まいにちがきしょーなん   作:ガラクタ山のヌシ

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思いついちゃった♪


まいにちがきしょーなん

 

オレは今、あてがわれたトレーナー室にて、過去の己の発言をこの上なく後悔している…。

 

「いやまぁ…仕方ないじゃん?記者にマイクを向けられて取材されたのなんて初めてだし…しかもそれがトレーナー学校の、ほぼまぐれとは言え主席卒業インタビューだったわけで…」

 

誰が聞いているでも無い言い訳を羅列するオレ。

我ながらダセェなぁ…。

そりゃあ、昔っから勉強は人並みくらいには出来た。努力だって…自分で言うのもアレだが、それなり以上にはして来たつもりだ。

URA…中央トレセン学園のトレーナーを目指したのだってオレ自身が彼女らの走りに魅せられ、その手伝いをしたかったから…その想いは嘘でも偽りでもないと断言出来るし、今でも色褪せていないと自負している。

 

いるんだけども…。

 

「ハァ~……」

 

思わず頭を抱えてしまう。

どぉぉ〜〜してあんなこと…。

 

時はちょうどひと月ほど前にまで遡る。

オレは数年間先輩トレーナーの元でサブトレーナーとして経験を積み、さあ自分の担当を持つぞ!!と意気込んだ矢先、校内放送で理事長室に呼び出しをもらった。

ウマ娘というのは文字通り女性しかいない。

そして、この学園には様々な地方や、時として異国のウマ娘、やんごとなき血統のウマ娘だって珍しくない。

もしかしたら、自分でも気付かないうちにそんな彼女達に粗相をやらかしてしまったのではないか、そしてその苦情が来ているのでは………。

オレはその理由も分からないまま戦々恐々とその扉をノックし、内側から聞こえる「どうぞ」という声に促されるがまま開けると…。

音に聞こえしトレセン学園のちびっこ理事長、秋川やよい女史と、その超有能秘書、駿川たづな女史がニコニコと微笑んでいた。

 

「天晴れ!!」

 

理事長が扇子を開きながらそう言うなり、ポカンと呆けた顔をしていただろうオレはたぶん間違ってない。

 

「えっと…私が何か、理事長に褒められるようなことを致しましたでしょうか?」

 

オレは緊張しつつもたづなさんの方を向いてそう問いかけるが、緑の帽子をかぶる妙齢の美女はニコニコと笑って何も答えてはくれない。

だが、お二方の様子から察するに、少なくとも今回呼ばれた理由がお叱りではないことだけはわかった。

それだけでも安堵出来るというものだ。

オレは心の中でほうっ…と一息つく気分だった。

 

しかし…それではなおのこと分からない。

お叱りを受けることもした覚えはないが、褒められるようなこともまたした覚えが無い。

なにせオレは文字通りこれからウマ娘達のお手伝いをはじめようってところなのだから。

 

「それで…お話というのは…」

 

オレはおずおずと本題に入ってもらった。

 

「うむ!!依頼ッ!!」

 

オレが小首を傾げそうになるや、たづなさんが説明をしてくれた。

 

「実を言いますと…今年度から正式にトレーナーとしての活動をされる方々の資料を私達で見ていたのですが…」

 

そう言って、たづなさんは机の上のノートパソコンをカタカタと操作して、目的のものを探し当てた様子でこちらに向ける。

見て欲しいということだろう。

恐縮しつつそれに近寄り、まじまじと見つめる。

 

どうやらそれは動画のようだ。

そしてその内容は…。

 

「それで…どんなトレーナーになりたいですか?」

「そうですね〜…」

 

あ…コレってもしかして…。

 

「やっぱり、気性難と呼ばれる子達でも勝たせてあげられるような、そんなトレーナーになりたいですね!!」

 

数年前のキラキラした瞳でそんなことを言うオレ自身だった。

 

「あの…これ…」

 

嫌な予感がして、理事長に目を向ける。

 

「うむ!!感涙ッ!!」

 

こちらが言葉を発する暇もなく、理事長は言葉を続ける。

 

「確かに気性に難があるウマ娘はレースでの活躍が難しいと言われるっ!!しかしっ!!」

 

興奮気味に立ち上がる理事長。

頭が追いつかないオレ。

 

「難題ッ!!私の掲げる全てのウマ娘の幸福のために、この課題は避けては通れないッ!!故にッ!!」

 

おもむろに理事長は扇子をたたみ、ビシィッと画面に向ける。

 

「若手で…それもトレーナー学校卒業時点でこのようなことを言ってくれていたとはッ!!」

 

いやあの…そう言うんじゃあ無いんです。

単にハイになってたってだけで…。

いやまぁ?嘘では無いけどもね。あくまでゆくゆくはそうなりたいって言う将来的な甘い見通しっていうか〜…。

そう返そうとするも、理事長は止まらない。

 

「故にッ!!何人か該当者を見繕っておいた!!」

 

ドンっ…と置かれるのは紙の束。

たづなさんが「どうぞ」と手渡して来たので読めと言うことだろうと思い、ペラリペラリとめくっていく。

 

「この子達は…」

「うむっ!!彼女らは皆才気煥発ッ!!なれど…」

 

ぷるぷると震えてそう言う理事長。

その目からは涙が溢れている。

 

「この子達は波長の合うトレーナーさんがなかなか見つからない子達なんです」

 

代弁するかのように続けるたづなさん。

 

「依頼というのは…彼女達のうち、誰でもいいんです。どうか、担当となって導いてあげて頂けませんか?」

 

たづなさんの真剣な、どこか思い詰めたような顔でそんなことを言われる。

資料を握る手に不思議と力がこもる。

これだけの子達がレースに出られず埋もれてしまう……。

そんなことがあっていいんだろうか?

そうして気がついたら…。

 

「はい……」と答えていた。

 

チクショー……。




続くかなぁ…。

担当ウマ娘は…どうしよっかな。
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