今回から新章突入です!
新章からはシリアスな展開が多くなるかな・・・合間合間にギャグ挟んでシリアスになりすぎないように心がけようと思います。
第36話「雪解け」
水のエルを倒してから早1ヶ月が経過した。ヨルは無事退院し、元の日常へと戻った。
「それにしても、先輩よく無事でしたね~」
「アンノウンに襲われたんですよね?」
「普通死にますよね、それ……」
職場のヨルの同僚達はアンノウンに襲われたヨルのことを気にかけ、声をかけた。
しかしヨルはその場で口ごもってしまう。まさか、「自分からアンノウンに喧嘩売りました」などと言えるはずがないので、なんと言えばいいか困っていた。
だがいつまでも口ごもっているワケにもいかないため、ヨルは言った。
「あ、危ないところでした!ギリギリのところでアギトさんが助けてくれなかったらどうなってたか……」
「あー、アギトに……」
アギトの名を出したことで、3人は納得したように頷いた。
(わ、我ながらいい言い訳でした……)
「でもまぁ……無事でよかったです。」
その時、同僚の一人カミラがボソッと呟いた。
「え?」
ヨルは思わず声を上げた。カミラはよくヨルを煽るようなことを言ってくる女だったが、今回はどこか違っていた。まるでホッとしているような顔をしていた。
すると、横にいたミリーがクスクスと笑った。
「カミラ、こう見えて心配してたんですよ?先輩のこと。」
「ちょ、ちょっとミリー!」
本人の前で告げ口をするミリーに、カミラは頬を赤らめて怒った。
すると、その横にいたシャロンが続いて言った。
「先輩が入院してからカミラ、お酒飲まないでいたんですよ。ヨル先輩が早く退院できるようにって、願掛けして。」
「シ、シャロンまで・・・!」
続くシャロンの告げ口に、カミラはますます顔を赤くさせた。
「カミラさん……」
「ま、まぁ……先輩がいないと落ち着かないし・・・?」
「ありがとうございます!カミラさん!」
恥ずかしそうに顔を赤らめ、そっぽを向くカミラに、ヨルはニコッと微笑んだ。
ヨルは嬉しかったのだ。同僚から、自分はあまりよく思われていないのではないかと。しかし、心配されていたことを知り、ヨルは嬉しく思い笑った。
その後定時になり、ヨルは同僚達とともに会社を出た。
「先輩、これからみんなで一杯やりません?退院パーティしましょうよ!」
「あ・・・すいません。実は・・・」
シャロンからの誘いを受けたヨルだったが、申し訳なさそうな顔を浮かべた。
と、その時、1台のバイクが止まった。
「ヨルさん!」
「翔一さん!」
そこに現れたのは翔一だった。翔一は笑みを浮かべてヨルの元に駆け寄った。
「迎えに来ましたよ!」
「もう、そんなに心配しなくてもいいのに……」
「ダメです!退院したっていっても、もし後遺症が残ってたら大変です!だからしばらくは俺が送り迎えします!」
翔一はフンスと鼻を鳴らし、断固としてヨルを送り迎えすると言った。
そんな翔一を見て、ため息を吐きながらもヨルは笑った。
「もう・・・しょうがないですね。観念します♪」
「はい♪」
2人は顔を見合わせニコニコと笑い合う。と、ヨルはカミラ達に顔を向けた。
「というわけで・・・すいません!今日は家族みんなで退院パーティをするんです。だから今日は家族水入らずでいたくて……また今度誘ってください!」
ヨルは同僚達の申し出を断り、翔一から受け取ったヘルメットを被ってバイクの後ろに乗った。
そのまま翔一はバイクを走らせ、その場を去った。ヨルが去った後、3人はしばらく固まっていた。
「……イケメンに送り迎え……」
「……なんか前より仲良くなってない?」
カミラ達は目の前でイケメンと仲良さげに話すヨルを見て、若干の苛立ちを覚えていた。カミラに至っては拳を握ってプルプルと震わせていた。
「やっぱ、先輩ってモテ期来てる?」
「というか、イケメンってあーいうタイプが好きなわけ?」
ミリーとシャロンがヨルのことに関して話している中、カミラは拳を握りながら歯ぎしりを立てていた。
「……前言撤回。もう一回入院してこいヨルー---っ!!」
カミラは思わずその場で叫んだ。唐突に叫んだことに、シャロンとミリーは思わず驚いた。
「なんでヨルの周りにばっかイケメンが集まってんのよー---っ!!?」
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「今日は腕によりをかけますから!」
「フフッ、期待してます!」
マンションにたどり着いた二人は家に向かって廊下を歩いていた。
その時、二人の視界に一人の男が目に入った。
「くっ・・・くうぅぅぅ・・・!」
そこにいたのはユーリだった。ユーリはフォージャー家のドアの前で、震える指でインターホンを押そうとしていた。しかし、押すことが出来ず、その横の壁を押してしまう。
(ダメだ、押せない・・・!津上の奴になんて顔して会えばいいんだ……僕、アイツに結構嫌なこと言っちゃったし……!)
水のエルとの戦いで、ユーリはアギトの正体が翔一であることを知った。その事実がユーリにとっては複雑だった。アギトのことは尊敬していたが、その反面、翔一のことは小馬鹿にしていた。そんな中、まさか両者が同一人物だとは夢にも思っていなかった。
(なんて言って会えばいいんだよぉぉぉ!こ、ここはフレンドリーに……「やぁ、津上君!」とか……いや無理があるか?なら、姉さんみたいに「翔一さん♪」とか……アイツにそんなこと言えるか!クソォォォォ!!)
玄関ドアの前で悶々とするユーリ。その時、背後から肩を叩かれた。
「ぴゃあああああああああっ!!?」
「わああああああああああっ!!?」
「キャーー-------ッ!!?」
いきなり肩を叩かれたユーリは驚きのあまり叫び、その直後、肩を叩いた翔一とヨルも同時に叫び声を上げた。
「ねねねねねね、姉さん!?そ、それに、つつつつつ……!!」
「もう……びっくりさせないでくださいよ~、ユーリさん!」
翔一の顔を見た途端、ユーリは滝のように汗を掻いた。そして、その場にいることがいたたまれなくなり・・・逃げた。
「あ、ユーリ!?」
「ユーリさん!?」
2人が声を掛けてきたが聞かず、ユーリは逃げ出したが……
「ギャッ!?」
すぐに何かとぶつかり、その場で尻もちをついた。そしてぶつかったのは……
「ユーリ君?どうしたんだ?」
ぶつかったのはフリッドの胸板だった。フリッドはいきなりぶつかってきたユーリに首を傾げた。
その後、やってきた翔一とヨルに捕まり、フリッドとともにフォージャー家の中へと入ることになったユーリだった……
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「い、今までのご無礼!すいませんでしたー---っ!!」
家の中に入るなり、ユーリは翔一の前で土下座し、頭を深々と下げ、額を床に押し付けた。
対し、いきなり土下座をされた翔一は若干引き気味になっていた。
「アギトであるお前・・・い、いや、あなた様に数々のご無礼を……!!」
「よ、よしてくださいよそんな・・・よそよそしいなぁ。」
翔一は申し訳なさそうに言いながらユーリを立たせようとするが、ユーリは断固として頭を下げている・・・と思いきや急に頭を上げた。
「というか!姉さんもロッティもお前も!なんで平常でいられるワケ!?アギト本人がここにいるんだよ!?」
ユーリはロイド達に顔を向けながら指をさした。
『だって・・・』
「だいぶ前から知ってたし……」
「え?」
ロイドの一言にユーリは声を上げた。
「そ、そうですね。翔一さんが一度家を出ていったときにはすでに……」
「え?」
さらにヨルの一言に声を上げ、
「どんまい、おじ。」
「え・・・?」
アーニャからの慰めの一言をもらいながら、ユーリはフリッドの方に顔を向けた。
「すまん……俺も結構前から知ってた。」
ユーリの顔を見て何を言いたいのか察したフリッドは恐る恐る答えた。
「えっ、じゃあ・・・この中で知らなかったのって・・・僕だけ?」
『うん。』
ユーリ以外の全員がコクリと頷いた。自分だけがアギトの正体を知らなかった。その事実に絶望し、ユーリはその場でうずくまった。
「そ、そんな落ち込まなくても・・・あ、そうだ!」
その時、翔一は何かを思いついたように手を叩いた。
そして、テーブルの上にドンとボールに入った大量の栗を置いた。
『く、栗・・・?』
いきなり栗を出され、全員声を上げた。そんな中翔一はニコニコ笑いながら皆にスプーンを配った。
「昨日スーパーで安売りしてたからいっぱい買ったんです。半分に割ってありますから、スプーンで掬って食べると、食べやすいですよ!」
(何故に栗……?)
いきなり栗を出されたことに困惑しながらも、ロイドは栗を食べ始めた。それに続いてヨル、アーニャ、フリッドも栗を食べ始めた。
そんな状況で困惑しながらも、ユーリも栗を食べ始めた。しかし、半分に割られた栗をスプーンで掬おうした途端、中味をテーブルの上にこぼしてしまった。
「あっ!」
ユーリはすぐさま次の栗を手に取り、スプーンで食べようとするがまたこぼしてしまう。また次の栗、また次の栗と、食べようとするが何度もこぼしてしまう。
それを見かねた翔一は声を上げた。
「もうボロボロ零れてるじゃないですか!ほら、俺がやってあげますから!」
「余計なことするな!だいいち、なんだ栗なんて!こ、こんなもの・・・殻ごと食べればいいだけの話だ!」
ユーリはそう言うと、ボールに入った栗を手で鷲掴みし、自分の口の中へ放り込んだ。そしてそのまま咀嚼する。
バリッ、ボリッ、ガリッ……
「うっ!?」
その時、ユーリは口の中に痛みを感じ口を抑え、目に涙を浮かべた。栗の殻が口の中に刺さったのだ。
「痛ぁい・・・」
「もうユーリったら、何をしてるんですか!」
「言わんこっちゃないなぁ!ほら、口の中見せてくださ・・・!」
その時、翔一の耳に例の音が、アンノウンが現れたことを示すあの音が響いた。
「津上君!」
その音はフリッドにも響いていた。フリッドの一言に翔一は頷き、二人はそのまま家を飛び出していった。
「津上・・・?」
「アンノウンが出たらしいな……」
「えっ!?分かるの!?」
突然飛び出していった翔一に茫然とするユーリだったが、ロイドの一言を聞いて目を見開いた。
そんなユーリに、ロイドは説明を始めた。
「ああ。なんでも、アンノウンが現れると"音"が聞こえるらしい。それがアンノウンがいる場所へ導いてくれると翔一君は言っていた。」
「すっげ・・・って感心してる場合じゃなかった!僕も行かないと!それじゃお邪魔しましたー--っ!!」
(クソッ!津上には言いたいことがあったのに……!)
「こうしてはいられない」と言わんばかりに、ユーリは駈け出し、翔一達に続いて家を飛び出していった。
「……結局何しに来たんでしょう?ユーリ君。」
「さあ・・・?」
結局ユーリが何をしに来た分からず、ロイドとヨルは顔を見合わせ、首を傾げた。
しかし、ユーリが出ていく瞬間心を読んでいたアーニャは知っていた。
(おじ、ショーイチにいいたいことある・・・?なに?)
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「ひ、ひぃぃぃぃ!!」
「な、なんでこんな目に……!!」
「あわわわ……!!」
ヨルの同僚達は声を上げていた。何故なら目の前にアンノウンが現れたからだ。
会社を出てヨルと別れた後、3人で飲みに行ったのだが、その帰り道にアンノウンと出くわしてしまったのだ。
「グルルルル……」
しかし、アンノウンの狙いは目の前にいる3人ではなく、その後ろにいる怯えて竦んでいる女性だった。しかし、目の前でたじろぎ怯えている3人が邪魔だと思っている。
邪魔者を排除しようと、蟹型のアンノウン、クラブロードは右手についた爪を振りかざした。
『ひぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!?』
3人は涙目になり悲鳴を上げた。
「タァッ!」
「トアァァッ!」
しかしその時、3人の後ろからアギトとギルスが現れ、クラブロードを蹴り飛ばした。
「か、仮面ライダー……」
「た、助かった・・・?」
目の前に仮面ライダーが現れたことで安心感を覚えたのか、3人はその場にへたり込んだ。
すると、アギトとギルスは3人に手を差し伸べた。
「大丈夫ですか?」
「もう心配ないですよ、お嬢さん。」
2人は3人の手を掴むとゆっくり立ち上がらせた。
(し、紳士的……!)
自分達に手を差し伸べたアギトとギルスに関心を覚え、カミラ達はほんのり頬を赤らめた。
その時、クラブロードが立ち上がった。それに気づいたアギトとギルスは振り返り、構えた。
「早く逃げて!」
「こっちは任せて!」
『は、はい!』
逃げるよう促され、カミラ達はその場から走り去った。
カミラ達が逃げると同時に、クラブロードは二人に襲い掛かった。
2人はその攻撃をよけ、アギトは拳を、ギルスは蹴りを繰り出した。攻撃は命中した。だが、クラブロードはまったく怯む様子はない。
「か、固い・・・!」
「なんて強固な装甲だ・・・!」
クラブロードの固い装甲に驚く中、遅れてG-3Xが到着した。
「ユーリさん!」
「そうだ・・・あのガトリング砲なら!」
ユーリが到着したのを見て、ギルスは脳裏にガトリング砲「GX-05 ケルベロス」が浮かんだ。
「ユーリ君!ガトリング砲を頼む!」
「は、はい!」
(よーし、いいとこ見せてやる!)
ユーリはバイクのトランクからGX-05を取り出し、番号を入力した。しかし、
「バンゴウチガイマス」
「あれ?おかしいな……」
ユーリは首を傾げ、もう一度番号を入力した。
「バンゴウチガイマス」
「あれ!?前までは出来たのに!」
また間違えてしまい、ユーリは焦った。焦って何度も番号を入力するが何度も間違えてしまう。
『ユーリ君!何してるの!?』
「わかってますよ!」
ユーリは空回りしていた。翔一がアギトであるという事実がまだ受け入れられていないのと、そのアギトとギルスにいいところを見せようとする気持ちが空回りを起こしているのだ。
「もう、ユーリさん何してるんですか!」
見かねたアギトが、クラブロードをギルスに任せてユーリの元に駆け寄った。
「ほら、俺がやってあげますから!」
「余計なことするな!お前は黙って見てろ!こんなもの簡単に・・・」
「バンゴウチガイマス」
またも番号を間違え、ユーリはプルプルと拳を震わせた。
「ほら、言わんこっちゃない!俺がやりますよ!」
「黙れ!お前はどいてろ!」
アギトは代わりに自分がやってあげようとGX-05に手を伸ばすが、邪魔はさせまいとユーリはアギトに掴みかかる。
それを見たギルスは声を上げた。
「二人とも何をしてるんだ!?戦ってる最中だぞ!!」
「ガァァッ!!」
「なっ、ぐあっ!!」
怒鳴り声を上げた瞬間、ギルスはクラブロードから攻撃を喰らい、吹き飛ばされてしまった。
その隙にクラブロードは逃げてしまった。
「ま、待て!」
逃げたクラブロードを見て、アギトとユーリはすぐさま追いかけようとした。
しかし、
「君達は来るな!俺が追いかける!」
ギルスは大声を上げ、ギルスレイダーに跨った。
「そこで反省してなさい!!」
2人を怒鳴り、叱りつけ、ギルスはバイクを走らせ後を追いかけた。
ギルスに置いて行かれた二人はポツンとその場で立ち尽くした。
「怒られちゃった……」
「~~~っ!!津上ィッ!!」
ユーリはマスクの下で唇を噛み、アギトを睨みつけて叫んだ。
「お前のせいで・・・!!」
本当はそう思ってはいない、これは自分のせいだ、と分かっていた。しかし、ユーリは感情だけに任せアギトを、翔一を罵倒しようとした。だがアギトは・・・
「そうだ!俺いいこと思いつきました!!」
「え?」
────────────────────────
「逃がすか!」
クラブロードを追い詰めたギルスは腕から鞭状の触手を伸ばし、腕に巻き付けた。
しかし、クラブロードは右腕に装備した爪でそれを容易く切ってしまう。
「くっ・・・!」
(武器まで強力なのか・・・こうなったら、あの姿で・・・!!)
ギルスはエクシードギルスに変身して戦おうとしていた。姿を変えるため、体に力を込める。
だがその時、飛行機の駆動音のような音が近づいて来た。
そこに目を向けると、そこにいたのはアギトだった。アギトはマシントルネイダーのスライダーモードに乗っていた。しかも、その後ろにはユーリも乗っていた。
「ユーリさん、今!」
「ウオオオオオオオオオッ!!」
スライダーがクラブロードの眼前まで近づき、横切る瞬間、ユーリはガトリング砲をクラブロードの胸に近距離で集中砲火した。
「グオオオオオッ!!?」
離れた距離であれば装甲に傷はつかなかったかもしれない。しかし、近距離で放たれたことでその威力は上がり、装甲にヒビを入れた。
「ハッ!」
それを見たアギトはすかさずスライダーから飛び降り、ストームフォームに変身。ストームハルバードを取り出して落下の勢いとともに突き出した。
ハルバードはクラブロードのヒビが入った装甲を破壊し、そのまま胸を貫いた。
「グオアアアアアッ!!」
(火力を一点に集中させて装甲を破壊したのか!)
装甲を破壊され、胸にダメージを受けたクラブロードは息も絶え絶えながら、その場から逃げ出そうとした。
「逃がすか!」
『GA-04 アンタレス、アクティブ!』
その時、ユーリは右腕に装着したアンカーを発射し、クラブロードの腕にワイヤーを巻きつけ動けなくした。
「二人とも、今だ!」
「フリッドさん!」
「ああっ!」
アギトとギルスは一斉に構えた。アギトは頭部のクロスホーンを展開し、ギルスは両足のヒールクロウを伸ばした。そして足元に紋章を浮かべた。アギトは金色を、ギルスは緑色の紋章を浮かばせた。
「ハァァァァァァ……」
「フウゥゥゥゥゥ……」
『ハッ!!』
紋章を足に吸収し、二人は空中に跳び上がった。
「デヤァァァァァァァァァ!!」
「ウオァァァァァァァァァ!!」
そしてアギトは空中で飛び蹴りを、ギルスは飛び後ろ廻し蹴りを繰り出し、クラブロードに食らわせた。
「グッ!グオアアアアアッ!!」
2人の必殺の一撃を喰らい、クラブロードは断末魔を上げながら爆発四散していった。
「やった!勝った!」
「すごいな二人とも!二人の作戦勝ちだ!」
クラブロードを倒し、アギトとギルスは変身を解いて元の姿に戻った。
フリッドは翔一とユーリの肩を叩いて褒めちぎった。
「えへへ・・・やりました!」
「つ、津上・・・」
ユーリはマスクを外した。すると、申し訳なさそうな顔で翔一に話しかけた。
「あ、あのさ……この前は、ごめん……」
「え?」
「姉さんがケガして、病院に入院したとき・・・僕、ひどいこと言っただろ?お前、何も悪くなかったのに・・・ごめん・・・」
マスク片手に拳を握り、ユーリは頭を下げた。そんなユーリの姿を見て、翔一は慌てふためいた。
「ユ、ユーリさん!そんな、よして・・・!」
「だ、だから!!」
「よしてくださいよ」と翔一が言おうとした瞬間、ユーリは大声を出してそれを遮った。さらに話を続けた。
「そ、その詫びっていうか……だ、だから……」
話していく内に、ユーリの顔が赤くなっていく。ユーリ自身もそれに気づいたのかそっぽを向き始めた。
「と、友達になってやるよ!お、お前、友達いなさそうだもんな!」
(は、恥ずかしい・・・!自分で言ってて・・・!!)
「プッ、アハハ……!」
恥ずかしい気持ちを隠しながら・・・というより顔にもう出ているが、ユーリは勇気を振り絞って言った。
それを聞いた翔一はキョトンとした表情を見せたが、すぐに笑い声を上げた。
「なっ!?お、お前!人が恥ずかしいのを我慢してるのに……!」
「だって・・・俺は前からユーリさんのこと、友達だって思ってましたもん。」
その一言を聞き、ユーリは目から何かがこぼれ落ちそうな感覚を覚えた。
自分は前から小馬鹿にしていたのに、向こうは前から自分のことを友だと思ってくれていた。その気持ちに気づかなかった自分を恥じた。
ユーリはまた、翔一に謝ろうと思った。しかし、
「だって、ユーリさん他に友達いなさそうだし!」
「……はあっ!!?」
翔一の余計な一言でその気持ちは全て吹き飛んだ。
「前・言・撤・回ッッッ!!やっぱお前なんて大嫌いだ!!誰が友達になるか!!」
「またまた~!大好きな癖に~!」
「うるさいっ!!処刑するぞお前!!」
「フフッ……」
端からでも分かるような凸凹コンビのようなやりとりをする二人を見て、フリッドはクスクスと微笑ましそうに笑っていた。
(二人とも、いいコンビになりそうだな。)
────────────────────────
後日、
「津上ィッ!!」
ユーリはフォージャー家を訪れた。やってくるなりいきなり大声を上げた。
「ユーリ!やってきていきなり大声を出すのはやめなさい!」
「ご、ごめんよ姉さん・・・でも、今日は津上に用があるんだ!津上!」
姉のヨルに謝りつつ、台所に立つ翔一に詰め寄った。
「訓練するぞ、訓練!次いつアンノウンが現れるか分かんないだからな!」
「うーん・・・俺、どうもそういうの苦手なんですよね~・・・訓練なんてやめてくんれん!なーんて!あははははっ!!」
「バカにしてんのかお前……!!」
寒いダジャレを繰り出す翔一に、ユーリは青筋を立てながら睨みつけた。
「ほらほら、そんな怒らないで。これよかったらどうぞ!はい、あーん。」
「な、なんだよ・・・モガッ・・・」
翔一にしわくちゃの赤い果実のようなものを口に放り込まれ、ユーリは思わずそれを食べた。
その瞬間、なんともいえない強烈な酸っぱさが口全体に広がり、ユーリは口を抑え涙目になった。
「うっ!!?す、すっっっぱ!!?なんだこれ!?」
「すっぱいでしょ?日本の食べ物で、梅干しっていうんですよ!すっぱいけど癖になるんですよ~!健康にもいいんですよ!ほら、もう一個どうぞ♪」
「いらんいらんいらんっ!!いらないっての!!」
「遠慮しないで~!ほら!」
「モガガガガガ……!!ね、姉さん助けてー---っ!!」
ユーリはもう梅干しは食べまいと抵抗するが翔一の手で梅干しが口の中に入れられていく。
台所で大の男二人がワチャワチャと騒ぐ中、その様子をロイドは呆れたようにため息を吐き、対しヨルとアーニャは笑っていた。
「大の男二人が何をしてるんだ・・・」
「フフッ、でも二人とも仲良さそうでなによりです!」
「おじ、たのしそう!」
2人の言葉を聞き、ロイドは不思議に思った。端からだとどう見ても仲が良さそうには見えないからだ。
(あれが仲良さそう・・・?女性の感性か?それともこの二人独特の感性か……?どっちにしても、俺にはよく分からん……)
ヨルとアーニャの感性が理解できなかったロイドは首を傾げた。
そんな中、二人はまだ台所でワチャワチャ騒いでいた。
その時ユーリは思った。津上翔一という人間は、ムカつくし、バカだし、無礼だし、いけ好かない。だがそれでも……一緒にいて退屈しない。そう思った。
(まぁ、こいつの友達でいるのは……悪い気はしないな。)
そう思いながら、ユーリは心の中で笑ったのだった。
おまけ「何も知らない男」
ユーリ「僕だけがアギトの正体を知らなかったなんて・・・」
翔一「どうします?名前の上に『またしても何も知らない』ってつけます?」
ユーリ「そんなどこぞの芸能人かイヌみたいな二つ名嫌だ!!」
そのころ・・・
イヌブラザー「ぶえっくしっ!!な、なんだ・・・?」
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はい、超短いおまけです。なんかユーリに合いそうな気がしたのでこのネタにしました。
今回友人の話になりましたが、ユーリって同年代の友達とかいるのかな・・・?原作だとまだそういう描写がないから分からないんですよね・・・
でもユーリのことだから、「むやみやたらに友達作ったら、姉さんが友達にナンパされる」なんて思ってそうだなぁ・・・
作品内において、どのライダーの話が一番好きですか?期間は4月10日から4月17日まで。アンケート結果は後日作品内で発表します
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アギト編(翔一+フォージャー一家)
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G-3編(ユーリ+対策班、ノエル)
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ギルス編(フリッド+ダミアン、フィオナ)