「よ〜し!!それじゃあキミには早速ゲート練習を…」
「いやです」
まずメンバーひとりひとりにトレーニングをしてみてもらおうと、メンバー内でもぱっと見一番真面目そうなデュラちゃんと呼ばれる子に提案をしてみたんだが…。
「いやあの、ゲート…」
「いやです」
と、このようににべもなく断られてしまっている。
「いやあの…お試し期間ひと月だけだし…」
「いやです」
取りつく島もない、とはこのことか。
まったくこっちを見ようもしない鉄仮面のようなデュラちゃんの表情からは、とにかく頑固な感じがありありと浮かんでいる。
しかし困った。こっちはあくまでもお試し期間。
オレは彼女にここで無理強いする事はできない。
「…そっか、それじゃあ、ちょっと待ってて」
「……?」
デュラちゃんに背を向け、リーダーである彼女の姉に話を聞く。
「さっそく泣き言かい?」
柔軟運動をしながらそんなことを聞いてくる。
「すまない。だが…彼女のことを教えてほしい。そうじゃないと、対策もできやしない」
「ったく…そう言うのは最初に確認するモンだろうよ…」
さっそく呆れられた。面目ねぇ…。
「うぐ…返す言葉もない…」
「…デュラのやつは、脚の爪が弱ぇんだ。アタシから言えんのはこんくれぇか」
爪が割れやすいということは、それだけ爪が割れる痛みと近いということ。
トレーニングでシューズの中の汗が傷に染みたり、雑菌がわいたりと言った問題に他の子よりもなりやすい。必然、そのケアにもかなり繊細にならざるを得ない。
もしかして、それが原因でトレーニングをする行為に臆病になってるのかも…。
なら、オレにできる最大限のサポートは…。
「あとは自分で考えな。アタシらに認められるトレーナーになりてぇんなら…な」
「ありがとう!!なんとかなりそうな気がする!!」
「ったく…」
オレはトレーナー室に戻って、ガサゴソと机を探る。
「えぇっと確か…先輩に相談して、念のために貰っといたウマ娘の爪を保護して、負担を減らすのが…」
本当は彼女だって走りたいはずなんだ。
だって、そうじゃなきゃわざわざトレセンになんて来ない。
なら、オレは彼女に走ってもらいたいし、出来ることなら一緒に勝ちたい。その気持ちに嘘偽りは無い。
そのためにはまず、彼女達に認められなければならない。
オレはゲートに未だ入ろうとしないデュラちゃんに声をかける。
「デュラちゃん!!脚出して!!」
その言葉にデュラちゃんはこっちを向くと……。
「……へんたい?」
「違うよ!?」
仲良く…なれるかなぁ?
某剣の子…のつもり。
一体何ンダルなんだ……。