「吸血鬼糞不味かったんだけど」
「私に言われてもねぇ、吸血鬼食ったの多分貴方が初めてよ」
歯に挟まった骨を捨てながら自室でつぶやく
そのアホみたいな文句に呆れながら彼女はそう返した
なんだろう、腐った肉を食った気分だった
それに加えてどうやら俺が今持っている霊力以下の妖力だったらしく何も無かった
つまるところただクソまずい肉を食っただけだった
「まぁ彼女ロストシルバー状態だしいいわ…
私が罰を下そうと思ったけど、別に良かったみたいね」
「お前らサイズの車椅子探すの面倒だったぞ」
「お兄さんの迷ってる姿面白かったよ!」
態々ネットに潜って車椅子を探しに行った
どれもこれもダイキャストやらで頭を抱えそうになった
最終的に探してもプラがないのでダイキャストにした
無駄に高かった、あれだけでこいつら一日分は行けそうだった
「ま、清々したしいいか…」
明日の準備をする
最近は眠くて眠くて仕方がない
原因は十中八九こいつらにあるのだが責める気にならない
そもそも受け入れたいのはこちらだ、今から文句言うのも違うだろう
はぁ、もうなんか疲れた
「寝る」
「あ、分かったわ」
「隣で寝る!」
こいしがベッド横の台に俺のハンカチを敷き、寝転がる
紫は邪魔しないようにか、さーっといなくなる
もはやこいしが隣で寝るのも慣れた
言ってしまえば横に美少女がいるだけだ、いるだけだ
寝返りで潰す距離に彼女は居ない、そこが安心点だ
俺はそう思いながら、意識を沈めて行った
ずぶずぶと、俺は夢に沈んでいく
〇
「どうかしら?カリチュマ吸血鬼」
「…最悪の気分」
また、主要人物が集められる
従者が大体来ているが、レミリアは車椅子に座っていた
その車椅子を咲夜は押して来ていた
どうやって来たかと聞かれりゃそりゃスキマだろと言いたい
「初めてよ、四肢もがれて食われたの」
「見ていて狂気を感じたわねぇ、いきなり菜切包丁使って斬るもの
久しぶりに面白いもの見られたわ、人間の狂気ってのをね」
永琳がからからと笑う
この場にいる大体はこいつやべーこと考えてるんだろうなと思うだろう
実際今やばいことを考えている途中である
「今回呼んだのは他でもない異変のことだけど…
それ以外にも少しあるからちゃんと聞いてなさいね」
この場の面子はそれ以外のことに少し興味を向けながら異変に着いて話を進める
なんでこの異変が起こったか、その後何があったか
それからこいつをどうするか…という話である
「ただ欲しいものがあっただけ、久しぶりに紅茶が飲みたかった」
「それだけで紅魔郷を?マジで?」
「嘘でしょう?」
「嘘みたいでしょ?本当なのよコレ」
「あほくさ」
最初の話についてはボロクソにレミリアが言われた
なんだってまぁ、理由が幼稚すぎるし…
前の太陽が気に入らないもそれもそれだが
これに関しては幼稚すぎて笑う
太陽はまだ吸血鬼だから納得できるとして紅茶はバカみたいな理由である
「それで?結果がだるま状態と?」
「…そうよ、なによその目」
「いや、吸血鬼って美味しいのかなーって」
「不味いらしいわよ」
感想が帰ってきたことに一部除いてウッとなるだろう
人食い、いや同族…例えれば蛆を食うのと同じだ
気味の悪い、食いたくもないというものを食べるという行為
それが恐ろしくて、恐ろしくて…
「人間なのかしらね、彼」
「さとり曰く心は人間らしいわよ?」
「心が強いだけだと思いますよ、私は」
さとりは若干諦めたような顔でそう言った
恐らく顔とやってる事が矛盾しすぎて疲れてるのだろう
心を読めるというのは思いのほか負担をかける
特に毎度人の心を読んでしまう彼女は…特に
「…それで?家主さんから何か伝言あるかしら?」
「"家無くしたら一人ずつ喰うぞコラ'って言ってましたわよ」
「「「「「「…」」」」」」
凄まじい一言を聞いた一同は押し黙る
最初こそ人間と侮っていたがこうなると何も言えない
言ってしまえば立場が逆になってしまっているのだから
彼からすれば"間引き"なんて簡単なことだろう
「…その他に"やりすぎない範囲"とも言ってましたわよ」
「そりゃ異変をやっていいってことか?」
1本角の鬼がそう紫に聞く
紫は少し額に手を当てた後答える
「恐らく、家が燃えないとか著しく汚れないとか…
私達のストレス解消として弾幕ごっこも許可はしてくれたわよ」
ただし、と紫は付け加える
「術によって"ごっこ"が始まる時あなた達の周りを結界が覆うわ」
「成程、それで被害を最小限にしようと?」
えぇ、と紫は言った
結界で覆われるなら流れ弾がガラスを粉砕することも無い
実をいえば灰汁が斬鬼やらから知恵をかき集めた結果なのだが…
彼女達のストレスが溜まりに溜まって何かされても困る
カチコミとか本当に以ての外である
「それと家主の部屋に入る時はノックをね、基本は入っちゃダメよ」
「何か用がある時だけか?」
「そうよ、これだけね、質問は?」
紫はそう聞くが、特に誰も手をあげない
少し不満はあるだろうが我慢はしてもらおう
というか、あっても余程じゃない限り聞き入れはしないけど
「そう、じゃあ解散よ」
そう紫が言うと皆が疲れたようにゆっくりと立ち上がる
あるものは肩を回したり、あるものは首を回したり…
見ているだけでこちらもやりたくなる
しかし、紫はそれをすることなく、皆を見送ったのだった