SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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PART.2 愛にはぐれ 愛を憎み 愛を求める

「ハァッ!」

 

ファイズはアリマンモスに向かって突進すると、すぐに拳を繰り出し、殴りつける。さらに脚を出してアリマンモスを蹴り飛ばした。

ファイズの戦闘スタイルはどちらかといえば、チンピラのような喧嘩に近いスタイルだった。おおよそヒーローらしい戦い方ではないが、着実に攻撃を当てていく。

 

「グンタイッ!!マンモーッ!!」

 

すると、アリマンモスに変化が起きた。なんと、アリマンモスは3体に分裂したのだ。

 

「チッ、めんどくせぇな……」

「オラァッ!!」

 

その時、攻撃の手が止まったファイズを助けるようにグリムが飛び出し、アリマンモスを蹴り飛ばした。

 

「1対3は卑怯だろ。」

「お前……昨日の態度悪い店員!?」

「そっちも覚えてたのかよ。まぁいいや。俺も手ぇ貸すぞ!変身ッ!!」

 

グリムは腰の前で腕を交差させ、大声で叫び、ルデスへと変身した。

 

「お前……仮面ライダーか?」

「まぁな。ここは共闘といこうぜ!」

「なんとかなりそうだな……」

 

身構えるルデスを見て、ファイズは安心したようにホッと一息つき、アリマンモスを睨みながらスナップを利かせて右手を振った。

 

「一人増えても無駄だマンモーッ!!」

「そうかな?」

 

ルデスはそう言うとフッと笑い、左腕の義手に隠されたレバーを引いた。すると義手に青い閃光が走ると同時に高圧電流が流れた。

 

「どりゃあっ!!」

 

ルデスは掛け声とともに左拳を繰り出した。

しかし、アリマンモスは片手でそれを受け止める……が、

 

「こんなパンチたいしたこと……!?シビビビビビビビッ!!?」

 

受け止めた瞬間、アリマンモスの体に高圧電流が流れ、体が痺れ始めた。

 

「アホか、電流流れてるって……分かんねぇのかタコッ!!」

「タコじゃなくてアリとマンモス〜〜ッ!!」

「知るかボケッ!!」

 

ルデスは暴言を吐きながら連続で拳を叩き込んでいく。

その時、背後からもう一体のアリマンモスが襲いかかってきた。

 

「ダァッ!!」

 

しかし、割って入るようにファイズがチンピラのような蹴りを繰り出し、アリマンモスを蹴り飛ばした。

 

「合わせろ!」

「一体一体片付けるか!」

 

ファイズは腰に備えたデジタルトーチライト……「ファイズポインター」を外し、さらにベルトの「ファイズフォン」からミッションメモリーを抜き取り、ポインターにセットした。

 

《Ready.》

 

音声が鳴り響き、ポインターを右足に装着する。そして、ファイズフォンを開いて「Enter」キーを押した。

 

《Exceed Charge.》

 

ピピピピピピ……と電子音が鳴り響き、それと同時にファイズはアリマンモスを睨みながら、足を開いて座るような態勢でかがんだ。

 

「はぁぁぁぁ……!!」

 

同時に、ルデスも地面に紋章を浮かばせる。その紋章のエネルギーを足に集中させる。

 

「ハッ!」

「トゥッ!」

 

二人は空中に高く跳び上がった。

ファイズが足をアリマンモスに向けると、ポインターから赤い閃光が飛び出し、アリマンモスを捉えた。すると、ドリル状の赤いエフェクトが現れた。

 

「デヤァァァァァァッ!!」

 

ファイズは飛び蹴りを繰り出すと同時に赤いエフェクトと一体化し、そのままアリマンモスにぶつけた。

 

「トアァァァァァァァァァッ!!」

 

その隣でルデスを必殺の飛び蹴りを繰り出し、アリマンモスを蹴り飛ばす。さらに蹴り飛ばすと同時に反転し、そのまま地面に着地する。

ファイズも赤いエフェクトでアリマンモスの体を貫き、地面に着地する。

 

『ま、負けてしまったマンモーッ!!』

 

2体のアリマンモスは断末魔を上げると爆発した。ルデスの時は普通に爆発したのに対し、ファイズの方は赤い閃光で巨大な”φ”の文字が浮かんだ後に爆発していった。

 

(……なんか俺のよりカッコよくね?)

 

ルデスは自分のとファイズを見比べ、どちらかといえばファイズの方が格好良いことが何故だが悔しく感じていた。

 

「さて…一人ぼっちになっちまったな?」

「う、ううっ……」

 

あっという間に一体に戻ってしまったアリマンモスは思わずたじろいだ。

 

「に……逃げるマンモーッ!!」

 

勝ち目はないと感じたのか、アリマンモスは雄叫びを上げて逃げ始めた。

 

「あっ!?待ちやがれ!!」

 

ルデスは逃がすまいとアリマンモスを追いかけようとしたが、アリマンモスは鼻から光弾を地面に向けて放ち、土煙を巻き起こした。

 

「うわっ!?」

 

ルデスは両手を振って煙を振り払った…が、煙がなくなった頃にはすでにアリマンモスは逃げた後だった。

 

「クッソ……!逃げやがったか……」

 

舌打ちを打ちながら、グリムは元の姿に戻った。ファイズもベルトを外し、元の姿に戻った。

 

「お二人とも!大丈夫ですか!?」

 

そこに、ヨルが心配そうに駆け寄ってきた。

 

「ああ、大丈夫だ。」

「アンタ……あの喫茶店の女店員か!」

「はい、ヨル・フォージャーといいます。」

「俺はグリムだ。アンタは?」

「……(いぬい)だ。乾 巧(いぬい たくみ)。」

 

巧は名前を名乗ると、すぐさま立ち去ろうとした……が、グリムはすぐさま巧のコートを掴んだ。

 

「待てや!アンタ、ショッカーのこと色々知ってそうだったからな……それ全部話せや!」

「なんで初対面のお前らにそんな……!」

「いいから来いっ……!!」

「離せ……!!」

 

グリムは意地でも連れて行こうと巧の腕を引っ張った。それは嫌だとばかりに巧もグリムを引き剥がそうとする。

 

「あわわわ……!ふ、二人とも落ち着いて……!」

 

二人の様子を見て、ヨルは慌てふためいた。と、その時…

 

「ヨルさん!」

「ロイドさん!?ユーリ!?それに、フランキーさんも……!」

「あ?お前らなんで……」

 

遅れてやってきたロイド達を見て、二人は声を上げた。それと同時に、グリムは掴んでいた手を思わず離してしまった。

 

ゴンッ!!

 

『あっ』

 

隣を見ると、巧が倒れて気絶していた。

お互いに引っ張り合っている中で、急にグリムが手を離したため、巧は引っ張った勢いのまま近くにあった電柱に頭をぶつけてしまったのだ。

その後、巧はグリム達によって拉致され、喫茶シオンに連れて行かれた……

 

─────────────────

 

「……気分はどうかな?Mr.イヌイ。」

「いいわけないだろ!人を拉致りやがって!」

 

喫茶シオンに拉致された巧は、ロイド達(いつもの面々)に囲まれていた。その面々の中にはシルヴィアがおり、シルヴィアは巧に問いかけた。

 

「Mr.イヌイ、あなたを仮面ライダーだとお見受けするが……この世界に来た目的は?」

「教える義理はない。」

 

巧はそう言うと、ロイドが淹れてくれたコーヒーを飲む…前に、冷まそうとフーフーと息を吹きかけた。

 

「……ならば、ショッカーについて何か知っていることは?」

「フーッ…フーッ…」

「黙秘、か……なら、あなたが装着しているあのベルトのことを……」

「フーッ…フーッ…」

 

巧はシルヴィアの話など聞かずにひたすらコーヒーを冷まそうと息を吹きかけている。

その様子に痺れを切らし、シルヴィアは怒りで震える拳をテーブルにドンッと叩きつけた。

 

「おい!いつまでフーフーしてるんだ!!猫舌か貴様!?」

「うるせぇ!コーヒーぐらい好きに飲ませろ!」

 

二人はいがみ合い、睨み合った。それを見て、他の皆は「こりゃダメだ」と思った。

すると、

 

「あの……」

 

ヨルが巧に声をかけた。

 

「もし差し支えなければ話していただけませんか?ショッカーやあなたのことが分かれば、少しでもあなたを元の世界に帰れる手伝いが出来ると思うんです。どうか……お願いします。」

「おねがいするます!」

 

ヨルは遜った態度で話すと、しかめっ面をする巧に頭を下げた。すると、アーニャもヨルにならってペコリと頭を下げた。

 

「……最初っからそうやって頼めばいいんだよ。」

 

巧は頭を下げる二人を見て、申し訳なく思ったのか頭を掻きながら承諾した。

 

「ありがとうございます!タクミさん!」

「あざざます!」

「ふんっ……」

 

巧が承諾したのを見て、笑顔で礼を言うヨルとアーニャ。それを見て皆はホッとした……が、ただ一人、シルヴィアはロイドの肩を掴んだ。肩に爪が食い込みそうなほどに。

 

(おい……私もだいぶ遜ったつもりだぞ?お前の嫁と私のどこが違うんだ……?)

 

シルヴィアは巧が自分よりもヨルの説得に応じたのが納得いかないようだった。

ロイドは問われ、額に汗を掻きながら答えた。

 

(い、いや……け、謙虚さ……でしょうか……)

(あぁん?)

(な、なんでもないです……)

 

シルヴィアに睨まれ、ロイドは黙った。

 

《Standing by...》

 

とその時、ファイズフォンの音声が鳴り響いた。

 

『ん?』

 

その音声を聞き、皆後ろを振り返った。するとそこには、なんとフランキーがファイズのベルトを巻き、ファイズフォンを操作していた。

 

「フランキー!?」

「おい!!お前何やってんだ!?」

「へへへ……これで俺もモテモテだ!!変〜〜〜身ッ!!」

 

仮面ライダーに変身し、女性からモテモテになろうと画策するフランキー。ファイズフォンを構えベルトに装填した。

そして、

 

《ERROR.》

 

「へ?ぎゃあああああああ!!?」

 

「ERROR」という音声が鳴り響き、フランキーの体に電流が流れ、ベルトが強制的に剥がれ、フランキーはその場に倒れた。

 

「バカッ!!何やってるんだ!?」

「い、いや……アギトとかと違って、誰でもベルト巻けそうだし……俺でも変身できるかなーって……」

 

フランキーの蛮行を見て、ロイドは頭を強めに叩いた。それに続くように巧も頭を叩いた。

 

「バーカ、これは人間(・・)には使えないんだよ。」

 

巧はそう言うとベルトを取り上げ、アタッシュケースに戻した。

その時、巧の言葉にロイドとフリッドは違和感を抱いた。

 

(ロイド君……聞いたか?)

(ああ……まるで人外じゃないと使えないみたいな言い方だったな……)

 

巧が言い放ったセリフは、まるで自分が怪物と言っているようにも聞こえたが、二人はあえて口にはしなかった。

そして、巧は語り始めた。

 

「俺がこの世界に来たのは……偶然だ。バイクで旅をしてたら、急に目の前が歪んで……こう、空間がグニャッて……で、気がついたらこの世界にいた。」

 

まず手始めとばかりにこの世界に来た理由を話す巧。

 

「なるほど、ならショッカーという組織は知っているか?」

「俺ら仮面ライダーが長年戦ってる相手だ。倒しても倒しても復活して俺らの前に立ちふさがってくる。世界征服のためにな。」

 

世界征服……その陳腐とも呼べる言葉に失笑しそうになる一同。しかし、現にショッカーは街を襲っている。信じる他ないように思える。

 

「俺が話せるのはこれぐらいだな。」

「そうか……情報の提供感謝する。礼と言ってはなんだが、この家に泊まるがいい。」

「あ……」

 

シルヴィアの一言を聞いた瞬間、嫌な予感を感じたロイドは声を上げた。

 

「いいのか?」

「あ、ああ。構わないさ……」

((じん)さんと同じパターンか……)

 

神 敬介(じん けいすけ)の時と同じ展開に、ロイドは半ば諦めながら、巧が泊まることを承諾した。

その後、喫茶シオンに集まった面々は解散し、各々帰ることになった。

 

「それじゃあロイド君、またな。」

「ああ。」

「グリムくん?どうしました?」

「別に……」

 

皆帰ろうとする中、グリムだけがムスッと膨れていた。

 

(せっかくのデートだったのに……台無しじゃねぇか……)

 

ショッカーが現れたことで、せっかくのヨルとのデートが台無しになったことをグリムは歯がゆく思っていた。

そして、グリムの心を読んだアーニャは、ヨルの方を向いた。

 

「はは!ぱいせんがデートできなくてふきげん!」

「え?」

「なっ!?」

(わ、忘れてた!こいつ心読めるんだっけ!!)

 

完全に不意を突かれたグリムは思わず顔を真っ赤に染めた。

すると、ヨルはクスッと笑い、ロイドの方を向いた。

 

「ロイドさん、私……明日お店の仕事休んでもいいですか?」

「え?いいですけど……」

 

ロイドから承諾を受けると、ヨルはうんと頷きグリムの方を向き直した。

 

「グリムくん、明日はちゃんとデートしましょう?う〜んと楽しみましょうね♪」

 

ヨルはそう言うと、グリムの手をギュッと握った。

 

「〜〜〜〜〜ッ!!?は、はひっ!!」

 

真っ赤なグリムの顔がさらに真っ赤になった。さらにうわずった声で返事をし、グリムはフリッドに引きずられるようにその場を去った。

 

「完全に悩殺されたな。」

「このクソガキ……ガキのくせに姉さんのこと好きになりやがって!」

「お、俺だって分かんねぇよ……!」

 

フリッドに引きずられながら、グリムは真っ赤になった顔を手で覆った。

 

「あの人の顔見ると胸が熱くなって…んで、笑顔こっちに向けられるとすっげぇ嬉しくて……もっとこっち向いてくれって、思うんだ……!」

 

真っ赤になった顔を隠しながらグリムは語り始める。その顔はニヤけており、かなり嬉しそうに見えた。

しかし、その顔はすぐさま暗い表情に変わり、赤面していた頬も元に戻った。

 

「でも……同時に、こう思っちまうんだ。俺だけを見て欲しい、ロイドなんかと別れちまえって……俺を一番好きになって欲しい……思っちゃいけねぇのに、思っちまう……!」

 

グリムは自身の心情を吐露した。心の奥底に眠らせたどす黒く、ゲスな感情……自分で自分を嫌悪したくなるようなその感情に、グリムは目に涙を浮かべた。

フリッドとユーリは、それを黙って聞いていた。

 

「こんなこと思うくらいなら……好きになるんじゃなかった……」

「……グリム。」

 

自分を卑下するグリムを見かね、フリッドが話しかけた。

 

「そう思ってしまうなら、いっそヨルさんに全部ぶちまけろ。」

「……はっ?」

「ち、ちょっとフリッドさん!?何言ってるんですか!?」

 

フリッドの言葉にグリムは声を上げ、ユーリはさらに大きな声を上げた。

すると、そんな二人を見かねて人差し指を立てて声を上げた。

 

「ただし!告白して、想いを全部ぶちまけたら、もうヨルさんのことはスッパリ諦めるんだ。」

「先輩を……諦める……」

「お前が本当にヨルさんの幸せを望むなら……できるな?」

 

グリムは何も言わずにコクリと頷いた。

 

「ぼ、僕は認めてないぞ!お前なんかが姉さんに告白なんて……!!むぐっ!?」

 

文句を言おうとするユーリの口をフリッドが塞いだ。

 

「ユーリ君は抑えておくから、お前は誕生日までにちゃんと伝えるんだぞ。これは、お前が前に進むための道だ。」

「前に、進むための……」

 

フリッドの言葉を聞き、グリムは拳を握りしめた。

フリッドの言うことは、正しかった。ヨルに想いを伝えない限り、自分はこのまま。情けないままの自分で終わることになる。

そうならないためには、自分は告白するしかない……そう思ったグリムは覚悟を決めた。

覚悟を決めたグリムは、翌日…ヨルとの再デートに臨んだ。

しかし、この時グリムは想像もしなかった事態に遭遇することになる……

それは、ヨルと同じくらい大切な人との……悲しき再会だった。

 

 




おまけ「グリムの食生活 その2」

「・・・で、さっきの話の続きだけど・・・朝飯食ったら、着替えて出かける。この店の手伝いがある時はこっちに、ない時はガーデンに行くんだ。で、向かってる最中に買い置きしといたポテチ食ってる。」
「移動中も食ってんのかお前。」
「そんで昼飯は……」

グリムはうーんと唸り声を上げ、思い出そうとした。

「店の手伝いの時は、ここの賄い食うけど……それ以外の時は基本外食だな。この前は……ピザ屋に行った。その店のピザを全種類3枚ずつ食った。」
「……サイズは?」
「L!デカい方が食いであるだろ。」

グリムがそう言うと、その場にいた全員は息を吸った。すると、グリムを抜きにしてその場で円陣を組んだ。

「……アイツ、今なんて言った?」
「Lサイズのピザを3枚……しかも全種類……」
「雑に10種類だとして……30枚……!!?」

全員唾を飲んだ。グリムの食欲と胃袋に驚愕したのだ。常人なら間違いなく、約30枚のピザなど食えないからだ。

「それで夜は本業の仕事に備えて……」
「お、小休止か?」
「いや、仕事の連絡あるまで菓子食ってる。」
『まだ食うの!!?』

─────────────────

グリムの制作秘話
グリムは当初、「スカーフェイス」という名前のキャラになる予定でした。容姿も現在とはかなり違い、スキンヘッドで顔中に傷がついた大柄の男という設定でした。
その時はヨルさんに惚れるという設定もなければ、ドノバンの愛人の子、という設定もありませんでした。
ハッキリ言ってキャラが薄いので、色々脚色して今のキャラになりました。

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