SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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注意:今回グロテスクな描写・表現があります。耐性のない方はご注意ください。


PART.5 血濡れた教団

 

 

「準備はいい?」

「ああ、いいぞ。」

「じゃあ…いくわよ。」

 

この日、フリッドとフィオナはとある場所に訪れていた。そこは教会。神化教団の本拠地である教会だった。

二人は別人に変装し、調査を行うために来たのだ。

 

(随分堂々と建ってるな……)

(表向きはただの宗教団体だもの。)

 

建物をまじまじと眺めながら、フィオナはふとため息をついた。

 

(本当ならもっと早く来るはずだったのに……)

(し、仕方ないだろ。学校サボるわけにはいかないし……)

 

この日は土曜日。本来であればこの日よりもっと早い段階でこの教会に来る予定だったが、フリッドは教師の仕事を休むワケにはいかなかったため、先延ばしになったのだ。

 

(でも……別に俺と一緒じゃなくても良かったんじゃ……)

(もし、あのグレンとかいうのと接触したらどうするの?私一人じゃ対処できない。)

(それはまぁ…あっ、誰か来たぞ!)

 

門の前で二人がヒソヒソ話していると、教会から一人の男が出てきた。男は二人の姿を見るなり、近づいてきた。

 

「何か御用かな?」

(デ、デカい……)

 

その男はかなりの巨漢だった。軽く2mは軽く越えているであろう身長。横にも大きいが、決してデブというワケではない。筋肉が発達しているように見える。

顔も強烈だった。剃ったであろう丸い頭に「四角い」という表現が合う鼻に顎…子どもが見れば怯えることは間違いないだろう。

 

「私は司教のアイゼン…何か御用かな?」

「お、俺はフ…フーバーと言います。こちらは妻のディアナ。」

 

アイゼンの容姿に驚きながらも、フリッドは偽の名を名乗って自己紹介をした。

 

「ここは教会でしょうか?」

「そうですが。」

「実は…俺達、最近この街に来たばかりで……教会の神父様に、この街で幸せにやっていけるようにお祈りをしていただきたいと思いまして……」

「…………おおっ!!!」

 

アイゼンはしばし黙り込んだかと思いきやいきなり大声を張った。その声に驚き、二人はビクッと体を震わせた。

 

「迷える子羊よ……!!慣れぬ土地で我が教団を見つけ出したのですねっ!?素晴らしいっ!!例えあなた方が異教徒であろうと、あなた方二人を祝福しましょう!!!」

 

アイゼンは顔と両手を上げて天を仰ぐと、そのまま門を開け、二人を中に入れた。

 

「さぁ、どうぞ。礼拝堂へ案内しましょう……」

 

二人はアイゼンの様子が急変したことにたじろいながらも、アイゼンの後ろについていき、礼拝堂に赴いた。

 

「こ、これは・・・!」

 

礼拝堂に入ってすぐ、フリッドは声を上げた。礼拝堂の最奥には銅像が立っている。その銅像というのが、アギトそのもの。アギトが御神体にされていたのだ。

 

(神さんの言っていたことは正しかった……!)

「どうなさったかな?」

 

銅像をまじまじと見つめていると、アイゼンが声をかけてきた。

 

「ア、アレってアギトですよね?仮面ライダーアギト……」

「仮面ライダー……その名を付けないでいただきたいっ!!!

 

その時、アイゼンはまたも大声を上げた。

 

"仮面ライダー"は愚者どもが勝手につけた俗称ッ!!アギト神様は偉大なる神ッ!!それに"仮面ライダー"という俗称を付けるなど……愚かしいッ!!!神を俗称で呼ぶなど言語道断であるッ!!!!

 

アイゼンは顔にこれでもかというほど皺をよせ、窓ガラスが割れそうなほどの大声で叫ぶ。その叫びに一瞬、礼拝堂が静まり返った。

すると、アイゼンの顔はすぐに元通りになり、ニコッと微笑んだ。

 

「失礼。ですが、ここでアギト神様のことを"仮面ライダー"などと呼ばぬように。」

「は、はぁ……」

「では、御神体に祈りを捧げなさい……この街で幸せにやっていけるように、と……」

 

アイゼンは銅像の方へ手をやり、祈りを捧げるように二人を促した。

二人は戸惑いながらも、アイゼンに従い銅像の前に立ち、両手を合わせて祈り始めた。

 

「ああ、アギト様・・・!」

「私は罪を犯しました・・・!どうか救いを・・・!」

 

周りに耳を傾けると、信者と思われる人々が一様に祈りを捧げている。その中には助けを求める者や懺悔する者もいた。

それを聞いたフリッドは胸が痛くなる思いだった。

 

(津上君……君は今、神様扱いされてる……どう思う?君は優しくていい子だが……こんな扱いは嫌だろう?俺が、俺達がこの教団を止めてやるからな……)

 

フリッドは思った。翔一は心優しい青年だが、自分が今、神様扱いされることを良しとはしないはずだと。このままでは、翔一は都合のいい神様として扱われるだろうと思った。故に、この神化教団は必ず止めようと誓った。

と、その時、アイゼンに近づく男がいた。

 

「アイゼン司教。」

「どうしました?ペルラン君。」

 

ペルランという男は丸眼鏡をかけた青年だった。ペルランはため息混じりに用件を伝えた。

 

「はぁ・・・あの男が、まーた"支払い"渋ってんですわ。」

「そうですか。では私も行きましょう。」

「すんません。」

 

ペルランは一礼すると、アイゼンとともに礼拝堂の横にある廊下の奥へと消えていった。

すると、祈りを捧げながら、フィオナは肘でフリッドを叩いた。

 

(今の聞いた?)

(支払い、って言ってたな。ちょっと見てみるか?)

 

フリッドが小声で言うと、フィオナはコクリと頷き、二人はこっそりアイゼン達の後を追った。

廊下を進むと、一番奥に赤色のドアが見えた。奥に部屋があるようで、二人はそっと、少しづつ近づき、ドアに耳をくっつけた。

中から声が聞こえてくる。

 

「お、お願いだ!も、もう少し待ってくれ!」

「あのさぁ、オッサンこの前も支払い待ってくれって言ってたよねぇ?"スワン家"ってそんなにケチなワケ?」

 

中からは先ほどのペルランの声と、中年の男と思われる声が聞こえた。

 

「アンタの取柄は金と権力ぐらい・・・ああっ、でもその権力はもうなくなったんだっけ?職場クビもなったモンなぁ。」

「わ、私が悪いんじゃない!ジョージだ!ジョージの奴が全て悪いんだ!ワシより年下の分際で、"教頭"という立場になりおって……!!」

 

中年男の一言を聞き、フリッドは首を傾げた。その声に聞き覚えがあったのと、"教頭"という単語を聞き、気になったのだ。

 

(どっかで聞いた声だな……それに、教頭?)

 

続いてアイゼンの声が聞こえてきた。その一言に、フリッドは声を上げそうになった。

 

「人のせいにするのは良くありませんな、"マードック"殿。」

(マードック!?)

 

アイゼンが呼んだ名に、フリッドは声を上げそうになったが、手で口を抑えた。

マードック・・・マードック・スワンは元イーデン校の教師で、ロイド達を侮辱した、クズと呼んでも差し支えない男だ。

何故マードックがここにいるのか、それが気になったフリッドは、そっとドアノブに手をかけドアを少しだけ開けて中の様子を見た。

見てみると、中ではマードックが3人組の前で土下座をしていた。一人はアイゼン。もう一人はペルラン。そしてもう一人は・・・オレンジ色の髪をした若い男だった。

マードックはその3人に対し土下座をしているかと思いきや、急に立ち上がった。

 

「い、いい加減にしろ!だ、誰のおかげでこの教団を運営できてると思っている!?それもこれもワシのような金持ちがいたからだろ!そうでなければ、こんな教団すぐに潰れる!何が神化教団だ!何がアギト神様だっ!!」

「貴様ァ……!!」

 

その時、アイゼンは先ほどのように顔中に皺を寄せ始めた・・・かと思いきや持っていた聖典と思われる分厚い本を振り上げ、

 

この無礼者めがァッ!!!!!

 

耳が裂けそうになるほどの怒号を上げながら、マードックの脳天目掛けて思い切り聖典を叩きつけた。

 

「ぐふっ!!?」

貴様のような愚者が神を愚弄するかァッ!!!貴様がアギト神様の名を語るなど笑止千万ッ!!!!この穀潰しめがァッ!!!!

 

その怒号は凄まじく、部屋全体が揺れ、窓ガラスもヒビが入った。

すると、またしても先ほどと同じようにスンッとした態度に戻ったアイゼン。部屋にいるオレンジ髪の青年に声をかけた。

 

「この者は、どんな刑罰が妥当ですか?"グレン"君。」

((グレン!!?))

 

アイゼンの一言に、またまた二人は驚いた。

 

(あの男がグレン・・・?)

 

グレンは初めて会った時から、声を聞いた時から若い男であることは予感していたが、その素顔を見るとかなり優男風に見えた。

グレンは脳天を殴られて悶えているマードックを見下しながら、ゆっくりと口を開いた。

 

「そうですね・・・この男は今、指を差して我ら教団を愚弄しました。なので・・・もう二度と指を差せないように指を切り落とすのが妥当かと。」

「!!?」

「よろしい。では切りましょう。」

 

淡々とした口調でアイゼンは刑罰を許可した。するとペルランは素早くマードックを羽交い締めにした。

当然、マードックは暴れ始める。

 

「ま、待ってくれぇ!!な、なんでこんな目に遭わなければいけないんだ!?助けてくれぇ!!」

「金払わないアンタが悪いんだよ、諦めな。」

 

暴れている間にも、グレンはポケットからハサミを取り出し、マードックの腕を掴んだ。

 

「ひっ!」

「だーいじょうぶ♪指なんて手術ですぐくっつくから♪」

「い、嫌だ!嫌だァァァァァァァァ!!」

 

フリッドは助けに行くべきから迷った。相手は恩人であり友であるロイド達を侮辱した男。それに、今出て行ったらフィオナに迷惑をかけ、任務に支障をきたす。しかし、助けを求める人間を捨てることなどできない。

そうこう考えているうちにハサミの刃はマードックの小指に食い込み……

 

ザクッ

 

次の瞬間、耳が張り裂けそうな悲鳴がこだました。

 

「あーあ、小汚い。」

 

ペルランは切り取られたその小指を手に取ると、窓を開けた。すると外から犬の鳴き声が聞こえてきた。

すると、驚いたことにペルランは鳴き声が聞こえた方に小指を投げてしまった。

 

「一足先に犬の餌・・・っと。」

「喜びなさい、マードック殿。あなたの指は無駄になっていません。我が教団が育てる猟犬の贄となったのです……誇りなさい。」

 

アイゼンは一体何を言っているのか・・・人の指を切り落としておいて、それを「犬の餌になったから喜びなさい」などと言われて喜ぶ者などいない。

もう居ても立っても居られないフリッドは立ち上がり、ドアノブに手をかけた。その時ガチャッ!という音が鳴ってしまった。

 

「今、何か音がしました。」

「うーん?」

(フリッド・・・!このバカ!)

 

フィオナは咄嗟にフリッドの腕を引き、すぐにこの場を離れようとした。しかしすでに遅く、アイゼンがドアを開けてしまった。

 

「あなた方は先ほどの……どうなさいました?」

 

アイゼンは慌てる様子もなくフリッド達を見下ろしている。対し、フリッドは毅然とした態度で答えた。

 

「今、悲鳴が聞こえたもので……」

 

フリッドはそう言うとチラリと蹲っているマードックを見た。同じくアイゼンもマードックを流し見た。

 

「・・・あの者は異教徒です。我が教団を愚弄したもので・・・」

「それにしてはやりすぎではありませんか?人の救いである宗教を、こんなことに使って良いのですか?しかも3人がかりで……」

 

フリッドはアイゼンだけでなくペルランとグレンの方も見た。その時、グレンと目が合った。

すると、グレンは顔を上げ、フリッドの方を見ながら指についた血を首に持っていき、そのまま首を掻っ切るような動作を見せた。

 

「!!」

 

それを見てフリッドは思わず目を伏せた。

 

(まさか、気づかれた・・・!?いや、でも、変装してるし……!)

 

一瞬変装がバレたのだと思い、フリッドは慌てそうになった。すると、フィオナがフリッドの手を強く握った。

 

「すいません、私達急用を思い出しました。これから市役所に行かなければいけないので・・・ほら、行くわよアナタ。」

「あ、ああ・・・」

 

フィオナは半ば無理やりフリッドの手を引っ張り、その場を立ち去った。

二人が立ち去ったのを見て、アイゼンはふとため息をついた。するとニコッと笑いグレンの方を見た。

 

「グレン君!マードック殿を解放してあげなさい。」

「・・・よろしいのですか?」

「先ほどの男を見ましたか?あの男は勇気をもってマードック殿を助けようとしたのです!あの者の勇気に免じて、許しを与えましょう!」

「……はい。」

 

グレンはアイゼンの判断に納得していないのか、どこか不服そうだった。

 

「へへっ、命拾いしたねぇ、オッサン。」

 

ペルランは倒れ蹲っているマードックを起こし、無理やり部屋の外に叩きだした。

 

「……グレン君、やはりあの二人は。」

「ええ、この前殺し損ねた奴ら……ギルス……」

「アポロン大司教に報告しましょう……」

 

───────────────────────

 

「はぁ・・・はぁ・・・撒いたか?」

「ええ・・・追ってこないと思う・・・」

 

アイゼン達がいた部屋から離れた二人は、そのまま教会を出て少し離れた路地に入っていた。

 

「グレンの奴……俺達に気づいたかな……変装してたけど……」

 

フリッドは変装用のマスクを外し、マスクを見つめながら言った。同時にフィオナもマスクを取った。

 

「さぁね……でも、これで調査しづらくなったわ……あなたのせいよ。バカ。」

「お、俺のせいなのか?」

「当たり前じゃない。少しは考えて行動しなさい。これで神化教団を調べることが難しくなったじゃない。」

「うっ・・・」

 

フィオナの言うことはもっともだった。少なくとも自分があの場で動かなければ、もっと教団について調べることができたはずだと、フリッドは思った。

そう思った途端、申し訳なくなり気が重くなってきた。

 

「もうあなたと任務に行きたくないわ。帰る。」

「ま、待ってくれよフィオナ!」

 

冷たいことを言ってその場から立ち去るフィオナを、フリッドは慌てて追いかけた。

しかし、この時二人は気づいていなかった。この時の会話を覗いていた者がいたことを……

 

(ま、まさか、さっきの男があのいけ好かない、アイツだったとは……!)

 

それは意外な人物・・・先ほど小指を落とされたマードックだった。

教団から一時抜けだしたマードックは、自分を助けた男が気になり、後を追いかけた。しかし、その男の正体が、この前自分をバカにした男だと分かると、途端に怒りがこみ上げた。

 

(アレでワシを助けたつもりか・・・?偽善者め!そうだ……奴の弱みを探って、あることないことぶちまけてやる!どうやらアイツは教団と敵対しているようだし……これを利用すれば教団でのワシの立場も……グフフフフ……!)

 

人通りが少ない路地で一人、マードックは下種な笑みを浮かべていた……

 

 

 

 




おまけ「フィギュア化決定!」

「ダミアン!ベッキーちゃん!フィギュアーツ化おめでとー!!」
『おめでとー!!』

皆からの祝福を受け、ダミアンとベッキーは照れくさそうに笑っていた。

「へへっ、まさか俺達二人がフィギュアーツ化されるとはな!」
「そうね!ロイド様達だけだと思ってたのに……」
「まぁ、なんにせよ・・・これでジオラマの幅が広がるというものだ。」

皆が喜びと笑いに包まれている中、一人寂しそうな男がいた。
それはユーリだった。

「……なんで僕じゃなくてアイツらが先なんだ……!」
「ユ、ユーリ!そんなに落ち込まないで?ね?」

ユーリは自分のフィギュアーツが出ないことに落ち込んでいるようだった。そんなユーリを慰めるように、フリッドは肩を叩いた。

「大丈夫だよユーリ君。君のフィギュアーツだっていつか出るさ。それに最悪……出なかったらG-3Xのフィギュアーツを君の代わりとして使えばいいだけだし。」
「それこの作品知ってる人しか楽しめないでしょ!!?誰得ですかそれ!?ちくしょー!!みんなちびっこの方がいいのかよ!!」

悲しみに暮れたユーリは酒をラッパ飲みし、大声で叫んだ。そんな中、乾いた笑いを出す男がいた。

「ははは・・・元気そうですねぇ・・・」
「ゴ、ゴースト!?」

その男は仮面ライダーゴースト・・・の最強フォーム、ムゲン魂だった。

「参考展示だけされて、今だに商品化されてない俺の話でもします?」
「うっ・・・すいません!!調子乗りました!!」

申し訳なくなったユーリはその場で頭を下げ、ゴーストに謝ったのだった。

───────────────────────

まさかのダミアンとベッキーがフィギュアーツになると聞いて。私はもちろん買います!

今回からオリキャラがさらに二人登場。二人ともそれぞれモデルがあり、ペルランは「ショッカーに洗脳されたままの一文字隼人(シン)」がモデルで、アイゼンは・・・もう分かった人もいると思いますが、「ベルセルク」のモズグス様です。


それから、これは余談なんですが・・・僕、スパイファミリーのアニメの第4話、見てないんですよ。理由は単純。
あの、マードックのクソ野郎が出るからですよ。


神化教団の刑罰、どう思った?

  • やりすぎ
  • いいぞもっとやれ
  • イカれた宗教団体みたいでイイ
  • ヤクザかよ
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