粟草紀子に言わせれば、皇塚桔梗という少年は『この世のバグ』である。
なんて事を今更ながらに思うのは、こうして朝の時間を淫らに過ごして居るからだろうか?
昨晩個人LIMEで『明日朝早く来れるなら、朝ご飯とか家事とか良いからシたい』とダメ元で送ってみれば、送られてきたのは二つ返事。
期待と欲望で胸が張り裂けそうなまま、なんとか眠り、朝を迎えてみれば、目覚めた瞬間桔梗少年の顔。そこからキスの雨を降らされ、全身を余すところなく愛でられ、互いの熱を感じ合いながらベッドを軋らせること1時間。
吸われて吸って、飲まれて飲んで、乗って乗られて、咬んで咬まれて。
1時間という短い時間*1ながら、すっかり紀子の身体は桔梗少年専用のモノへと染められて、朝6時だというのにその全身には幸福な倦怠感が満ち溢れている。
当然、朝食を作ったり食べたりと言った余裕はないが、紀子は既に『満腹』なので問題はない。ただちょっと
そんな現在、紀子は朝風呂に浸かり、ゆっくりと身体の疲れを癒している。その一方で桔梗少年はといえば、シャワーをサッと浴びた後、紀子の部屋の片付けに勤しんでいる所だ。
準備がいいのかなんなのか、桔梗少年が用意したるは液体掃除機*2。ギュインギュインと朝からうるさいのでお隣さんに怒られてもおかしくなさそうだが、このアパートも『桔梗少年の彼女が住んでいる』という理由で密かに住人が『政府機関』の者達に置き換わっており、壁ドン*3の憂き目には遭っていない。
無論、桔梗少年は優れた感覚*4によってその存在を察知しているからこそ、早朝から紀子を好き放題に鳴かせて居たのだが、紀子はそんな事は露知らず『お隣さんとか起きてないかな……』と今更ながらに若干ビビっていたりする。*5
さて、
となれば、この後に待ち受けるのは、桔梗少年との登校だ。ここについても紀子は希望を出しており、少し早めに家を出て、歩いて登校する手筈となっている。
「へへへ、こうやって彼氏と通学するの憧れてたんだよね」
「そうなの?」
「うん、夢のまた夢だと思ってたんだけどさ。桔梗君のお陰で叶っちゃったよ」
なんて他愛も無い話をしながら、手を繋いで歩く2人。すれ違った通勤中のオフィスレディが3度見をしていく*6のを気にも止めず、イチャイチャと指を絡める2人は、正に甘々カップルとしか言いようがない。
だが。紀子の内心は実の所、そう穏やかなものでもないのだ。
————今の人めっちゃ見てた!
————朝から桔梗君のお汁キメてるのバレてないよね?
————どうしよう、昨日の深夜のハイテンションで何頼んでんだろ私。
————でも気持ちよかったし、楽しかったし、美味しかったし、今も嬉しいし……。
————うおぉぉぉ……!
なんて、彼女の脳内は大忙し。
悶々とし過ぎて『朝からエッチな事いっぱいお願いして困らせちゃお』なんて閃いちゃった昨日の自分を、拝み倒すべきなのか張り倒すべきなのか?
そんなシェイクスピア*7のハムレットよろしく究極の2択に悩まされている彼女。
だが、彼女は表面的には持ち前の運動部らしい明るさで陽気に振る舞いつつ内心でテンパるという器用な真似をどうにかこなしてでも、嬉し恥ずかしなイチャイチャ登校を続行することにしたらしい。
もちろん、その感情の機微は桔梗少年に筒抜けなので、一層彼女へのスキンシップが熱を増したのは言うまでもなく。
お熱い馬鹿ップルと化した2人は、ついでに片方の脳味噌もお熱くオーバーヒートさせながら、錫鉾学院への道をゆっくりと歩んで行く。
そして、その歩みを進める度に当然すれ違う人々の中には学生が多くなるのは当然で。
込み上げる照れにより加速度的に発熱を増し、頭から湯気を出しつつも桔梗少年に甘える事もやめられない難儀な紀子と、それに比例して実にイイ笑顔になり美少年オーラで後光が差し始める*8桔梗少年。愉快な姿の2人は当然の様に衆目を集め、教室に着く頃には紀子の下着は変な汗でグショグショになってしまっていた。
それをめざとく見つけた桔梗少年に、首筋をたっぷりと嗅がれつつ「紀子ちゃんのイイ匂いがする」なんて耳打ちされたのがトドメとなって、自分の席に崩れ落ちるように座り、びくびくと甘イキする紀子に対して、経験済みな『妻』達が「あいつ無茶しやがって」的な視線を送ったのは言うまでもなく。
結局午前の授業を夢見心地で聞き流してしまった紀子は、お昼休みに桔梗少年からノートを借りることになったのであった。
好きなキャラクター
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皇塚桔梗
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粟草紀子
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尾花茅子
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河原撫子
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袴田藤子
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萩原久仁子
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諸葛芳子