SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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当初、ギルスの時と同様、ロイドにG3をやらせようと考えてました。
でも、ロイドは箸で豆腐を掴めそうなのでやめました。
逆にユーリは絶対に箸で豆腐を掴めないタイプだと思ったので、ユーリをG3にしました。





第7話「素顔を知らぬ邂逅」

 

「アーニャきかんした!」

 

学校が終わり、アーニャは家に戻ってきた。

 

「アーニャちゃん?おかえりなさい!」

 

その時、ロイドの部屋の方から翔一の声が聞こえてきた。アーニャは気になってそこへ向かうと、翔一はロイドの部屋を掃除していた。

 

「ショーイチ!ケガは?」

「もう大丈夫!ほら、この通り!」

 

翔一は笑うと同時にボディビルダーのようなポーズをとって見せた。

 

「てき、どんなのだった?」

「空飛んでるんだ。でも、さっき俺が倒しちゃった!見せたかったな~、俺の戦いぶり!今度は剣出してズバーッて斬ったんだ!」

「ズバーッ!」

 

翔一は剣を持つ素振りをして殺陣をやってみせた。それを見て、アーニャは真似をした。

 

現在、アギトの正体がわかっているのはアーニャだけだった。そのためか、翔一も気兼ねなく話せた。

 

「ショーイチ!アーニャ、アギトのマネできる!」

 

すると、アーニャは変身するときの翔一の構えを真似た。

 

「むんっ!はぁぁ・・・へんしんっ!!」

 

アーニャは叫び、翔一のように変身のポーズをとった。

それを見た翔一はパチパチと拍手を送った。

 

「うわっ、アーニャちゃん上手!」

「むふーっ、れんしゅうした!」

 

アーニャは得意げに胸を張って鼻息を荒くした。

すると、翔一は両手と両足を大きく開いた。

 

「がーっ!怪物が出たぞー!」

 

翔一は怪物のフリをしてアーニャとごっこ遊びをしようとした。アーニャはそれに便乗して構えた。

 

「アギトキー--ック!!」

「ぐわーっ!!やられたーっ!!」

 

アーニャは勢いよく飛び蹴りを繰り出し、それをわざと喰らった翔一はそのまま後ろに倒れようとした。

だが、運悪く床に置いた掃除機に足を引っかけた。

 

「あ」

 

声を出したのもつかの間、翔一は勢いよく、後ろにあったロイドのベッドに倒れてしまった。その瞬間、ベッドがバキッ!という音を立てて崩れ、壊れてしまった。

 

『あーあ……』

 

二人は思わず声を上げたのだった。

 

 

──────────────────

 

「ユーリくん、G3の修理が完了したわ。前回よりも装甲を固くしたから、この前みたいにはいかないわ。」

 

そのころ未確認生命体対策班では、アイネがユーリに報告をしていた。

 

「はい、ありがとうございます。」

 

ユーリはデスクに座りながら、あるものを眺めていた。

 

「なにそれ?」

「今までの異質殺人で殺された人達の遺品です。なんか共通点がないかと思って借りてきたんですけど……」

 

遺品は当然というべきか、それぞれバラバラのものだった。写真、ボール、瓶と同じものではない。

 

「共通点があるとすれば、異質なところじゃねぇか?」

 

その時、隣にいたリョーマが口を挟んできたかと思うと、遺品のテニスボールを手にした。

 

「ほら、これなんて表面と中のゴムの部分が裏返ってる。」

 

リョーマの言う通り、テニスボールは表面と中のゴムが入れ替わり、パッと見黒いボールに見えた。

 

「この瓶も……」

 

ユーリは瓶を手に取った。中にはコインが入っている。

ユーリは財布から硬貨を取り出し、瓶に入れようとするが、大きさが合わず入らない。

 

「どういうトリックなのかしら、この写真といい……」

 

アイネは写真を手に取った。写真には6年前に切り拓かれたはずの山が写っており、写真の年月日はカラー写真ができる前の5年前。

 

3品ともあまりに異質なものだった。

 

(ロッティだったら分かるかな……)

 

ユーリは頭の中でロイドの顔を思い浮かべた。そう思ったが吉日と、すぐさま行動に移った。

車に乗ってフォージャー家へと向かった。

 

「姉さん、姉さ~ん♪」

 

ユーリはまた姉のヨルに会えると思い、今にもスキップしてしまいそうな足取りでロイド達の住む家にたどり着いた。

 

「?」

 

その時、ユーリの目に写ったのは、家の前で何やら大工仕事をしている男、翔一だった。

 

「あ、あの・・・」

 

ユーリは恐る恐る翔一に声をかけた。

 

「あ、どうも!ロイドさんに御用ですか?」

「えっと、僕はこの家の奥さん……ヨルの弟です。」

「あっ!ってことはユーリさん!?ヨルさんから話聞いてますよ~!とってもいい子だって聞きました!」

(い、いい子!?ね、姉さんが僕のことを……!!)

 

ユーリは、ヨルが自分の知らないところで自分のことを褒めてくれていたことに喜び、デレデレと笑い始めた。が、すぐさまキリッとした顔つきに戻り、翔一に問いかけた。

 

「で、あなたは?」

「俺、津上翔一っていいます!ここで居候やらせてもらってます!」

 

自己紹介を受け、ユーリはウンウンと頷いた。

 

(ははぁ……姉さんが電話で言ってたな。居候を家に置くことになったって……こいつがそうか。ロッティの異母兄弟……)

 

ユーリは品定めするような目で翔一を見た。すると、翔一の下にあった木材が目に入った。

 

「……何してたんですか?」

「いやー、実は掃除してたんですけど、うっかりロイドさんのベッド壊しちゃって。」

「はぁ……」

(ふんっ、ロッティざまぁ!!ん?待てよ・・・?)

 

ユーリはロイドのベッドが壊れたことを知って心の中で嘲笑ったが、すぐさまある疑問が浮かんできた。

 

「……ベッドが直る間、あいつどこで寝るの?」

「そりゃあヨルさんのベッドで二人一緒に寝るんですよ。夫婦なんだから当たり前じゃないですか~!」

「……はああああああああああああああっ!!!?」

 

翔一からの返答にユーリは絶叫に近い叫び声を上げた。

ユーリは震えながら、翔一を指差した。

 

「い、いいいいい、一緒に寝るだとぉぉぉぉ!!?ふざけんな!そうなったら体とかがくっついちゃうだろっ!!」

「当たり前ですよ~!同じベッドで寝るんですから。俺、前から思ってたんですよ。二人はもうちょっとくっついててもいいんじゃないかって!」

(何言ってんだ、この野郎・・・!)

 

ヘラヘラと笑いながら語る翔一に、ユーリは怒りを覚えた。

 

「いや~、思いかけず恋のキューピッドになった気分ですね~!どうぞ、『キューピッド翔一』と呼んでください♪」

 

翔一はそう言うと手でハートマークを作り、ウィンクをした。

その行動に、ユーリは……

 

(な・に・が、キューピッド翔一じゃあああああああっ!!こいつは絶対いつか絶対八つ裂きにしてやるぅぅぅぅぅ!!)

 

もはやブチ切れ寸前になっていた。

 

「あ、ちょっと手伝ってくれません?ここ、切ってください!」

 

そんなユーリの怒りなどいざ知らず、翔一はノコギリを手渡し、木材につけた印を指差した。

 

(……こうなったら、早くベッドを直してやる!)

 

ユーリはノコギリを受け取ると、刃を木材に当てた。

そしてそのまま勢いよく斬り始めた。

 

(待っててね姉さん!!僕が必ず、ロッティの魔の手からぁぁぁぁぁ!!)

 

バキッ!

 

「あっ!」

 

その時、ユーリが手にしていたノコギリが折れた。

 

「うわっ!!不器用だなぁっ!」

 

それを見た翔一は思わず声を上げた。

 

「ぶ、不器用……?いーや、そんなことない!ノコギリが悪かったんだ!そっちの新しいの貸せよ!」

 

ユーリは翔一のそばにあった新しいノコギリを指差した。すると翔一はそれを取られまいと自分で手に取った。

 

「いや、もういいですよ。こっちまで壊されたら大変です!」

「そんなことない!今度は大丈夫だって!」

「もういいですから!」

「いいから、貸せって!」

 

ユーリは翔一からノコギリを奪い取った。翔一はすぐさま取り返そうとしたが、ユーリはノコギリを後ろ手に隠し、再度木材を斬り始めた。しかし・・・

 

バキッ!

 

またも折れてしまった。

 

「あっ……!」

「あーあ……」

「い、いや、これはその……わ、わかったよ!買ってくるから!!」

 

慌てたユーリは急いで車に戻ってノコギリを買いに行こうとした。その時、無線が鳴り響いた。

 

「こんな時に・・・!はい!」

『ユーリくん?またアンノウンの被害者が出たわ!すぐ現場に向かって!』

「アンノウンが……!?わかりました!場所を教えてください!」

 

アイネから現場の住所を聞き、ノコギリのことなど忘れて現場へ直行した。

 

「リョーマさん!」

 

現場に到着すると、先に来ていたリョーマに声をかけた。

 

「おう、来たか。被害者は車の技師をやってる30代の男性。……死因は溺死だ。」

「溺死?」

 

現場は駐車場で、地面は乾いていた。しかし死体はその場で溺死したような状態だった。

 

「アンノウンの仕業で間違いねぇが、そのアンノウンの姿はなし……あ、そうだ。」

 

リョーマは何かを思い出し、あるものを取り出してユーリに見せた。

それは瓶だった。しかしその瓶は雑巾を絞った後のように不自然に捻じれていた。とても人間に出来るようなものではなかった。

 

「被害者の車から出てきたモンだ。」

「人間技じゃないですね……」

「……俺が前に言ったこと覚えてるか?『被害者は超能力者』……あながち間違いじゃないんじゃねぇか?」

 

リョーマはため息混じりに呟いた。その一言に、ユーリは何も言えなかった。

 

 

──────────────────

 

その夜、

 

「……翔一君、もう一回言ってくれ。」

 

テーブルの前にロイドとヨルが隣り合って座り、その向かいに翔一とアーニャが座っていた。

すると、翔一はニコニコ笑いながら語り始める。

 

「だから、俺ロイドさんの部屋掃除してたんですけど・・・その時うっかりベッド壊しちゃって!」

「……それで?」

「今ベッド直してるんですけど、まだ時間かかりそうで……だから直るまでの間、ヨルさんの部屋で一緒に寝てください!」

「だからなんでそうなった!?」

 

翔一の説明を聞き、ロイドは声を上げ、その隣でヨルは顔を真っ赤にしていた。

 

「いや~、本当にすいません!でも、おかげで二人とも、もっと仲良くなるじゃないですか!」

「き、君なぁ!俺は別にそんなこと……!」

「あー、そんなこと言って!ロイドさん、ヨルさんのこと好きじゃないんですか?」

 

反論しようとするロイドだったが、逆に翔一から言われ、口ごもってしまった。

 

「好きだからヨルさんを選んだんでしょ?」

「い、いや、ヨルさんを選んだのは利害が一致したからであって……」

 

ロイドは反論するが、どんどん声が小さくなっていき、逆に心音が大きくなっていった。

 

(くそっ!落ち着け黄昏……!こんなトラブルなど早急に解決せねば……!)

 

その時、ロイドはヨルに意見を求めようと思い、ヨルに顔を向けた。

 

「ヨ、ヨルさん……ヨルさんからも何か……」

「い、いいです・・・」

「え?」

「わ、私は別に一緒でも、構いません……」

「……え?」

 

ヨルは今にも煙が出そうなほど顔が真っ赤になっていた。それを見たロイドも頬を赤らめた。そしてそんな二人を見て翔一とアーニャはニヤニヤ笑っていた。

 

しかし、その時だった。翔一の耳に金切り声のような音が響いた。アンノウンが現れた合図だ。

それを聞いた瞬間、翔一の顔がキリッとした顔つきになった。

 

「すいません!俺ちょっと出ます!」

「なにっ!?お、おい!翔一君!!」

 

ロイドの静止を聞かず、翔一は家から飛び出し、外に停めてあったバイクを走らせた。

 

「変身!!」

 

翔一はバイクに乗りながら叫んだ。翔一はアギトに変わり、バイクもマシントルネイダーに変身した。

 

──────────────────

 

「グルルルル……」

 

真夜中の路地裏で獣のような唸り声がどこからともなく聞こえてくる。その唸り声はある男へと段々近づいてくる。

男はホームレスで、誰からも見向きされないような男だった。

 

「ん?」

 

男は足に違和感があることに気が付いた。目を向けると、今自分が歩いている地面が突然、水たまりに変わっていた。

 

「な、なんだこれ!?」

 

男は慌ててそこから出ようとしたが、水たまりは底なしでぬかるんでいる。抜け出そうとしても抜け出せなかった。

 

「グルルルル……」

「ひ、ひいぃぃぃぃぃぃ!!」

 

同時に背後から蛸の姿をした怪人が近づいていた。あまりに突然な出来事の連続で、男は悲鳴を上げた。

だが、その時、

 

「ハッ!!」

 

金色の戦士、アギトが現れ、蛸のアンノウンに飛び蹴りを食らわせて吹き飛ばした。

そしてアギトは男を水たまりから引きずりだした。

 

「逃げてください!早く!」

「す、すまねぇ……!!」

 

男は礼を言うと、すぐさまそこから逃げ出した。男が逃げたのを見届け、アギトは構えた。

 

「アギト・・・!」

 

アンノウンはアギトを見るなり、突進してきた。アギトはそれを受け止め、壁に向かって投げ飛ばした。

壁に激突したアンノウンは地面に倒れたが、すぐさま起き上がった。

 

「あれは・・・!」

 

その時、G3ユニットを装着したユーリが到着し、二人を発見した。

 

『ユーリくん!GM-01は効果なかったから、今回はGG-02を使って!』

「了解!」

 

通信越しにアイネからの命令を受け、ユーリは突撃銃のGM-01にグレネード弾を発射できるユニットを連結した。

 

『GG-02サラマンダー、アクティブ!』

 

ユーリはグレネードランチャーに変化した銃をアギトと戦っているアンノウンに向けた。

 

(よく狙って……アギトに当たらないように……!)

 

ユーリが狙いを定めるなか、アギトはアンノウンを殴り飛ばした。

 

「今だっ!!」

 

殴られてアンノウンがアギトから離れた。そこに、ユーリがグレネード弾を発射した。

 

「グアアアッ!!」

 

弾が着弾し、アンノウンは吹き飛んだ。

 

「や、やった!効いた!」

「ハアァァァァ…!」

 

ユーリはアンノウンにダメージを与えられたことに喜んだ。それをよそに、アギトは必殺の構えをとり、地面に紋章を浮かび上がらせた。

 

「ハッ!」

 

そして空中に飛び上がり、

 

「ハアァァァァァァァッ!!」

 

雄たけびを上げながら飛び蹴りを繰り出し、アンノウンに命中させた。

 

「グオアアアアア!!」

 

キックを喰らい、アンノウンはさらに吹き飛んだ。

アギトはその場に着地し、いつものように"残心"の構えをとり、アンノウンに背を向けた。

 

「グッ!ウウウゥゥゥ……!!グオオオオッ!!!」

 

アンノウンは断末魔を上げながら爆発した。

爆発を背に、アギトは佇んだ。

 

「あ!」

 

その時、ユーリは声を上げた。地面に先ほどのアンノウンの肉片が落ちていたのだ。

 

「やった!アイネさん、アンノウンの肉片を確保しました!」

『お手柄よ!それでアンノウンについて何か分かるはずよ!』

 

ユーリが通信で会話しているのをよそに、アギトはその場から立ち去ろうとした。

 

「あ……待ってください!あなたは一体……?」

 

ユーリは声を上げてアギトを呼び止めようとした。しかし、アギトは何も言わずにその場から立ち去った。

 

(か、かっこいい……!!ロッティや、あのクソッタレ翔一とは大違いだ!僕もいつか、あの人みたいに……!!)

 

何も言わずに立ち去ったアギトを見て、ユーリは感動し、仮面の下で目を少年のようにキラキラと輝かせながら彼の背を見送った。

 

 

 

 

作品内において、どのライダーの話が一番好きですか?期間は4月10日から4月17日まで。アンケート結果は後日作品内で発表します

  • アギト編(翔一+フォージャー一家)
  • G-3編(ユーリ+対策班、ノエル)
  • ギルス編(フリッド+ダミアン、フィオナ)
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