風の魂   作:魔王.

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第二話 とある魔術師の日常

王都に来て早3年

あれから私は毎日【剣術】と【魔術】の鍛錬に励んでいた。

 

先日、私はついに上級レベルの風魔法を完全に会得した。通常であれば、上級魔術を完全に会得するまで、早くても5年はかかると私の師匠は言っていた。

 

コンッ コンッ

「サンティ、入るわよ。」

 

師匠の声だ。

彼女の名は【ロベリア・メイザース】宮廷魔術師だ。

上級魔術からこの人が私の先生へと変わり、様々な知識と技術を教わった。

 

彼女は慈悲深い人で、魔術の教え方も非常に上手い。私の魔力(マナ)の調子が悪い時とかもしっかりとフォローもしてくれる。本当に優しい人だ。

 

「サンティ?」

 

あ、いけないいけない。

私は一体誰に紹介しているのやら。

 

「おはようございます、師匠。先日の修了試験では、また色々とご迷惑をおかけしました…。」

 

そう、私はやらかしたの。

修了試験では、風の上級魔法【テンペスト】を上手く発動させるという内容だったんだけど…

 

―――昨日―――

 

「よし、ここなら大丈夫だと思う!」

「サンティ、始めちゃっていいわよ。」

 

「はい!」

 

渡された杖を大きく構える。

無数の嵐を起こし、それらを1つの場所へ集中させる。

 

ゴォォォォォォォ…

 

…風が乱れてきた。

 

ゴォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!

 

もっと集中するんだ…!

 

ゴゴォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!

 

もっと……!!

 

「…ティ!!」

 

……

 

「サンティ!!!もうやめて!!!!」

 

私はハッとなり、辺りを見渡すと…

 

「え…??」

 

緑豊かな平原が、私の魔術によって荒れ果てた野原へと変わってしまった。

 

――――――

 

ということがあって、師匠にまた迷惑をかけてしまった。

 

「いいのいいの!!あなたの潜在能力を引き出して、立派な神様に育てるのが、私たち【宮廷魔術師】の務めなんだから!」

 

し、師匠…!!

そんな…輝かしい笑顔でこっちを見ないでください。私、ダメになってしまいます。

 

「でも、あなたの魔術能力…いえ、魔力(マナ)は既に魔神レベルと言っても過言では無いわ。」

「あなたは見事に上級魔術を使えた、それも予想以上に。」

 

「師匠…」

 

気を抜いてしまうとニヤケてしまうぐらい、めちゃくちゃ嬉しい。

 

「でも、あなたはまだまだ覚えなきゃいけない事が沢山あるわよ。」

 

そう言い、師匠は机の上にとある本を置いた。

 

「これは、【禁書庫】から持ってきたものよ。」

 

「き、禁書庫…」

 

噂には聞いたことがある。

【禁術】とも呼ばれる魔術が沢山、本に著してるものがこの王宮の【禁書庫】と呼ばれる所に封印されてると。

 

「あなたは【剣術】と【魔術】を見事に上達してみせた。だから今度は、宮廷魔術師の上位職でしか覚えられない魔術を教えるわ。」

「これを覚えたら、いよいよ最終段階ね…。」

 

最終段階。

つまりそれは、私が人間の領域を越えて、いよいよ【魔神】になるということだ。

 

「明日は、私ともう1人の魔術師があなたの先生になるわ。」

「だからそれまでに、ゆっくりと身体を休んで、明日に備えてちょうだいね。」

 

師匠はそう言い、ゆっくりと扉を閉めて去ってしまった。

 

「はぁ……」

 

私は大きくため息をつき、将来の事について考え始めた。

 

「魔神か…。」

 

正直、実感はあまり湧いてこない。

魔神とはいえ、私以外にも【あと3人】この世界のどこかに存在するのだ。

 

だが3年経った今。

他3名の魔神の居所がまだ掴めていないという状況。

 

「大丈夫かな…。」

 

魔神の後継者とはいえ、元々はごく普通の一般人である。

不安はあるかないかと言えば、物凄くある。

だが、不安に押しつぶされてはいけない。だって、私には【守らなけらばいけない】ものが沢山あるから。

 

私はそう思いながら、最近師匠に貰った時計を見つめた。

 

「まだお昼か。」

「…自主練しにいこうかな。」

 

 

密かに開発した新技の練習をしに行こうと、重い腰をあげる。

 

「あっ、いけないいけない」

 

いつも私が身につけている首飾りを、持っていくのを忘れてしまう所だった。

 

「今日も私のことを見守ってね。お父さん、お母さん。」

 

私はぶつぶつと独り言を言い、今日も魔術と剣術の修練に励もうと気合いを入れ、ガチャっと扉を開けた。

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