カペタは困惑していた。宇多川さんは見た目もあってか誰よりも皆を支える姉御肌のような人である。それもあってか大人な人だと思ってたんだが
「ソイソイソイソイソイ!ソイヤっ!!」
とまるで和太鼓でも叩いてるのだろう。見えない和太鼓を叩きまくってる。
(…宇多川さんって変わってる人なのかな?)
とカペタは心中察した。
だが安心しろ。カペタも少々抜けてるところがある。
こうしてそれから色々話し時間も夜の時間が訪れようとしてたのもあり彼女らは店を後にし、カペタも初バイトを終えた。
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翌日カペタはノブと商店街の夏祭りのことについて知りたく丁度2人で倉庫の整理をしながら聞いてみた。
ノブがいうに、簡単に説明すると商店街の道やステージの広いスペースで“デモラン”をしてくれということらしい。デモランとは簡単に説明すると公開走行演技みたいなものだ。宣伝として実演をすることもあるのでスポンサー宣伝や新規獲得、そしてカートレースを知っていただく良いきっかけになる。
それを今度の商店街夏祭りのイベントの一つとしてすることが決まったとのことだ。
「やっぱすごいな、ノブはありがとう。」
「へへへっ、ま、まぁな。でもさカペタ、今更だけどどうする?」
「…。」
そうこのデモランをするにあたって一つ課題がある。それはカートだ。カペタが参戦して使用してるカートは何度も言うがまともに走れるような状態じゃない。それにノブから聞くに
「とりあえず今度の雲原のバイトで
「そうだな。」
夏祭りのことについては話しが終わったので今まで言えなかった問題を言う事にした。
もう俺のカートは1レースでしか走れないということ。その1レースは15歳を迎えた後源と同じクラスに出て勝負をしたい、と。たった1コーナーで良いから勝負したいと。
ノブはカペタがずっと源と勝負をしたいことは重々承知している。カペタがレースをしてるのは源と勝負をもう一度したい為。勿論運転をするのが好きだっていう一面もあるが今は源との勝負の方が強い。ノブは理解してる。しかしノブは冷静になり先程とあることを確認したことをカペタに伝えた。
「さっき電話でカートショプに聞いたんだよ。」
タイヤの内側が3㎜削れていたこと、それがどういう意味をもたらすか。即ちマシンのフレームが跳ね上がってしまっている状態。こうなるとハンドルを切っても曲がらない、衝撃を吸収するサスペンションが沈み切っておりショックを吸収しない。
残り1レースどころかレースで使うようなマシンじゃないのだ。
例えるなら半分壊れたジェットコースターに乗ってるようなもの。危ないレベルじゃない。
しかしこの状態で源に戦うことは愚策でしかない。僅かな可能性があったとしてもその先がなければ俺たちのレースは終わってしまう。こんなボロカートの状態なんかより、より良いマシンで源と戦ってほしい。そしてその環境を作るのが
「お前本気でこのボロカートで源に勝つつもりでいたいんならICAで優勝する事だって全然可能じゃねーか!!」
優勝出来たらこのフレームが終わってもレースは続けられるかもしれない。どこかのメーカーがフレームを供給してくれるかもしれない。羽沢珈琲店のようにどこかスポンサーがつくかもしれない。
「環境を整えるってのはそーゆーことじゃねぇのか?決して源に“特攻”することじゃない!」
ノブの冷静で且つ強い想いの説得により冷静になったカペタはICA第3戦 榛名のレースに出ることを再度決意する。
ノブはふと思う。
初めて皆でボロカートを作り出場した初レースを。いきなり出場していきなりコースレコードを出し更に優勝もした。
その時からそれが普通になった。あれは奇跡だったのにいつのまにか俺たちにとってそれが当たり前になっていたんだ。
当たり前にあんなことできるわけがない。
歪みは全部
死ぬ思いで結果をだし全日本まできた。それでも状況は変わらない。
おかしくなっちまうくらい絶望的な気持ちで5年間こいつは走ってきたんだ。
なのに俺はレースがマネージメントが楽しくて今までいつも「勝ってくれ 勝ってくれ」ってノーテンキに言ってた。
スマン。 つらかったよな。
でも俺はあえて言うぞ。
もう一度“地獄を見せてくれ”
もうちょいクロスオーバーらしくAfterglowとの絡みを増やしていきたいですね。
考えます。