「…」
意識が浮上した
先程から暗闇の中を彷徨い歩いていたのに、いきなり…
布団から起き上がり、辺りを見回す
手のひらを見る、特に異常は無かった
それにホットしつつベッドから降りる
背をのばし、冬の寒さを体に感じる
俺はエアコンのリモコンを起動し、暖房を付ける
温かさは直ぐには伝わらない、少し時間がいる
だが今日は土曜日だ、焦る必要も無い、寝てもいい
本来ならサバゲーの為に準備をするがこの土日は何も無い
故に今日のやることは寝るかそれともゲームをするかである
ふと時間を見ると、そこには9の数字を指す短針が見えた
かなり寝ていたらしい、そんなに疲れていたのか
首を軽く回し、ココアでも飲もうかと下に行く
そして、リビングへのドアを開けた
「この野郎!死んでしまえ!!」
「私は不死身なので死にませーん逆に死ねゴルルァ!!」
「小町、小町はどこですか!」
「あややややややや」
「けろけろー」
「今日も哨戒区域は…異常無し!()」
そっと閉じた
なんだろう、背中から炎の翼が生えた女がいた気がする
気の所為かもしれないが血が散っていた気がする
なんだろう、面倒事を引き受けてしまった気がする
「…いや、気の所為か」
頬を抓り、また扉を開ける
「輝夜ァァァァァァァアアア!」
「妹紅オオオオオオオオオオ!」
「小町!」
「やっば見つかった!」
「今日も幻想郷は平和である」
「何も変わってないな!ヨシ!」
「…What's fuck?」
――
「それでそれで、あれがお前さんの愉快な仲間たちと」
「そうそう、あれが愉快な仲間たち…」
「こんなに来るとは聞いてないが?」
規模を聞いていなかった
こんなデカイものとは思いもしなかった
ココアを飲みながら椅子でため息をついた
なおその先にあるのは命蓮寺とかいう寺である
台所の上にある神棚には白玉楼とかいう建物
…元の建物が消えているのは気にしないでおこう
窓際にある棚の上には目に悪い建物が立っている
そしてテレビの前に神社…寂れたのが立っていた
部屋の隅にある本、そこが天狗とかいうヤツらの家と化していた
その頂上に今度は豪勢な神社がある
…何かどこかで見たような神社だ
なんだこれ
「自宅がまるでユートピア…」
そして住んでいるヤツの大半が人外である
モンスターハウスと化した自宅で生きられるんだろうか
「紫ー結界張り終えたわよー」
「ありがとう、少し休んでて」
そして飛んできたのは紫より小さい女の子だった
巫女服の、気怠そうな女
…どこか、見たことあるような顔をしている
「あ、この人は家主さんね
これから世話になるから挨拶くらいしておいて」
「そう、よろしく」
「よろしく」
俺はそう言うとココアを飲み干し、台所に突っ込む
その後紅茶とカップ、パンを少し取って上に上がった
…面倒事になった
こりゃ骨が折れそうだ…
〇
「して、心は?」
「面倒事が迷い込んだな、程度でしたよ」
「本当に?」
「それだけですよ、本当に」
紫はピンク色の服を着た眠そうな女にとある事を聞いていた
彼女はカップに注いだ紅茶をコクリと飲んだ
この妖怪の名前は古明地さとり
嫌われた妖怪の中でも更に嫌われるさとりという妖怪である
この妖怪の前ではあらゆる嘘は意味をなさない
心が死んでいない限り、この妖怪に心理戦で勝てることは出来ない
故に家主の心を読ませたのだ
あの顔に反して心はクソッタレかどうか
が、本当に楽観的な人であったらしい
「それは良かった…のかしら」
「どうも言えないわ」
さとりはこの家のどこかにあるマヨヒガでまたコップを傾ける
紫がいちいちスキマを繋いで移動するため場所は本当に不明である
「まぁ、外で運動する程度の体力はあるみたいですよ
それでもゲームをしている方が多いらしいですがね…」
「まぁ、いいわ…あとは時間次第ね…」
紫ははぁ、とため息をついた
隠れ家を見つけたのは良かった、それだけは本当に良かった
外は幻想郷よりも気温差が激しい
しかもこんな小さい体ではそこらの昆虫にすら負けるかもしれない
現在生態ピラミッドで彼女達の下にいるのはせいぜいプランクトンかアメーバなのだ
「そういえばその紅茶どこから手に入れたの?」
「さぁ、お燐に取りに行かせたのでなんとも」
「…なんか怪しいわね」