SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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ついにアギトからあのキャラが登場します!名前は違いますが、あの人です!
一流を気取るヘタレエリート、「ザ・井上キャラ」のあの人です!




第8話「スパイの帰還」

 

「うーん……ッ!!?」

 

早朝、ヨルは目を覚まし、眼前にロイドの寝顔があることに驚きながら赤面し、声が出そうになった。

 

(そ、そうでした……!翔一さんがベッド壊しちゃったから、ロイドさんは私の部屋に……)

 

ヨルはバクバクと脈打つ胸を抑え、息を整えた。

 

(……ロイドさん、よく寝てますね……)

 

ロイドはスーッと寝息を立てながら眠っていた。それを見たヨルはあることを思いついた。しかしそれは、ヨルにとって死ぬほど恥ずかしいことだった。

 

(た、確か、新婚夫婦はキ、キスで起こすって聞いたことがあります……)

 

ヨルは覚悟を決め、唇をロイドの唇へと伸ばす。

 

(ど、度胸です……!翔一さんがくれたチャンス、無駄にするワケには……!!)

 

後20CM、10CMと徐々に徐々に唇を近づけ、ついにロイドの唇に・・・ではなく、その横の頬にキスをした。

 

(はぁ~~~~~っ!!やっぱり口にキスなんて無理です~~~っ!!)

 

ヨルは顔を真っ赤にし、その顔を隠すように両手で覆った。

 

(で、でも!ほっぺにはできました!!こ、これは、一歩前進したのでは!?)

 

自分でもかなり進歩したと、ヨルは思いながら隠していた手の指をずらしてロイドの顔を見た。

その時、ロイドは目を開け、ヨルの顔を見ていた。

 

「……え?」

「えっと……す、すいません。起きない方が……よかったですか?」

「~~~~~っ!!!?」

 

今の行動を見られたと思い、ヨルは声にならない声を上げた。

そして、

 

「あああああああああああああっ!!!!」

「ぎゃあああああああああああっ!!!」

 

顔を真っ赤にして半狂乱になり、叫びながらロイドの脳天にチョップを喰らわせたのだった。

 

 

──────────────────

 

「……だから頭に包帯巻いてるワケな。」

「ああ……」

 

その後、ロイドは情報屋のフランキーと会っていた。

ロイドの頭にはヨルに喰らった脳天チョップの傷を治すために包帯が巻かれていた。

 

「なに?お前、俺にノロ気を言いに来たの?彼女いない俺への当てつけ?」

「これのどこがノロ気だっ!!まったく、あの男のせいでこんなケガを……」

「ああ、その男……翔一って奴のこと、調べたよ。」

 

フランキーはロイドに一枚の紙を渡した。

ロイドはフランキーに、翔一について調べるように頼んでいた。しかし……

 

「なんだこれは・・・?『正体不明』?」

 

紙にはただ「正体不明」とだけ書かれていた。

 

「ああ。生年月日、出身地、学歴、その他のありとあらゆる経歴も全くわからない。あり得るか?普通人間ってのは何かしら痕跡を残すモンだろ?なのに、津上翔一って人間は、お前と出会う前の経歴が一切出てこない。」

「……そうか。」

 

フランキーからの情報に、ロイドはただ一言だけ返事をした。

同時に頭の中に翔一の顔を思い浮かべた。いつもニコニコ笑って、裏があるのかないのか分からなそうな青年の顔だ。

 

(津上翔一……あいつは本当に何者なんだ?まぁ、俺の任務の邪魔にならなければいいんだが。)

「・・・これは俺の妄想なんだけどさ。」

 

その時、フランキーが呟いた。

 

「その津上ってよ、もしかして別の世界から来た正義のヒーロー、なんて……」

「バカか。別の世界なんてあるわけないだろう。」

「ハハッ、だよな。」

 

フランキーが言う妄想を鼻で笑い、ロイドは報告書をポケットにしまった。

すると、フランキーがまたも声を上げた。

 

「あ、そうだ!今日、『WISE』に法条の奴が帰ってきたんだとさ!」

「法条……?元保安局エリートの?」

「ああ、今は管理官(ハンドラー)のところにいるらしいぞ。会ってこいよ。」

 

フランキーに言われ、ロイドは管理官(ハンドラー)がいる地下のオフィスへ向かった。

 

──────────────────

 

「おっ、噂をすればだな。法条、来たぞ。」

 

オフィスには管理官(ハンドラー)と一人の男がいた。

 

「どうも……黄昏。いや、今はロイド・フォージャー、でしたか。」

 

法条と呼ばれた男は振り返ってロイドと顔合わせした。

法条はロイド以上に整った髪型に服装をし、見るからにエリートのような気品を漂わせていた。

 

「まさか君が帰ってくるとはな。日本での任務は終わったのか。」

「ええ。まぁ、私的には出来て当たり前の任務でしたが。」

 

法条は得意気に鼻で笑い、自分の髪を撫でた。

 

(相変わらずみたいだな……)

「聞きましたよ、例のオペレーション(ストリクス)、貴方が担当するそうですね。」

 

オペレーション(ストリクス)とは、ロイドが受け持つ最大の任務であり、アーニャとヨルと疑似家族を作るきっかけになった作戦である。

東国と西国で冷戦状態が続く中で、戦争を企てようとするドノバン・デズモンドの計画を阻止するための作戦だった。

 

「正直言って、上層部の判断には理解しかねますね。」

 

法条は鼻で笑うと同時にロイドを睨みつけた。

 

「私こそ、この任務に相応しいと思っていましたから。私なら、貴方より早いスパンでドノバンを殺せる。それだけの力が、僕にはあります。」

「……法条。君は確か、元保安局のエリートだったな。」

 

法条の煽りを聞き、ロイドは静かに口を開いた。

 

「ええ、それが何か?」

「元エリートというのは暇なんだな。俺にそんなこと言うためにここで待ってたとはな。」

 

ロイドはポーカーフェイスを保ったまま毒づいた。言われた法条もポーカーフェイスを保っていたが、苛立っているのか眉に皺をよせていた。

 

管理官(ハンドラー)、失礼する。」

「ああ。」

「じゃあな、法条。次会うのがいつになるか分からんが。」

「いえ……また会うことになりますよ。そう遠くない内に。」

 

法条はそう言うと、ニヤリと笑った。その言葉と笑みの理由が分からず、ロイドは困惑したが、構わずオフィスを出た。

 

「お前たち、もう少し仲良くできないのか?」

「私があの人と?冗談じゃない……」

 

──────────────────

 

(法条……あの男は相変わらずだな。高飛車というか、プライドが高いというか……)

 

久々に会った法条の態度に、ロイドは呆れながらため息をつき、街を歩いた。

その時、

 

「あ、ロイドさん!」

 

聞き覚えのある声が聞こえ、ロイドは声が聞こえた方へ顔を向けた。

そこには職場の制服を着たヨルの姿があった。その傍らには同僚の姿もある。

 

「ヨルさん、こんなところで何を……」

「みんなでお昼のパンを買いに来たんです!ここ、翔一さんのお店ですから。」

 

ロイドはヨルに言われて目の前にあるパン屋を見た。そこは翔一がバイトしているパン屋だった。

 

「そうか、彼はここで働いてるんだったな。」

「ロイドさんもどうですか?ここのパン、美味しいんですよ!」

「そうですね……わかりました。」

 

ヨルからの誘いに、ロイドはにこやかに答え、一緒に店に入った。

 

「いらっしゃいませー!あ、ロイドさん!ヨルさんも!」

 

中に入ると、二人に気づいた翔一が手を振ってきた。

それに答えるように二人も手を振った。すると、その横でヨルの同僚達が赤面して震えていた。

 

「ヨ、ヨルさん!ヨルさんにあんなイケメンの知り合いがいたんですか!?」

「へ?」

 

同僚の一人、カミラがヨルの腕に掴みかかった。

 

「もう~~っ!あんなイケメンがいるんだったら、今の彼氏なんかと付き合うんじゃなかった~!」

「私も~!」

 

さらに同僚のミリーとシャロンがため息をついた。

すると、翔一がロイド達に近づいて来た。

 

「ロイドさんまで来るなんて珍しいですね。」

「ああ、ちょっと近くまで来たからな。」

「あ、ヨルさん!ちょうど今、ベーコンエピが焼き上がったんですよ!よかったらどうです?」

「まぁ!食べたいです!翔一さんのパンはどれも・・・」

 

ヨルが「美味しいですから」と言おうとした瞬間、同僚3人が間に入り、翔一に詰め寄った。

 

「どうも~!私、ヨルさんの同僚でカミラといいます~!」

「ミリーですぅ~!」

「シャロンです!」

「あ……どうも。」

 

突然のことに翔一は少し動揺していた。しかし、そんなことなどお構いなしに3人はさらに翔一に詰め寄った。

 

「よかったら~、私とお食事に行きませんか~?」

「あ、ミリー!アンタもう彼氏いるでしょ!」

「そういうシャロンさんだっているじゃないですか!」

「私なんてどうです~?空いてますよ~!」

 

3人はここぞとばかりにアピールし、翔一とデートし、あわよくば交際しようと目論んでいた。

しかし、そんな3人に対して翔一は……

 

「うーん……遠慮します。なんか3人ともめんどくさそうだし!」

 

悪気もなく笑顔で毒を吐いた。

 

『・・・えっ?』

 

いきなりの毒発言に3人は固まった。

 

「ちょちょちょっ!!ちょっと待て翔一くん!」

「す、すいません!翔一さんに悪気はないんです!ただ、思ったことをそのまま言っちゃうから……」

 

ロイドはいきなり毒を吐いた翔一の口をふさぎ、ヨルは翔一の代わりに同僚3人に何度も謝った。

 

『い、いえ……気にしてないです……』

 

3人は心に深いダメージを受けた様子で答えた。

すると、カミラが翔一に向かって言った。

 

「ぎゃ、逆に!翔一さんの好みのタイプっています?」

(めげないなこの人……)

 

カミラは翔一に好きな女性のタイプを聞いてきた。そのめげない姿勢にロイドは逆に感心していた。

すると、翔一は腕を組んで唸った。

 

「うーん……ヨルさんみたいな人ですかね。」

『……えっ!!?』

 

翔一の一言に、全員が声を上げた。

当の言われた本人、ヨルに至っては顔が真っ赤になっていた。

 

「しょ、翔一さん・・・?」

「ヨルさんは俺の命の恩人だし……それに、とってもキレイで、優しいし!まぁ、不器用だけど、そこもカワイイっていうか!後……」

「も、もういいですから!!は、早くパンを!!」

 

褒めちぎってくる翔一の言葉を、ヨルは大声を上げて遮った。

そしてロイドと翔一を連れてパン売り場へ向かった。

 

(も、もう翔一さんったら!いきなり何を言い出すんだか……)

 

ヨルはいそいそとパンを選んだが、頬の紅潮と胸の動悸は止まらないままだった。

そんなヨルを見て、ロイドは翔一に対して苛立ちを覚えた。

 

(な、何故だ?どうしてこう、胸がざわついてるんだ……?)

 

ロイドはその感情がヤキモチだとは気づかなかった。

そして、翔一にフラれた同僚3人組は固まったままだった……

 

(ま、負けた……)

 

3人は翔一にフラれたことへのショックよりも、自分達よりも下に見ていたヨルに負けたということへの敗北感にショックを受け、そのままパンを買わずに店を後にしたのだった。

 

──────────────────

 

「……美味い!」

「美味しいですね~!」

 

パンを選び、イートインスペースに移動したロイドとヨルは美味しそうにパンを味わっていた。

 

「でしょ?なんてたって、俺のは愛情がこもってますから!」

「おいおい、俺が作った奴が愛情こもってないみたいに言うのやめろよ!」

 

翔一が自慢気に言うと、店の奥から恰幅のいい男が現れた。

 

「あ、おやっさん!」

「おやっさんじゃなくて店長!前も言ったろ!」

「ははっ、すいません!」

 

店長は翔一と会話しながらロイドに目配せをした。そして腕を下に下したまま、人差し指をリズミカルに動かした。

 

(新しい指令か……)

 

このパン屋の店長は「WISE」と通じており、時折このようにロイドに次の指令を伝えている。

翔一にここのパン屋で働くように勧めたのはロイドだった。この店ならば、店長に翔一の監視をさせることができると考えたからだ。

 

「ッ!!」

 

その時だった。翔一の耳に、いつものあの音が響いた。

アンノウンが現れたことを示す、不快な音だ。

 

「おやっさんすいません!俺、急用思い出しました!!」

「お、おい!翔一!」

「翔一くん!」

 

翔一は店長とロイドの静止も聞かずに店から飛び出していった。

その行動を見て、ロイドとヨルは不信感を募らせた。

 

(昨日もそうだった……アイツは一体どこで何をしてるんだ?)

(また行っちゃいました……翔一さん、まさかあなたは……本当にアギト……?)

 

二人が不信感を抱く中、翔一はバイクを走らせ、アンノウンがいる場所へと向かった。

 

 

──────────────────

 

「フシュルルルルル……」

「いやぁっ!!来ないで……来ないでぇ!!」

 

人気の少ない土手の上で、クラゲの姿をしたアンノウンが唸り声を上げながら女性に近づいていた。

その時、翔一が操縦するバイクが激突し、アンノウンが吹き飛んだ。

 

「逃げて!逃げてください!!」

 

翔一は腰を抜かした女性をすぐさま起こし、逃げる様に促した。

女性はそれを聞いて足早に逃げ出した。

翔一は女性が逃げたのを見計らい、腰にベルトを出現させた。

 

「ハアァァァァ……変身ッ!!」

 

ベルトの両側のスイッチを叩き、翔一はアギトへと変身した。

 

「ハッ!」

 

変身するなり、アギトはすぐさま殴りかかった。アンノウンは拳を掴んで防ぐも振り払われ、腹に拳の連撃、さらに顔面に回し蹴りを喰らい、吹き飛んだ。

 

「グウゥゥゥ・・・フッ!!」

 

その時、アンノウンの半透明な頭部が光った。

同時にアギトに向かって雷が落ち、その雷撃を喰らった。

 

「ぐあっ!!」

 

雷撃を喰らい、アギトは怯んだ。しかし、すぐさま立ち上がり、ベルトの左側のスイッチを押してベルトからストームハルバードを抜き、ストームフォームへと変身した。

 

「フッ!!」

 

アンノウンはさらに雷撃をアギトにしかけた。しかし、アギトはハルバードを回転させて雷撃を防いだ。さらにそのままアンノウンに突進し、ハルバードの一撃を浴びせた。

 

「グアアアッ!!」

 

さらにそのまま2発、3発と続けざまにハルバードを食らわせる。そして、とどめを刺そうと構えて呼吸を整えた。

だがその瞬間、アギトの手元に雷が落ちた。ハルバードを持つ手に雷撃を喰らい、アギトは武器を落としてしまった。

 

「あっ!?」

 

アンノウンはその隙を見逃さない。武器がないと分かるやいなや、拾わせまいと攻撃を浴びせてきた。

 

「くっ……!!」

「フシュルルルルル……グアッ!!」

「うわあぁぁぁぁ!!」

 

アギトは勢いよく投げ飛ばされ、地面に墜落した。

しかし、それでも立ち上がり、アンノウンを睨みつけた。

すると、そんなアギトを見てアンノウンは黙って見つめ始めた。そして……

 

「アギト……人間が力を持つべきではない……」

「!!」

 

初めて、アンノウンが人間の言葉を発した。今まで唸り声か「アギト」の一言だけだったアンノウンが初めて発したのだ。

思わずアギトも驚いた。

そして、アンノウンはそのまま姿を消し始めた。

 

「ま、待て!!」

 

アギトはすぐさま後を追おうとした。しかし、アンノウンは半透明の頭部からまばゆい光を発し、アギトの目をくらませた。

そして目が見えるようになった時には、アンノウンの姿はなくなっていた。

 

「逃げられた……『人間が力を持つべきではない』……どういう意味だ?」

 

翔一は元の姿へと戻り、アンノウンが去り際に発した一言の意味を考えた。しかし、いくら考えても答えは出なかった……

 

 





ついに北條さん(この作品では法条)を出すことができました!
実はこのキャラ出すのが楽しみだったんです。もう、いいキャラすぎるので「早く出してぇな~」って思ってました!


後、翔一、ロイド、ヨルさんで三角関係みたいになってますが、安心してください。そういう展開にはなりません。

作品内において、どのライダーの話が一番好きですか?期間は4月10日から4月17日まで。アンケート結果は後日作品内で発表します

  • アギト編(翔一+フォージャー一家)
  • G-3編(ユーリ+対策班、ノエル)
  • ギルス編(フリッド+ダミアン、フィオナ)
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