プロローグ
しかし、そのアンノウンに対抗する一人の英雄が現れた。その名は、仮面ライダーアギト……アギトは人々を守るため、その力を使いアンノウン達と戦った。
そして、戦いの果てにアギトはアンノウンの大元である"神"を倒した。しかし、その代償にアギトはこの世界から姿を消してしまった……
そして現在……アンノウンが消え去り、両国は平和を取り戻し、この世界を守ったアギトは英雄として崇められ、
しかし、忘れてはならない。英雄アギトの傍には、他に3人の仮面ライダーがいたことを……
その3人は東国にいる……
「いらっしゃいませ!」
「いらさいませー!」
東国の駅前にある喫茶店「喫茶シオン」……この店は3人の家族が運営している。
店の主人ロイド・フォージャー、かつては"黄昏"という西国イチのスパイだったが、今はこの「喫茶シオン」を家族とともに切り盛りしている。
「ヨルさん、2番テーブルさんパスタランチ上がりました。」
「はーい!」
ロイドが差し出したランチを受け取ったのは妻のヨル・フォージャー。かつては凄腕の殺し屋"いばら姫"として名をはせていたが、ロイドと同じく肩書を捨て、家族とともに店を切り盛りしている。
「ありがとうございました!またどうぞー!」
「アーニャさん、テーブルお願いしますね!」
「うぃっ!」
客が帰った後のテーブルをヨルが片づけ、その上を小さい少女が布巾で拭いた。彼女は娘のアーニャ・フォージャー。二人と違って肩書はないが、他者の心を読む超能力を使うことができる。
3人は互いに正体を明かし、肩書を捨て、普通の生活を送っていた。
カランカラン!
店のドアが開き、同時にベルが鳴った。
「いらっしゃ……お、3人とも!」
「やぁ」
店に入ってきたのは一家の友人だった。
3人はカウンターの席に隣り合って座ると、落ち着いた風貌の男は店を見回した。
「相変わらず忙しそうだな。」
「忙しいのはいいことだ。注文は?」
「コーヒー頼む。」
落ち着いた風貌のこの男の名は、フリッド・リード。職業は家庭教師。現在は家庭教師をする傍ら教員免許を取得するため勉強をしている。
「俺、コーラ!後、ボロネーゼ!特盛で!」
特盛パスタを注文した左腕が義手の食欲旺盛な少年・・・この少年はグリム。職業は殺し屋。かつてヨルが所属していた組織「ガーデン」の殺し屋である。
「僕もコーヒー。おい、ロッティ!姉さんに苦労かけてないだろうな!もしそうだったら容赦しないからな!」
「フフッ、分かってるさ。」
ロイドを「ロッティ」と呼びまくしたてたのは、ヨルの弟ユーリ・ブライア。職業は保安局・秘密警察の一員。階級は中尉。
3人はロイド達の秘密(本職)を知りながらも普通に接し、時には3人を支えている心強い存在だった。
「ヨルさん、3番テーブルさんデザート上がりました。」
「いや、俺持ってくぜ。」
そう言って立ち上がったのはグリムだった。ヨルの代わりにロイドが差し出した皿を受け取った。
「あ、いいんですよグリムくん!お客さんなんですから!」
「いいって。どうせ料理来るまで暇だしな。それに……」
ヨルが申し訳なさそうにグリムを座らせようとするが、グリムは首を横に振るう。と、その時、店の奥から「ホギャーッ、ホギャーッ」と赤ん坊の鳴き声が響いた。
「先輩はあっちで忙しいだろ?」
「ヨルさん、こっちは大丈夫ですから…
「すいません……では、失礼します。」
ヨルは申し訳なさそうに会釈すると、すぐさま店の奥にある部屋に駆け出した。
ロイドは料理を作りながら、聞き耳を立てた。耳を澄ませると、部屋の中からヨルの声が聞こえてくる。
「シエルちゃーん、どうしましたか~?よしよし、お腹が空いたんですね。すぐにおっぱいあげますからね♪」
その言葉とともに衣擦れの音がし、その後に何かを吸うようなリップ音が聞こえた。
「フフッ……」
さらに聞こえてきたヨルの笑う声。決してくすぐったがってるような声ではない。母親としての安らぎを感じているような笑い声だ。それを聞き、ロイドもまた微笑みを浮かべた。
「幸せそうだな、ロイド君。」
「ああ…今が一番幸せだ。」
ロイドとヨルの間に一人の子どもが生まれた。名前はシエル。シエル・フォージャー。玉のような男の子だ。ロイドとヨルは、もちろんアーニャも、ペットのボンドもシエルに対して目一杯の愛情を注いでいる。
「そういえば、シエルって・・・『空』って意味だっけ?」
「その通り。あの子には・・・彼みたいな明るい子になってほしいからな・・・」
"彼"・・・ロイドがそう言った途端、その場にいた全員が物憂げな表情を見せた。
「あいつがいなくなってから、もう1年か……」
「あっという間だな……」
フォージャー家にはもう一人、家族がいた。その名は津上翔一。その正体は・・・仮面ライダーアギト。この世界を救った英雄である。しかし、その正体を知るのはフォージャー家とフリッド達、それに一部の人間のみである。
ロイド達は消えてしまった翔一の姿を思い浮かべ、懐かしんだ。彼とともに歩み、ともに戦った日々を。
「帰ってこねぇかな、先輩。」
料理を置き終わって戻ってきたグリムがボソッと呟いた。
「あの人が帰ってくるならさ、今日みたいな雲一つねぇ青空の日だと思うんだよ。」
「確かに・・・彼の笑顔は青空とよく似合う。」
フリッドの一言に、ロイドとユーリは頷き微笑んだ。
皆は日々想像した。翔一とまた会える日を。そして、ロイドは思った。もし・・・もしまた会えるなら、自分達の息子を見せてあげたいと……
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フリッド、グリム、ユーリ・・・この3人には本職とは別の顔を持っていた。
それは……
『ターゲットは南4丁目を移動中!追いかけて迎撃!』
「了解!」
「よっしゃ!」
「任せておけ!」
3人はバイクにまたがり、無線から流れる指示に従い街の中を走っていた。ユーリに至っては
「僕が先行して、先回りします。奴を挟み撃ちに!」
「わかった!」
ユーリは二人に作戦を伝えると速度を上げて先行した。
「グリム、いくぞ!」
「おうよ!」
ユーリが先行したのを見て、二人はバイクに乗りながら構えた。フリッドは両腕を顔の前で、グリムは腰の前で交差させた。そして、叫ぶ。
『変身ッ!!』
その叫びとともに二人は姿を変えた。フリッドは赤い目に全身緑色のカミキリムシのような異形の戦士に、グリムも同じく赤い目に深緑色の身体に背中から羽根のようなマフラーを生やした戦士へと変わった。
「見つけた!」
グリムは視線の先にターゲットを発見した。それを犬の姿をした怪人だった。犬の怪人は二人を見るなり、逃げだした・・・が、すぐに先回りしていたユーリが目の前に立ちふさがり、止まった。
「グルルルル……!」
「アンノウン……!」
「残党がいやがったか!」
犬型のアンノウン、ドッグ・ロードはキョロキョロと辺りを見回しながら、3人を睨み歯ぎしりを立てた。
そして、睨みながら叫んだ。
「わ、我らが創造主さえ生きていれば、貴様らなど……!!」
「負け惜しみはみっともないな!おとなしくやられていけ!」
「断る!」
ドッグロードは一瞬の隙を見計らい、3人の間から逃走した。
そして近くにある倉庫の裏に隠れた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「随分息切れ早いじゃねぇか。」
隠れて息を休めるドッグロードだったが、そこにはすでにグリムが先回りしていた。
驚いたドッグロードはすかさずグリムに襲い掛かった。しかし、グリムは左腕の義手に隠された機能を発動した。
「くらえっ!!」
グリムは左手をドッグロードの腹に押し付けた。その瞬間、凄まじい電流がドッグロードに叩きこまれ、ドッグロードは痺れると同時に遠くに吹き飛んだ。
「グアァァァァァ!!」
「そこか!」
その時、ドッグロードが吹き飛んだのを見て、フリッドが右腕から鞭状の触手を生やし、ドッグロードに伸ばして首に巻き付けた。そしてそのまま自分の元に引き寄せた。さらに、左腕から鋭い爪を生やし、胸に突き刺した。
「グウッ!!」
「ユーリ君!」
「はい!」
ユーリはトランク状に折り畳まれた武装を取り出した。そして、解除ボタン「1、3、2」を入力した。「カイジョシマス」の声とともに武装のロックが解除され、ユーリはガトリング砲に変形させた。
『GX-05 ケルベロス、アクティブ!』
「当たれぇぇぇ!!」
フリッドはユーリがガトリング砲を取り出したのを見て、ドッグロードを宙に放り投げた。そこにユーリがすかさずガトリング砲の銃弾をドッグロードに浴びせる。
「グッ……!!グウアアアアアアアッ!!」
銃弾の雨を食らいハチの巣になるドッグロード。そして、それに耐えられなかったドッグロードの身体は爆発を起こし、粉々になって散っていった。
「なーんだ、歯ごたえねぇな。」
「それにしても、まだアンノウンの残党がいたなんてな……」
「パトロールを強化した方がよさそうですね……上に掛け合ってみます。」
3人のもう一つの顔……それは、仮面ライダー!
仮面ライダーギルス、フリッド・リード
仮面ライダールデス、グリム
仮面ライダーG3-X、ユーリ・ブライア
この物語は、アギトがいなくなった後の、3人の仮面ライダー達の物語である……
「あれがこの世界のMaskd riderですか。彼らはどんなDateを見せてくれるのでしょうか……」
お待たせしました・・・(待ってないかもしれないけど)
本編の後日談「After Stories」の開幕です!
第53話でのあとがきの通り、昭和・平成・令和からそれぞれゲストライダーが参戦!
以下、ラインナップになります。
Episode:F「血濡れの狩人と銀の仮面」
Episode:G「夢追い人と守り人」
Episode:Y「青い瞳と白狐」
順次公開予定です!