「ルールは3vs3のシングルバトル。もちものはアリで良いですね?」
「はい!大丈夫です!」
「一応確認するけども、ジムバッジは何個相当で?」
「今回のは3個です!」
「じゃあ、そこに合わせてやりますか」
あれから校庭に移動し、ネモと相対する。
ルールを軽く決め、パーティを考えるわけだが……そうだな……。
これで行くとするか。
……『宝探し』が始まって、まだ数日のはずなのにジムバッジ3個ってどういう事なんだろうな。学校の授業もあるんだけどな……?
「よろしくお願いします!」
「さぁて、やるか」
ポケモントレーナーの ネモが勝負をしかけて来た!
「お願い!ルガルガン!」
「おいで、ジーランス」
開幕はいわタイプ同士か。
ルガルガンは確認されているだけで3種類いるが、あれは『まひるのすがた』と呼ばれる奴だな。
対するオレのポケモンはジーランス。
1億年前から姿を変えてないとされる、生きた化石とも呼ばれるポケモンだ。
同じいわタイプ同士だが、みずタイプも併せ持つオレのジーランスの方が有利だな。
「ルガルガン、かみつく!」
「ジーランス、アクアテールだ」
ルガルガンがその鋭い牙でかみつき、ジーランスにダメージを負わせる。
しかし、オレのジーランスはぼうぎょが高いから効果は薄いだろう。
そのままアクアテールでカウンターを……ッ!?
「ジーランス!?」
ジーランスが動かない!?いや、動けないのか!?
クソ!今のでひるまされたか!!
「ルガルガン!もう一度かみつくよ!」
「気合いで堪えろジーランス!アクアテール!」
そもそもジーランスは素早いポケモンではない。
ルガルガンの攻撃は受けるしかない、が!
「ギャワン!?」
「ルガルガン!?」
ひるみさえしなければ、ジーランスのアクアテールはルガルガンには効果抜群だ。
一撃でへたり込み、動けなくなるルガルガン。
それをボールに戻すと、ネモが次のポケモンを繰り出す。
「頑張って!パーモット!」
パーモット……今までに行った事のある地方では、姿を見なかったポケモンだな。
なんか電気ビリビリしてるから、たぶんでんきタイプなんだろうが……。
「ジーランス、とっしん!」
このレベル帯のジーランスでは、この手が1番だろう。
オレのジーランスのとくせいはいしあたま。
本来は受ける攻撃後の反動を無効にする事ができる。
「パーモット、躱してつっぱり!」
だが、直線的過ぎるジーランスのとっしんは、躱しやすかったのだろう。
ヒラリと横に回避され、更には2発のつっぱりがジーランスに叩き込まれる。
ルガルガンとの戦闘のダメージもあり、そのままジーランスは崩れ落ちた。
「戻っておいで、ジーランス」
モンスターボールにジーランスを戻し、少し考える。
昨日は1vs1だから出てこなかったパーモットだが、あのつっぱりの威力を鑑みるに、おそらくかくとうタイプも持っているだろう。
いわタイプはかくとうタイプに弱く、今回用意した3体の内それ以外となると……考えるまでもないな。
「おいで、サニーゴ」
続いて俺が繰り出したのは、白く正気に乏しいサニーゴ。
このサニーゴはガラル地方の固有種であり、他の地方のサニーゴとは違いゴーストタイプ。
かくとうタイプ相手にはもってこいだ。
……もうちょっと成長させたサニーゴなら、物理で殴ってくるタイプの相手にはなお刺さったんだが、まあ仕方ない。
「あの感じ、初めて見るけどたぶん……パーモット!ワイルドボルト!」
「良い勘してるな……!サニーゴ、おにびだ!」
パーモットが電気を纏って突っ込んで来るのを止められず、受けてしまうが代わりにおにびは当たった。
これでやけどにする事ができたし、加えてやけどの痛みで全力を出せずに物理ダメージは減少……だ?
あれ?なんかパーモットが見覚えのある緑色のきのみを食べてるぞ?
「……ラムのみか!?」
「やったー!やけど対策で持たせてたのが成功した!パーモット!追撃のワイルドボルト!」
「マ……ズッ!?いや、いや!サニーゴ!もう一度おにびだ!」
あらゆる状態異常から回復させるラムのみを使われたが、逆に言えばあれは使い切り!
オレのサニーゴはしんかのきせきを持たせてるから頑丈だし、この攻撃は耐えられる!
もう一度おにびでやけどにすれば済む話だ!
オレの目論見は成功した。
再びワイルドボルトを受け止めたサニーゴは、パーモットにおにびを当てやけどにさせる。
そしてもう、ラムのみはない。
「サニーゴ、たたりめ!」
「パーモット!」
相手が状態異常の時、威力が倍になるたたりめがパーモットにぶち当たる。
それまでのワイルドボルトで蓄積された反動ダメージもあり、パーモットは沈んだ。
さて、最後の1匹は……?
「お願い!ニャローテ!」
ニャローテか。昨日の1vs1戦で使ったポケモンだな。
……ん?確かあの時使ったわざに……あっ。
「ニャローテ、かみつく!」
「サニーゴォォ!?」
ゴーストタイプに、あくタイプのわざは効果抜群なんだよ……。
流石に頑丈なサニーゴでも、パーモットとの戦いのダメージもありこれで限界だ。
モンスターボールに戻し、オレもまた最後のポケモンに。
「おいで、トリデプス!そしててっぺき!」
オレの最後のポケモンは、これまた堅牢さがウリの化石ポケモントリデプス。
そこに更に登場と同時にてっぺきというわざで、ぼうぎょを上げる事でダメージをシャットアウトする。
「ッ!! ニャローテ、タネばくだん!」
「追加でてっぺきだ!」
ニャローテのタネばくだんが当たるも、まだまだ余裕な上に更に積まれるてっぺき。
これで物理技はほぼ通らない。
加えて、だ。
「……ッ!トリデプスの体力が回復している……!?たべのこしね!」
「せーいかーい」
持たせていたのはたべのこし。これで体力は回復し続ける。
それじゃあ、攻めるとしようか。
「トリデプス、とっしん!」
「ニャローテ!タネばくだん!」
先にニャローテのタネばくだんが当たるも、防御力を増したトリデプスにはダメージにはならない。
そのまま突っ込んで行き……
「ニャローテ!?」
硬く高重量のとっしんを食らったニャローテは倒れた。
実際あんなの、ダンプに突っ込まれるのと変わらないだろうからなぁ。
「戻っておいで、トリデプス」
トリデプスを戻しながら、今回のバトルを振り返る。
一見すればある程度の余裕を持って倒せたかに見えるが、偶々相性が良かっただけだな。
タイプ相性も良かったが、お互いに物理的な攻撃・防御という噛み合い方がオレに利した。
……ネモの手持ちに一体でも特殊攻撃が得意なポケモンがいれば、そうでなくてもサニーゴでパーモットを倒せなければ。
負けていたのはオレだっただろう。
うーむ、割と薄氷の上の勝利。
「先生!すごいすごい!」
「いや、結構ギリギリでしたよ。相性に救われましたね」
「そんな事ないですよ!流石シロナさんの内弟子!」
「待って待って待って待って?」
負けたのに凄い楽しそうなネモだが、その口から発せられた言葉はスルーできなかった。
教えてない、オレは生徒にはそれを教えてない。
話をスムーズにするために、クラベル校長やこの地方のポケモンリーグの上の方の人たちには教えたけど、生徒には教えてないんだけど?
「どこでそれを知った……?」
「先生がシンオウ地方出身って言ってたから、スマホロトムで『シンオウ エゾマ』で検索かけたら昔の新聞記事が出てそこに」
「それかー!!!!」
思わず膝から崩れ落ちる。
きっと15年前の時のだ。あの頃は「チャンピオンシロナが内弟子を取った!?」って事で滅茶苦茶な騒ぎになったから、何度か新聞やニュースに取り上げられたからな……!
下手な騒ぎにならないように、生徒に知られるつもりはなかったのに……!
い、いや、まて。だが最悪ではない。
そっちが知られる分にはまだ最悪ではない。
オレのガラル地方でのやらかしを知られる方が最悪だ。
アレは表沙汰にはなってないから大丈夫だろうが……。
「いやー!やっぱりチャンピオンの内弟子ともなると、凄く強いんですね!」
「……それ、他の人には言わないでね?」
「もっとバトルしてくれたら良いですよ」
「………………はい」
弱味を握られた状態のオレは、その後4回のバトルに付き合い、合計5戦する事になった。
結果は計3勝2敗。この子戦う度に強くなっていくんですけどぉ……!
「今度ハルトも一緒に連れて来ますね!」
「増えるの!?」