「月ってこんなに光が弱かったっけ?」
「外の月ってこんなに微弱な光しか出さないようになったんですか…?」
「光がどうのこうの以前に月ってそんなに言われることしたか?」
帰り道、ポケットの2人が月を見上げながらそんなことを言ってきた
俺は彼女達の言うことに困惑して質問を投げかける
月の光が弱いって昔はもっと強かったのか?光線でも放ってたのか?
そんな心境にさとりが注釈を入れてくれた
「月の光には妖怪を助長させる不思議な魔力が含まれているのです
故に妖怪達は日の下ではなく月の下を好みます」
「そうか…つまり」
「そういうことですね」
つまるところ昔は凄い魔力あったのに今は絞りカス程度しかないという事だ
そして妖怪が1番力を現しやすいのが満月というのは周知の事実だろう
満月は半月、三日月、上弦の月よりも特別な存在だ
他は逆さまだったり下弦があったりするが満月にはそれがない
欠けがあってしまえばもう満月を見ることは出来ない
このように、満月はとても特別な存在だ
「雑魚になっちゃったのね、月」
「言い方ぁ…」
確かにそうではある、そうではあるが…
弱くなった原因はやはり現代科学の超進化であろう
月の光は太陽の光と言われるようになった頃だろうか
それとも人類が月にロケットを飛ばした時か、定かでは無い
ただ、確定なのは妖怪が住みずらい世の中になったということだ
「にしても、貴方の友人さんは個性的な人が多いんですね」
「あぁ、あいつらは…個性的、だな」
個性的で済ませていいのか、アレ
奇抜、変人、やべーやつら…これの範疇に収まればいいのだが
職業不明、軍人家系、経歴不明、もうこれだけで常人じゃない
特にジョンに関しては…本当に分からない
職業どころか両親不明、家系不明、年齢不詳、兄弟関係不明
それに加え、性別不明
なんと俺と霊覇と斬鬼は同じ高校に来たにも関わらずジョンの裸をを見た事がない
あいつの水着姿を見たことがあるが記憶にあまり残っていない…
胸デカかったような気がするし、貧乳だった気がするし
ブツがついていたようなついていないような…
記憶に残らないのである
恐ろしいことに覚えていない、何故だ
「…貴方の記憶にはモヤがかかっていますね」
さとりがそんなことを言ってきた
目をそちらに向けると目を瞑り、第3の目を此方に向けたさとりが居た
頭の中を探っているらしい、記憶があればいいのだが
「あるにはありますがブレとキレが凄まじいです、ほぼ何も見えません」
彼女が目を開けて、そういった
さとりがそう言うなら多分、そういうことなんだろう
俺がただ単にわすれているのか…どうなのか…
まぁ、いいか
俺はそう思って歩を早める
「それにしても、あなたは心を簡単に明け渡すんですね」
早足になっていると彼女がそんなことを言い始めた
俺は首を傾げながら口を開く
「どういう事だ?」
「普通、人に心を見せるようなことを常人はしません
だって中には悪口と真っ黒なヘドロしかありませんもん」
彼女は俺に顔を見せずに、第3の目だけを此方に向けて話した
さとり妖怪としての、宿命とも呼べるソレ
彼女が今まで何を思って心を覗いてきたのか俺には分からない
分かりたくもない
他人が思っていることが己の自己意識に関係なくなだれ込んでくる
そんな暴力的な事がほぼ永久的に味わうことになることを分かりたくもない
「なら」
「だからな、俺は…」
ど う で も い い
お前が俺の心を読もうともどうでもいい
俺にさしたる問題はないのだから
心理的な負担も俺にはない、心なんて顔で分かる
そんな浅いものでしかないのだ
「…っ、そう、なんですか」
彼女が震えた気がした
何回も肩を震わせて、しゃくり上げるような声を上げていた
俺はそれに気づかない振りをして、自宅に帰った
〇
「で?こいしがいないと」
「そうだ」
「どう落とし前つけんの?」
「知らん」
無言の針投げ
首を軽く傾けて避ける、顔面狙いなのは丸わかりだ
その軽く避けた様子を見て彼女は舌打ちをする
俺は軽く手を上に上げる
「避けんな」
「知らんがな」
「れ、霊夢」
「何よ、今忙しいのよ」
「いやぁ、そのー」
れイマリの図が始まってらぁ
いやはや、ここでそんなのをやるのはどうかと思うが
むかつく、うむ、とてもムカつく、目の前でユリをやるな
のーレッジでもそこまでしないぞアホども
ば鹿馬鹿しい、うむ、とても馬鹿馬鹿しい
|回ならまだしも何回も俺が居ない時にやってんだろ
かーっ、腹立たしいぜこんちくしょう
…
「…馬鹿にしてんじゃないわよバァーカっ!」
「オップス」
ひらりと後ろに回避する
最近の少女ってのはとても乱暴なやつしか居ないのか
俺がそう思っていると、ガチャりと音がした
んん?と俺はそちらを見る、玄関の方向だ
…玄関ってひとりでに開くものだっけ
「ここにサイコキネシス使えるやーつ、挙手」
しーん
あ、ふーん
…しかし、誰だろうか
とても心辺りしかござらんのだが
俺はそう思いながらそちらを見る
からん、ころん、からん、ころん
下駄の音だ…あぁ
あいつか
「だ、誰?」
「あぁ、俺の友達だ」
「に、人間!?」
場が凍りつく、何も出来ていない
友達が来るというのも聞いていない、というか言ってすらない
言うわけない、俺自身が知らないのだから
「あばばばび」
「ゆ、ゆゆゆっかりどうにか」
「ここで仕舞いか…」
「来たら串刺しに――」
霊夢がそんなことを言ったところだった
がらららとリビングへの戸が開く
息を飲んだ彼女達が見たのは――
肩にこいしを乗せた和服の男だった
とても、現代社会に似つかない格好をした男
「やっほーっ!ちょっと狼さんとお話してたっ!」
「邪魔するぞ、灰汁」
「よう、斬鬼…とりあえず座れ」
2人がそういったのを見て、俺は軽く返す
俺の言ったように、とりあえず彼は机の前に座った
片足を伸ばし、片膝を立てた体制で、座った
そして軽く笑うと口を開く
「取り敢えず、話でもしようか」
この小説って女性も見てるんですかね