SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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第61話「終局」

 

ギルス達3人が外で戦っていたころ、アギトは議事堂の中を突き進んでいた。

道中、アントロード達が行く手を阻むが、アギトの敵ではない。徒手空拳で次々と倒していく。

しかし、それでもアントロードは次々と湧いてくる。

 

「ハッ!」

 

ベルトの左側のスイッチを叩き、アギトは左肩と左腕に青い鎧を装備したストームフォームへと姿を変える。さらにベルトからストームハルバードを抜き、頭の上で高速で回転させた。すると、強風が巻き起こり、アントロード達はアギトに近づこうとしても近づけなかった。

その隙に、アギトはハルバードを一閃。一気に目の前にいたアントロード達を撃破した。

 

アギトはさらに奥へと進んでいき……ある部屋の前で足が止まった。そこは議事堂の議場だった。

部屋の外からただならぬ気配を感じたアギトは、そっとドアを開けた。すると、部屋の奥から声が響いてきた。

 

「待ちかねたぞ、アギト……」

「!」

 

そこにいたのは、倒すべき敵の総大将……黒テオスことミラージュアギト。

すると、ミラージュはフッと笑い始めた。

 

「まさか、この世界の人間のために……自分の命も顧みず戦おうとするとはな。そんなに大切か?別の世界の人間が。」

「……当たり前だ。俺の……俺の"家族"がいるから!」

 

アギトはハルバードを握りしめながら、ベルトの右側のスイッチを叩いた。すると、アギトの右肩と右腕に赤い鎧が装備され、炎と風の力を持つトリニティフォームへと変わった。

さらにベルトからフレイムセイバーを抜き、両手に剣とハルバードを構えた。

 

「うおおおおおおおっ!!」

 

二つの武器を手にミラージュへと突っ込み、思い切り振り下ろした。しかし、ミラージュは軽々と受け流し、アギトの背後に回って裏拳を後頭部に叩きこむ。

 

「うっ!?」

 

後頭部に強い一撃を食らい、アギトはよろめき、剣を落としてしまった。次の瞬間、剣はミラージュの手に拾われてしまった。

 

「むんっ!!」

 

ミラージュはフレイムセイバーを思い切りアギトに向かって振り下ろした。アギトは咄嗟にハルバードで防いだが、次の瞬間、ハルバードは二つに割れてしまい、アギトは攻撃を食らってしまった。

 

「ぐあっ!」

 

攻撃を食らい、アギトは後ずさる。ミラージュはすかさず何度も剣撃を食らわせていく。

 

「くっ……!」

「ハッ!」

 

さらにミラージュは右手を前に突き出した。すると、アギトの周囲に紫色の炎が現れ、取り囲んだ。

紫色の炎はアギトを取り囲んだかと思うと、炎が突如針のように硬質化しアギトに襲い掛かる。

ミラージュは炎の質を自由自在に変化させることができる。アギトは針になった炎をよけようとするが、四方八方からくる攻撃に対応できず、攻撃を食らってしまう。

すると、炎は元の状態に戻り、アギトの身に覆いかぶさり、一気に燃やし尽くそうとする。

 

「うっ!うああああああああ!!」

 

アギトは悲鳴を上げた。紫色の炎が容赦なく体を燃やしているのだ。その痛みと熱さがアギトを苦しめた。

すると、ミラージュは笑い声をあげた。

 

「しょせん貴様の力はその程度……散るがいい。あの二人のようにな……」

「!!」

 

ミラージュのその言葉に、アギトは怒りを覚えた。「あの二人」……名前を聞かずとも、アギトはそれが誰なのか理解できた。「あの二人」とは、アーニャの本当の両親であるアベルと、ソニア……

アギトは全身を燃やされながら、痛みも忘れて拳を強く握りしめた。

 

「アベルさんと、ソニアさんのことを言ってるのか……!!よくも、二人を……!!うあああああああああああああっ!!!」

 

アギトは雄たけびを上げると同時に、全身から炎を湧き出させ、全身を包んで紫色の炎を突き破った。

 

「ハァァァァ……!!」

 

筋骨隆々の赤いボディと赤い頭部に変わったバーニングフォームに姿を変えて、アギトは唸り声を上げた。

そして、そのまま駆け出して炎を纏ったパンチを繰り出した。

しかし、ミラージュはそれを軽々と受け流し、お返しとばかりに掌底を繰り出し、アギトの腹に叩きつけ、吹き飛ばした。

 

「ぐあっ!!」

 

吹き飛ばされたアギトは倒れ、床に転がった。しかしすぐさま立ち上がってミラージュを睨みつけた。

 

(許さない……許さない……!!)

 

アギトは怒りに燃えていた。ミラージュは自分の知り合いを、大切な人の家族を奪った許せない男……脳裏に浮かぶソニアとアベルの姿、アーニャの横顔……思い返すだけでミラージュへの、黒テオスへの怒りが強まっていく。

 

「ふんっ!!」

 

バーニングフォームのアギトの身体にヒビが入り始めた。そのヒビの下から眩い光が漏れ出し、アギトの装甲が剥がれ、シャイニングフォームへと姿を変えた。

ベルトからシャイニングカリバーを抜き、構えた。対し、ミラージュも紫色の炎を鎧のように纏い、両腕に炎でできた鉤爪を装備した。

 

「デヤァァァァァァァァ!!」

「ムゥゥゥンッ!!」

 

両者は叫び声を上げながら、武器を前に突き出した。

 

 

────────────────────────

 

『はぁ……はぁ……』

 

そのころ、エル・ロード達と対峙していたギルス達は、苦戦を強いられていた。

 

「クソっ、やっぱ強いなこいつら……!」

 

以前はアギトによって瞬殺されたエル・ロードであったが、ギルス達が相手ならばその実力を遺憾なく発揮していた。

単純な武器の力の差、超能力……3人にはない力で圧倒していた。

 

「貴様らなど、あのアギトに比べれば虫けら同然だ。」

「おとなしく消えるがいい。」

「塵から生まれし者よ、塵に還るがいい……」

 

ギルス達を格下だと決めつけ、冷たくあしらうような口調でエル・ロード達は呟いた。

すると、その時ルデスは急に笑い始めた。

 

「クカカカカ……!笑わせんな。結局お前らアンノウンってのは、アギトが怖いだけだろ。それが怖いから、弱い人間ばっかチマチマ狙って殺すなんてな……神様ってのは弱い者いじめが好きなんだなぁっ!!」

「お、おい!いきなり何を……!?」

「待つんだ、ユーリ君!」

 

いきなりアンノウンを煽り始めたルデスに戸惑う二人だったが、ギルスはルデスがちらちらとこちらに視線を移していることに気が付いた。

 

「もう最終的に、"虫"すらもいじめの対象にすんのかぁ?神様はいじめの神様でもあるのか?ハハハハハハッ!!」

 

高笑いを上げ始めるルデス。その時、ギルスはさらに気づいたことがあった。それは、ルデスがわざわざ"虫"と強調して言ったことだ。

 

(そうか……その手があった!)

 

ルデスの意図に気づいたギルスは、隣のユーリに耳打ちを始めた。ルデスのヒントを知り、作戦を思いついたのだ。

 

「分かりました……!」

 

ユーリもその作戦を聞き、力強く頷いた。

すると、

 

「貴様……愚弄するかっ!」

 

風のエルがルデスの吐く暴言に食いついた。それを見たルデスはさらに笑い声をあげた。

 

「怒った怒った!バケモンが怒りやがったよ!図星突かれたか?クハハハハハハッ!!」

「奴は私がやる!」

「ま、待て!」

 

他のエル・ロードの静止を聞かず、風のエルは宙を舞ってルデスに突進した。

ルデスはトマホークを連結させたハルバードで迎え撃つ。風のエルの弓とハルバードがぶつかり合い、火花を散らす。

 

「てめぇとの決着もつけねぇとな……!!」

「復讐者の分際で……!よくも我らを愚弄できたなっ!!」

「違う!俺はもう……復讐者じゃねぇ!!守りたい人が……できたからなっ!!」

 

ハルバードで攻撃を防ぎながら、ルデスは左手を風のエルの腹に押し当てた。さらに、義手の関節にあるレバーを思い切り引いた。

すると、義手から青い火花が走ると同時に高圧電流が流れ、青い閃光が走り、風のエルに強力な電気ショックを放った。

 

「ぐあっ!!?」

「俺の新しい左腕だ……"ボルトアーム"……てめぇらが大嫌いな人間様が作った新兵器で……苦しみやがれぇ!!」

「があああああああああ!!」

 

ボルトアームによる高圧電流を流し続けるルデス。そうはさせまいと、水のエルと地のエルが武器を構えた。

すると、それと同時にユーリはガトリング砲を乱れ撃ち、土煙を起こしてエル・ロードの視界をくらませた。さらにすかさず、エクシードに変わったギルスが背中の触手を伸ばし、目をくらませたエル・ロードの腕に巻き付けた。

 

「フッ……これで我らの動きを止めたつもりか?」

「哀れ……あまりにも哀れ。」

 

しかし、2体は鼻で笑った。それもそのはず、ただ腕を拘束しただけでは倒すための決定打にはならない。

地のエルと水のエルは武器を使って触手を切ろうとした。そして武器を触手に食い込ませた。その瞬間、

 

「グリム、今だ!!」

「よっしゃ!!」

 

触手が切られた瞬間、ギルスの合図とともに、ルデスは風のエルを勢いよく吹き飛ばした。

吹き飛ばされた風のエルは地のエル、水のエルとぶつかった。さらに次の瞬間、切られたはずの触手が独りでに動き出し、3体のエル・ロードを縛って拘束した。

 

「な、なにぃっ!!?」

「昆虫の神経節の応用だ。」

 

昆虫には神経節と呼ばれる独立した脳のようなものが存在する。この神経節のおかげで、昆虫は体が二つに分かれてもしばらくは動き続ける。ギルスはそれを触手で応用したのだ。

 

「バカめ……!これぐらいで倒したつもりか!こんなもの、すぐに引きちぎって……!!」

「それまで放っておくと・・・思うのか?」

 

触手を引きちぎろうとするエル・ロードを横目に、3人のライダーはぎろりと睨みつけた。そして、ギルスとルデスは構え、足元に紋章を浮かばせた。

同時に、ユーリもガトリング砲を再度構える。

 

『ハァァァァ……!!』

「ハッ!」

「トォッ!」

 

紋章のエネルギーを足に吸収し、ギルスとルデスは空高く飛び上がった。

 

「ウオオオオオオオオオオオオオッ!!」

「セイヤァァァァァァァァァァァッ!!」

「うおおおおおおおっ!!」

 

雄たけびを上げながら二人は必殺の飛び蹴りを繰り出した。それと同時にユーリがガトリング砲を乱射し、エル・ロード達に弾丸の雨を浴びせた。その後に二人の蹴りが直撃する。

 

「バカな、復讐者の分際で……!」

「人間の、どこに…!こんな力が……!!」

「おのれ、アギトォォォ!!」

 

エル・ロード達は断末魔を上げながら爆散し、肉片を残して消滅した。

 

「っしゃ!幹部クラス撃破!」

「グリムが作戦を思いついてくれたおかげだな。」

「僕たちも、津上の後を追いましょう!」

 

アギトの後を追おうというユーリに、二人はコクリと頷き、3人は議事堂の中に入ろうとした。

しかし突如として議事堂の入り口がドンッ!!と激しい爆音を上げて爆発した。

 

「な、なんだ!?」

「あ、あれ……!!」

 

爆風による土煙が立ち上るなか、その中から現れたものを見て、3人は……空中に現れた映像を通し、国民全てが目を疑った。

煙の中から現れたのは、ミラージュアギト……そしてその手には、アギトが掴まれていた。

 

「津上君……!?」

「津上……!」

「先輩、嘘だろ……!?」

 

全身に鳥肌が走り、同時に冷や汗が流れ出た。目の前でアギトが、敗北してミラージュの手に吊るされて持ち上げられている。その姿は否応にも人類の敗北を示唆していた。

すると、ミラージュは左手でアギトを持ち上げ、宙に吊り上げる。そして、右手には炎でできた剣を創り出した。それをアギトの胸に……

 

「やめろっ!!」

 

最悪の事態を予見した3人はミラージュを止めようと駆け出した。しかし、急に足を何者かに掴まれ、3人はその場で転んでしまった。

見ると、地面から新たにアントロード達が溢れ出し、3人の足を掴んでいた。さらにアントロード達は3人の身体にのしかかる。

 

「くそっ……!離せぇっ!!」

「津上君を、やらせるわけには……!!」

「津上っ!津上起きろォッ!!」

 

大量のアントロードがのしかかり、3人は身動きが取れなくなった。しかし、それでもアギトを、翔一を助けようと、気を失っているアギトに声をかけ続ける。しかし、アギトは目覚めない。

そして、無常にもミラージュは剣を持った右腕を勢いよく、前に突き出した……

 

その光景は、皆が目にしていた。

 

「は、ははは……嘘、だろ……?」

「そんな……」

「津上翔一が……」

 

G3トレーラーの中で見ていたアイネとフランキー、それにフィオナ……

 

「仮面ライダーが……」

 

「WISE」本部内にいる全ての構成員とシルヴィア……

 

「アベルさんが視た未来の通りに、なってしまいましたか……」

 

「ガーデン」の店長……

 

「そんな、仮面ライダーが……」

「アギトが……!」

 

西国全ての国民……

 

「嘘だ……!」

「な、なぁ……嘘だって言ってくれよ……!!」

 

東国全ての国民……

そして、

 

「翔一君……!」

「ショーイチ……」

「そんな、そんなの……噓だと言って下さい……!!」

 

ロイドは目の前で起こったことに愕然とし、ヨルは涙を流し、「嘘だ、嘘だ」と言うように首を横に振り、アーニャは茫然と立ち尽くした。

 

目の前で起きた光景を、全世界の人間が目の当たりにした。

ミラージュアギトの手で、目の前でアギトの胸が、剣で貫かれる様を……

 

「先輩……!!」

「津上君ッ!!」

「津上……津上ィィィィィ!!」

 

それはまさしく、絶望。絶望を絵に描いたような光景……もう、人類は為すすべがないのだと、実感させられた……

 

「フハハハハハ……!!お前達の希望は、地に落ちた!」

 

高笑いを浮かべながら、ミラージュアギトはまるでゴミでも捨てるように、アギトを無造作に放り投げた。

投げ捨てられたアギトは、胸に穴を開け、大量の血を垂れ流し、その赤い目は輝きを失い、どんどん黒く染まっていった……

 

 

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