SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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更新が遅くなり、申し訳ありません。
仕事が忙しかったのと、夏休みを利用して札幌に行ったりしていたので……




第62話「絶望の終曲、希望の序曲」

 

「嘘だ……津上君が……!!」

 

大量のアントロード達に抑え込まれながら、3人は絶望的な光景を目の当たりにした。

最後の希望と呼べる存在……アギトが、津上翔一が、目の前で殺された。

 

「そんなこと……!そんなことあるわけねぇ!!」

 

ルデスはボルトアームを起動させ、高圧電流と起動した際の衝撃波によって、のしかかっていたアントロード達を吹き飛ばした。

 

「あいつは、津上先輩だぞ……?俺はあの人と一緒にいた時間は短いけど、あの人は簡単に死ぬような人じゃねぇ!!」

 

周りにいるアントロード達をトマホークとボルトアームで蹴散らしながら、ルデスは叫んだ。

目の前でアギトが胸を貫かれたのにも関わらず、まだ生きていると信じようとするグリム。強がり……ではあるが、それでも信じていた。

「もしかしたら、津上先輩なら奇跡を起こしてしまうのではないか」と。

 

「頼む、頼む起きてくれ!津上先輩!!」

 

ルデスは叫び、アギトに呼びかけるも、返事はない。穴が開いた胸からは大量の血が流れ、赤い目は黒く染まっていく。

それを見ただけで、アギトは死んでしまったのだと、嫌でも実感できた。

 

「よくも津上君を……!!」

 

ルデスがアントロードを倒したことで解放されたギルスとユーリは立ち上がり、アギトを殺した張本人であるミラージュアギトこと黒テオスを睨みつけた。

すると、ミラージュはフッと笑った。

 

「そんなにこの男が大事か?」

 

ミラージュは笑うと同時に、倒れているアギトを足で踏みつけた。

それを見た瞬間、

 

「貴様ァァァァァァァァ!!」

 

ギルスは雄たけびを上げてミラージュに突っ込んでいった。

自分達の目の前でアギトを殺しただけでなく、踏みつけて侮辱したミラージュを許せなかった。いつも冷静沈着なギルスは怒りで我を忘れ、何も考えずがむしゃらに攻撃をしかけた。

 

「クククッ、憎んでいるな……」

 

ミラージュは笑いながらギルスの攻撃をことごとくかわしていく。するとミラージュは右手に紫色の炎を出し、それを球体にしてギルスに投げつけた。

火球を正面からくらったものの、怒りの方が勝っていたギルスは、背中の赤い触手をミラージュに向けて差し向けた。

しかし、触手はミラージュに当たる寸前で動きが止まってしまった。

 

「!?」

「素晴らしい……」

 

小さくミラージュが呟いた、かと思うと触手は急にギルスの方を向き、目にも止まらぬ速さでギルスの喉仏に突き刺さった。

 

「がっ……!!?」

「怒り、憎しみ、悲しみ、絶望……」

 

ミラージュが右手をギュッと握ると、触手はさらにギルスの喉を貫いてく。

 

「がっ、ぁぁ……!!」

 

低いうめき声を上げ、言葉を発するのも困難になっていくギルス。しかし、ギルスは不死身のため、喉を貫かれたとしても死なない。しかしそれは逆に言えば、生きながら死を体験するのと同じこと。それを分かってか否か、ミラージュはさらに力を入れようとした。

しかしその時、トマホークがミラージュに向けて飛んできた。ミラージュは咄嗟に左手を出し、トマホークを空中で静止させた。

すると、ルデスが特攻し、空中で静止したトマホークを掴んでそのままミラージュを切り裂こうとした。

 

「てめぇだけは……ぶち殺してやる!!」

「人間の負の感情……!」

 

その時、ミラージュはルデスの攻撃をかわすと同時に右腕を掴み、そのまま逆の方向へ無理やり曲げ骨をへし折った。

 

「うああああああああああっ!!」

「なんとも美味だ……」

 

悲鳴を上げるルデスをよそに、噛みしめるように呟くミラージュ。さらにミラージュはルデスの腹部、ベルトの部分に鋭い掌底を食らわせた。

 

「がふっ……!!」

 

まるで腹を槍か何かで貫かれたかのような衝撃が全身に走り、ルデスは血反吐を吐きその場に倒れた。

その時だった。ユーリは以前、白テオスが言っていたことを思い出した。

 

『彼と戦う時、気をつけてほしいことがあります……決して、憎しみや怒りを抱いたまま戦わないように……』

 

その言葉を思い出した瞬間、ユーリの脳裏に一つの憶測が生まれた。白テオスの言葉と、先ほどの黒テオスの発言……その二つから導き出される一つの憶測……

その時、ミラージュは倒れたルデスに追い打ちをかけようと手を伸ばした。しかしユーリはすかさずガトリング砲を乱射しながら突進し、ルデスの前に壁のように立った。

 

「お前、まさかと思うが……人間の負の感情を、食ってるのか……!?」

「……フッフッフッ……もう一人の私の入れ知恵か?……正解だ。」

 

突如笑い始めたミラージュは左手を掲げて力を込めた。すると、手のひらに黒っぽい紫色の球体が現れた。それは淡い光を発し、何やら細かい靄のようなものが渦巻いていた。さらに驚いたことに、その球体から声が聞こえてきた。

 

〈俺達はここで死ぬのか……?〉

〈嫌よ、死にたくない……!ママ、パパ……!〉

〈クソっ!仮面ライダーの役立たず!〉

〈おのれ、おのれアンノウン……!!〉

 

球体から聞こえてくる声に、ユーリは息を飲んだ。その球体は、負の感情そのもの。ありとあらゆる人間の負の感情を集めた塊……

すると、ミラージュはマスクの口部分をガバッと開き、中に球体を放り投げた。さらにそのまま咀嚼して飲み込んだ。

 

「ムゥゥゥンッ……!!ヌオオオオオオオオッ!!」

 

全身に黒いオーラのような光を纏ったかと思うと、それを一気に解放。衝撃波となって3人を吹き飛ばした。

 

『うわっ!!』

「見ろ……これが力だっ!!」

 

────────────────────────

 

「もう、ダメだ……」

 

避難民の一人がそう呟いた。その言葉が伝染するように、他の皆も絶望していた。

仮面ライダーでさえ、最後の希望であるヒーローですら倒せない敵……まさしくこの世の終わりだった。

 

「ロイドさん……!」

「死ぬときは、一緒にいましょう……」

 

ロイドとヨルも、その絶望的状況に諦めがついたのか、互いに抱きしめ合った。

だが、アーニャは、子ども達は違った。

アーニャとダミアンは、空中に浮かぶモニターに向かって大声で叫んだ。

 

『負けるなっ!仮面ライダーーーーー!!』

 

小さくとも大きな応援の声…その声を聞いた途端、避難所にいた避難民達の空気が変わりつつあった。

アーニャとダミアンはベッキー、エミール、ユーインに顔を向けると、何も言わずに3人に手を差し伸べた。

「一緒に!」と言うかのようだった。先ほどまで泣いていた3人は涙を拭い、その手を取った。そして、アーニャとダミアンに続いて叫んだ。

 

「がんばれっ、仮面ライダー!!」

「負けるなーーーっ!!」

「諦めないでッ!!」

 

さらに、その声に続くように他の子ども達も応援を始めた。その光景を見て、周りの大人達の中に渦巻いていた絶望感は徐々に薄まっていった。

すると、ロイドは自分の頬を自分で叩いた。

 

(子ども達はまだ諦めてない……なのに、大人が諦めてどうする!彼らを信じてあげられるのは、俺達だ!!)

 

ロイドは諦めかけていた自分を恥じ、立ち上がった。同時にヨルも立ち上がった。ヨルも、ロイドと同じ考えに達したのだ。

 

「そうだ……負けるな、アギトッ!!」

「頑張ってください、仮面ライダー!!」

 

子ども達に続き、ロイドとヨルも叫ぶ。さらに……

 

「カミラ、俺達も!」

「……ええっ!」

(この光景……まさにエレガ……!いや、言葉は不要か!)

 

ドミニクにカミラ、ヘンダーソンも応援に加わった。

応援はさらに伝播していった。その場にいた全ての避難民達……それだけではない。

 

「ほら、がんばれがんばれーっ!!」

「頑張って、津上君!」

「立ちなさい、津上翔一……!!」

 

フランキー、アイネ、フィオナ……

 

「頼む、立ち上がってくれ……ライダー……!!」

 

シルヴィア……

 

「あなたが最後の希望です、仮面ライダーアギト……!」

 

「ガーデン」の店長……

そして、

 

「負けるなっ!ライダー!!」

「頑張って仮面ライダー!!」

 

東国と西国の全ての人々が、否、全世界の人間がアギトにエールを送っている。

その時だった。アーニャのポケットから光が漏れた。アーニャは中に入っているものを出すと、それは実の母、ソニアが遺した、粉々になった賢者の石(ワイズマン・モノリス)だった。

 

「ママのいしが……!」

『みんな仲良くしなきゃ、ダメよ……みんなで手を取り合って……みんなが笑顔で過ごせる、優しい未来のために……』

 

その時、頭の中にソニアの声が流れ込んできた・・・かと思うと石は突然宙に浮かび、開いている窓から外に飛び出していった。

 

「あっ!ママ!!」

「な、なんだこれは!?」

 

アーニャが声を上げてすぐ、今度はロイドが声を上げた。アーニャはそこに目を向けると、そこに目を疑う光景があった。なんと、さきほどまで応援していたロイドとヨルの前に、アギトの武器……「シャイニングカリバー」が現れていたのだ。

 

「これって・・・」

「アギトの……!」

 

その時、アーニャの前にもシャイニングカリバーが現れた。それは突然現れた、というより胸の中から小さい光が出てきて、その光がシャイニングカリバーに変わった、という感じだった。

そして、この不思議な現象が起きているのはフォージャー一家だけではなかった。周りにいる人間、その場にいた全員に同じことが起きていた。しかし、他の皆にはシャイニングカリバーは見えていないようだった。

 

「みんなには見えていないのか……?」

 

と、その時だった。

 

「あっ、剣が!!」

 

皆から現れたシャイニングカリバーは束になってその場から突然飛び去っていった。

そして、その束になった剣は、あの場所へと……

 

────────────────────────

 

『うああああああああああっ!!』

 

そのころ、3人はミラージュアギトの攻撃によって蹂躙されていた。

ギルスは全身から血を流し、グリムは右腕をへし折られ、左腕の義手は破壊され、ベルトにはヒビが入っていた。ユーリもマスクが飛んで素顔を晒し、アーマーもボロボロになり、口からは血反吐を吐いていた。

 

「くそっ……!」

「無駄なあがきを……」

 

ミラージュは3人にとどめを刺そうと両手に紫色の炎をまとわせた。だが、その時だった。

眩い光が辺りを照らし始めた。

 

『うっ!』

「な、なんだこの光は……!?」

 

突如現れた光…その光はやがて人の形になり、さらに驚いたことに、アギトへと姿を変えた。

 

「なっ……!?貴様は……!」

 

ミラージュは目の前に現れたアギトに見覚えがあった。そのアギトは見た目こそ翔一のアギトと同じだが、その体つきは女性そのものだった。

すると、女型アギトはミラージュを無視して、倒れた翔一のアギトに目を移した。

 

「翔一君、起きて……あなたはまだ死んではダメ。待ってる人が大勢いるわ。」

「なんの真似だ、"ソニア"!」

 

ミラージュは気づいていた。目の前にいるアギトこそ、自身が殺した女性、アーニャの母親ソニアだということを。

 

「ドノバン……いえ、テオス。あなたに翔一君は倒せない。負の感情を糧にするあなたには。」

 

ソニアはミラージュに背を向けながら吐き捨てるように言うと、元の光の球に戻った・・・かと思うとアギトの胸に開いた大穴の中に入り込んだ。

すると、アギトの胸に開いた大穴が綺麗にふさがり始めた。

 

「なにっ!?」

「お、おい!アレ見ろっ!!」

 

その時、ルデスは大声をあげて空を指差した。そこには、仮面ライダーを応援するもの達から現れたシャイニングカリバーの大群が。

 

「あれはアギトの……!」

 

そして次の瞬間、なんとシャイニングカリバーの大群は一斉にアギトの胸に突き刺さった。

 

『!!?』

 

その場にいた全員が驚いた。剣がいきなりアギトに突き刺さったことだけではない。突き刺さった剣はスッ…とアギトの体に吸収されていったのだ。その後も大量のシャイニングカリバーが突き刺さり、その度に体に吸収されていった。アギトの目も光を取り戻し、元の赤色に戻っていった。

 

そして、奇跡が起きた。

誰もが願った奇跡は形を変えて、希望という名の限界を超えた光(シャイニング・オーバーロード)となる。

 

「ハアッ!!」

 

次の瞬間、アギトは完全に復活を遂げ体をシャイニングフォームへと変えた。さらに、その背中からは巨大な白い翼が生えた。

 

「つ・・・つ・・・津上ぃ!!」

「本当に、本当に復活したのか……!」

「奇跡だ……!」

 

3人は翔一が蘇ったことに喜んでいた。しかし、喜びもつかの間、アントロード達が一斉にアギトを取り囲んだ。

すると、アギトの翼から2本の羽根が抜け、ふわりと浮いた……と思った次の瞬間、その羽根は縦横無尽に飛び回り、目の前にいたアントロードを切り刻んだ。

 

『!!』

 

その羽根をよく見ると、シャイニングカリバーでできており、何億もの剣が羽根となって集まり、それが白い翼を形作っているのだ。

剣の羽根は容赦なくアントロード達を切り刻み、細切れにしていった。

 

「くっ……いけっ!」

 

ミラージュは叫んだ。すると、先ほどギルス達に倒されたはずのエル・ロード達が復活し、ゆらりと立ち上がった。

 

「復活した!?」

 

エル・ロードの一体、地のエルはアギトに果敢に向かっていった。間合いに入ったところで剣を思いきり振り上げた。

しかし次の瞬間、アギトは軽く右拳を振り上げた。その瞬間、ドォンッ!!という爆発音とともに地のエルの体に大穴が開いた。

 

『!!!』

「うっ、あっ……」

 

地のエルは断末魔を上げる間もなく爆発し、塵となった。

その光景を見た3人とミラージュ、水のエル、風のエルは驚愕し声も出なかった。

 

(軽く拳を振るっただけで……)

(さっきの羽根といい……津上はどれだけ強くなってるんだ……!?)

 

驚愕している中、アギトの翼から剣の羽根が3本ほど抜けた。そしてそれは、なんと3人に突き刺さった。

 

「なっ!?」

「うっ!?」

「うわっ!!」

 

しかし、羽根は突き刺さってすぐフッ、と消えてしまった。その時、不思議なことが起こった。

先ほどまでボロボロになって満身創痍だった3人の体が治り、傷が塞がり始めたのだ。

 

「か、回復してる!?」

「す、すげぇ!こんなこともできんのかよ、先輩!」

「まるで……!」

 

「神」、とユーリが言葉を紡ごうとしたその瞬間、

 

「チィッ!」

 

風のエルが弓を構え、アギトに向けて放った。しかし、アギトは拳で簡単に矢を弾いた。するとアギトは翼をまるでマントのように体に纏った。そして次の瞬間、アギトは突然姿を消した。

 

「消え……ッ!!?」

 

風のエルが声を上げた瞬間、背後からアギトが現れ、翼をブォンッ!と勢いよく振った。翼とはいえ、それを構成している羽根はシャイニングカリバー。束になった剣となって風のエルを真っ二つに切り裂いた。

 

「アギト……!!」

 

風のエルが倒されたのを見て、水のエルは慌てて攻撃を始めた。手のひらに衝撃破の弾を作り、それをアギトに向けて次々と放った。

アギトはそれを片手だけで弾いていく。しかし、この攻撃は囮だった。水のエルは素早く懐に入り込み、右手を腹に押し当て、そのまま直接衝撃波を叩き込んだ。

しかし……アギトは動じることはなかった。

 

(き、効いていない……!?)

 

攻撃はアギトに効いていなかった。水のエルが驚愕する中、アギトは水のエルの首を掴み、そのまま持ち上げた。

 

「ぐぁっ……!!」

「・・・今のは、ヨルさんを病院送りにしたヤツだな・・・」

 

水のエルが放ったのは、かつてヨルに放ち、病院送りにしたものと同じだった。それを思い出し、アギトは怒りを覚えたのか、拳を一層強く握りしめ、さらに10枚の羽根が光に変化し、拳に吸収された。

 

「フンッ!!!」

 

その瞬間、一筋の閃光が走り、目の前には光の柱が天まで向かって伸びた。

アギトが繰り出した本気の一撃。それは光となって水のエルを飲み込んだ。

 

「ぐおおおおおおおっ!!ア、ギ……!!」

 

捨て台詞を言う間もなく、水のエルは光に飲まれ消えていった。塵すら残ることなく、全て消滅していった。

その光景、アギトの圧倒的強さを見て、3人は息を飲むと同時に、茫然としていた。

 

「は、ははは……強すぎんだろ……」

「つ……津上君!」

 

その時、ギルスはアギトに呼びかけた。不安なことがあった。それは…目の前にいるのが本当に"津上翔一"なのか、ということだ。

もし、もし仮に、万が一先ほどのソニアが翔一の体を乗っ取ったとしたら?そんなことをするとは思えないが、その僅かな可能性がフリッドの、3人の不安を煽った。

その時、アギトは3人の方を向いた。

 

「フリッドさんっ!グリム!ユーリさん!大丈夫っ!」

 

3人の名を呼び、たった一言だけ「大丈夫」とだけ言ったアギト。それを聞いた瞬間、安堵感に包まれた3人。

心配して損をした、翔一は翔一のままだ……と3人は思った。

そんな3人をよそに、アギトは背中の翼を大きく広げた。

 

「いけっ、津上君!!」

「思いっ切りやっつけろ、先輩っ!!」

「手ぶらで帰ってくるなよ……津上ぃっ!!」

 

3人の応援を背中で受けるアギト。それに対し、ただコクリと頷き、空へ飛翔する。

さらにミラージュも紫の炎を翼に変化させ、同じく飛翔した。

 

「ハァッ!!」

「ムゥンッ!!」

 

両者は互いに拳を繰り出した。拳ぶつかり合った瞬間、凄まじい衝撃波が走った。その勢いは何かと掴まっていなければ吹き飛ぶほどで、さらにその衝撃波は強風となって避難場所であるイーデン校にまで届いていた。

 

────────────────────────

 

そのころイーデン校では避難民達が活気づいていた。復活したアギトを見て声を上げ、皆、応援を始めた。

もちろんその中にはロイド達もいる。

 

その時、

 

「ボフッ!ボフッ!」

 

ペットのボンドが吠えた。さらにアーニャの服を咥え、引っ張り始めた。

 

「ボンド?どうした……っ!!」

 

その時、アーニャはボンドの心を読んだ。ボンドは未来を視ることができる。それを読んだアーニャが見たものは……

 

「……ちちっ!ははっ!みんなでショーイチのとこ、いくっ!!」

「アーニャ!?」

「アーニャさん・・・一体何を……!」

 

ボンドが視た未来を見て、アーニャはすぐ行かなければならないと思った。それも自分一人だけではなく、家族全員で。

 

「ショーイチは、アーニャたちのかぞく!かぞくをたすけるますっ!!」

 

アーニャのその叫びに、ロイドとヨルは顔を見合わせ……互いにウンと頷いた。

 

「……そうだな。翔一君だって俺たちの家族だ。」

「お助けしましょう!」

「ヘンダーソン先生!」

 

ロイドはアギトを応援しているヘンダーソンに声をかけた。

 

「車……先生、車持ってますか!?」

「えっ?あ、ああ……裏の駐車場に停めてあるが……」

「お願いです!少しの間、車を貸してもらえませんか!?」

「な、なにっ!?」

 

突然の申し出にヘンダーソンは驚いた。それもそのはず、こんな状況下で、車を使ってどこへ行こうというのか……

しかし、ロイドはまっすぐな瞳でヘンダーソンに訴えかけた。後ろにいるヨルとアーニャも同様だった。

 

「お願いします!」

「家族を……翔一さんを助けなきゃいけないんです!!」

「おねがいするますっ!」

 

3人は同時にヘンダーソンに頭を下げた。すると、3人の熱意が伝わったのか、ヘンダーソンはフッと笑いながらポケットに手を入れた。

 

「……翔一……あのエレガントな男か。ならば、放っておくワケにはいくまい。」

 

ヘンダーソンはそう言うと、ポケットから取り出した車のキーを、ロイドに投げ渡した。

 

「いけっ、フォージャー一家!君たちの家族を救うんだっ!!」

『はいっ!!』

 

3人はヘンダーソンにペコリと頭を下げ、そのまま裏の駐車場めがけて走り去っていった。

ロイドとヨルは知らなかった。自分たち家族こそが、アギトの勝利のカギであることを。

それを知っているのは、アーニャとボンドだけだった……

 

 




おまけ「最終進化」

仮面ライダーアギト シャイニングオーバーロード

死んだはずのアギトが、ソニアの賢者の石と世界中の人間達の奥底に眠るアギトの力により復活、最終進化した姿。
見た目こそシャイニングフォームと同じだが、最大の違いは背中から生えた翼にある。世界中の人間達のアギトの力がシャイニングカリバーへと姿を変え、それが何億本もの羽根として集まって巨大な翼を形成している。
羽根は一本一本独立で操作可能で、そのままの状態で飛ばして切り裂いたり、何本も集まって盾にしたり、光体に変えて拳や脚に纏わせて攻撃を強化したりなど、基本的にできないことはない。できないことは死者の蘇生ぐらい。
アギト自身のスペックも向上しており、シャイニングフォームの約5倍のスペックを誇る。
エル・ロードを瞬殺し、ミラージュアギトと互角に戦えるため、その強さは神にすら匹敵する。

──────────────────────

今回の展開、どっちかと言うとウルトラマンみたいな感じになっちゃうなぁ…と思ったのですが、最終的に「本当に強いのは、人の想いだ!!」という結論に落ち着いたため、この展開に決定しました。

シャイニングオーバーロードですが、最終回限定フォームをアギトでもやりたかったので作ってみました。でも、なんかちょっと「牙狼」っぽくなったかも……

最終回まで残り2回(予定)!!
頑張って駆け抜けます!

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