SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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注意
Episode:Fには以下の様子が含まれています。

・宗教要素あり
・グロい表現あり
・鬱展開あり
・胸糞要素あり
・フリッドがハッちゃけてる

それでもよろしければ・・・どうぞ!




Episode:F「血濡れの狩人と銀の仮面」
PART.1:邂逅


仮面ライダーギルスこと、フリッド・リード……彼は今、超重大なイベントと直面していた。

 

「ねぇ、フリッド。私、結婚指輪が欲しい。」

 

それはある日のこと、同居している女性フィオナからの一言から始まった。

フィオナの一言を聞いた途端、皿洗いをしていたフリッドは驚きの表情のまま固まった。

 

「……なに?嫌だった?」

「いやいやいやいやいやいやいやいや!!!超嬉しいっ!!めっっっっっちゃくちゃ嬉しい!!でもなんで!!?どういう風の吹き回し!!?」

 

興奮気味に話すフリッドに対し、フィオナは得意のポーカーフェイスとため息を吐き、静かに答え始めた。

 

────────────────────────

 

「な、なぁフィオナくん!今夜空いてるかなぁ?」

「空いてません。」

 

昨日、フィオナが勤める(表向きに)バーリント総合病院で、フィオナは上司であるジェラルド・ゴーリー部長にアプローチをかけられていた。

フィオナはそれを冷たくあしらったが、ジェラルドはしつこくアプローチをかけ続ける。

 

「じゃ、じゃあ明日は?明後日は!?その次の日とか・・・!」

(ウザい……)

 

もうこのまま消してやろうか、と思ったフィオナの視線の先に、若い看護婦が二人何やら話をしているのが見えた。

フィオナは読唇術で何を喋っているのか予想した。

 

「え、あなた結婚するの!?」

「そう!そうなの!この間、カレに結婚指輪買ってもらったの!」

 

「結婚指輪」・・・それを聞き、フィオナは脳裏に先輩であるロイドの指に嵌めている指輪を思い浮かべた。そしてこう思った。婚約指輪をつければ、この男も諦めるのではないかと。

 

(私は今…猛烈にアレが欲しい!)

 

────────────────────────

 

「・・・つまり、ジェラルド部長に対するバリアとして指輪が欲しい、と……」

「そういうこと。・・・で、アンタは何やってんの?」

 

フィオナは視線をフリッドの手元に移した。フリッドはバットに釘を打ち付け、釘バットを作ろうとしていた。

 

「ん?ああ、ちょっとスイカ割りをしたくなって……」

「誰の(スイカ)割るつもり?」

 

フィオナの話を聞き、フリッドは表情こそ平静を保っていたが、内心フィオナを口説こうとしたジェラルドに対して腸が煮えくり返っていた。

そんなフリッドをよそに、フィオナは話を続けた。

 

「話戻すけど、お金渡すから指輪買ってきて。デザインはシンプルな奴ならなんでもいいから。」

「え・・・?でも俺、君の指のサイズ知らないけど。」

「……ホワッツ?」

 

フリッドの返答に、フィオナは思わず変な声を上げてしまった。

そのお返しとばかりにフリッドは尋ねた。

 

「じゃあ、君は俺の指のサイズ分かる?」

「・・・わかんない。」

 

フィオナは正直に答えた。するとフリッドはパーッと明るい笑顔を浮かべ始めた。正直、気味が悪いほどに。

嫌な予感がしたフィオナは先んじて声を上げた。

 

「じゃあフリッドが好きなデザインの奴、一個買って、それを使いまわせばいいわ。それで値段も一個分で済む……」

「いいえ!それはできまっせーーんッ!!」

 

フィオナの意見に反論を示し、フリッドは大声を上げ、さらに続けた。

 

「いいか?フィオナ、スパイである君にこんなこと言うのもどうかと思うが、人間の指のサイズっていうのは本当に一人一人バラッバラなんだ!第一男と女じゃ指の太さ違いすぎるだろ?カモフラージュするのにサイズの違う指輪をしてたらおかしいだろう?」

 

フリッドの言っていることは正論だった。フィオナは何も言い返せず、ただ黙り込んだ。

するとフリッドはフィオナの肩を叩いた。

 

「じゃ、次の休みの日、一緒に買いに行こう。ゆ・び・わっ!!」

「……はい。」

 

有無を言わさぬ迫力を出してきたフリッドに、フィオナはもはや何も言えずただ肯定するしかなかった。

 

────────────────────────

 

「……で、指輪買ったのかよ。」

「ああ、もちろんだとも~~~♪」

 

後日、近所の公園にてフリッドは指輪を買ったことをグリムに伝えていた。

フリッドは今にもスキップしてしまいそうな動きを見せ、その場でくるくる回った。

 

「まぁ、今指輪の内側にイニシャル入れて貰ってるから、届くのは後日なんだけどなーーー♪」

「……そんなに嬉しいかねぇ、指輪ぐらいで。俺だったらケーキの方がいいぜ。」

「はっ!ケーキ!!ウェディングケーキ買わなきゃ……!!」

「……なんでアンタはフィオナが絡むとバカになるんだろうな……」

 

いつもは冷静沈着で落ち着きのあるイケメン・・・という印象が強いフリッドだが、フィオナが絡むと一気に頭が悪くなるのだ。

そんな時、公園の遊具で遊ぶ子どもの声が聞こえてきた。

 

「お兄ちゃん!そんな高いとこ登ったら危ないよぉ!」

「へへっ、大丈夫だって!」

「ん・・・?」

 

子どもの声が聞こえ、フリッドはふとそちらに目線を移した。

すると、ジャングルジムの一番上に乗った子どもが叫んだ。

 

「いっくぞー!!ライダーキーーーック!!」

 

少年は叫ぶと同時にジャングルジムから勢いよく飛び降り、そのまま片足を突き出した。しかし、少年はそのまま地面に真っ逆さまに落ちて行ってしまう。

 

「あぶないっ!!!」

 

少年の危機を感じたフリッドは咄嗟に走り出した。しかし、フリッドがいる位置とジャングルジムからは少し距離がある。今全速力で走っても間に合わないかもしれない・・・と思った次の瞬間、何者かが少年の前に現れ、落ちてきた少年を受け止めた。

 

「なっ……!?」

 

少年を受け止めたのは、男だった。それも50代ぐらいの初老の男だった。男は短髪の黒髪と風になびかせながら、少年の肩を掴んで目をじっと見つめた。

 

「君、危ないじゃないか!ライダーキックは、仮面ライダーだからできるんだ!真似をしちゃいかん!」

「ご、ごめんなさい……」

 

男から説教を食らい、少年は反省したのかしょんぼりとし始めた。

と、そこに・・・

 

「あ、ママ!」

「ちょっとあなた!」

 

少年の母親が現れ、男から息子を引き離し、自分の元へ引き寄せた。さらに男をギロリと睨みつけた。

 

「あなた…ウチの子に何するの!?」

「いや、俺は・・・」

「ちょっと待ってください!」

 

子どもを助けた男を非難しようとする母親を見かねて、フリッドは慌てて声をかけた。

 

「その人・・・その子を助けてあげたんですよ。その子、ジャングルジムの上からライダーキックの真似をして……」

「えっ!?ぼうや、本当なの?」

 

フリッドの話を聞き、母親は目を見開いて驚いた。そして息子の方に目を向け、真意を聞きだした。息子は何も言わずにコクリと頷いた。

 

「もうっ!そんな危ないことして!すいません・・・助けていただいたのに・・・!」

 

さっきとは打って変わって、低姿勢でペコペコと男に頭を下げ始める母親。

 

「いえいえ、当然のことをしたまでです!」

 

さきほどのことなどまるで気にしないように、男はニコニコと笑っていた。

母親は息子二人を連れてその場を立ち去ると、男はフリッドの方に顔を向けた。

 

「いやぁ、助かった!ありがとう!」

「いえいえ、お役に立てて何よりです。それにしても・・・あなた凄いですよ!失礼ですけど、お年を召しているのに、咄嗟に動けるなんて……」

「いや、君こそ大したモンさ。あの時、君はあの子を助けようとしただろ?距離が遠くて、間に合わないかもしれないのに……勇気があるな!」

 

二人は互いに意気投合し、互いに笑って握手を交わした。

 

(ん?)

 

その時、フリッドは違和感を感じた。握手を交わした男の手が異様に硬い。まるで鉄板でも握っているかのような……

 

「おーいおっさん!いつまでやってんだよー!」

 

異様に感じたフリッドだったが、業を煮やしたグリムの一声にハッと我に返った。

 

「あ、すいません!俺はこれで!」

「ああ、じゃあな!」

 

フリッドは男に別れを告げ、グリムとともに公園を立ち去った。

 

────────────────────────

 

その後、フリッドとグリムは行きつけであるロイドの店「喫茶シオン」を訪れた。

 

「おいっす!また来てや・・・あっ、シエル!」

 

店に入ってすぐ、グリムは声を上げた。それもそのはず、いつもは店の奥で寝ているはずのシエルが、ヨルに抱かれて店に出ているのだ。

 

「今の時間、暇だからな。シエルに店の中を見てもらおうと思ってな。」

 

ロイドの言う通り、ランチタイムを過ぎた時間は暇らしく、客数がまばらだった。

それをよそに、二人はシエルに近づいた。

 

「シエル~♪グリム兄ちゃんだぞ~!」

 

グリムが満面の笑みを浮かべ、頬をつつくと、シエルはニコニコ笑って指をキュッと掴んできた。それを見て、グリムは思わず笑みがこぼれた。

 

「へへへ・・・赤ん坊ってこんなに可愛かったんだなぁ・・・」

「ほら、グリム!次は俺の番!シエルちゃーん♪」

 

グリムと代わり、フリッドがシエルの前に出た。しかし・・・

 

「フリッドおじちゃ・・・」

「ホギャアッ!!ホギャアッ!!ホギャアッ!!」

「え"っ!?」

 

フリッドが声をかけようとした瞬間、シエルは大声で泣き叫んでしまった。

 

「あらあらよしよし!フリッドさんは怖くないでちゅよ~~?」

「プッ、嫌われてやんの!」

「ま、まあ、相性があるだろうし・・・・な?」

「うん……気にしてない……」

 

口では強がったが、フリッドは明らかにショックを受けていた。フリッドは子ども好きのため、その子どもに拒絶されるのがショックなのだ。

その時、入口のドアベルが鳴り響いた。ロイドとヨルはすぐさま入口に顔を向けた。

 

『いらっしゃいま……!!?』

「お、お前ら……!?」

 

最後まで「いらっしゃいませ」と言い切れなかった。それもそのはず、店に来たのはロイド達にとって二度と会いたくない男・・・マードック・スワンだからだ。

マードックのことをよく知らないフリッドとグリムは首をかしげた。

 

「なんだあのオッサン?変態?」

「マードック・スワン…元イーデン校の教師だ。」

「な、なんで貴様ら夫婦がこんなところに・・・!?」

 

たどたどしい態度でマードックは声を上げた。それに答えるようにロイドは静かに呟いた。

 

「・・・ここは俺の店です。仕事を辞めて、喫茶店を建てたんです。」

「仕事を辞めた・・・?精神科医は辞めたというのか?」

 

ロイドはコクリと頷いた。すると、マードックは近くの椅子に座った。その瞬間マードックは態度をガラリと変えた。

 

「フン!通りで小汚い店だと思ったわい!」

 

マードックは1年前にイーデン校をクビになった。その原因はマードック自身にある。マードックがフォージャー家の家族の一人である翔一の頭を瓶で思い切り殴ったのだ。それが原因でクビになった・・・自業自得である。

それに関わらず、マードックはふてぶてしい態度をとった。

 

「む?」

 

その時、マードックはヨルが抱いているシエルに目が入った。それに気づいたヨルは咄嗟にシエルを隠すように抱きしめた。

そんなヨルを見て、マードックはじわじわと近づき始めた。

 

「おやおやおやぁ?小さすぎて気づきませんでしたなぁ?赤ちゃんが生まれたんですか?」

「そ、そうです・・・!」

「ほほぉ~~・・・それはさぞかし、毎晩毎晩、ご主人のソーセージをパンパンッ!と食らったんでしょうなぁ!」

「!!」

 

マードックは下品なことを言って腰を振り始めた。下品な態度をとるマードックにヨルは顔を真っ赤に染めた。それを見て怒りがこみ上げたグリムは本能のままにマードックの胸ぐらをつかんだ。

 

「てめぇぇぇ!!あの人に下品な言葉かけんじゃねぇ!!」

「やめろグリム!!」

 

ロイドは大声をあげてグリムを止めようとするが、グリムは止まらなかった。

 

「あの家族はなぁっ!!日々助け合って生きてんだ!!それをバカにするようなこと言うんじゃねぇ!!」

「はっ!何が助け合いだ!負け犬の遠吠えだ!お前のようななっ!」

「この・・・!死ね・・・!!」

 

グリムはさらに怒りがこみ上げ、拳を振り上げた。しかしその時、フリッドがグリムの腕を掴んだ。

 

「グリム、どきなさい。」

「でも・・・!」

「頼むから。」

 

フリッドは笑顔でグリムに頼んだ。笑顔ではあったが、その目は笑っていなかった。

その目を見て、グリムは何も言わずにマードックから離れた。

 

「申し訳ございません、俺の甥っ子が無礼を・・・ですが!一つ、尋ねたいことがあります。」

「な、なんだ?」

「あなたの着ているその服・・・自分で作ったんですか?」

「・・・は?」

 

マードックは思わず声を上げた。何を言っているのか理解できなかった。服を自分で作れるワケがない。マードックは笑って言った。

 

「バカか貴様!買ったに決まってるだろうが!」

「・・・おかしいですね。あなた先ほど、『助け合いは負け犬のすること』だと言いましたよね?それなのに、あなたは服屋があったおかげで、今その服を着ています。」

「何が言いたいんだ貴様は?」

 

今だに何を言っているのか理解できていないマードック。すると、可笑しかったのかフリッドは笑い始めた。

 

「プッ・・・まだ分からないんですか?かのイーデン校の"元"教師なのに分からないんですか?」

 

フリッドはわざと"元"を強調して言った。すると、マードックは怒り始めた。

 

「な、なんだと!?」

「いいですか?世の中は個人だけで構成されていないんです。あなたの着ている服も、日々の食事も、誰かが助けているおかげで成り立ってるんです。人は、誰かの世話になり続けている動物なんですよ?それを『負け犬』とは・・・とんだ見当違いですね。」

 

フッと余裕の笑みを見せて語るフリッドに、マードックは顔を真っ赤にして怒り、歯ぎしりを立てた。

 

「ヨルさん達を『負け犬』と呼びたいなら、無人島でも行って完全に自給自足の生活をしてから言ってもらえますか?そんな度胸ないでしょうけど。」

「き、貴様ぁ・・・!!何様のつもりだ!?」

「申し遅れました。俺はフリッド・リードです。今月から"イーデン校の新任教師"をやらせてもらう者です。」

『えっ!!?』

 

フリッドの一言にマードックだけでなく、ロイド達も驚いた。

すると、フリッドは苦笑いを浮かべながらロイド達の方に顔を向けた。

 

「すまんロイド君・・・びっくりさせようと思って、言わないでおいたんだ・・・」

「き、貴様がイーデン校の・・・!?」

「ええ、なんでも教師が一人辞めて、枠が一つ空いたらしくて。」

 

フリッドはマードックの方に顔を向け直した。そして悪気がなさそうな満面の笑みを見せた。

 

「よっっっっぽど!出来の悪い教師がいたんでしょうねぇ。」

「~~~~~ッ!!」

 

悪気がなさそうな顔だが、あからさまに悪口を言われていることに気づいたマードックは、もはや我慢の限界に達していた。

 

「もう我慢ならん!」

 

マードックは拳を握って殴りかかった。それを見てフリッドはフッとため息をついた。

フリッドにとって喧嘩もしたことないようなド素人のパンチなど、スローモーションに見えていた。よけるのはたやすい。

 

(仕方ない。少し痛い目にあってもらうか。)

 

少し痛い目に遭わせれば諦めて帰るだろうと思い、フリッドはパンチをよけて軽く蹴りを入れるつもりだった。

だが、その時、店のドアがバンッ!と音を立てて開いた。開く勢いが強く、ベルさえ鳴る間もなかった。

その音を聞き、ロイド達は時が止まったように立ち止まり、入り口の方を凝視した。

そこに現れたのは、

 

「あ、あんた・・・さっきのジジイ!」

「すまないな・・・ドア越しに話が聞こえたものでな。」

 

さきほど公園で子どもを助けた初老の男だった。

男はキッと真面目な顔を浮かべるとマードックの方を睨み、ずかずかと近づいていった。

 

「な、なんだお前は!?」

「さっきの話は聞かせてもらったぞ。・・・情けない男だな。」

「なにぃ!?」

 

会ったばかりの名も知らない初老の男にいきなり罵倒され、マードックはさらに怒りがこみ上げた。

どいつもこいつも・・・と思いながら、マードックは男を睨んだが男は全く目を反らそうとしない。

 

「大人は子どものいい手本にならなければならない。なのに・・・なんでアンタはそんな情けないところを見せるんだ!」

「黙れ黙れ黙れ!!どいつもこいつもワシをバカにしおってぇぇぇ!!」

 

マードックは首を横に振りながら叫んだかと思うと、男に向かって拳を繰り出した。

 

「あぶないっ!」

 

フリッドは咄嗟に庇おうとしたが間に合わず、拳は男の顔面に当たった。しかし、

 

「ぐっ!?ああああああ……!!」

 

殴った方のマードックが、なぜか苦しみ始めた。見れば、殴った拳がぐちゃぐちゃになり骨が折れていた。

 

(骨が折れてる……!?)

 

マードックの折れた拳を見て、驚いたロイド達は男の方を見た。男は顔を殴られたにも拘らず、傷一つなかった。血はついていたが、それはマードックの拳から出た血だった。

 

(この男、一体何者だ……!?)

「クソッ……!!覚えてろ!!貴様ら全員死んでしまえっ!!」

 

ロイド達が男の方をまじまじと見ている中で、マードックは捨て台詞を吐いて店を走って出て行った。

 

「プッ・・・だっせぇな!」

「まぁ、これで二度と来ないと思うが……」

 

マードックが出て行ったのを見て、皆ホッと胸を撫でおろした。

すると、ヨルが男の方に近づいた。

 

「あの、大丈夫ですか?すいません・・・お店の揉め事に巻き込んでしまいまして……」

「いえ、大丈夫ですよ奥さん。この子も大丈夫そうで何よりだ。」

「キャッキャッ♪」

 

男はヨルが抱きかかえているシエルに目を向け、笑顔を見せた。するとシエルも笑顔を見せて笑った。

すると、男はフリッドの方に向き直った。

 

「君の意見も、さっき聞こえていたよ。人は誰かの世話になり続けている・・・いい言葉だ。だが、あの挑発的な態度はよくないな。」

「あ……」

 

男に指摘され、フリッドはたじろいだ。確かに言われてみれば、少し言いすぎてしまったとは思っていた。しかし、恩人であるヨルをバカにされて我慢ならなかったのだ。

 

「あんな態度じゃ、かえって相手を怒らせてしまうぞ?」

「す、すいません……」

「チッ、別にいいじゃねぇかよ。嫌な奴は追い出したんだからよ。」

 

説教を始めた男に、グリムは舌打ちを打った。すると、フリッドはキッとグリムを睨み黙らせた。

そしてまた男の方に顔を向ける。

 

「しかし、あなたの先ほどのセリフ・・・とても心に響きました!」

 

フリッドは目を大きく開いて食い入るように言った。先ほど男が言ったセリフ「大人は子どものいい手本にならなければならない」という一言に感銘を受けたのだ。

すると、流石に照れくさいのか、男は頭を搔き始めた。

 

「ははは・・・ジジイの繰り言さ。気にしないでくれ。」

「いえ!教訓にさせていただきます!あの、お名前は?俺はフリッド・リードです!」

「そういえば、まだ名乗ってなかったな。俺は(じん)神 敬介(じん けいすけ)だ。」

 

敬介は名を名乗ると同時に右手を差し出した。フリッドもすかさず右手を差し出し、敬介ともう一度握手を交わした。

 

「よろしくな、フリッド!」

「はい、(じん)さん!」

 

この時、フリッドは知らなかった。この神 敬介という男が、自分の人生の恩人になることを。

そして、フリッドは出会うことになる。忘れたくとも忘れられない敵と。

 

 

 

 




おまけ「やろうぶっ〇してやる」

「そういえば、ロイド君達・・・あのマードックって人と何か因縁があるのか?」
「実は……」

ロイドはフリッドにマードックのことについて話した。面接試験の時、ヨルとアーニャがバカにされたこと、イーデン校の創立記念パーティーの時、翔一が瓶で殴られたことを話した。
すると、話を聞いたフリッドは真顔になっていた。

「へーーー・・・・そうなんだー・・・・」

その瞬間、ロイドは何か嫌な予感を感じた。

「ロイドくーん・・・包丁ある?」
「・・・何に使う気だ?」
「いや、ちょっと豚の解体をしに。」
「誰を解体するつもりだ!!?」

ロイドの嫌な予感は的中した。フリッドは自分の恩人であるヨルとアーニャ、仲間の翔一を侮辱したマードックを殺すつもりだった。

「俺の恩人を侮辱し・・・津上君を殺そうとした男だろ・・・?生まれたことを後悔させてやる。」
「やめろバカ!お前ヒーローだろうが!」
「汚いことをして大事な人を守るのもヒーローの役目だ!!」
「クソっ・・・!もっともらしいことを・・・!!」

先ほど出て行ったマードックを追いかけようとするフリッドを、ロイドは必死になって止めようとした。その時、グリムが笑顔で近づいてきた。

「あいつ殺しに行くのか?俺も行くー♪」
「お前は出てくるな!話がややこしくなる!!」

その時、その光景をコーヒーを飲みながら見ていた敬介はふと思った。

「こいつら、大丈夫なんだろうか・・・」

と、不安に思いながらコーヒーを一口飲んだのだった。


――――――――――――――――――

フリッドの制作秘話
フリッドは当初、ヤンデレ属性が付与される予定でした。でも、仮面ライダーでヤンデレなのは見たくなかったため、没になりました。



「After Stories」のあとがきでは、オリキャラ達を作るに当たっての没設定や初期案などの制作秘話を掲載する予定です。

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