ながらくお待たせしてすいませんでした・・・最近仕事が忙しくて辛かったのと、飯食った後すぐ寝落ちしたり、パソコン操作しながら寝落ちすることが多かったので遅くなってしまいました。
一週間ほど前に実施したアンケートで、見事「アギト編」が1位を獲得!それを記念して今回は特別エピソードです!本筋に絡まない話なので、話数はつけていません。
ある日のこと・・・
「え?お休み?」
朝、翔一は食卓につきながら声を上げた。
「ああ、君がウチに来てからちょうど半年だ。その記念・・・ってわけじゃないが、君に1日休みをあげようと思う。」
「よかったですね、翔一さん!」
ロイドとヨルはニコニコ笑いながら翔一に話しているが、対する翔一の方は眉を八の字にし、口を尖らせ、どこか不服そうな顔をしていた。
「うーん・・・嬉しいですけど、休みって言われても……俺、何すればいいか……」
「好きにすればいい。今日は俺とヨルさんで家のことやっておくから。だから君は好きなようにしていいんだ。1日中家でゴロゴロしてていいし、バイクでどこか遊びに行ってもいいし……」
「好きなことかぁ……あっ!」
その時、翔一は何か思いついたように声を上げ、笑顔を浮かべた。
「好きなことありました!家事やるのが好きです!」
「いや、だからそれは俺とヨルさんでやるから!」
笑顔で言う翔一にロイドは思わずツッコミを入れた。
すると、翔一は不服そうな顔を見せた。
「とにかく、今日ぐらい外で羽を伸ばしてきなさい!ほら、お小遣いあげるから!」
そう言ってロイドは財布から紙幣を3枚ほど渡し、無理くり握らせた。
「えー・・・わかりました・・・」
翔一はしぶしぶその金を受け取った。
そして翔一は朝食を食べた後、出かけることに決めた。
「じゃあ、いってきます。」
『いってらっしゃーい!』
出かける翔一をニコニコ笑いながら見送るロイド達・・・だったが、翔一が家を出た瞬間、顔つきが真面目なものに変わった。
「……行きましたね。」
「……はい。」
「……うぃっ。」
3人とも真面目な顔つきで席に座って向かい合っている。その顔つきはどこか使命感を帯びているようだった。
「作戦を実行しよう・・・『翔一君にプレゼント大作戦』を!!」
『おー---っ!!』
ネーミングセンスを疑う作戦名を、声を大にしてロイドは叫ぶ。それに呼応するようにヨルとアーニャも叫ぶ。
何故こうなったか?それは3日前に遡る……
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「ヨルさん、アーニャ、ちょっと相談があるんだ。」
「ちち、どうした?」
「実は・・・」
翔一がいない時、ロイドはヨルとアーニャに、家に翔一が来て半年ほど経過したことを伝えた。
話を聞き、ヨルは驚いたように口に手をやった。
「まぁっ!もうそんなに経ったんですね!」
「それで、彼には1日休みを上げようと思うんです。家事も俺達が代わりにやって……それからプレゼントも……」
「いいですね!プレ、ゼント……」
「プレゼント」、その単語が出た瞬間、二人の脳内に一つの疑問が浮かんだ。
それは……
(翔一君の好きなものって、なんだっけ……?)
(翔一さんの好きなものって、なんでしたっけ……?)
というものだった。
半年も一緒に暮らしていながら、彼の好きなものを全く知らなかったのだ。
そこで、翔一を1日尾行し、彼の好きなものを探ることに決めたのだ。
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「……なるほどなぁ……ってお前ら暇なの?」
ロイドから事情を聞いた、友人のフランキーは呆れたような目で3人を見ながら呟いた。
すると、3人はキッとした目で睨み返し、
「何を言う!この日のために俺は有休をとったんだぞ!」
「私だって有休をとりました!」
「アーニャもウソついてガッコ―やすんだ!」
「バカだろお前ら。」
仕事や学校があるにもかかわらず、堂々と「休んだ」と言い張る3人にフランキーは思わずツッコミを入れた。
この時、3人は思った。もし翔一が嫌いなものをプレゼントしたらどうなってしまうのかを……
『ひどい!ひどいですよみんな!!俺の嫌いなものばっかプレゼントするなんて!!うわー--んっ!!ご近所さん達にロイドさん達は疑似家族だって言いふらしてやる~~~っ!!』
頭に思い浮かぶのは、翔一が泣きながら近所の人々にロイド達が疑似家族だと言いふらす様・・・
(絶対にその結果だけは避けなければ!!)
(翔一さんを泣かすワケにはいきません!!)
(ショーイチぼうそうしたら、たいへん!!)
翔一を決して泣かせない、かつ自分達の今の生活を維持するため、ロイド達は翔一の尾行を開始したのだった。
「・・・で、なんで俺が巻き込まれるわけ?」
尾行の最中、フランキーは自分が何故この場に呼ばれたのかロイドに尋ねた。
しかし、ロイドの答えは簡素なものだった。
「だってお前が一番暇そうだし。」
「俺だって暇じゃねぇわ!!」
ロイドの一言にフランキーは烈火の如く怒り大声を上げた。
フランキーが大声を上げた瞬間、3人は慌てて口を塞いだ。
「大声を出すなバカ!見つかるだろうが!」
「フランキーさん!どうか協力してください!翔一さんのために、私達のために!」
「モジャモジャ、きょーりょくしろ!」
フランキーの口を抑えながら協力を申し出る。すると、息が苦しいのかフランキーはモガモガ言いながら手足をバタバタと動かした。
それを見た3人は咄嗟に手を離した。
「ぷはっ!はぁ、はぁ……わかったよ!協力すりゃいいんだろ!」
「すまん、フランキー。じゃあさっそくで悪いが……」
ロイドはフランキーの耳元に近づき、耳打ちを始めた。
「ええっ・・・」
その内容を聞いたフランキーは唖然とした。
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「それにしても休みかぁ……何すればいいかなぁ……」
翔一は行く当てもなく街をブラブラしていた。と、その時……
「そこのお兄さ~ん!」
一人の男が話しかけてきた。それはフランキーだった。フランキーは怪しげなセールスマンのような恰好をし、翔一に向かって手を叩いてきた。
「ウチのお店はカワイイ子いっぱいいますよ~!どうです?1時間ほど!」
「えっ・・・?俺に言ってるんですか?」
「お兄さん以外に誰がいるのよ!」
翔一はキョトンとしたような顔でフランキーの話を聞いていた。すると、フランキーはいきなり翔一の肩を抱いてきた。
「お兄さん、巨乳派?微乳派?」
「えっ!?そ、それはぁ……」
フランキーに聞かれた瞬間、翔一は顔を真っ赤にしながらにやけた笑顔を浮かべた。
その様子を、ロイド達は遠巻きで見ていた。
「ロイドさん、どういう作戦なんですか?フランキーさんは一体何を……」
「フランキーには風ぞ・・・もとい、怪しい店のキャッチのフリをさせています。そこから翔一君の異性のタイプを聞き出します。もし、翔一君がモテたい、彼女欲しいと思っているなら、モテるための服や道具を買ってプレゼントさせるのがいいかと。」
「な、なるほど……」
(それにしても……)
2人に説明をしながら、ロイドは呆れたような目で翔一を見ていた。翔一は何を想像しているのかデレデレと笑っていた。
(なんてだらしのない……一体何を想像しているんだ……)
ロイドは翔一がいやらしいことを想像していると思い、呆れていた。
と、その時、翔一はハッと我に帰り何かを振り払うように首を横に振った。そしてフランキーに向かって叫んだ。
「そ、そういうの良くないと思います!俺、そういうのに興味ありませんから!ロイドさん達に軽蔑されちゃうんで!!」
(特にヨルさんには軽蔑されたくない!!)
翔一はそう言うとそのまま走って行ってしまった。
「あ、逃げました!」
「追いかけましょう!」
ロイド達は慌てて逃げた翔一を追いかけた。
この時、翔一の脳裏にはある光景が……
『翔一君、君がそんな下劣な人間だったとはな……』
『最低です、翔一さん……!私、翔一さんは純朴な人だと思ったのに……!!』
『ショーイチのドスケベ!!だいきらい!!』
ロイドから軽蔑のまなざしで睨まれ、ヨルには泣かれ、アーニャからは悪態を突かれる光景だった。
(うわあああああ!!ちょっとでもエッチなこと考えてしまって・・・ごめんなさー--いっ!!)
翔一は走りながら、少しだけとはいえいやらしいことを考えてしまった自分を恥じ、心の中で3人に謝っていた。
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「はぁ・・・はぁ・・・」
しばらく走った翔一は疲れてその場で息を切らしていた。周りを見ると公園のようで、少し離れた先に出店があった。
それを見た翔一は、走ったせいもあり小腹が空くのを感じた。
「お昼前だけど、軽く食べよ!」
翔一は何か食べようとその出店に立ち寄った。そこで翔一は見覚えのある人物と遭遇した。
「あっ、フリッドさん!」
「よぉ、津上君。」
出店の前にいたのはフリッドだった。片手にはホットドッグを持ち、それを美味しそうに食べていた。
「フリッドさんもお仕事休みなんですか?」
「いや、これから家庭教師事務所に……ん?その言い方だと……君は今日休みなのか?」
「実は……」
2人は公園にあるベンチに腰掛け、翔一はロイド達から休みをもらったことを話した。
その時、その二人の様子を物陰からロイド達が覗いていた。
「うーん、ここからだと話しているのが聞こえませんね……」
ロイド達は翔一からだいぶ離れた場所にいるため、声が聞こえづらかった。しかし、ロイドは懐からリモコンのようなものを取り出した。
ヨルとアーニャはそれを見て首を傾げた。
「なんですかそれ?」
「実は翔一君の服に盗聴器を仕掛けました。このリモコンから盗聴している音が聞こえます。」
「ロイドさん凄いです!・・・あれ?でもなんでロイドさんが盗聴器なんて・・・」
「ヨルさん!」
ロイドが盗聴器を持っていることにヨルは疑問を抱いたが、それを遮るようにロイドが声を上げた。
「今はなにより、翔一君の好みを聞くことが・・・もとい、翔一君の喜ぶ顔を見ることが最優先!それに比べたら、俺が盗聴器を持ってるなんて些細なことだと思いませんか?」
「確かに……そうですね!」
(ちち、ゴリおし・・・)
ロイド達が話し込む中、翔一とフリッドはそのことを知らず会話を続けていた。
「そうか・・・君が来てから半年・・・そんなに経ったのか。でも、よかったじゃないか。休みをもらって。好きなことやればいいじゃないか。」
「それなんですけど・・・思いつかないんですよ。俺、一人でいるよりも、ロイドさん達3人一緒にいる方が楽しいから……」
翔一は寂しそうに呟いた。それを見たフリッドはフッと微笑んだ。
「津上君はあの3人が好きなんだな。」
「はい、大好きです!ロイドさんは頼もしいし、ヨルさんはキレイで素敵だし、アーニャちゃんはカワイイし……だから俺、あの3人が喜ぶこと、いっぱいしてあげたいです!あ、最近新しい料理を研究してるんですよ!人参嫌いのアーニャちゃんでも食べられるキャロットケーキとか……後、ロイドさんいつも疲れた顔してるから、レバーとか発酵食品とか、体にいい物も研究してるんです!後、ヨルさんにはいつもキレイでいてほしいから、美容にいい食べ物とかも・・・!」
「フフッ、そうかそうか。」
目をキラキラ輝かせ、楽しそうに語る翔一を見て、フリッドは笑顔を浮かべながら聞いていた。
そのころ、物陰で二人の会話を聞いていたロイド達は頬を赤らめていた。
(め、面と向かっていないとはいえ、「大好き」なんて言われると恥ずかしいな・・・)
自分達のことを「大好き」と言ってくれた翔一に照れながらも、ロイド達はしばらく翔一の盗聴を続けた。
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フリッドと別れた後も、翔一は街をブラブラとあてもなく歩き続けた。
その後ろを、ロイド達が追尾する。
「今度こそ・・・!」
「あ、あの!」
今度こそ、とロイドが意気込む中、ヨルが声を上げた。
「も、もう・・・おしまいにしませんか?」
「え?」
「私、さっきの翔一さんとフリッドさんの会話を聞いて、思ったんです。あの人は私達のこと「大好き」だって言ってくれたのに、私達はそれを貶めるようなことをしてるんじゃないかって……」
ヨルは寂しそうに自分の心情を語った。それを聞いたロイドとアーニャも、どこか寂しそうな表情を浮かべた。
「それに、今思い出しました。『プレゼントで大事なのは、中身じゃなくて気持ち。相手を喜ばせたい気持ちがこもっていれば、どんなプレゼントでも相手は喜んでくれる』……亡くなった母が言った言葉です。こんな時に思い出すなんて思いませんでしたけど。」
そう言うと、ヨルは苦笑いを浮かべた。
「相手を喜ばせたい気持ち・・・」
ヨルの言葉を聞き、ロイドは思った。自分には、自分達は翔一の好きなものを渡せば喜ぶとばかり考えていた。しかし、それは間違いだったかもしれない。たとえ相手の好きなものを渡しても、そこに気持ちがこもっていなければ意味がない。
そのことに気づいたロイドはヨルと同様、苦笑いを浮かべた。
「……バカですね、俺達。プレゼントを買いに行く時間を浪費しちゃって。」
「……ですね!でも、今からでも遅くないです!プレゼント選びましょう!」
「アーニャ、もうプレゼントきめた!」
その後、ロイド達はプレゼントを買うため、商店街の方へと走って行った・・・
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「ただいまー!」
『おかえりなさい!』
翔一が家に帰ると、ロイド達は笑顔で出迎えてくれた。そして食卓には美味しそうな料理が所狭しと並んでいた。
「うわぁ、美味しそう!ロイドさんが作ったんですか?」
「ああ、君には及ばないかもしれないが。」
「そんな!ロイドさんの料理だって美味しいですよ!」
「ありがとう。」
料理を褒めてくれた翔一に笑顔を向けると、ロイドは包装紙にくるまった箱を差し出した。
「君へのプレゼント。いつもありがとう、翔一君。」
「えっ!?いいんですか!?」
「ああ、開けてくれ。」
プレゼントを受け取り、翔一は嬉々として中を開けた。中に入っていたのは、包丁だった。
それも、そんじょそこらでは売ってないような本格的で高そうな包丁だった。
「君のマイ包丁だ。本当は名前も彫ってやりたかったんだが、時間がなくてな……」
「大丈夫ですよ!これだけでも嬉しいです!」
翔一は目を輝かせて喜んでいる。そんな中、横からヨルが入ってきた。
「私からもプレゼントです。これです!」
ヨルは包装紙に入った箱を自分で開けた。その中から黒と黄色の2色で編まれたマフラーを取り出した。
「マフラー?」
「はい!バイクに乗る方はよくマフラーを巻くと聞いたので……それにコレ、アギトカラーなんですよ!」
ヨルはドヤ顔気味に言うと、翔一の首にマフラーを巻き始めた。
「フフッ、よく似合ってます!」
「そうですか?へへ・・・」
ヨルは笑顔を浮かべてマフラーを巻いた翔一を褒めちぎる。褒められた翔一は照れくさそうに笑った。
すると、今度はアーニャが前に出てきた。
「アーニャはこれ!じゃーんっ!」
アーニャが差し出したのは1枚の画用紙だった。そこには絵が描かれていた。
それを見た瞬間、翔一は目を輝かせた。
「うわぁ、俺を書いてくれたの!?」
画用紙に描かれていたのはアギト・・・と思われる黒と黄色の人間と、その横に金髪の男と黒髪の女性、さらにピンク髪の少女、毛むくじゃらの生物・・・もとい犬と思われるものが描かれている。
「ロイドさんとヨルさん、それにボンドと自分も書いたんだね。」
「うぃっ!」
(よくわかったな翔一君……俺はパッと見、全然分からなかった……)
ロイドは絵を見て何が描かれていたのか分からず、顔をしかめていた。
すると、アーニャは翔一の足にしがみついてきた。
「アーニャ、ショーイチとあえて、とってもしあわせ!いえにきてくれて、あざざます!!」
アーニャは満面の笑みを浮かべて感謝の言葉を述べた。それを聞いた翔一の目は、わずかだが潤んでいた。
すると、ロイドは翔一の肩を叩いた。
「翔一君、俺も同じ気持ちだ。君に会えてよかった。ありがとう、翔一君。」
「ロイドさん・・・」
ロイドが語り終えると、今度はヨルが翔一の手を握ってきた。
「翔一さんがいっぱい笑顔をくれたおかげで、私も笑顔を絶やさずにいられるんです。本当に、ありがとうございます!」
「ヨルさん・・・」
3人からのお礼の言葉を聞いた翔一はさらに涙腺が刺激されていた。何気ない、日頃の感謝の言葉だが、翔一にとってそれは大好きな3人からの特別なプレゼントと同じだった。3人の言葉が胸に沁み、嬉しさと涙腺が限界を迎えそうになっていた。
すると、
「変身っ!!」
『えっ』
翔一は家の中にも関わらずアギトへと変身してしまった。
『ええええええええええええっ!!?』
あまりに突然の翔一の奇行にロイド達は声を上げた。
「な、何してるんだ君は!?」
「す、すいません・・・でも、ロイドさん達のプレゼントが嬉しくて嬉しくて……!もう泣きそうになっちゃって……」
「だからって涙隠すために変身するな!せめてカーテン閉めてからやってくれ!!」
ロイドは叫び、慌てて家中のカーテンを閉め始めた。
その横でヨルはクスクスと笑っていた。
(翔一さんったら、カワイイ……)
泣くのを隠すために変身した翔一に、ヨルは愛おしさを感じているようだった。
「3人とも、本当にありがとうございます!なんかお礼したいなぁ・・・そうだ!今から3人を抱っこしてあげますよ!」
「は?抱っこ?」
「はい!ということで……」
翔一はアギトに変身したまま、ロイドとヨルの腰を掴み、ヒョイッと持ち上げた。
「ちょっ、翔一君!?」
「はわわわ……!!」
「ほら、アーニャちゃんとボンドもおいで。」
翔一がそう言うと、アーニャは笑顔を浮かべ、ボンドともに飛びつき体をよじ登ってロイドとヨルにしがみついた。
「し、翔一君おろしてくれ!」
(ロ、ロイドさんの顔が近い……!!)
「きゃははははっ!!」
いきなり抱き上げられ、ロイドは慌て、ヨルは恥じらい、アーニャは笑った。それを見て、翔一は嬉しそうに笑った。
同時に、ずっとこの3人といられますように、と願った。
と、その時ピンポーンとインターホンが鳴り響いた。
「あれ?誰だろ・・・俺出ますね!」
「変身を解け、変身を!」
翔一はロイド達を降ろし、そのままの姿で玄関ドアを開けようとした。それに対してロイドはツッコミを入れたが、ドアを開けると同時に翔一は変身を解いた。
「あっ!」
ドアを開けた瞬間、翔一は声を上げた。
そこにいたのはフリッドとユーリだった。
「やぁ、津上君。」
「どうしたんですか?二人とも。」
「いや、今日は君の記念日だろ?だからプレゼントを買ってきたんだ。ほら!」
家の中に入るなり、フリッドは包みに入った箱を手渡した。翔一は包みを破いて箱を開けた。
中に入っていたのは革のバイク用グローブだった。
「わっ、グローブだ!」
「君もバイク乗るだろ?なら良い物を着けておきなさい。」
「ありがとうございます!」
フリッドが翔一にプレゼントを渡している中、その後ろでユーリはしどろもどろとしていた。
その様子を見かねたヨルは声をかけた。
「ユーリ?どうしたの?」
「えっ!?い、いや、その・・・」
「実は、ユーリ君もプレゼント買ったんですよ。」
「ちょっ!!?」
恥ずかしがっていたユーリだったが、フリッドの一言で顔を真っ赤にし、声を上げた。
「まぁっ!そうなの!?ユーリ!」
「いや、そういうわけじゃ、あの……くっ……!つ、津上!こ、これぇ!!」
ユーリはそっぽを向きながら紙袋を翔一に差し出した。翔一はそれを受け取ると、中を取り出した。
中に入っていたのはハンドクリームだった。しかも二つも入っていた。
「ハンドクリーム?」
「お、お前、よく家事するって聞いたからな……」
ユーリは顔を赤らめ、そっぽを向きながら説明した。
「ま、万が一お前の手が荒れて、家事出来なくなったら・・・ね、姉さんの負担が増えるからな!後言っておくけど、もう一個のは姉さんの奴だからな!お前のはあくまで、ついでだからな!!」
『へぇ、ついで・・・ねぇ。』
「な、なんだよぉ!!」
ユーリは途中から怒涛の勢いでまくしたてるように話し始めた。翔一はそれを聞いてキョトンとしていたが、周りにいた者達はニヤニヤと笑っていた。
「フリッド、君も夕食食べるか?」
「いいのか?じゃあいただこうかな。」
「ロイドさんの料理、美味しいんですよ!」
「って無視しないでよ!」
「まぁまぁ、ユーリさんも食べましょうよ!」
「フフフッ、アーニャんち、きょうにぎやか!」
その日は皆で食事をした。翔一がくだらないダジャレを言うと、ロイド達は愛想笑いを浮かべ、ユーリは怒り、フリッドは声を出して笑った。それからも皆で笑い合った。まるでそこだけが寒々とした外とは違う、別の空間のように暖かい。その空間に包まれ、翔一はいつも以上にリラックスした。
そして、翔一は思った。今、この場にみんなで一緒にいられることがどれだけ楽しくて暖かいのか、それをくれたみんなに、心の底から感謝した。
(しかし、何か忘れているような・・・)
そんな中、ロイドは何かを忘れているような気を感じ、首を傾げた。
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「だーかーらーっ!!俺はそのテの店の店員じゃないの!!」
「じゃあなんでキャッチなんかやってるんだ!」
そのころ、街の中でフランキーや警察官達と対峙していた。先ほど翔一に話しかけたのを見て、警官たちは怪しく思い職質をかけていたのだ。
「怪しい店のキャッチは、わが国の風営法で禁止されている!」
「正直に言え!そうすれば罪は軽くて済む!」
「だから俺は違うってば!俺は人に頼まれてやってたんだよ!」
フランキーは首を横に振って警官たちに盾突くが、フランキーに頼んだ張本人であるロイドがいないため、その場で自分は無実であることを証明できないフランキーだった。
それからフランキーを怪しんだ警官たちは手錠をかけた。
「怪しすぎる!連れていって取り調べる!」
「くっそ・・・!も、もうアイツらの頼みなんか聞くかぁぁぁぁぁっ!!!」
その後、フランキーは連れて行かれ留置所に入れられることになった。
思い出したロイドがすぐに留置所に行き、説明したことで事なきを得たのだった。
いかがだったでしょうか。バトルがメインの作品なので、日常回が少なく、私自身これまで日常系を書いたことがなかったので不安になりましたが、書きたいことは書けたかなぁ・・・って感じです。
オチについては後から思いついて付け足したもので、本来入れる予定はありませんでした。ごめんね、フランキー。
それからアンケートの結果ですが、票数は27票で、アギト編が全25票で1位、G-3編とギルス編が1票ずつで同率2位という結果に。
ぶっちぎりでアギト編が1位になって嬉しいですが、G-3とギルスにも票が入っていたことも嬉しかったです。
ちなみに、G-3編が選ばれていた場合「ユーリとノエルのデート回」、ギルス編が選ばれていた場合「フリッドとダミアンの日常回」を予定していました。