「どうしたモンかなぁ〜…」
オレはトレーナー室で椅子にもたれかかりながら思案する。
とは言え、新人トレーナーであるオレが理事長直々のお願いを拒めるほど、偉いわけでも選択肢があるわけでも無く…むしろ、良い機会だとポジティブに考えようと努めるオレ。(っていうか、そうとでも思ってないとプレッシャーで潰れそう…)
「まぁ、何はともあれこのリストの子達のことを実際に知らないことにはなぁ」
そう思い立って訪れた放課後の練習用コース。
えぇっと…リストの子は…うぅ〜ん…。
とっとと寮に帰ったのか、それとも今日はトレーニングが休みでたまたま居ないだけなのか、或いは居残り練習をするだけの気力もないくらい普段から頑張ってるのか…なかなか見当たらない。むむむ。
そんなこんな、目を凝らしてウマ娘達の観察をして見る。
どの子もよく鍛えられており、中央のレベルの高さのほどが伺い知れる。
オレもいつかは、名のあるウマ娘のトレーナーに…。
んお?あの子は……?
体操服姿のそのウマ娘は、気だるそうな雰囲気を醸し出しながら、スタスタと歩いていた。
まだ居残り練習をするウマ娘達の中に居ても、オレは何と無く目で追ってしまう。
口元にはスタミナをつける目的があるのかマスクをしていて、その表情の程は窺い知れない。
分かるのは、着ている体操服から彼女がトレセン学園の生徒であること。そして……
「はぁ〜…ダルいっスねえ〜…」
見るものの目を引くほどに、鮮やかな長い栗毛だろう。
「彼女は確か…」
オレは早速ペラペラと理事長に渡されたウマ娘のリストから、彼女らしきウマ娘を探す。
えっと名前は………ふむふむ。それで担当トレーナー歴は…未だゼロ。
オレはそんな彼女のことが気になってそれから毎日彼女のことについて聞いて回ったりしてた。
「え?あの子?いやまぁ、光るものはあるんだけどねぇ…」
「あの子かぁ…いやぁ〜(新人が相手するのは)キツイでしょ〜」
「あの子?まぁ、よく言えばトレーナーに媚びてないって感じなんだろうけど…仮に担当するんならほぼ100%苦労するよ?」遠い目
と、まぁ…確かに所謂クセウマ娘というやつにガッツリ当てはまる。
「コレってもしかして…他の子の特徴にも当てはまるんじゃ…?」
もしかしてオレ…ハメられた!?
いやいや…オレみたいなどこにでもいる新人ハメたところで…。
「な〜にやってんスか〜?」
「どわぁ〜〜ぉ!!」
「ちょっと…うるさいっスよ〜」
オレは急なことにヘンな声を出して飛び跳ねると突然声のした方を見る。
心臓、まだバクバクしてる…。
考え事してる時に意識の外から声かけられるとびっくりするんだよなぁ…。
そっと隣を見ると、視界に映ったのは…
「よっス。なんか最近よく来てるって人っスよね?」
しゃがみ込んでオレを心配そうに見ている件のウマ娘だった。
いやぁ、どなた様なんでしょうねぇ。