

ギルスはエクシードギルスへと姿を変え、背中から生えた触手「ギルススティンガー」を使い、内部から車輪を破壊していく。

その時、列車の下部が爆発し、車体が浮き上がった。

 

「アギトさん、今です!!」

「ハッ!」

 

アギトは再度クロスホーンを展開し、跳び上がった。

 

「ハァァァァァァ!!」

 

そしてそのまま必殺の蹴りを、浮き上がった列車に繰り出し、橋の下にある川に叩き落とした。

落とされた列車はガラガラとけたたましい音を立てたかと思いきや、その後すぐに大きな爆音を上げて地面に激突した。

 

 

────────────────────────

 

そのころ、切り離された後部列車の方はスピードが落ち、すでに停車していた。

皆、助かったと言って列車から降りていく。

そんな中、ロイド達は不安げな顔をしていた。

 

「翔一さん達、大丈夫でしょうか・・・」

「わかりません・・・でも、今は彼らを信じましょう。」

 

と、その時。

 

「っ!ちち!はは!アレ!!」

 

アーニャが声を上げ、地平線の向こうを指差した。

その先を目を凝らして見てみると、そこにはバイクに乗った人影が・・・

 

「っ!戻ってきた!アギト達が戻ってきたぞ!!」

 

ロイドは大声を上げて喜んだ。その声に呼応するように周りにいた乗客達も歓喜の叫び声を上げた。

歓喜の叫び声が上がる中、その人影はどんどん近づいてくる。その正体はもちろん、アギト、ギルス、G3-Xの三人だった。

ロイド達の元にたどり着くと、三人はバイクから降りた。

 

「みんな、無事ですか!?」

「ああ、君達のおかげでな。」

「本当にありがとうございます!」

 

ロイド達は3人が戻って来たことに喜ぶと同時に感謝を述べていく。すると、周りの乗客達が一斉に3人の周りに集まり始めた。

 

「ありがとう!仮面ライダー!」

「ライダー!アンタら最高だよ!」

「うわぁ、なんかすごいことになった・・・」

「フフッ、こういうのも悪くないな。」

「へへへっ・・・」

 

周りの賞賛の声に、アギトとユーリは照れ臭そうに頭を掻き、ギルスは誇らしげに胸を張った。

その後、ロイドを含めた乗客達は保安局の手引きによって駅まで送られた。

 

 

────────────────────────

 

「あ~~~!やっと戻ってこれましたね・・・変身も解除できたし・・・」

 

駅に着いたところで人知れず変身を解除した翔一は、ロイド達とともに家へ帰り、ソファに横になった。

 

「ちち、ベッキーは・・・?」

「大丈夫だよ。お医者さんに見せたら、大した傷じゃないらしい。来週にはまた元気に学校に来れるさ。」

 

ロイドの返事を聞くと、アーニャは笑顔を浮かべてウンと頷いた。

その時、ロイド達の腹がグ~ッと鳴り響いた。

 

『あ・・・』

「そ、そういえば、昼飯がまだだったな・・・」

「ショーイチのおべんとう!」

「あ、そうでした!」

 

アーニャの一言にヨルは思い出し、カバンから翔一が作った弁当をテーブルに置いた。

 

「昼はそれを食べるか。翔一君、きみも・・・」

 

3人は食事の準備を進めながら、ロイドは翔一に声をかけた。

しかし、翔一は・・・

 

「スーッ・・・スーッ・・・」

 

ソファで寝息を立てて眠っていた。

 

(そういえば、朝5時に起きて弁当を作って・・・その後寝ないでアンノウンと戦ってワケだからな・・・)

 

ロイドは翔一の苦労を想像し、同情すると同時にフッと微笑んだ。

 

「寝かせてあげましょう。」

「フフッ、そうですね。」

「おやすみ、ショーイチ!」

 

疲れ切って寝てしまった翔一の身体にシーツをかぶせ、ロイド達はテーブルについて弁当を食べ始めた。

結局自然公園には行けなかったが、それでも、目の前でアギト達仮面ライダーが集まったこと、翔一の頑張りを見たことが、何よりの思い出になったと、ロイド達は思いながら、翔一の弁当に舌鼓したのだった。

 

 

 

 





おまけ「勘違い」

「はぁ、ひどい目にあったわ・・・」

救急隊員に治療をしてもらったベッキーはため息をついていた。その時、ふとロイドの姿が目に入った。

(ふふっ♡やっぱりロイド様はカッコイイ・・・ん?)

その時、ロイドの傍にフリッドが寄って来た。

「ロイド君、大丈夫だったか?」
「ああ。君達のおかげでな。」
「それはよかった。ちょっといいか?」

フリッドはロイドの耳元に顔を近づけた。
その様子をベッキーはまじまじと見ていた。

(あの二人、知り合いだったのね・・・っていうか、顔近くないっ!?も、もしかして・・・)

その時、ベッキーは頭の中である光景が浮かんでいた。

『今晩どうかな?ロイド君・・・』
『ダ、ダメだ!俺には奥さんと子どもが・・・』

2人がまるで官能映画のカップルの如く、キスしてしまうところを妄想してしまった。

(お、男同士のキス!?そ、そこから始まるくんずほぐれつ・・・!!わ、悪くない!というか、却って滾る・・・!!)

ベッキーは変なものに目覚めてしまったようで、ハァハァと息を荒くして鼻血を垂らしていた。
その時、嫌な視線を感じたのか、ロイドとフリッドは身震いした。

「ロ、ロイド君?今、なんか寒気がしたんだが・・・」
「奇遇だな・・・お、俺もだ・・・」

────────────────────────

ベッキーはなんか変なものに目覚めそうな印象がある。

初めての3人共闘になりましたが、書くのが結構難しかったです。精進せねば・・・


作品内において、どのライダーの話が一番好きですか?期間は4月10日から4月17日まで。アンケート結果は後日作品内で発表します

  • アギト編(翔一+フォージャー一家)
  • G-3編(ユーリ+対策班、ノエル)
  • ギルス編(フリッド+ダミアン、フィオナ)
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