あの村を離れてから約三ヶ月が経った。
私は【魔神の後継者】として、宮廷魔術師から毎日魔術に関する事を教わっている。
【魔素】【四大元素】【歴史】
どれも聞いた事も教わった事もない部類で、頭が中々追いついてこない。
【魔神の後継者】とか初めは聞いた時、あまりにも衝撃的で信じられなかった。あの【黄緑で色鮮やかな石】を手にしたあの日の夜、私はとある夢をみた。
「【終焉】を呼び覚ましてはいけない。」
「魔晶石を、どうか教団の手に渡らぬように守ってほしい。」
確信は持てないけど、あの声は恐らく魔神のお告げか何かだろう。ただの夢にしては、あまりにも内容が深刻だった。あのお告げがまるで遺言のように、夢に現れた声は慌ただしくひたすら焦っていた。
実際にも、魔神は例の【教団】の手によって殺されたらしい。彼女は死の直前に、宮廷魔術師の者と魔術による意思疎通で【4つの魔晶石】の在処と【教団】の手がかりを概ね伝えていた。そして魔晶石は、選ばれた者が自然と手にするように高度な魔術によって仕組んだ。
【魔神は4つの魔晶石が教団の手に渡らぬよう、魔晶石の管理人に相応しい者を選び、その者を新たな魔神の後継者として引き継ぐよう定めた】
大臣から聞いたこの言葉...。普通じゃ考えられないし、到底信じられないことだけど、実際に私がこうして風の魔晶石を手にしてここまでやってきてるんだから、受け入れざるを得ないわね。
【教団】はかなり昔から存在する団体で、王国とはずっと敵対関係のようだ。謎の多い宗教団体で、王国もあまり多くの情報は分かっていないみたい。
少なくとも、教団は私が所持するこの風の魔晶石を狙っているのは明らかだろう。私はまだ身体も魔力も未熟だから、この王宮で鍛錬を積み重ね、自分一人で守らないようにしないとダメだ。
【新しい魔神】としてこの魔晶石を守る使命と同時に、私は【風の神】としてこの国を守らなければならない。行く手を阻む壁がこれからも先、多く私の前に現れるだろう。
不安はもちろんある。だけど、それよりも一番不安なのはあの村と【リリス】だ。
あの子は大丈夫かしら。彼女は、あまり村の子供達と親しみが無いから心配だ。あの時、別れの言葉を交わす事もできなかった。こんな形になってしまって本当にごめんなさい。
私が立派な大人になって、自分一人で国を守れるような神様になった暁には、私はあなたを迎えに行くわ。
だから、それまでどうか待っていて。