妄想日本国召喚   作:石原

13 / 28
 今回は解説回です


第八話  新世界に於ける日本の戦略

【解説】日本の覇権確立への道

 

 現在の日本が、第三文明圏を束ねる強国としての地位にある事を疑う人はいません。

 ではどうして日本は、第三文明圏を束ねる地位に立てた、或いは立たなければばならなかったのでしょうか?

 まずは、そこに至る日本の歴史を見てみましょう。

 かつて日本は、この世界とは異なる地球と呼ばれる惑星に存在していました。

 つまり、日本を構成する日本列島はその地球に存在し、日本の成立も地球で起こったのです。

 その成立は、今から2600年以上も前、国家元首である今上天皇陛下の祖先とされる初代天皇、神武天皇の即位からとされています。

 それから長い間、日本の歴史はほぼ日本の内部で成立していました。

 これはどう言う事かと言うと、通常の国家であれば周辺国と関係を持ったり争ったりして興亡を繰り返し、世界の歴史の中で語られる存在になりますが、日本は近代に入るまでは積極的に他国を征服する動きも殆ど無く、歴史の表舞台に出る事はありませんでした。

 例外は、鎌倉時代の蒙古襲来と、安土桃山時代の朝鮮出兵ですが、それとて世界の動きの中では片田舎のちょっとした出来事に過ぎず、歴史マニアを除けば自国民以外は知る機会も無い些事に過ぎませんでした。

 その状況が変わったのが、嘉永6年、西暦1853年のペリー来航です。

 当時の日本は、江戸幕府による統治の元、260年余りの平和な時代を過ごしていました。

 ですが同じ頃の世界では、大英帝国を震源とする産業革命が起こり、欧米列強による植民地獲得競争が発生していました。

 産業革命の勢いは凄まじく、これを達成した国々はそれ以前の数十倍を超える生産力を獲得していました。

 そうした世界の激しい動きに関係無く、平和に微睡んでいた日本にとうとうその巨大な力が振り下ろされようとしていたのです。

 ペリー来航によって自国が植民地化されかねない脅威に晒されている事を自覚した日本は、それから激動の時代を歩み始めます。

 まずは、明治維新と呼ばれる革命を起こして江戸幕府を倒し、欧米諸国に匹敵する近代的な統治システムを擁する明治政府を成立させました。

 それから、富国強兵と総称される近代化と軍備増強を始めました。

 そうして、自身の身を守れるだけの力を身に付け、欧米列強による植民地化の流れに抵抗したのです。

 実際、当時の情勢は日本がいずれは欧米列強に吞み込まれてしまう深刻な状況でした。

 風向きが変わり始めたのは、明治27年、西暦1894年の日清戦争からです。

 当時、清と日本は李氏朝鮮を巡って対立しており、甲午農民戦争の勃発を切っ掛けとして全面衝突に至りました。

 当初の世界の予想では、清の圧勝となる見込みでしたが、結果は日本の勝利で終結しました。

 これは、眠れる獅子と言われつつも旧態依然とした体制に留まっていた清と、近代化を成功させた日本の差が如実に表れた戦争でもありました。

 こうして日本は、アジアで最も影響力を有する国家として見られる様になり、明治35年、西暦1902年には日英同盟締結にまで至りました。

 ですが、国力的には日本は相変わらず弱小国であり、隙を見せればすぐにでも呑み込まれかねない状況に変わりありませんでした。

 そうして、日本を含む東アジアを呑み込まんと胎動する国家がありました。

 それが、帝政ロシアです。

 こうして明治37年、西暦1904年、日露戦争が勃発しました。

 この戦争は日本の判定勝ちで終わり、近代化の目的であった欧米列強に対する自国の防衛を達成しました。

 その後、日本は朝鮮半島、満州、華北への影響力を強めました。

 何故、国外にまで積極的に影響力を広める必要があったのか?

 それも自国防衛の為です。

 日本に限らず、自国の領土が戦場となり、国土が戦火に焼かれるのを良しとする国は何処にもありません。

 日露戦争では、戦場が日本本土に非常に近かった事もあり、本当にそうなる危険がありました。

 そこで、日本の周辺地域を日本の影響下に置いて味方とする事で、いざ開戦となってもその周辺国が緩衝地帯として機能する様にしたのです。

 朝鮮出兵も、当時世界中を侵略していたスペインとポルトガルへの対抗を目的とし、明を緩衝地帯として利用するつもりだったとする説が存在します。

 この様に、世界に影響を及ぼす大国は、自国から戦場を遠ざけようと努力します。

 例えば、アメリカがハワイやフィリピンを自国の影響下に置いていたのも、アメリカ本土が直接侵攻を受けるリスクを低減する事が目的の一つとなっていました。

 しかし、それが同じく東方へ戦場を遠ざけたい日本との衝突を引き起こしてしまいました。

 無論、それだけが原因ではありませんが、日本がアメリカにとって安全を脅かす存在であると認識されていたのは間違いありません。

 そして、昭和14年、西暦1939年に勃発した第二次世界大戦によって、両国は遂に開戦に至りました。

 結果は御存知の通り、日本の敗北で幕を閉じました。

 その後は外部へ勢力を伸ばす事も無く、国土の復興と発展に全力を注ぎ、軍備も自国防衛を第一として整備されました。

 そして、平成27年、西暦2015年、中央歴1639年、日本列島は地球から転移しました。

 転移の原因は現在も不明ですが、これによって様々な大問題が発生し、速やかに解決しなければなりませんでした。

 まずは何より、強制的に断絶された国家関係の再構築を急ぎました。

 その為、当初は発見した国々へ片っ端から外交官を派遣し、次々と国交締結を行いました。

 しかし、この姿勢が日本を新たな戦乱へと突き落としてしまったのです。

 最初に起こったのが、ロウリア戦役でした。

 この世界で初めての友好国であるクワ・トイネ公国が、隣国ロウリア王国の侵略を受けた戦争であり、資源供給の問題から国防軍を投入して終結させました。

 次に勃発したのが、日パ戦争です。

 事の発端は、日本から見て西方の島国フェン王国で開催された軍祭への艦隊の派遣でした。

 そこで艦隊は、フェン王国とパーパルディア皇国の紛争に巻き込まれてしまったのです。

 この時に襲撃者を返り討ちにした事で関係が拗れ、後の日本人虐殺事件に繋がり、更にパーパルディア皇国との全面戦争に陥りました。

 この様に、転移後の日本は右も左も分からない状況下で闇雲に手を広げた結果、極めて攻撃的な国家の標的にされてしまい、望まぬ戦争を強いられてしまったのです。

 この様な事態を二度と引き起こさない為に、現在の日本はしっかりとした戦略を立てています。

 では、この世界に於ける日本の戦略を見て行きましょう。

 日本の基本的な姿勢は、旧世界から変わっていません。

 何よりも、自国の存続こそが第一です。

 その為に必要となるのが、第一に資源、第二に市場、第三に緩衝地帯です。

 まず資源ですが、これはあらゆる生物が生き延びる為に必要な食糧、産業を動かす為に必要な鉱物、電機や物流を機能させる為に必要な燃料があります。

 これ等が無ければ、国家としては勿論、生物として生きる事すら困難となってしまいます。

 次に市場ですが、これは経済を回す為に必要になります。

 人を雇うにも、物を造るにも、技術開発をするにも、それ等を維持するにも、とにかく稼がなければなりません。

 稼ぐ為には、自国の物を売れる市場が必要になるのです。

 もし、独占的に物を売れる市場があれば、ほぼほぼ無限に稼ぐ事が出来るでしょう。

 最後に緩衝地帯ですが、これは要するに旧世界と同じく自国から戦場を遠ざける行為です。

 具体的には第三文明圏以西、つまり第一、第二文明圏からの侵攻を想定して、その間に防波堤となる領域を整備する事になります。

 此処まで、日本の戦略に必須となる要素を見て来ましたが、では具体的に日本はどの様にしてそうした要件を満たすべきなのでしょうか?

 その為に必要不可欠なのが、ロデニウス大陸とフィルアデス大陸の掌握です。

 フィルアデス大陸は、かつて日本に戦争を仕掛けたパーパルディア皇国の様に、日本に直接的な脅威を与え得る大陸です。

 実際、パーパルディア軍は舞鶴市へ艦隊を差し向けて火の海にしようと画策し、本当に艦隊を派遣していました。

 その為、フィルアデス大陸が日本の影響圏に入る事は必須条件となります。

 また、それ以上に重要なのがロデニウス大陸です。

 ロデニウス大陸北部に位置するクワ・トイネ公国とクイラ王国は、日本の必要とする資源のほぼ全てを賄う最重要同盟国であり、両国との関係断絶は日本の滅亡を意味します。

 その為、これ等二大陸と周辺の島々をどの様に扱うかが鍵となるのです。

 そして、この一帯は大まかに五つの地域に分けられます。

 

 ロデニウス大陸とアルタラス王国、シオス王国から成る南部

 フィルアデス大陸南東とガハラ神国、フェン王国から成る東部

 フィルアデス大陸南西から成る西部

 フィルアデス大陸北半分とトーパ王国から成る北部

 パーパルディア皇国から成る中部

 

 まず南部は、日本の生命線であるロデニウス大陸があり、第一条件である資源の供給先として決して手放せません。

 その西にはフィルアデス大陸とロデニウス大陸の間の海域を阻む様に位置しているアルタラス王国とシオス王国があり、第三条件である緩衝地帯として最も重要な役割を果たします。

 次に、東部にはパーパルディア皇国の元属領の片割れであるレリス連邦が友好国として存在し、日本企業の有力な開発先となっているお陰で、将来的に第二条件である市場の条件を満たす存在となるでしょう。

 しかし、日本とは微妙な関係にあるリーム王国やフェン王国も存在する為、警戒を疎かに出来ません。

 特に、リーム王国は隙あらば領土を広げようとする野心的な国家であり、現在の第三文明圏でほぼ唯一と言える独自性の高い国です。

 そしてその反対側には、元属領のもう片方であるゼジラーベ連邦が友好国となっており、レリス連邦と同様の条件を満たしています。

 そして、パンドーラ大魔法公国、マール王国とも友好関係を結ぶ事に成功していますが、関係を結んでからまだ日が浅く、日本の影響はあまり及んでいません。

 ですが、この2ヶ国は以前から有力な文明国として存在感を放っており、フィルアデス大陸の最西端と言う位置条件からも、第三条件である緩衝地帯としての役割を全うする事が出来ます。

 北部は、早くから日本に注目していた国々が集まっており、既に大半が日本の影響下に入っています。

 その影響力は日々増大しており、第二条件である市場として、それも独占的な市場として手中に収める事に成功しました。

 現在は、市場としての規模はまだ小規模ですが、日本の開発の手が入った事で発展を続けており、今後は購買力の増加によってかなり有力な市場となる事が期待されています。

 そして中部には、かつて日本を攻め滅ぼそうとした事のあるパーパルディア皇国が存在しており、現在でも日本の傀儡同然とは言え、残っている状態にあります。

 現在のその力は微々たるものですが、国そのものはそれなりに豊かであり、放置すればいずれ再び影響力を持ち始める恐れがありますので、決して目を離さない様にしなければなりません。

 また、フィルアデス大陸北方に存在するグラメウス大陸も日本の影響圏であり、北東部と称する地域に分類出来ますが、今回は除外します。

 日本が安定して第三文明圏へ影響を及ぼす為には、南部とは常に緊密な関係を保ち、西部との協力関係がより強固になり、北部が発展しつつ日本の影響下に居続け、中部が日本の管理下から離れず、東部が団結して日本へ反旗を翻さず、それ等全てが第三文明圏以西の勢力よりも日本を重視する状況である必要があります。

 そして、日本が影響を及ぼせなくなる状況とは、東部が一致団結して日本に反抗し、中部が日本の制御から離れて東部の動きに呼応し、そのまま西部と激しく対立を始め、北部が巻き添えを恐れて手を引く状況です。

 それよりも致命的なのが、南部との関係が悪化して資源供給が途絶える場合、及び各地域が第三文明圏以西の勢力と結び付く場合であり、そうなれば日本は第三文明圏へ影響を及ぼせなくなり、この世界の覇権争いから即退場となります。

 そこで日本が必要とするのが、仲間となる国々です。

 これは、世界各地を直接支配する旧来の覇権国家とは全く異なる手法です。

 日本の手法は、どの様にして他国を日本の側に引き寄せ、動かすのかに懸かっています。

 その為に必要となるのが、経済や外交、複数国による連携であり、直接的な軍事力の行使は他国からの武力侵攻を受けた場合を除いて、それ程重要ではありません。

 とは言え、軍事力が他国へ影響力を及ぼす為の有力なツールである事実は現在も変わらず、この世界は旧世界よりも遥かにその傾向が強いのが特徴です。

 そこで問題となるのが、先程も言及した第三文明圏以西の勢力です。

 第三文明圏に限定すれば、経済も外交も軍事も日本が最強である事に疑いの余地はありませんが、それはあくまでも第三文明圏内での話であり、その他の勢力には当てはまりません。

 では具体的に、第三文明圏に影響を及ぼし得る勢力とは何処なのでしょうか?

 政府系情報機関によれば、神聖ミリシアル帝国、エモール王国、ムー、グラ・バルカス帝国、アニュンリール皇国、ベスタル大陸です。

 神聖ミリシアル帝国は、この世界で最も進んだ技術を有し、その技術力に支えられた国力、経済力、軍事力は、紛れも無くこの世界の頂点と呼ぶに相応しい高さにあります。

 また、世界の主要国を集めて行われる先進十一ヶ国会議を主催しており、その外交力や国際的地位の高さが窺えます。

 ただし、ミリシアル帝国は軍事力による世界制覇などは考えておらず、どちらかと言えば国際協調を重視する性格である為、積極的に対立でもしない限りは影響力を及ぼして来る心配はかなり低いと見て良いでしょう。

 同様に、ムーも国際協調を重視する穏健な国家であり、既に日本の実情を把握して友好関係を構築しているので、心配はありません。

 そして、ミリシアル帝国に次ぐ国力と技術力、国際的地位を有しています。

 ただし、技術的に日本の方が圧倒的に優れているせいで、むしろ日本の方がムーへ強い影響を及ぼしており、向こうでは潜在的に日本を脅威に見ている一派がいてもおかしくないので注意が必要です。

 エモール王国は、差別意識や選民思想が非常に強いものの、ムーに次ぐ強大な列強国として認識されており、その国際的な地位や影響力はかなり高くなっています。

 その思想から排他的な性格をしていますが、領土的野心などは持たず、外部へ侵略の手を伸ばす事はありません。

 しかし、一旦敵対的関係になった場合、その性格からかなり苛烈な扱いを受ける事が考えられます。

 一方、大いに警戒すべきなのがグラ・バルカス帝国です。

 この国は、第二文明圏外を軍事力によって全て併呑した上、現在はムーを含む第二文明圏を侵略しています。

 その攻撃性は極めて高く、技術レベルも第二次世界大戦水準と、ミリシアル帝国と同程度の高さにあります。

 また、列強国であったレイフォルをたった1隻の戦艦で滅ぼした経緯から、世界的な影響力も高くなりつつあります。

 今後も侵略が続いた場合、第三文明圏まで手を伸ばす可能性は大いにあり、直接的な脅威を受ける事となるでしょう。

 同様に警戒すべきなのが、アニュンリール皇国です。

 この国は、対外的には中世文明と偽っていますが、実態はミリシアル帝国に匹敵する高度な文明を有しています。

 何故、実態を隠しているかは不明ですが、わざわざ隠しているからには何か良からぬ事を企んでいるのは確実と見るべきでしょう。

 そして、ベスタル大陸はその地勢的条件が問題となっています。

 この大陸には、国家と呼べる程の纏まった勢力は確認されていませんが、第三文明圏に非常に近い位置にある事から、もし大陸を丸ごと支配する統一国家が出現した場合、その力の有無に関わらず無視出来ない存在になります。

 この様に、これ等の勢力はベスタル大陸を除いて世界的に大きな影響力を有しています。

 一方の日本は、第三文明圏を掌握したとは言え、この世界に於いて新参者である事実は変わらず、国際的な地位や影響力はどうしても劣ってしまいます。

 それでは、日本はこれ等の国々とどの様に付き合って行くべきなのでしょうか?

 まず最も重要となるのが、ムーとの関係です。

 この国は、この世界でほぼ唯一の科学文明国であり、技術や価値観について日本との相互理解が最も進んでいる国の一つです。

 加えて、世界第二位の列強国として大きな影響力を有している為、この世界では新参者である日本の影響力の低さをカバーするパートナーにもなります。

 この国との連携を強化する事が、言わばこの世界の覇権争いに参加する為の入り口です。

 ですが、この国は第一文明圏よりも更に離れた第二文明圏の国です。

 そこで次に注目すべきなのが、ミリシアル帝国です。

 この国を含む第一文明圏とは、残念ながら未だに積極的な交渉が出来ていません。

 パーパルディア皇国を降した事で、遠からず様々な交渉の場を持つ事になるでしょうが、それが友好的なものとは限りません。

 すぐに険悪な関係に陥ると考えるのは早計ですが、これまで最も発展した世界の中心地として存在感を放ち、魔法と言う科学とは異なる技術体系を有する彼等と価値観の共有が何処まで出来るか疑問が残ります。

 そこで、ムーの出番となります。

 日本と連携する事で、第一文明圏へ東西から圧力を掛けて牽制するのです。

 こうなれば、向けられる力が東西へ分散され、一方的に強い影響力を及ぼす事が出来なくなります。

 勿論、対立していなければあからさまな挟み撃ちなどをする必要はありませんが、備えは必要になるでしょう。

 従って、ムーとの強固な関係は絶対に維持する必要があります。

 しかしその為には、第二文明圏が安定している必要があります。

 足元が不安定な状態で、他の地域へちょっかいを掛ける余裕などある筈が無いからです。

 また、困っている時に救いの手を差し伸べれば、より強固な関係の構築は比較的容易に行えるでしょう。

 そして、第二文明圏は今正に安定を失おうとしています。

 グラ・バルカス帝国による侵略の最前線に立たされているからです。

 この国は、先述の通り周辺国に従属か滅亡かの二者択一を強要する極めて攻撃的な性格をしており、交渉による妥結がそもそも不可能な相手です。

 その為、対処法としてはその強大な軍事力を徹底的に粉砕し、これまでに獲得した地域を開放させなければなりません。

 そうして第二文明圏を安定化させれば、日本の地位はほぼ安泰となりますが、問題が無い訳ではありません。

 日本の覇権の確立には、周辺国との連携や価値観の共有があって初めて成立します。

 これは逆を言えば、周辺国との関係が悪化して連携が断絶されれば、日本は覇権を奪われる事となります。

 現状、日本の地位は決して盤石とは言えません。

 それはつまり、何かの切っ掛けがあれば今は従っている周辺国がすぐに手の平を返し、日本へ牙を向ける危険がそれなりに大きい事を意味します。

 その為、日本は仲間となる国々を決して疎かにしてはならず、内輪の国同士で何か不穏な事態が生じた場合には、積極的に仲裁する必要があります。

 更に、本当に日本の覇権を奪おうとする勢力が出現した場合には、全員で一致協力して敵に対抗しなければなりません。

 この手法は、旧世界で米国が確立した極めて強固な体制であり、日本もその中に組み込まれていました。

 この手法の有効性は既に証明されていますが、旧世界と決定的に異なる点が一つだけ存在します。

 それが、直接的な軍事力の行使の有効性です。

 旧世界では、他国へ軍を進めて領土を獲得すると言うやり方は過去の歴史上の出来事であり、現代でそれをやれば侵略主義として世界中から大バッシングを受けます。

 ですが、この世界では当たり前の行為であり、そうして広大な領土を獲得している国々が大きな顔をしています。

 この事から、この世界ではいざと言う時に武力行使を躊躇ってはならない事が判ります。

 実際、日パ戦争では交渉による妥結を目指そうとしたせいで「大した力を持っていない」と誤解され、安易に武力制圧を決断した事が判明しています。

 また、日本と同様に新参者であるグラ・バルカス帝国が高い影響力を持ちつつあるのも、有効な軍事力の行使が出来た事が大きな要因です。

 その為、必要なら武力制裁を躊躇ってはいけません。

 旧世界であれば、この様に軍事力による圧力を掛けて言う事を聞かせようとするのは悪手でしたが、この世界では非常に有効な方法の一つとして機能するのです。

 この点をしっかりと理解しなければ、我々はフェン王国の悲劇を再び繰り返す事となるでしょう。

 そうならない為にも、この世界を理解し、力の使い方を誤らない様にしなければならないのです。

 日本の力は、この世界に於いて比類無い物ですが、それは決して万能ではなく、私達の生活と安全は非常に危ういバランスの上に成立している事を自覚しなければなりません。

 

 




 とある解説動画を参考にしました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。