4日目……
「……報告は以上か?」
「はい。」
フィオナはロイドから聞いた情報をシルヴィアに報告していた。シルヴィアのかつての相棒、ニコルが亡くなったことを。
「それから……黒夢氏は最後に、『役立たずの相棒ですまなかった』……と長官に伝えて欲しいと。」
「……そうか。あの少年は?」
フィオナからの報告を聞いても、シルヴィアは顔色を変えなかった。ポーカーフェイスで表情を隠しているのか、はたまた何とも思っていないか……そんなシルヴィアに対し、フィオナは報告を続けた。
「『ガーデン』に保護されています。敵の狙いはグリム……となれば自宅や黄昏の店に敵が来る可能性があります。『ガーデン』なら少しは安全かと…」
「そうか。」
「では、失礼します……」
フィオナは背を向けて聞くシルヴィアに一礼すると、部屋を出ていった。
すると、フィオナが出ていったのを見計らうように、シルヴィアはその場に崩れ、泣き出した。
「黒夢……バカ者……!!私は一度だって、お前のことを“役立たず“だとは思っていない……!!」
泣き崩れるシルヴィアの手には、さきほどフィオナから渡された金色のマフラーが握られていた。かつての相棒、ニコルが遺したものだった。
「黒夢……!何故お前はもっと“非情“になれなかった……!?」
泣き崩れるシルヴィアは唸るように言葉を絞り出した。
もしも、ニコルがもっと非情で、スパイらしい性格だったのなら戦って死ぬことはなく、今でも自分の隣にいてくれたかもしれない……シルヴィアはそう思った。
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そのころ、「ガーデン」では……
グリムは店長達によって保護され、休憩室に軟禁されていた。グリムなら復讐に行くと思ったロイド達は、店長に頼んで軟禁するようにさせたのだ。
「……親父……」
部屋のソファに座りながら、ニコルが死んだときのことを思い出し、ギリギリと歯ぎしりを立てた。泣きたくても、あの時涙が枯れるほど泣きじゃくった。
同時に怒りがこみ上げた。ニコルを殺したあの三兄妹ではなく、自分自身に。
「俺なんか助けなきゃ、死ななかったのに……!」
自分さえいなければニコルは死なずに済んだかもしれない。そう思うと自分が許せなくなった。それこそ、自分で自分を殺したくなるほどに。
「俺なんか…いなきゃ……!!」
グリムは悔しそうに言うと、自分の両手を自分の首に……
その瞬間、部屋のドアがノックされた。
「グリムくん、入りますよ。」
「!!」
グリムは咄嗟に首から手を離した。
部屋に入ってきたのは店長だった。
「グリムくん、今、いばら……ヨルくんからお電話が入りまして……先程、あなた方のご友人であるフランキーという男が、病院に搬送されたそうです。」
「はっ……!!?」
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バーリント総合病院……ここに運ばれたフランキーは病室のベッドで横になっていた。
「フランキー!!」
病室にたどり着いたグリムはベッドに横たわるフランキーを見て、声を上げた。
フランキーは体中に包帯を巻かれ、口には人工呼吸器が取り付けられていた。
「……両手両足にアバラを骨折させられてる。」
「それに全身に打撲を受けてる。殴られたせいで肺が弱ってる……」
「そんな…なんで……!?」
先に来ていたロイド達から事情を聞いたグリムは困惑した。
恐らく、フランキーを襲ったのはあの3人だ。しかし、それならば何故自分ではなく、フランキーを襲ったのか分からない。
すると、ロイドは立ち上がりポケットからある物を取り出した。
「…現場でフランキーが握っていた物だ。救急車で運ばれる前に、俺に渡したんだ。」
ロイドから受け取ったのは小型の録音装置だった。手のひらに収まるサイズで、横に小さいボタンがある。恐らくフランキーの手製だ。
グリムはボタンを押して再生した。
『お、お前ら、あのガキの……!!』
『よぉ、俺の落ちこぼれの弟が世話になってるなぁ……』
装置から聞こえてくるのはフランキーとそれに、あの男…カトルの声だった。
「カトル……!」
『お、俺に何の用だよ!?』
『いやぁ、用ってほどでもないが……お前、機械いじりが得意やんだってなぁ?あの落ちこぼれの義手もお前が手入れしてやったとか……』
カトルの声とともにカツン、カツンと歩く音が聞こえる。恐らくフランキーに近づいている音だ。
『お前、奴の義手に細工しろ。』
『…はっ!?』
『お前なら容易いんじゃないか?それに、もしやってくれたら……お前に女を紹介してやるぞ?』
『!!』
フランキーには彼女がいない。常日頃からこぼし、酒の席で「モテたい」などと愚痴をこぼすぐらいだ。
しかし……
『……なんだ?土下座なんてして…なんのつもりだ?』
なんと、フランキーは土下座をしたらしい。
そして、さらに続く言葉にグリムは驚いた。
『……あのさ、もうアイツのこと放ってくれねぇか?』
「えっ……!?」
『あぁ?』
『もうアイツ……十分苦しんだだろ。アイツの義手メンテしてる時、それとなく聞いたけど……アイツは青春を味わうことなく戦ってきた。ちっちぇ頃から……そんで父親まで失って……こんな悲劇ないだろ。』
『………』
『だからさ、頼む!放っておいてくれよ!ほ、ほら!ちゃんと頭下げてるだろ?もう重力に逆らえないくらい下げてるからさ!ほら、な!』
どうやら土下座したフランキーはさらに地面に頭をこすりつけているらしい。
それを聞いたグリムは、何故フランキーがこんなことをしたのか分からず困惑した。
すると、
『フフフッ、お前なかなか勇気あるな……』
その次の瞬間、バキッ!という鈍い音が聞こえてきた。
『ぐえっ!!』
『だが、バカだ!!』
音を聞くに暴力を振るわれたようだ。それに続いて3人分の笑い声が聞こえてきた。どうやらザカとフランもいるらしい。
『こいつバッカじゃないの〜〜?やめるワケないじゃぁん♪』
『まったくだ……バカバカのボケボケだ。』
『クッソォ……!!やっぱダメかよ……!!うおぉぉぉぉぉぉぉ!!』
その時フランキーが大声を上げた。突進でもしたのだろうか。
『ニコルのオッサンが言ってたんだ……!「不甲斐ない大人のせいで戦争起こす」って……!俺もその不甲斐ない大人に片足突っ込んでる……!じゃあ、俺に何ができるかっていったら……ぐほっ!!』
『ウザいんだよ、お前。……やれ。』
また鈍い音が響いた。しかも今度は何回も。
『キャハハハッ!!モジャモジャ頭のクセにお兄ちゃんに歯向かうなんてバッカみたい!!』
『ゴミゴミはボコボコだ!!』
『殺すなよ?徹底的に痛めつけて、あの落ちこぼれに見せつけてやれ。お前のせいで周りの人間が傷つくってなぁ!!フハハハハハハハッ!!!』
『ぐあぁぁぁぁぁぁ……!!!』
カトルの笑い声とともにフランキーの悲痛な叫び声が聞こえてきた。それも何回も連続して…骨が折れる音も聞こえていた。
装置の録音は、ここで終わっていた。
「ふざけやがって……!!」
全ての音声を聞き、グリムは怒りに震え装置を投げ捨てた。そしてそのまま病室を出ようとした。
「グリムくん!」
その時、ヨルはグリムを呼び止めた。
「グリムくん……戦うつもりですか?」
「……」
グリムは何も答えなかった。するとヨルはグリムの手を掴んだ。
「ダメですよ……?ニコルさん言ってましたよね…?次に変身したら死ぬかもしれないって……!」
握る手を強くするヨル。対し、グリムは少し黙り込んだ後、答えた。
「……大丈夫だよ先輩。もう戦わない。だって……命は一つしか、ないもんだから。」
そう言うと、グリムはニカッと笑って病室を出ていった。
その後すぐ、巧が病室のドアノブに手をかけ、出ようとした。
「待て!後を追うのか?」
「……飯食いに行くんだよ。」
巧はぶっきらぼうに言うと続けて病室を出ていった。
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病室を出たグリムは一階にある待合室のベンチに腰掛けた。
そこで深いため息をつきながら、さきほどのヨルの顔を思い浮かべた。
(……ごめん、先輩。嘘ついた。)
心配そうに自分を見つめるヨルの顔を思い出しながら、グリムは申し訳なさそうに目を瞑った。
「もう戦わない」……そう言ったが、グリムは戦うつもりだった。知り合いがあんな目に遭わされて、黙っているワケにはいかない。
(……覚悟、決めないとな。)
次に戦えば、死ぬかもしれない……ならば覚悟を決める必要がある。
そう思ったグリムは、ふと待合室に備え付けられた公衆電話に目が行った。
「今の時間なら、まだ市役所か……?」
小声で呟きながら、公衆電話に硬貨を入れ、電話をかけた。
『はい、バーリント市役所です。』
「よぉ、クソババァ。」
『ぐっ…!クソガキ……!』
電話をかけたのはヨルの前の勤め先、バーリント市役所。そして電話に出たのはカミラだった。
カミラは電話をしてきたのがグリムだと分かると、嫌そうな声を出した。
『何よ、いきなり電話して……私になんか用なワケ?』
「まぁな……お前に言いたいことあってさ。俺…ことあるごとにアンタのことババァって呼んだよな。」
『ことあるごとにっていうか、会う度にでしょうが……!!』
グリムの言葉を聞いて怒っているのか声が低くなっていた。そんなカミラに対し、グリムは落ち着いた態度で話を続けた。
「なんでアンタのこと……ババァって呼んじまうのか分かった。……似てたんだ。俺の、死んだ母ちゃんに。」
『……えっ?』
「髪型と、怒った時の顔がよく似てる……まっ、俺の母ちゃんの方が美人だったけどな!ババァとは違って。」
グリムは言葉の最後に悪態をついた。しかしカミラは何も言えなかった。いつもであれば怒るところだが、何故グリムがいきなりこんなことを言ってきたのか分からなかったからだ。
グリムはさらに続けて言った。
「なぁ、赤ちゃんって可愛いんだぜ?初めてシエルを見た時、『守ってやりたい』って思ったからな。だからさ、お前もさっさとドミニクと子ども作っちまえよ。俺が言いたいのはこれだけだ。……元気でな。」
『えっ、ちょっ……!!』
カミラが追及しようとした瞬間、グリムは電話を切った。
「……さて」
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「ダミアン様!今日は3人で勉強会開きましょうよ!」
「明日の小テストの予習しましょう!」
「おう。」
場所は変わりイーデン校……放課後になりダミアンはエミールとユーインを連れて寮に戻るところだった。
「あ……」
その時、ダミアンは声を上げて足を止めた。目の前には、グリムがいた。
グリムはダミアンの姿を見るなり挨拶代わりに手を挙げた。
ダミアンはエミールとユーインの二人を先に寮に帰し、グリムとともに校舎裏に回った。
「どうしたのアニキ?いきなり来て……」
「ん……お前に、謝っておこうと思ってさ。」
「えっ?」
いきなりしおらしい反応を見せるグリムに、ダミアンは声を上げた。
「俺は、お前にアニキらしいこと…何もしてやれなかった。それどころかお前のことを傷つけた。…ごめんな。」
グリムは申し訳なさそうにダミアンに謝罪した。すると、ダミアンはプッと吹き出した。
「何似合わないこと言ってんだよ!」
「悪いかよ!」
「…俺は、アニキに出会えて良かったって思ってるよ。それに、俺分かったんだ。アニキや、伯父さんを見て……二人とも、自分の大切なものの為に命をかけてる。その生き様が……男にとって最高の生き様だって気づいたんだ!」
ダミアンは胸を張って言ってのけた。そこには以前のような小生意気な悪ガキの姿はなかった。そんなダミアンを見て、グリムはキョトンと目を丸くしたが、すぐに誇らしげに笑った。
「なーにナマイキ言ってんだガキ!」
「イテッ!」
ダミアンの頭を軽く叩くも、すぐに頭を撫でたグリムはその場から去ろうとした。
「……ちゃんと飯食って、デッカイ男になれよ。」
そう言うと、グリムはその場から立ち去った。その時、グリムはダミアンとは顔を合わさなかった。顔を見てしまったら、名残惜しくなってしまう。
「いくか……」
校門前に止めていたバイクに跨り、次の目的地へ向かおうとしていた。と、その時、
「ぱいせん……」
「アーニャ。」
グリムの前にアーニャが現れた。アーニャは怒っているのか、眉間にシワを寄せていた。
「ぱいせん、いっちゃダメ……!」
「俺の心読んだのか?それとも、あのデブ犬利用したか?」
「ダメ!」
アーニャはグリムの足にしがみついてきた。その目には涙が浮かんでいた。
「アーニャ、もうだれかがきえるのヤダ……!ショーイチの時みたいに……!!」
二人の脳裏に、かつてこの世界を救った、自分達にとって大切な存在……仮面ライダーアギトこと津上翔一が浮かんでいた。
あの時、翔一は皆の前から姿を消した。アーニャはあの時と同じ思いを二度としたくないと思っている。グリムにもその気持ちは伝わっていた。だが……
「……俺が死んだって悲しむ奴なんて……」
「いるっ!!アーニャも、ちちも、おじも、かてーきょーしも、じなんも、モジャも……ははもっ!!みんな、ぱいせんがいなくなったらなくっ!!」
「……っ!!」
アーニャのその言葉に、グリムの瞳は潤んだ。するとグリムはバイクから降りると、泣きじゃくるアーニャを抱きしめた。
「お前は優しいな……やっぱ、血は繋がってなくても、お前はヨル先輩の子どもだ。でも……ごめん。」
グリムは一言謝ると、アーニャから離れ再度バイクに跨った。
「俺はもう、止まれないんだ。」
「ぱいせんっ!まって!!」
アーニャの静止を振り切り、グリムはバイクのエンジンをかけ、その場から去ってしまった。
「ぱいせん……!!」
(バカ野郎……!!)
アーニャはその場で崩れ落ちて泣きじゃくる。同時に誰かの心の声が聞こえてきたが、今のアーニャに気にする余裕などなかった……
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イーデン校を去った後、グリムは自分が住むマンションに戻ってきた。
部屋に入るなり、まるで家探しするように家中のクローゼットや棚を開けた。その中に隠されている武器を片っ端から取り出した。
武器はナイフや手裏剣といった刃物だけでなく、目潰し用のスプレーなども取り出した。それを大型のバッグに全部詰め込んだ。
その時、家の電話が鳴り響いた。
「もしもし……」
『よぉ、兄弟……』
声を聞いた瞬間、グリムは受話器を壊れそうなほど握りしめた。
『俺からのプレゼントは気に入ったか?』
「プレゼントだぁ……?なんのつもりだてめぇ……!!狙うんなら俺を狙えよ……!!」
『クハハハ……!!何を言ってるのやら……俺達はなぁ、お前を苦しめたいのさ。』
「ふざけやがって……!!」
カトルの言い草に、グリムはさらに怒りを湧き上がらせ受話器を握り、ヒビを入れた。
「待ってろ……ぶっ殺してやる!!」
『クハハハ……なら、今から言う場所に来い。場所は……』
カトルは戦いの場を指定した。場所は東国と西国の境目にある軍の施設……そこはかつて前線基地として使われていたという。
電話を切ると、グリムはすぐさま向かう…前に、もう一度受話器を取り、ある場所へ電話をかけた。
その場所は、「ガーデン」。
『どうしました、グリムくん。』
「……アンタに頼みたいことがある。褐色ジジイ……いや、店長。」
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店長との電話を終えた後、すぐさま部屋を飛び出そうと玄関ドアを勢いよく開けた。
「!!」
開けた瞬間、グリムは目を見開いた。ドアを開けると、そこにはヨルがいたのだ。
勢いよくドアが開いたことでヨルも驚いていたが、すぐに女神のような微笑みを浮かべた。
「グリムくん、さっき店長から電話があって……グリムくん、まだ『ガーデン』に戻ってないって……」
「……今から戻る。ちょっと忘れ物を取りに来たんだよ。」
グリムはそう言いながらヨルを素通りしようとした。だがヨルはそんなグリムの腕を掴んだ。
「待ってください!」
「先輩……」
「もう、戦いませんよね……?」
ヨルの言葉にグリムは何も言わず、コクリと頷いた。
それを見てヨルはホッと胸を撫で下ろした。
「……私、ニコルさんがグリムくんに『戦うな』って言ったのは、親心だと思うんです。戦いとは無縁の人生を歩んで、自分の人生を歩んで欲しいから……」
「自分の、人生……」
ヨルの言葉に、グリムは改めてニコルの言葉を思い出した。
確かにニコルは「戦うな」と言った。しかし、死に際に「自分で決めろ」とも言っていた。
ヨルの言う通り、親心だったのかもしれない。息子として、それに応えてやるのが普通だろう。だが、今のグリムにあるのは……
「……先輩、俺さ……」
「はい?」
グリムはずっと言いたかったことを言おうとした。こんな時に、と思うかもしれない。だが、こんな時だからこそ言いたいと思った。
勇気を振り絞って、グリムは……
「……先輩の作ったシチューが食いてぇ。」
「まぁっ!本当ですか!?」
結局、本音を言えず嘘をついた。
どれだけ取り繕っても、グリムの本音はヨルを傷つけ、迷わせてしまうものだ。幸せを掴んだ女に言うことではない。
「じゃあ明日、作って待ってますね!」
「ああ……また明日な。」
二人はそう言って手を振って別れた。
(……ごめん、先輩。)
心の中で謝罪しながら、グリムはバイクのエンジンをかけた。
どれだけ心が張り裂けそうでも、強がって、カッコつけて、また嘘を重ねる……
(先輩……アンタは俺の汚い手を取ってくれた。笑ってくれた……俺は暗闇ん中でアンタに会って、生まれて初めて光が見えた。アンタの悲しそうな顔を見ると切なくなって、笑顔が好きになって……その内、俺が無理してもアンタの為ならって思えた。自分が自分らしく強く在るためにはアンタしかいないって……いつの間にか、先輩の為に戦うのが運命だって思えた……でも、もう……)
「……行くっきゃねーか。」
かつて復讐鬼だった少年は、一人の女性とその仲間達のおかげで人間に戻れた。
だが……いま一度、少年は復讐鬼へと戻る……
おまけ「なんか似てる」
「うーん……」
「な、なんだよ。何じろじろ見てんだよ・・・」
巧はフランキーを見て首をひねっていた。
「いや、お前……どっかで見たような気がすんだよな……」
「はぁ?」
「……なぁ、ちょっとセリフの最初に、『ちゅーか』ってつけてみてくれねぇか?」
「なんだよそれ……まぁ、いいけどよ……ゴホン!」
意味の分からない申し出だったが、渋々受け入れたフランキーは軽く咳払いをした。
そして、ゆっくりと言葉を放つ。
「ちゅーか、なんでそんなことしなきゃいけないワケ?」
フランキーがセリフを言い放ったその瞬間、巧の脳裏には髭を生やした元ギタリストだった、夢を呪いだと思ってる最終的にギターを投げ捨てる放浪者っぽい男の姿が浮かんだ。
「あーーーーーーーーーっ!!!」
「だからなんだよ!!?」
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海堂とフランキーってなんか似てる気がする……なんでだろ。