幻想郷in my house   作:回忌

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encounter

「お前はどこから入ってきたよ」

 

「お兄さんと一緒に」

 

「どうやって」

 

「無意識」

 

全くもって意味がわからん

俺は今誰に質問をしているのだろう

そしてこの質問は意味を成しているのか

もはやなんとも言えぬ気持ちが心を支配する

 

「ははーお兄さんって無意識に染まりやすいんだね」

 

「…ああ?」

 

俺は彼女の言葉で我に帰る

棚から缶コーヒーを取り出し、中身を飲む

苦味が俺を無意識という海から引き摺りあげてくれる

閉じていた瞳をゆっくりと開けた

 

「妙な力を持ちやがる、幻想郷って所はそういう所なのか」

 

「そう思った方がいいよー、そして皆自分勝手」

 

「あぁ最悪」

 

「妙な印象を植え付けないでもろて?」

 

「痛ッ!」

 

額に手を当てた瞬間、こいしが誰かに叩かれる

その叩いた本人を俺は見ずに、文句を言い放った

 

「紫、こいつは何なんだ」

 

「さとり妖怪の妹…ですがその第3の目を縫い、全く違う能力を得た妖怪ですわ」

 

俺は缶コーヒーを机の上に置き、ゲームの続きを始める

殺した兵士のアイテムを漁る

医療キット、ライフル弾、レーション…

どうやらここで芋ってキルを稼ぐつもりだったらしい

そして、その答えを俺は噛み締め、質問を重ねる

 

「ライフルで狙撃するか…して、心を読むことはもう出来ないのか」

 

「本人がやりたいと思わなければ」

 

「…そうかい」

 

コッキングレバーを引く

弾丸は最初から入っていたようで、何時でも撃てる

とはいえ今気付いたがここはハッキリ言ってしょっぺぇポイントだ

近くに落ちていた空の缶をバレルに付ける

申し訳程度のサプレッサーみたいなものだ

 

「して、その能力が無意識に関する能力か」

 

「よくもまぁゲームしながら…えぇ、無意識を操る能力」

 

「お兄さんは無意識に引きずり込みやすいね」

 

「そうかい」

 

俺は適当に返す

このポイントじゃダメだ

ライフルを担ぎ上げ、階段を降りる

 

「俺が浮いてるってことか」

 

「そうかもしれないし…そうじゃないかもしれない」

 

「禅問答かよ」

 

こいしはあははーと笑う

こいつらが居ると変なところで死んでしまいそうだ

俺はそう思い、脱出ポイントに急ぐ

このゲームをクリアするには皆が死ぬか、脱出するかの2択がある

 

皆が死ぬ、というのは文字通り自分以外の皆だ

ただこのゲームは途中参加可能なので確実にありえないと言えよう

適応されるのはもっぱら大会のみである

 

脱出する、というのは文字通り脱出することである

脱出ポイントと呼ばれ場所で10秒ほど待機すれば帰れる

もしくはヘリコプターや潜水艦に燃料を入れれば帰れる

ヘリの場合対空火器や兵器に気を付けなければならない

潜水艦の場合は機雷を除けなければならない、当たれば一発アウト

 

俺は脱出ポイントに走り始める

 

「お兄さんって本当に変わり者だね」

 

「お前らが言うか」

 

ブーメランである

幻想郷の住人程変わり者はいない

俺が断言しておこう

 

「そういえば灰汁、彼女を入れてよかったのかしら」

 

「ソイツの能力じゃ勝手に入ってくるだろ、意味が無い」

 

現状この部屋に入れるのは紫とこいしだけである

他はハッキリ言って知らん、あちらも関わりたくないのだろう

食料関係をどうするか知らんがよこせとか言い始めたら腕を切り落としてやる

 

「妖怪ってのは腕を切り落とした程度じゃ死なんらしいからな

 はぁ、便利な体しやがって」

 

「急にどうしました?いや、間違ってませんけど」

 

「あ、いやなんでもない」

 

俺は脱出ポイントに到着する

岸だ、海の岸

近くの草むらに入り、伏せ撃ちの体制になる

 

「用があれば呼べばいい、余程のそれじゃない限りどうにかする」

 

「食料は?」

 

「…量によるな」

 

そういえば幻想郷の住人は何人いるのやら

1日で諭吉が溶けるとかそういうのはやめて欲しいが

画面が暗転したのをみて俺はくっと背を伸ばした

 

「…あ?時間かなり過ぎたな」

 

俺は時計を見た

最初やり始めたのは午前だったはず

それがいつの間にやら午後になってしまっている

腹が減った、何も食べてなかったなそういえば…

 

「今日くらいパンで良いか」

 

菓子パンを一つ取り出すと俺は袋を開ける

それを見ながら、紫は声をよせる

 

「ここに胃腸薬はありまして?」

 

「あー和室にある」

 

こいつ、苦労してるな

まぁこいしからわかる通り幻想郷の奴らはろくな奴では無い

それをなんとかまとめていたらしいので、更に面倒になったか?

彼女達からすれば住処が無くなったも同然だ

 

ストレス、エグイんだろうな

 

「ありがとうございます」

 

それだけ言うと、彼女はスキマ…そう呼ばれている空間の裂け目…に入り込んだ

それを見るだけで自分が片足深淵に踏み込んだと嫌でも自覚してしまう

食べ終えたパンのゴミをゴミ箱に突っ込む

 

「…して、お前はいつ帰るんだ」

 

「え?ここで寝るけど」

 

「あのさぁ…」

 

こっちの事情も考えてよ

お前みたいな現実離れした幼女と一緒に寝たら寝れんわ

既に彼女はベッド横の棚の上にマフラーを敷いていた

どうやら此処で寝るのは決定事項らしい

 

「…俺は歯磨きしてくるから、さっさと出てけ」

 

「やーだ」

 

「もう勝手にしてくれ」

 

俺は諦めて下に…洗面所に向かう

時間は何故か既に夜

時たま聞く紫の話によれば今からが妖怪の時間らしい

それじゃあ何故こいしは寝るんだよって思うが…ま、気にするまでもない

 

そう思って、俺は歯磨きを手に取った

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