「あーあ」
寝た彼を見ながら私はため息をつく
あれから凄くやる気のある顔でぱそこんに向き合ったかと思えばほんの三十分程度で倒れちゃった
今じゃぐーぐー寝息立てて寝ちゃってる
「やっぱお兄さんって見栄っ張りよねー」
「そうね、でもそこがいいところだと思うけど」
私はお兄さんの顔に近づき、頬にぷにぷにとつつく
私が小さすぎるのか鈍感なのか彼は特に反応しなかった
にしても柔らかいねこの肌…
「癖になりそう」
ぷにぷに、ぷにぷに、ぷにぷに…
お餅のように柔らかくて、気持ちいい
「…ぐぅ」
「わー」
反応したか定かじゃない
でも、もう起きないのは殆ど確定している
むにむにと今度は揉みこんでみる、反応しない
というかいい肌だ、そこらの女よりいい肌かもしれない
「…鈍感以上ね」
私がお兄さんの肌を揉んでいると横からそんな声がする
紫…ばばー?が人差し指で軽くほっぺをつつく
それでも彼が起きる気配はまるで無かった
「私達の力が弱いのか…寝たら全く警戒しなくなる性格なのか…」
私は後者だと思う
お兄さんの無意識はとても安定して、リラックスしてる
いつも警戒してる人はずっと不安定で、疲れて果てている
というか、お兄さんはいつも無意識に片足を突っ込んでいる
無意識に飲み込まれそうで、飲み込まれない
浮いているという方が正しい
言ってみれば霊夢の誰にでも対応するバージョン
誰にも味方しないという規則を除外した霊夢の様に私は見えた
ただ、利害一致やら利益やらが無いとあまり協力的では無いっぽい
「深淵の中に浮かぶ光、かしら」
「ゆーいつの希望じゃないよ、ただ彼が黒なだけ」
彼の心は真っ黒だ
私たちを利用する心は無いが、利害が一致しただけ
どうも私にはそう思える
それでも、私はお兄さんが好きだ
何故かと言えばそのツンデレ具合が好きだ
明らかに面倒事なのに私たちを匿ったりする
その上で何気なく食料を置いていたりする
ぶっきらぼうでこちらを何ともないように振舞っているが結構気にしてる
もう完璧なツンデレだ
もう可愛いくらいのツンデレをしている
「幻想郷の者達も最近は大人しくて助かるわ」
「大人しくしないと食べ物無くなるもんね
そういえばゴミが散らばってたら外にポイだっけ」
「流石にゴミは処理…すると思いたいわ」
倫理的にね?
流石にそこは弁えてくれないと困るんだが
彼もゴミが散らばってたら外にポイって言ってたし
「…あ、そうだ」
こいしは何かを思いついたらしい
彼女は辺りを見渡し、目的の物を見つける
それはスマホだった、日常的に使うスマホ
それを何とか机の上に運ぶ
「確かお兄さんはこうして開いてたっけ…」
灰汁の人差し指をセンサーに当てる
普通にアンロックは出来ない、パスワードなんて知らない
だったら寝てる本人の指紋を使えばいいじゃないという話だ
「…よし」
ピロンという音ともにアンロックされる
そして彼女は吹き出しマークのアプリをタッチする
「…会話かしら」
そこにはフレンド一覧とあった
灰汁の友達の名前がずらりと並んでいる
グループも二個くらいあった
「何の会話してるのかなー?」
一番上にある友達…紅白斬鬼をタップした
紅白斬鬼
『お前、お前ん家の小人で抜いたりするのか?』
「ブハッ」
「ぶぅぅぅーー!?」
一番最初に目に映ったのはソレである
そりゃ一番最近の会話だから最初に映るだろう
とはいえ会話の内容が酷い
「…お兄さんは…何も答えてないや
私が初めて見たのかしら」
「多分そうね…イタズラしちゃう?」
「それいいね!」
こいしは素早く単語を打つと送信した
ニヤけが止まらない顔でトーク画面からリスト画面に戻る
そして、次…霊覇と書かれたトークをタップする
霊覇
『お前ん家美人大量ってマジ?』
灰汁
『残念な奴らばっかりだよマヌケ』
霊覇
『そうか…』
「残念な奴ばっかりって…えぇ…」
「てか何でこの人残念そうにしてるの?」
こいしは霊覇の反応に首を傾げた
紫は特に何も返さず、コメントを打ち、送信した
そしてこいしに見られないうちにリスト画面に戻った
「にしても面白いね、お兄さんの友達」
「幻想郷に住んでても違和感をないわね…」
それじゃこの人ーとこいしはジョンのトーク画面を開いた
紫は外国人だと思い翻訳が面倒だと思ったが、トーク画面を見てそれを捨てた
普通に日本語を話していたからだ
ジョン
『君ん家凄い五月蝿いって?百合でもしてるって斬鬼から聞いたよ、(・д・。)エェ?』
灰汁
『アイツらに限ってそれはねぇ、(⌒,_ゝ⌒)しばくぞ』
「…なんだか凄い天然な人に思えるわ」
「そうかもね、灰汁に聞いてみれば分かるよ」
トーク画面を下にスライド
そうすると過去のトークが確認出来る
私たちが来たのは最近だから本当の会話が見れるだろう
灰汁がもしかしたら私たちに見られるのを前提で書いてるかもしれない
ジョン
『最近疲れた溜まってるでしょ?良い薬があるんだ
大丈夫、合法だから何も言われないよ』
灰汁
『んな軽々薬物勧められても困るわ、お前の方が溜まってるだろ』
「むーん、他にも面白いのは…」
「さっきの人のも見れば?面白のがあるかもしれないわよ」
「さんせー!」
そうして2人はプライバシーフル無視でトークを覗いた
それは灰汁が起きる直前まで続いたのだった
なお勝手に送信された言葉で後々なんか言われる模様