SPY×AGITΩ   作:ぴりもに

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Episode:Yには以下の要素が含まれています。

・残酷な描写あり
・鬱展開あり
・内容がかなり暗い
・生身での戦闘が多い
・おまけコーナーのフリッドが壊れてる

それでもよろしければ……どうぞ!




Episode:Y「青い瞳と白狐」
PART.1 邂逅Ⅰ:始まりの白狐


 

東国と西国にショッカーという秘密結社が人知れず蔓延っている。ショッカー関連の施設も人知れず存在していた。

その内の一つが、壊滅した。たった一人の男の手によって……

 

「これは……”ハビタット計画”……?」

 

施設に落ちていた書類……それが、全ての引き金……

 

「これだ……これさえあれば、この世界から戦争を失くせる……」

 

────────────────────────

 

「……母さん、久しぶり。」

「こんにちは、御母様。」

 

その日、フリッドとフィオナは休日を利用してとある場所に来ていた。その場所は霊園……そして2人は墓参りに来ていた。他でもない、フリッドの死んだ母親の墓参りに……

 

「元気してた?最近寒くなってきたね……あっ、寒くなったっていえば、この間フィオナが美味しいスープを作ってくれたんだ。」

 

墓を前に2人は他愛のない話をし始めた。最近あったことや2人で色んなところに行ったことなど、色んなことを報告した。

 

「フリッド、そろそろ……」

「ああっ……じゃあ、また来るよ母さん。今度は孫の顔を見せてあげるから。」

「ま、孫!?」

 

フリッドの一言にフィオナは驚いて声を上げた。同時に頬をほんのり赤く染めた。

墓参りを終えた2人は片付けをし、フリッドはバイクを押し、フィオナは墓参り用の道具を持って道路に向かって並んで歩いた。

 

「……ねぇ、フリッド。」

「ん?」

 

歩いている最中、フィオナはフリッドに声をかけた。

 

「……ま、孫の顔より先に、結婚式じゃないの……?」

「……えっ!!?」

 

フィオナの言葉に、フリッドは自分が言った言葉を思い出し、顔を真っ赤に染めた。我ながら恥ずかしいことを言ってしまった……と改めて思った。

 

「い、いや、その……へ、変な意味じゃ……!」

「……待ってるから。」

「へっ?」

 

フィオナは消え入りそうな声で呟いた。フリッドは一瞬聞き逃しそうだったその一言を聞き、さらに赤面し、顔が熱くなった。

 

「……あ、暑いな。今日は……」

「……暑いわね。」

「き、今日何度あるんだろうなぁ……」

 

2人は片手で顔を仰ぎながら呟いた。暑くなっているのは2人が赤面しているせいで、気温が高いわけではない。2人は自分でもそのことは分かっていたが、あえて口にしなかった。

その時、目の前に車が停まっているのが見えた……が、どこか様子がおかしかった。

停車しているにしては妙に斜めに停まっていた。そして運転手と思われる中年の男が困ったような顔で車を見ていた。

 

「あ〜っ、参ったなぁ……」

「どうしました?」

 

フリッドは男に声をかけた。男は短髪に眼鏡をかけ、よれよれの服を着て、どこかうだつの上がらなそうではあるが、優しい印象を抱かせる男だった。

 

「いえ、車がぬかるみにはまってしまって……」

 

車の足元をよく見ると、男の言う通り片側のタイヤがぬかるんだ場所にはまっていた。

 

「手伝いましょう。」

「ありがとうございます!」

 

フリッドはバイクを停め、上着をフィオナに預け、男の車の下の部分を……

 

「ふんっ!」

 

思い切り力を入れて持ち上げ、車を道路に戻した。

 

「おおっ!ありがとうございます!!ち、力強いんですねぇ……」

「はははっ、たまたまですよ。」

 

ギルスであるフリッドにとって、車を持ち上げるなど造作もない。すると、男は急に寂しげな顔を見せ、ため息をついた。

 

「……羨ましいです。私も力があれば、息子を助けられたのに……」

「息子さん……?」

 

この場は墓場の近くで、車の中をよく見ると花束があった。そこからなんとなく予想はつくが、フリッドは思わず尋ねた。

 

「今日は息子の墓参りに来まして……戦争の時、息子が死んだんです。敵国の爆撃で……」

「……お気の毒です。」

「……私は……チャップマン総裁を許せません……」

 

その名を聞いて、フリッドとフィオナの胸がざわついた。チャップマン総裁とは、東西戦争が起きた当時の首相……戦争を始めた人物だと言われている。

 

「あの男がいなければ、私は息子と一緒にいられた……死に目に会うことだってできた……」

 

恨み言のように呟きながら、俯く男。あの戦争で多くの人間が、多くのものを失った。誰かに恨みを抱いてしまうのも当然といえる。

しかし、男は突然笑い始めた。

 

「でも…もう少しでチャップマンの首が飛びますよ。」

「えっ……?」

「それで、両国は……世界は大きく変わりますよ。」

 

そう言った男の目は、先ほどの様な優しい目ではなく、ひどく冷めきったような目をしていた。

 

「車、ありがとうございます。」

 

男は礼を言うと車に乗り込み、そのまま走り去ってしまった。

 

「……フリッド。」

「ああ……何か嫌な予感がする……」

 

妙な胸騒ぎを覚えた。何か、波乱が起きてしまうような予感が……

 

────────────────────────

 

そのころ、

 

『せいっ!せいっ!せいっ!』

 

街の公園で格闘技の練習をしている少年少女達がいた。アーニャとダミアン、それにエミールとユーイン、ベッキーの5人だ。そして教えているのは……

 

「よーし、ガキども!いい調子だ!」

 

褐色肌の少年、グリムだった。いつもはフリッドやヨルが担当しているのだが、今回は代打でグリムが担当している。

さらにいえば、エミールとユーインは今回が初参加となる。

 

「よし、1回休憩だ!」

『はいっ!!』

 

5人は元気よく返事をすると、持ってきた水筒で水分補給をした。

 

「ダミアン様!」

「ん?」

「あのグリムって人……あんなに爽やかで優しい感じの人でしたっけ……?」

「前に見た時とは、なんか別人ですよね……?」

 

2人は一度グリムのことを見かけたことがある。その時はまだグリムはやさぐれていたため、今のグリムを見て二人は困惑していた。

そんな2人に対して、ダミアンはニコッと笑って答えた。

 

「へへっ、カッコいいだろ!俺のアニキ!」

 

ダミアンはグリムのことを誇らしく思っていた。もちろん、前のグリムのことも尊敬していたが、今のグリムはそれ以上に尊敬していた。

そんな時、横を見てみると、ベッキーがウットリしたような目でグリムを見ていた。

 

「ベッキー、どした?」

「グリムさん……素敵……♡」

 

目にハートマークが浮かびそうなほど、グリムに見惚れていた。

アーニャはそんなベッキーの心を読んだ。

 

(顔はロイド様よりワンランク下がるけど、あの爽やかな笑顔……!若々しくてはつらつとしてるし……しかもあの褐色肌……なんかエッチ!!)

(きょうのベッキー……よくわからん。)

 

ベッキーは心の中でグリムのことを品定めしていたが、心を読んだアーニャは、ベッキーが何を言っているのか理解できなかった。

すると、

 

「ねぇ~、グリムお兄様〜♡」

 

ベッキーは体をくねらせて色っぽい仕草でグリムにすり寄ってきた。

 

「なんだよ?」

「グリムお兄様ってぇ……彼女いるんですかぁ?」

「いねぇよ?」

「じゃあ……どんな人がタイプなんですかぁ?」

 

ベッキーのその質問に、グリムは唸り声を上げた。と、その時……

 

「あっ!ダーリンいたっ!!」

「げっ……!そ、その声は……!」

 

見知らぬ女性の声が聞こえてきた。しかしその声を聞いた途端、グリムは苦虫を噛み潰したような顔になり後ろを向いた。

 

「ダーリィ〜〜〜ン♡」

「だぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

そこにはグリムを「ダーリン」と呼びながら飛びついてくる女性がいた。突然のことでグリムはよけられず、そのまま女性の胸と激突し、地面に押し倒された。

 

「ダーリィン♡会いたかったぁ♡」

「俺はてめぇのダーリンじゃな……むぐぐぐぐ……!!」

 

女性は胸で押し潰すようにグリムをギュッと抱きしめた。グリムはそれに抵抗しようとするが抜け出せなかった。

そんな2人に、ダミアンは声をかけた。

 

「ア、アニキ……その人は……?」

「えーっと、こいつは……」

「恋人のロゼッタです♪ダーリンがお世話になってます♪」

 

口ごもるグリムに対し、ロゼッタという女性はにこやかに答えた。

そしてアーニャ達は、

 

『ダ……ダーリン〜〜〜〜〜〜っっっ!!?』

 

驚きのあまり叫んだのだった。

その後、グリムはロゼッタのことを話すため、5人を近くの喫茶店に連れて行った。

 

「……こいつはこの前助けた奴でな……チンピラに絡まれてたんだ。」

「以来、私はダーリンにぞっこんです♡」

 

ため息をつくグリムの腕にロゼッタはしがみつき、頬擦りを始めた。

 

「だぁっ!!うっとうしい!!」

「ぁんっ♡ダーリンったら照れ屋さん♡」

「喘ぐなっ!!」

「ぱいせんとおねーさんいちゃいちゃ……?」

「してまーす♡」

「してねぇ!!」

 

2人は人目もはばからずじゃれ合った。それに対し、ベッキーは怒りの形相で二人を見ていた。

 

(何よ何よっ!!彼女いないとか言ってた癖にいるじゃないのよ!!しかも、あんなにボインボインの……!!)

 

チラリと横を見ると、怒るベッキーとは対照的にダミアン、エミール、ユーインの男児3人はロゼッタが現れてから、赤面しながら緊張しているようだった。

 

(デッカイ……!!)

 

3人ともロゼッタの胸を凝視し、ゴクリと唾を飲んでいた。

ロゼッタの胸は「爆乳」と呼ぶに等しく、ヨルやフィオナをも凌駕していた。そんな胸を小学生低学年の少年が見たら刺激的すぎるだろう。

 

(デレデレしちゃって……そんなにデカい胸がいいわけ!?)

「おー……デッカイスイカ……」

 

怒るベッキーをよそに、アーニャはロゼッタの胸を端的に表していた。

そんな時、一人の男が通りがかった。

 

「ん……?お前、グリムか?」

「あ?……あっ!」

 

男の顔を見て、グリムは声を上げた。

 

「ガオ……!ガオなのか!?」

「久しいじゃないか。まさか生きてたとはな。」

 

ガオという男はポニーテールに髪を結った中華系の男だった。グリムはガオを見るなり、ロゼッタから離れてガオを睨みつけた。向こうも同様に睨んできた。

 

「てっきり野垂れ死んでると思ってたぞ、グリム……」

「悪いなぁ、俺はどん底から這い上がったもんでな。そっちはなんだ?ボクサーへの夢破れてチンピラに逆戻りか?」

「仕事だ。これから打ち合わせがあるんでな。」

 

睨み合いながらの会話の途中、グリムは吹き出して笑った。

 

「お前が仕事ぉ?キレて顔面にストレートパンチ叩き込むお前を雇ってくれる奴なんているのかよ?」

「フッ、あの時みたいに泣かされたいか?」

「試してみっか……?」

 

グリムはそう言うと、拳を握りしめた。ガオも同様に拳を握りしめ、今にも臨戦態勢に入ろうとしていた……と思った次の瞬間、

 

「ねぇ、ダーリン!!」

 

突然ロゼッタが2人の間に入り、グリムに抱きついてきた。

 

「この人とばっかり話してないで、私と話してよぉ〜!」

「お前……!空気読めや……!」

「チッ、興冷めだ……」

 

ロゼッタの乱入で興が冷めたガオは、背中を向けてその場から立ち去ろうとした。しかしその寸前、ガオは足を止め、グリムの方に顔を向けた。

 

「そうだ……もうすぐこの国で面白いことが起きる。」

「あ?」

「その時は……お前は”どっち側”につくだろうな?」

 

ガオは捨て台詞のように言うと、不敵に笑ってそのまま立ち去っていった。

 

「……なんだ?アイツ……何が起きるってんだ?」

 

────────────────────────

 

場所は変わり、少し遠くにある遊園地……ここにユーリとノエルは休日を利用して来ていた。

 

「ユーリ君!次、あれ乗ろうよ!」

「待ってよ、ノエルさん!」

 

遊園地に来て、ノエルははしゃいでいた。ユーリも柄にもなく楽しんでいた。動物の耳飾りを2人して着用したり、人に頼んで記念写真を撮ってもらったりもした。

そして2人は続けて観覧車に乗り込んだ。

 

「わぁっ!すごい高いね!」

「そりゃあ観覧車だもん。」

(子どもみたいに喜ぶんだなぁ……ノエルさん。)

 

ユーリは子どものようにはしゃぐノエルを見て微笑んでいた。すると、ノエルは向かい側にいるユーリの隣に急に腰掛けてきた。

 

「へっ…!?ノ、ノエルさん……!?」

「隣いい?」

「そ、それ、座る前に言うことでは……!?」

 

急に隣にノエルが座って急接近してきたことに、ユーリの心臓はバクバクと脈打っていた。まるでヨルのドキンコメーターがそのままユーリに移植されたようだ。

 

「ダメ……?」

「い、いいです……!!」

 

ユーリの許可を得ると、ノエルは笑い、ユーリの胸に顔を寄せてきた。

 

「ひょわっ!!?」

「ユーリ君って……結構筋肉質だね。」

「そ、そりゃあ、鍛えてる…からね……」

(こ、これはどういう状況なんだ……!?ぼく、試されてる!?こういう時どうすれば……!!クソッ、今だけロッティに助言をもらいたい……!!)

 

それから観覧車が運転が終わるまで、ユーリはノエルとくっついたままだった。その間会話は一切なく、ただただ黙っている時間が続き、ユーリの心臓は爆発寸前だったが、観覧車から解放され、ユーリは九死に一生を得た思いだった。

 

「楽しかったね!」

「う、うん……」

(心臓がもたない……!でも、ノエルさんどういうつもりなんだろう……?)

 

ユーリはノエルが何故あのような行動に出たのか分からなかった。寂しそうには見えなかったが、何かにすがりたい……という感じにも見えなかった。

 

(ま、まさか、ぼくに気が……!?いや、そんなはずないよな……ノエルさんならもっと素敵な人がいるだろうし……ぼくだって別に、ノエルさんのこと……あれ?)

 

その時、ユーリは胸が痛むのを感じた。

 

(胸が……なんでだ……?)

 

何故胸が痛むのか理解できず、ユーリは困惑した。同時に頭の中がモヤモヤするような感覚も覚えた。

そんなことを考えていると、ノエルが声をかけてきた。

 

「ユーリ君!あれ見て!」

「えっ?」

 

ノエルが指差した場所には奇怪な人物がいた。全身緑色で、まるで亀のような……

 

「まさかアレって……」

「ズーカーッ!!」

 

亀のような男は奇怪な叫び声とともに立ち上がった。さの男は亀のよう……というより亀そのもので、背中に巨大な大砲を背負っていた。

 

「俺様は大ショッカーのカメバズーカ!!この世界は我々ショッカーのものだ!ズーカーッ!!」

 

カメバズーカは叫び声とともに背中の大砲を構え、所構わず撃ちまくった。あちこちで弾が爆発し、遊園地に来ていた客達は悲鳴を上げて逃げ始める。

 

「やっぱりショッカーか……!クソッ、G-3Xさえあれば……!!」

 

ユーリは今日、休日を利用してこの遊園地に来た。それはつまり、G-3トレーラーと一緒に来ていないということで、G-3Xを装着できないということでもある。

と、その時……

 

「ないものをねだっても仕方ないぞ、お兄さん。」

「……?」

「最後に願いを叶えるのは、自分自身だ。」

 

逃げ惑う人々の流れに逆らうように、黒のタキシードを着て白のストールを首にかけた青年がニッと笑ってカメバズーカ2向かって歩んで来た。

 

「むっ……!?なんだ貴様!?」

「お、おいお前!危険だ!早く逃げろ!!」

 

カメバズーカとユーリの叫びが聞こえているのかいないのか、青年は何も答えない。すると青年はニヤリと笑いながら口を開いた。

 

「お前らが噂のショッカーだな。お前に聞きたいことがある。このドライバーに使うバックルを知らないか?」

 

青年は懐からあるものを取り出した。それは、仮面ライダーを知る者なら思わず目を疑ってしまうもの……楕円形の黒いベルトだった。

 

「まさかアレは……!?」

「き、貴様!仮面ライダーか!?」

「まぁな。」

 

青年は答えると、ベルトを腰に装着した。

 

《DESIRE DRIVER》

 

装着と同時にベルトから音声が流れた。さらに青年は2つのアイテムを取り出した。1つはトリガーに白い拳銃のマガジンがついたようなバックル、もう一つはバイクのハンドルに赤いパーツがついたバックル。

青年はその2つのバックルを同時にベルトに装填した。

 

《SET》

 

バックルをセットし、青年は右手でキツネを作り、それをゆっくりと前に出し……そのまま指を鳴らした。

 

「変身っ!」

《DUAL ON》

 

青年は叫び、右バックルのマガジンを回転させた後、トリガーを引き、左バックルのハンドルを思い切り捻った。

すると、青年の体に簡易的な黒いスーツが着せられ、その上から上半身に白いアーマー、下半身には赤いアーマーが装着された。

さらに、頭には白い狐を模したマスクが装着される。

 

《GET READY FOR BOOST & MAGNUM》

《READY....FIGHT!》

 

「き、狐の、仮面ライダー……?」

 

アギトから始まり、様々な仮面ライダーを見てきたユーリだったが、狐を模した仮面ライダーは初めてだった。

 

「ギーツ。仮面ライダーギーツだ。」

「おのれ仮面ライダー!我らの邪魔をする気とは……!いけっ、戦闘員ども!!」

 

カメバズーカの咆哮とともに、ギーツを取り囲むように大量の戦闘員達が現れた。

 

「フッ……」

 

ギーツは笑うと、腰に携帯した銃「マグナムシューター40X」を抜いた。さらに前腕部に搭載された短銃「アーマードガン」を展開し、銃口を向けた。

 

「さぁ、ここからがハイライトだ!」

 

そして2つの銃を一気に乱射し、取り囲んでいた戦闘員達に銃弾を当て、次々と倒していく。

戦闘員達も負けじと攻撃してくるが、ギーツはその尽くをかわした。逆に相手が撃った銃弾を、こちらの銃弾で跳ね返すという芸当も見せた。

 

「クソッ、仮面ライダーめ!これでもくらえっ!!」

 

カメバズーカは四つん這いになり、背中の大砲をギーツに向けた。

 

《RIFLE》

 

同時に、マグナムシューターを変形させてライフルモードにした。

次の瞬間、カメバズーカの大砲から砲弾が放たれた。しかし、ギーツはライフルに変形させたマグナムシューターで砲弾を撃ち抜き、空中で爆発させた。

 

「何っ!?」

「ハアッ!!」

 

カメバズーカが驚きの声を上げている隙に、ギーツは懐に入り込んで蹴りを繰り出した。

カメバズーカはそれを咄嗟に防いだ。しかし、ギーツの脚のアーマーに生えたマフラーから火が吹き、それで加速をつけて蹴りを押しつける。

 

「ぐっ……!ぬぅぅぅぅぅ……!!」

「ダァッ!!」

「ぐぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

最初は耐えていたカメバズーカだが、繰り出された強烈な蹴りに耐えきれず、吹き飛んでいった。

 

「こういうのもあるぜ。」

《REVOLVE ON》

 

ギーツはベルトを180度回転させた。すると、ギーツの体が宙に浮かび、ギーツは空中で「変形」を始めた。ベルトと同様に180度反転し、上半身と白いアーマーが下半身に、逆に下半身と赤いアーマーが上半身に変形した。

 

「へ、変形したぁ!?」

「フフッ、驚いたか?」

 

驚くユーリに笑ってみせるギーツは、カメバズーカの方を睨み返す。そして両腕のマフラーを最大まで吹かし、そのまま拳を突き出しながらジャンプする。すると、マフラーの加速によってカメバズーカの方まで飛んでいき、カメバズーカを殴り飛ばした。

 

「ぐはっ!!」

 

ブースターによる加速が乗ったパンチは重く、一打一打がカメバズーカの体に重い一撃となって襲いかかる。さらにギーツは回し蹴りを繰り出した。しかし、カメバズーカはこれを咄嗟に防ぐ。

 

「グフフフ……!ブースターのない足なら防げるぞ!」

「そうかな?」

 

上下が入れ替わったことで、蹴りが弱体化した…とカメバズーカは考えていた。しかし、そんなことはない。

ギーツが笑うと、脚についたアーマードガンが展開した。

 

「なっ……!?ぐあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

超至近距離から銃撃を食らい、カメバズーカは怯み後ろに吹き飛んだ。

 

《REVOLVE ON》

 

ギーツはベルトをもう一度180度回転させ、元の状態(マグナムブーストフォーム)に戻った。

 

「さぁ、打ち上げといくか。」

《BOOSTRIKER》

 

ギーツが言うのと同時に、どこからともなく、専用バイク「ブーストライカー」が現れた。

そしてギーツは右側のバックルのマガジンを回転させトリガーを引き、さらに左側のバックルのハンドルを何度か捻った。

 

《BOOST TIME》

 

ベルトの音声とともに、ブーストライカーが変形を始めた。バイクから多数の尻尾を持つ赤い狐へと姿を変えた。

 

「こ、こっちも変わった!?」

 

ブーストライカーは変形してすぐ、カメバズーカに突っ込み、空中に打ち上げた。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!?」

「ハッ!」

 

カメバズーカが空中に放り投げられたのを見て、ギーツはブーストライカーとともに宙に舞い上がる。

そしてギーツはブーストライカーの上に乗り、左バックルのハンドルを捻った。

 

《MAGNUM BOOST GRAND VICTORY》

 

ベルトから音声が流れ、ギーツはカメバズーカに向かって飛び蹴りを繰り出した。加えてブーストライカーも尻尾になっているマフラーから炎を吹き出し、ギーツとともに突進した。

 

「ダァァァァッ!!」

 

ギーツは炎を纏い、ブーストライカーとともにライダーキックでカメバズーカを貫いた。

 

「だ…大ショッカー……!バンザァァァァァァイッ!!!」

 

カメバズーカは断末魔を上げながら爆散した。

ギーツは綺麗に地面に着地し、ブーストライカーも着地とともにバイクに戻った。

 

「すっごい派手だ……」

 

ギーツの戦いぶりに、ユーリとノエルはポカンと口を開けていた。

ギーツはバックルを外し、変身を解くと2人に歩み寄ってきた。

 

「大丈夫か?お二人さん。」

「あ、ああ……それよりアンタは……」

「あ、あの!仮面ライダーなんですよね!?あなた!!」

 

ユーリが質問をしようとした時、ノエルが興奮した様子でメモとペンを持って青年に近づいた。

ノエルの職業は新聞記者で、主に仮面ライダーの記事を書いている。ギーツを見て特ダネだと思ったのだろう。

 

「ああっ、そうだ。」

「お名前!お名前はなんですか!?」

英寿(エース)だ。浮世 英寿(うきよ エース)。世界をまたにかける……トレジャーハンターさ。」

 

その日、ユーリは新たな仮面ライダーに出会った。その名は浮世英寿……仮面ライダーギーツ。

そして、仮面ライダー達は知ることになる。

世の中に蔓延る「心の闇」と、歪んだ「正義」が織り成す……狂気の宴を……

 

 




おまけ「クリスマスには……」

「行こう、フリジスへ!」
「おでけけ!おでけけ!」

フォージャー家はフリジスへ家族旅行に行く予定だった。しかし、その時テレビのニュースで緊急速報が入った。

『緊急速報です!!たった今、フリジスが謎の怪人に占拠されました!!』
『ダーハッハッハッ!!!我が名はサモーン・シャケキスタンチン!!フリジスを鮭で制圧してやったぞー!!』

テレビに映し出されたのは鮭の姿をした不気味な怪人。さらにその後ろには映画に登場する敵・・・スナイデル、その部下のタイプF、ドミトリ、ルカが縄で縛られていた。

『な、何故に鮭……?』
『黙れ!クリスマスにチキンなんて食うからだ!食べるなら鮭を食えーーっ!!』
『なんの話!?』
『しかも、こんなものまで隠していたとは・・・!』

そう言ってサモーンが取り出したのは、チョコレートだった。そのチョコを見た途端、4人は顔面蒼白になった。

『そ、それにはマイクロフィルムが……!!』
『シャケビーム!!』

サモーンはチョコに向かって謎の光線を放った。すると不思議なことに、チョコは皮がパリパリに焼けた焼き鮭に変わってしまった。

『あああああああああああああっ!!!!』
『テレビを見ている貴様ら!!クリスマスには……鮭を食えぇぇぇぇぇ!!シャケナベイベー!シャケナベイベー!はい、シャケ三昧!!』

その後もサモーンがフリジスで好き放題暴れる映像が流れた。その映像を見て、フォージャー家は目を点にしていた・・・が、すぐに顔を見合わせ、ニコッと笑った。

「……フリジス行くの、やめましょう。」
「そうですね。」
「うぃっ」
「ボフッ」

「劇場版SPY×FAMILY CODE:WHITE」……THE END

――――――――――――――――――――

映画公開おめでとうございます!……ということで映画にちなんだおまけです。しかもクリスマス近いし、クリスマス+特撮といえば……サモーンでしょ!!

クリスマスには……?

  • チキンでしょうが!!
  • シャケだろ!!
  • 社畜にクリスマスなんてねぇよ!!
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