幻想郷in my house   作:回忌

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斬る鬼

「話しか、昔話でもしてやろうか?」

 

「お前の言う昔は本当の昔すぎるから分からん」

 

「そうかそうか」

 

からからと笑う斬鬼に俺は軽く笑う

彼の昔話はところどころ面白いものがあるが如何せん昔すぎる

そんな昔の事分からねぇよバァーカって話である

 

「御友人にしては奇抜ね」

 

紫が俺の横でそんなことを言った

なんともまぁ失礼な、まぁ俺も分かってはいるんだけど

この現代科学の夜を和服でからんころんと歩くのはこいつだけだろう

後にも先にも、こいつだけだろ、うん

そう思っていると斬鬼が紫に気付いたらしい

 

「あぁ、お前、紫か…変わりすぎて誰か分からなかった」

 

「…誰かしら、貴方」

 

紫は扇子を口を覆うように開く…と思う

バラッと開いた音がしたから、うん

俺がそう思っていると斬鬼はふんっと軽く笑った

まるで忘れられているのが不服らしい

 

「俺を忘れるなんて、認知症にでもなったか」

 

「なんですって――」

 

キレかけた紫は次の瞬間目を見開いた

霧のような淡い青い光が彼から漏れだしたのだ

その力に、彼女は見覚えがあった

その青い光が彼の頭と腰を包んだかと思えば、それは霧散していく

 

そこには、銀の獣耳と、白銀の雄々しき尻尾があった

それと同時に彼の右目には眼帯がはめ込まれていたのだ

その特徴が、紫の頭の中にあるとある人物とかぶる

 

「…生きていたの」

 

「大陸に渡ったり帰ってきたりと会う暇がなかったんでねぇ」

 

"妖怪"の姿を現した紅白斬鬼がそこにいた

懐かしい、最後に見たのは幼稚園だったか…?

俺がそう思った後、手を斬鬼に向けた

 

 

 

 

 

 

 

「改めて紹介しよう、紅白斬鬼、俺の古い友人だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうして教えて下さらなかったのよ」

 

「聞かれてもない」

 

俺は紫の質問にそう答えて台所に向かう

斬鬼は天狗の生まれらしく、天狗に囲まれていた

どうも天狗の中じゃ英雄的な…どちらかと言えば失踪気味なやつらしい

俺の答えに納得できない紫が後ろに着いてくる

 

「よくも斬鬼と仲良くなろうなんて思ったわね

 あんな飄々としたヤツと」

 

「お、そうだな」

 

言われている通り飄々としたヤツだ

今はまぁ、だいぶ人間らしくはなったけど

 

そう思いながらコップを取り出し、牛乳を入れる

そして抹茶ラテの粉を牛乳にぶち込んでスプーンで混ぜる

ちょうどいい杯分だったのか、塊は一つも浮いてない

俺は自分と斬鬼のラテを持ってリビングに向かう

 

「久しぶりのその姿を見る、いつぶりだったか」

 

「あー、知らん、俺とて1回しか見せてないからな」

 

頂くぞと彼はラテを手にとる

一啜りして少し頷くとコップをカチャリと置く

どうやら満足して貰えたらしい、感想を言ってくれないから顔と行動で判断するしかない

 

「にしてもすんなりと出すんだな」

 

魔理沙がどこに居たか覚えてないがそう言った

俺はそうだなと適当に返しておく

 

…当の斬鬼はまだラテの余韻に浸っていた

 

「おーい?」

 

「…(こくこく)」

 

「こいついつもこんな感じか?」

 

魔理沙がそんなことを俺に聞いてきた

 

「どこでもそうだ」

 

俺は無論そうだと答える

 

「昔から変わってないわ」

 

紫が呆れてそう言った

妖怪らしく昔から何も変わっていないらしい

変わった、という言葉に反応してか斬鬼が顔を上げる

バカにしたような顔で紫を見る

 

「お前は背が低くなったなぁ、いや元からか?」

 

「えぇ、そういうあなたは体だけでかいようですね」

 

「体が小さくなりゃ脳も小さくなるって言ってたな」

 

酷く重くなる雰囲気

いつの間にか腰に差してある刀に彼の手が伸びる

紫は手に持った傘が少し変な力を帯た気がする

力のある者が目の前でぶつけ合うとこんな重くなるんだ、空気

ほらもう妖精達居なくなってるよ、圧で一回休みになってるよ

とても昔から生きてきた妖怪の言い争い、コワイ

 

 

…それはともかく

 

 

「おふた方誰が家主かご理解しているので?」

 

「…チッ」

 

「…えぇ、理解していますとも」

 

 

2人はギロリと睨むと視線を外す

どうやら仲があまり宜しくないらしい

あーあー他人の家で喧嘩なんてしないでほしい

 

「というかその刀はどこから出てきた」

 

「元からあっただろ」

 

彼は当たり前の様な顔をしてそう言った

もう3年以上共に歩んでいると何をしたかくらい分かる

彼がその類なら必然的に使える技…

 

「幻術ですかそうですか」

 

「ブラボー大当たりィ、景品にコレをやるよ」

 

そう言うと彼は何かを投げ渡してきた

掴み取ったそれを見ると、小瓶だった、妙な液体が入ってる

俺は彼に目をやった、そういうことか?と

 

「そういう事だ、丁度困ってただろ」

 

「…あぁ、"丁度"困ってた」

 

そう言って俺はそれをポケットにしまった

それを見た後彼は背を伸ばすと立ち上がる

 

「俺の用は古明地を送ることだけなんでな、じゃ」

 

彼はそう言って口笛を吹きながら出ていった

そのいきなりの登場にまだ理解ができてないやつもいた

俺はそいつらを無視して小瓶を眺める

 

うむ、いつも通りの品だ

 

「…何でしょうか、それは」

 

後ろから紫が聞いてくる

俺は少し悩んだ後、ポケットに小瓶をしまう

その後に彼女にこう言うのだった

 

「毎回頼んでるだけの品さ、知る必要はどこにも無い」

 

俺はそう言って上に上がる

後ろから扇子が開く音がした気がした

 

…多分、これが何で出来ているか知られた

 

それはどうでもいい、使い方さえ知られなければいいのだ

 

 

 

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