ない知恵絞って書いたので・・・
「おい……どういうことだよロッティ!?チワワ娘が連れ去られたって!!」
ロイドとヨルは、自宅にユーリ、フリッド、グリムを呼び出し、先ほど翔一とアーニャが「WISE」に連れ去られたことを話していた。
「やっぱり、お前が正体を明かした時にすぐ捕まえるべきだった!お前みたいな奴……!!」
ユーリは怒り、ロイドの胸倉をつかんできた。ユーリにとって、認めたくはなかったがアーニャは可愛い姪だった。それが攫われたとなれば、怒るのも当然だった。
すると、フリッドが間に入り、ユーリを抑えた。
「やめるんだ!今はそんなことをしてる場合じゃないだろう!」
「わかってますよ!でも……!」
ユーリは怒りを抑えられず、また怒鳴り声を上げようとした。しかしその時、グリムが声を上げた。
「なぁ、ロイドのおっさん。その法条ってやつの口から……"Dr.イワーク"って名前出てこなかったか?」
「ッ!!」
グリムの一言に、ロイドは目を見開いた。
それとは対照的に周りは聞き慣れない名前に首を傾げた。
「誰だ?そのイワークというのは。」
「俺を拾ってくれたジジイでな……俺にガーデンに入るように言ったのもあの人だ。」
「なんだと……!?」
「心当たりがあるとすりゃあ、あの野郎だ……あのジジイとアーニャは超能力研究所……ってとこにいたらしい。アーニャがアギトだってことも最初から知ってた。」
話を聞いて、ロイドは息を飲んだ。Dr.イワークと最初に会った時、異様な雰囲気を出していたのは間違いなく、西国の「WISE」と東国の「ガーデン」とはまた違う第3勢力……と思っていたが、どうも違うようだった。
「つまり、グリムが言いたいのはそのイワークという男は、『ガーデン』と『WISE』……両方に関わってるってことか?」
「ああ……じゃねぇと、理由にならねぇ。アーニャがアギトだってこと知ってるのは、ジジイだけだからな。」
グリムの話を聞き、ロイドは頭の中で思考を巡らせた。
イワークはアーニャがアギトであることを知っている。つまり、超能力の研究をしていたころにアーニャと接触していた可能性がある。それがどういうワケか、今になってアーニャと接触しようとしている。それも「WISE」と「ガーデン」を巻き込んで……
(分からん……イワークは何を企んでいる……?翔一君とアーニャをどうする気だ……?)
その時だった。家の電話が鳴り響いた。
「誰だ、こんな時に……」
ロイドは舌打ちを打ちながら乱暴に受話器を取り、耳に当てた。
「はい、フォージャーです。」
『……黄昏。』
「ッ!
電話の主は
「
『落ち着け……私の口からは、なんとも言えん。長官に聞くといい。』
「長官……?」
『ああ、ちょうど今、本部に来るようお前に伝えろと言われてな。お前の妻、ヨル・フォージャーも一緒にな。』
一瞬、意味が分からなくなった。自分ならまだ分かるが、なぜヨルまで呼び出したのか分からなかった。
しかし、命令に逆らうワケにはいかなかった。同時に少しでも翔一とアーニャを助けるために、できることはするべき……ロイドはそう思い、ヨルとともに「WISE」の本部へと向かうことになった。
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「ここが、ロイドさんの所属している……」
「はい……離れないで。」
本部にたどり着いた二人はシルヴィアに指定された部屋に向かっていた。その間ヨルはずっと挙動不審になっていた。それもそのはず、「ガーデン」の殺し屋であるヨルにとって、この場所は敵地と変わらないからだ。
そんなヨルを安心させるように、ロイドはヨルの手をギュッと握って手を引いていた。
行く途中途中で同僚のスパイ達がこちらを見てくるが、お構いなしに進んでいく。
「ここだ……」
ドアには司令室と書かれている。「WISE」の中でも上官クラスでなければ入れない部屋だ。
ロイドは静かにドアをノックした。
「入れ。」
中から女の声が聞こえてきた。シルヴィアの声だった。
ロイドはそっとドアを開け、中に入った……と同時に目を見開いた。
「お前は……!」
「久しいな、黄昏。」
驚いたのも無理はなかった。目の前に、ロイドが気になっていた人物、Dr.イワークがいたからだ。しかもイワークは司令室の真ん中にある椅子に我が物顔で堂々と座っていたのだ。
すると、シルヴィアは静かに口を開き、イワークの方に手をやった。
「黄昏……ここにいる方こそ、我らが『WISE』の長官、Dr.イワークこと、アベル・ユーゴ長官だ。」
「ち、長官!?」
ロイドは声を上げた。イワークが、自分の所属している組織の長官……その事実に頭が回らなかった。
「驚くのも無理はありません。」
その時、部屋の奥の暗がりから男の声が聞こえてきた。さらにカツンカツンと足音が聞こえ、徐々にこちらに近づいてくる。
そして、暗がりの中から現れた男に、今度はヨルの方が目を見開いた。
「て、て、店長ッ!!?」
「やぁ、いばら姫。」
防止を被った褐色の男、「ガーデン」の店長が姿を現し、ヨルは思わず声を上げた。
(店長……?ということは、こいつが「ガーデン」の……!だが、なぜここに……!)
「長官!何故『ガーデン』の親玉がここにいるんですか!?『WISE』と『ガーデン』は敵対していたはずです!それが何故……!!」
ロイドはイワークに・・・もといアベルに向かって叫んだ。納得のできない状況だった。敵対している二つの組織のトップが今、この場にいて険悪なムードを出すことなく平然としている。意味が分からない状況だ。
しかし、その疑問に答えるようにアベルは静かに口を開いた。
「それは、我々『WISE』と『ガーデン』は協力関係になったからだ。」
「協力、関係……?」
思わぬ一言に、思わず茫然としてしまった。ヨルも同様だった。
敵対していたもの同士が、そんな簡単に協力し合えるものなのか、その前に、どうして協力関係になったのか。
「話は2年前に遡る。アレは、当時、『WISE』では超能力研究が行われていた。超能力によってスパイ活動を円滑に進めるためにな。」
アベルの口から、過去が語られ始めた……
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当時の私は長官ではなく、研究所所長だった。本部から遠く離れた土地の研究所で日々、超能力の研究をしていた。
研究所には超能力者が大勢いた。念動力、テレパシー、テレポート……様々な力を持った者達だ。当時3歳だったアーニャもその中にいた。
「ふーっ……少し休むか。」
私は日々の研究の疲れから、庭に出て一息つき、空を見上げた。空には満天の星空が広がっていた。そこに流れ星が一つ落ちてきた。
「お、流れ星か……ん?」
だがその流れ星は異様だった。流れ星は……私のところに、研究所に落ちてきたのだ!
「う、うわああああああああっ!!?」
私はすぐさま研究所の中に逃げ込んだ。流れ星はそのまま地面に墜落し、土埃を激しく巻き起こした。
落ちてきたものを、私はおそるおそる覗き込んだ。
「ッ!!」
思わず息を飲んだ。落ちてきたのは、人間だった。
「お、おい!君達、しっかりしろ!」
落ちてきたのは二人の男……一人はアギト、津上翔一。もう一人は……テオス、と名乗っていた。
気を失い倒れた二人を研究所に運んだ私は、二人が目覚めるのを待った。目覚めたとき、二人は互いに顔を合わせようとはしなかった。
最初は警戒心が強かったのか、私に対して心を開かなかったが、次第に心を開き話をしてくれた。
話を聞いたところ、二人は別の世界から来たと言った。最初は信じられなかった……だが、津上君は私の前で「変身」してくれた!
それを見た瞬間、私は二人が別世界の人間だと察した。
さらに私が驚いたのはその後日のことだった。
「こ、これは一体……!?」
突然のことだった。研究所にいた被験者の超能力者達がアギトの力を持ち始めた!津上君がこの世界に現れた途端にだ!
私は仮設を立てた。この世界には最初はアギトなんて存在しなかった。それが"この世界のルール"だ。だが、津上君が……アギトが現れたことで
それから研究は加速度的に進んでいった。被験者達がアギトに変貌したことで、これまでの超能力が格段に強化された。中でも……アーニャは特別だった。
アーニャのアギトの力は、他のアギトの力を増強させるというものだった。親しければ親しいほど、その力が強まっていった。
「所長、このデータを見てください!」
「やはり、か……」
部下から渡されたデータに、私は唸った。データにはアーニャと他のアギト達への力の増強具合をパーセンテージで書かれていた。
その中でも一番パーセンテージが高かったのが、津上君だった。
「ショーイチ、えほんよんで!」
「うん、いいよ!こっちおいで!」
アーニャと津上君は仲が良かった。出会ってすぐに打ち解けていた。
あの子は研究所にいる間、いつも暗い顔をしていた。それが津上君と出会ってから明るくなって……
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「父親……!?待ってください!今、なんと……!?」
アベルの話を聞いていく中で、ロイドは耳を疑った。「父親」…確かにそう聞こえた。
「父親、といったのだ。私は、アーニャの実の父親だ。」
「……ッ!!」
その一言に、ロイドとヨルは驚いて声も出なかった。今の今まで、アーニャの両親は謎に包まれていた。
それが今、ロイド達の目の前にいるのだ。
「とはいっても、あの子は私が父親だということを知らない。研究のため、あえて言わなかった。」
「……どうしてですか?」
その時、ヨルが声を上げた。
「どうしてアーニャさんに会わなかったんですか!?どうしてアーニャさんを孤児院に!?ロイドさんから聞きました……アーニャさんは孤児院で一人ぼっちだったって……それなのにどうして……!」
ヨルは疑問の声を上げた。その疑問はもっともだった。アベルがアーニャの実の父親なら、どうして探そうとしなかったのか、会おうとしなかったのか疑問に思うだろう。
「……表立って行動すれば、アンノウンに感づかれることになる。そこで私は、『オペレーション
「どういうことですか……?」
「オペレーション
オペレーション
「し、しかし、俺とアーニャが出会ったのは偶然です!」
「それだ。表向きの任務の都合上、アーニャの名前は出せなかった。奇跡、というべきか……因果律とも呼ぶべきか……とにかくだ、君には感謝しているぞ黄昏。今回の任務は裏で手を引くことが多かったからな。『ガーデン』にも協力を仰いでな。」
アベルがそう言うと、隣にいたガーデンのトップ、店長がニコッと微笑んだ。
「私とアベル氏は1年前に知り合いましてね……協力する代わりに、我々の仕事を目こぼしし、『WISE』の調査網から外してくれるという約束でね。」
アベルは「ガーデン」と密約をかわしていた。それが、今まで「ガーデン」が「WISE」に見つからずに活動できた理由ということだ。
すると、アベルがロイドの肩を叩いてきた。
「君の任務は終わった。」
「え・・・?」
「もう疑似家族を作る必要はない。フォージャー家を解散し、元の黄昏に戻るんだ。」
当たり前といえば、当たり前のことだった。アーニャを保護し、この本部に引き渡された時点で、ロイドの任務は終わっている。もう偽の家族を作る必要もない、一緒にいる必要はなかった。
(これで、終わりなのか……?)
「嫌だ」、心の中で叫んだ。今まで、どれだけの時間をヨルと、アーニャと、ボンドと、翔一とで過ごしてきたか……たとえその時間が短かろうと長かろうと、大切であることには変わりない。
だが、上官の命令は絶対……聞くほかなかった。
と、その時、司令室にある受話器が鳴り響いた。
「私だ。どうした?……何?」
電話を取ったアベルは声を上げた。電話の相手は部下のようだ。
「アーニャが泣いてる?」
『!!』
ロイドとヨルはすぐさま反応した。そして、アベルから無理やり受話器を奪い取った。
「もしもし!聞こえるか!?」
『あ・・・黄昏ですか?実は、さっき来た女の子がずっと泣いてて困ってるんです……』
「声を……声を聞かせてくれ!」
『え、ええ・・・いいですけど・・・』
電話をしている部下は困惑しながらもアーニャの方へ向かっているようだ。電話越しにガタゴトと音が聞こえてくる。
『ちち……はは……』
「アーニャ!」
「アーニャさん!」
電話に出たアーニャの声は震えていた。おそらく、怖がっている。
『アーニャ、かえりたい……!アーニャんち、かえりたい……!』
「はい、帰りましょう!一緒に帰りましょうね、アーニャさん!」
涙ぐむ声で訴えるアーニャに、ヨルは慰めるようにすぐ返事をしたが、ロイドは何も言えないでいた。
今ここで、「一緒に帰ろう」と言えば、上官に逆らうことになる。命令に逆らうなど、ロイドには到底できなかった。
だが、その時……
『うああああああああああああっ!!!』
受話器から男の悲痛な叫び声が聞こえてきた。その声には聞き覚えがあった。その声は、翔一だった。
「今のは……翔一君!?」
『となりのへや……ショーイチのこえ……ずっときこえてる……!』
『アーニャ、ちゃん……!アーニャちゃん……!』
受話器から翔一の声が聞こえてきた。おそらく、アーニャが受話器を隣の部屋の方に傾けたのだ。
翔一は苦しそうな声でアーニャに語り掛けていた。
『すぐ……行くから……!助けるから……!一人ぼっちには、させないから……!!』
痛みに耐えるような苦しそうな声……その後、ドン!ドン!と何かを叩く音が聞こえてくる。おそらく、翔一は壁を殴っている。壁を突き破ってアーニャのところへ行こうとしているのだ。
しかし、
『ぐっ、ぐああああああああああああっ!!』
すぐに悲痛な叫び声がこだました。その声を聞いたヨルは、キッとアベルの方を睨みつけた。
「あの人に……翔一さんに!何をしたんですか!!?」
「彼には悪いが、体に高圧電流を流し続けている。」
「なにっ!?」
アベルの一言に、ロイドは声を上げ、ヨルは目を見開いた。
さらにアベルは淡々と説明を続けた。
「アギトは最終覚醒の段階に入った。体力を限界まで落とさせ、その上でアーニャと接触させ力を増強させる。その時こそ、アギトは比類なき力を得る。その力さえあれば、アンノウンも、あの男も……!」
「そんなことのために翔一さんにひどいことをしたんですか!?」
「そんなことだと?これは世界のためだ!アギトの力さえあれば、アンノウンを殲滅できる!世界平和も夢ではない!」
食ってかかってきたヨルに、アベルは怒鳴り声を上げた。さらにアベルはロイドの方を睨んだ。
「黄昏……君なら分かるだろう。君も東西平和を、世界平和を望んできたはずだ!そのためなら、何人でも犠牲にできるはずだ!」
「お、俺は……!」
咄嗟に返答ができなかった。アベルの言う通り、ロイドは東西平和を望んでいた。戦争のない世界……それが望みだった。それが、翔一を傷つけ、犠牲にすれば叶えることができる。
(翔一君を、犠牲に……!)
ロイドは悩んだ。平和のために捨てるべきなのか、それとも、捨てないことを選ぶのか・・・
そんな時だった。受話器から叫び声が響いた。
『ちち……ショーイチを……』
『ロイドさん……!アーニャちゃんを……!』
『『助けて……!!』』
二人の声が、重なった。その瞬間、ロイドは胸が熱くなる感覚を覚えた。そして、自然と言葉が綴られていった。
「……長官、翔一君は渡しません。」
「なんだと?」
「彼は、俺の家族です。そしてアーニャは……俺の娘です!」
ロイドは叫んだ。迷う必要などなかった。大切な家族を売る男がどこにいる、娘が泣いているのに助けにいかない親がどこにいる、ロイドは選択した。大切な家族を絶対に失わないことを。
「行きましょう、ヨルさん!」
「はい!」
そして、二人は大事な家族を助けに行くため、アベルを素通りして……というワケにはいかなかった。アベルが手を前に出すと、二人は何かに引っ張られるように吹き飛び、壁に叩きつけられた。
「こ、この力……超能力か!?」
「貴様……よくも私の前でそんなことをほざいたな!偽の父親の分際で!」
「ああ……そうだ……!」
壁に叩きつけられながらも、ロイドは立ち上がった。
「俺はしょせん偽物だ。自分の都合で勝手にあの子を娘にして、自分の都合で嫁さんを作った。だけど……だけどそれでも、アーニャは俺を『父』と呼んでくれた!だから、俺は行く!!」
そう言って、一刻も早くアーニャと翔一の元へ行こうと駆け出した。しかし、アベルは再度超能力を発動し、ロイドを吹き飛ばした。
「スパイ風情が情を抱きおって……!言っても分からないなら……お前はクビだっ!」
アベルは怒りを露わにし、両手を突き出しグッと力を入れ始めた。
すると、ロイドとヨルの体が独りでに浮かび上がり、首が締まり始めた。
「がっ……!!」
「あ、ああっ……!!」
「言い残すことは?」
アベルは二人を殺すつもりだった。自分の目的を邪魔した二人を。
すると、ロイドは苦しいながらも答え始めた。
「クビ……そう言ったな?」
「ああ、情に流されるスパイなど、いらん。」
「だったら、好きにさせてもらう!!フリッド!!グリム!!」
ロイドは唐突にフリッドとグリムの名を叫んだ。その直後、部屋の天井がボゴッ!という音を立てて穴が開き、そこから二人が現れた。
「なっ!?」
「ようやく……」
「出番だっ!!」
その場に現れた二人は、驚いているアベルの隙をつき、彼の顔面に拳を入れた。
「ぐおっ!!?」
顔面を殴られ、アベルはふいに力を抜いた。その隙をつき、ロイドは……
「そこを……どけぇっ!!」
お返しとばかりにアベルを渾身の力で殴り飛ばした。
殴り飛ばされたアベルは床に倒れた。それを無視してロイド達は部屋を出ようとした。
「待て、黄昏!」
その時、シルヴィアが行く手を遮るようにロイド達の前に立った。
「どいてください、ハンドラ……いや、シルヴィアさん!俺はもうクビになった人間です!」
「冷静になれ……たった二人の人間のために全てを捨てるのか!?」
シルヴィアはロイドは説得しようと必死に問いかけていった。しかし、どれだけ説得されても考えは変わらない。
「俺にとって、俺達にとって……かけがえのない二人なんです!大事な人を犠牲にして成り立つ平和なんて……クソ食らえだッ!!」
吐き捨てるように言うと、ロイド達はシルヴィアを押しのけて部屋を出て行った。
その様子を見ていた店長はフッと笑みを浮かべていた。
「まさかこんな展開になるとは……愛とは美しいですね……」
「……シルヴィア。本部内にいる隊員全員に通達しろ。『黄昏といばら姫、及びその仲間たちを捕まえろ』とな。最悪、殺しても構わん……!」
ドスの効いた低い声が部屋に響き渡った。シルヴィアはそれだけで、アベルが激怒していることを察した。
────────────────────────
部屋を出たロイド達は翔一とアーニャを助けるため、廊下を走っていた。
「で、どこにいるのかわかってんだろうな!?」
「ああっ!本部の地下に人質や捕虜を収容する牢屋がある!そこにいるはずだ!」
そう言ったロイドは先導して前を走り、ヨル達はその後ろを追っている。
そんな時、ロイド達の足は止まった。
「お前たち……!」
「た、黄昏!止まってください!」
「本当に裏切ったんですか!?」
目の前に現れたのは、本部内にいた隊員達だった。ロイド達の行く手を遮るように立ちふさがっている。
「おい、後ろにもきやがったぞ!」
グリムの言う通り、背後も隊員達によってふさがってしまった。
人数は30人は超えている。状況的には不利な状況だった。そんな中、ロイドはスッと深呼吸を始め……キリッとした顔を見せた。
そして、
「聞けッ!!今、黄昏という男は死んだッ!!」
ロイドは叫んだ。その叫びに隊員達は驚くと同時に困惑した。それもそうだ。「WISE」内で伝説的な男がいきなり「死んだ」と言ったのだから。
ロイドはさらに続けた。
「今ここにいるのはただの男ッ!!ロイド・フォージャーだ!!」
ロイドは生まれ変わるつもりだった。過去の自分を捨て、今のありのままの自分でいるために。凄腕スパイ黄昏としてではなく、一人の男ロイド・フォージャーとして家族を助けるために。
(ロイドさん……!)
ロイドのその気持ちは、ヨルに伝わっていた。すると、ヨルはロイドの隣に立ち、隊員達を睨みつけた。
「……私は、『ガーデン』の殺し屋、いばら姫!」
「いばら姫だと!?あれが……!?」
隊員達は困惑するも、ヨルは続けて言った。
「でも、もういばら姫はいません……!今ここにいるのは、ただの母親ヨル・フォージャーです!!」
「ヨルさん……!」
ヨルもロイドと同じく、生まれ変わる決心を固めた。自分自身のため、愛する人のために。
それを見たフリッドとグリムはフッと笑った。
「おうおうおうっ!てめぇらよく聞きやがれ!!」
「ここにいるのは、史上最強の夫婦だ!!」
すると、グリムの啖呵を切るような叫びを皮切りに、グリムとフリッドは二人を守るように前に立った。
「この二人の邪魔したいってんなら……!」
「俺達を倒してみせろ!!」
『変身ッ!!』
フリッドは顔の前で、グリムは腰の前で両腕を交差させ叫んだ。
そして、二人はギルスとルデスへと変身した。
「その覚悟があるならな……!」
「いくぞ……正面突破だ!!」
4人は覚悟を決め、目の前にいる敵の中に突っ込んでいった。家族を助けるために……
おまけ「がんばったのに」
「オペレーション梟の真の目的はアーニャの保護にある。」
「ち、ちょっと待ってください!」
説明の途中、ロイドは声を上げた。
「今の説明聞くと……つまり、別に皇帝の学徒になる必要なかったり……?」
「うん。だってアーニャが保護できればいいし、最悪ドノバンは闇討ちすればいいし。」
「なんで最初に言ってくれなかったんですか?」
「だってお前が先走っていくし……」
その瞬間、ロイドは怒りのあまり頭が真っ白になっていった。
(ふざけんなよこの野郎……!!俺が、俺がどれだけ苦労して、胃に穴開けたと思ってんだこの野郎……!!!)
これが裏切りへの決定打となったのだった。
────────────────────────
今回、展開かなり迷いました。ロイドの性格を考えて組織を裏切るとは思えないんですけど、もし、もし万が一ロイドが組織を離れる展開があったら……と考えて今回の展開にしました。
人によっては「解釈違いです!」と言われるかもしれませんが……
後、アベルのキャラですが、歴代仮面ライダーに出てきたクソ親父をイメージして書いてみました。
アベルはクソ親父?
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クソ親父だと思う
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クソ親父ではない
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なんともいえない